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準委任契約の中途終了と報酬精算-前払金・割合報酬・損害賠償の確認事項(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

1 この記事の対象

本記事は,コンサルティング,人材探索,調査,運用支援その他の法律行為でない事務を委託する有償の準委任契約が,履行の中途で終了した場合の報酬精算を対象とする。
前払報酬がある契約を念頭に置くが,契約書の表題や金銭の名称だけで結論は決まらない。

本記事の法令の基準日は令和8年9月17日である。
個別の返金額,追加報酬及び損害賠償は,契約文言,終了原因,実施済みの役務,終了時点及び相手方の損害によって変わる。

2 先に押さえるべき結論

中途終了の精算では,第一に,終了原因を①契約上の中途解約,②民法651条の任意解除,③債務不履行解除及び④合意解約に分ける。
第二に,契約上の返金,民法648条3項の割合報酬,同法651条2項の損害賠償及び債務不履行による損害賠償を別々に判断する。

契約書に「半額返金」「途中解約料」等の記載があっても,その条項があらゆる終了原因に適用されるとは限らない。
条項の適用対象,割合報酬との関係,損害賠償額の予定であるか,及び二重評価を避ける方法を確認する必要がある。

第2 最初に分けるべき契約と金銭

1 準委任に当たる役務

民法656条は,法律行為でない事務の委託に委任の規定を準用している。
調査,助言,候補者探索,連絡調整,定期報告及び運用支援等は,具体的な契約内容によるものの,準委任として構成されることがある。

一つの契約に,準委任的な役務,特定の成果に対する報酬,立替費用及び別個の給付が併存することもある。
契約全体に一つの名称を付けるだけでなく,各役務と各金銭の対応関係を確認する。

2 報酬を四つに分ける

契約上の金銭は,①時間又は期間に対応する報酬,②事務処理それ自体に対する報酬,③成果に対する報酬及び④実費又は立替金に分ける。
「着手金」「コンサルティング料」「活動費」「成功報酬」等の名称だけではなく,どの役務又は成果の対価であるかを読む。

民法648条は一般的な受任者の報酬を,同法648条の2は委任事務の履行により得られる成果に対する報酬を定めている。
同じ契約に両方が含まれる場合は,中途終了時の発生要件も別々に確認する。

3 前払いと報酬の帰属を区別する

契約時に全額を支払う旨の合意がある場合でも,それが支払時期を前倒ししたのか,契約終了後も全額を受任者に帰属させる合意なのかを分ける必要がある。
前払いであることだけから,未実施部分の対価まで当然に確定的に帰属するとは限らない。

契約書,申込書,見積書,提案書,料金表,利用規約及び契約締結時の説明資料を一組として読む。
締結後の電子メール及び運用も,曖昧な条項の解釈又は後日の変更合意を確認する資料となる。

第3 契約終了の四つの経路

1 契約上の中途解約

契約が中途解約権を定めている場合は,通知方法,予告期間,効力発生日,解約後の引継ぎ,実費,返金式及び違約金を確認する。
中途解約条項が,民法651条による解除を排除し,制限し,又はその精算にも適用する趣旨かは,文言と契約全体から判断する。

2 民法651条の任意解除

民法651条1項は,委任の各当事者がいつでも解除できると定めている。
準委任にも同条が準用されるが,強行法規として一切の修正が禁じられるわけではないため,契約による修正の有無と効力を個別に検討する。

任意解除であるからといって,必ず無償で終了し,又は前払金の全額が返金されるわけではない。
実施済み部分の報酬,契約上の精算及び同条2項の損害賠償を別に確認する。

3 債務不履行解除

約束された役務が履行されていない場合は,民法541条の催告解除又は同法542条の無催告解除を検討する。
「成果が少ない」という評価だけでなく,対象となる義務,期限,実施状況,是正要求及び契約目的への影響を特定する。

債務不履行解除では民法545条の原状回復が問題となる。
これに対し,民法651条の任意解除は,同法652条が準用する620条により将来に向かってのみ効力を生ずるため,両者を同じ「解除」として一括りにしない。

4 合意解約

双方が終了条件に合意できる場合は,中途終了時点,実施済み報酬,返金日,実費,仕掛中の業務,資料の返還・削除,守秘義務及び清算条項を合意書に記載する。
合意解約では,法定の結論をそのまま確認するだけでなく,争いのある事実及び請求を互譲によって解決することもできる。

第4 民法648条3項の割合報酬

1 割合報酬が問題となる場合

民法648条3項は,①委任者の責めに帰することができない事由により委任事務の履行ができなくなったとき,又は②委任が履行の中途で終了したときは,受任者が既にした履行の割合に応じて報酬を請求できると定めている。
したがって,契約が中途で終わったときは,「成果がないから報酬は零」とも,「前払い済みだから全額」とも限らない。

2 履行割合の確認要素

履行割合は,契約期間に対する経過期間だけでなく,①合意された作業工程,②各工程の重要性,③実施数量,④仕上がり及び利用可能性,⑤依頼者が現実に受けた利益,⑥再作業の必要性,⑦実施記録の有無等を総合して検討する。
受任者の責任でやり直しが必要な作業と,依頼者がそのまま利用できる作業を同じように数えない。

予定された業務を工程表にし,各工程について「未着手」「着手済み」「納品済み」「要修正」「利用済み」等を記録すると,割合報酬の議論を具体化しやすい。

3 固定率と考えない

民法648条3項は,契約類型ごとの固定的な精算率を定めていない。
一つの事例における割合を,他の契約へそのまま当てはめることはできない。

契約締結時に,工程ごとの報酬額,中間成果物,検収方法及び中途終了時の精算率を具体化すれば,後日の紛争を減らしやすい。
もっとも,精算条項の効力と適用範囲は,その内容と締結過程を含めて別に検討する。

第5 民法651条2項の損害賠償

1 相手方に不利な時期の解除

民法651条2項1号は,相手方に不利な時期に解除した者に損害賠償義務を課している。
ただし,やむを得ない事由があるときは除かれる。

「不利な時期」であるかは,単に契約期間の途中であるというだけでなく,受任者が人員,設備,外注,他案件の辞退等の負担をし,通常の終了時点よりも特別な損害が生じる時期であったかを検討する。

2 受任者の利益をも目的とする委任

民法651条2項2号は,委任者が受任者の利益をも目的とする委任を解除した場合を対象としている。
ただし,専ら報酬を得ることによる利益は除かれているため,有償契約であることだけで同号に当たるわけではない。

3 割合報酬と損害賠償を混同しない

民法648条3項の割合報酬は,実施済みの履行に対する対価である。
これに対し,同法651条2項の損害賠償は,解除によって生じた損害を対象とする。
両者は法的性質が異なるため,金額と根拠を分けて示す。

契約が違約金又は損害賠償額の予定を置く場合は,どの義務違反又は終了原因を対象とするか,割合報酬と並存するか,実損害の追加請求を認めるかを明示する。

第6 前払金の返金を検討する手順

1 終了の将来効を確認する

民法652条は,同法620条を委任に準用している。
そのため,委任又は準委任の任意解除は,将来に向かってのみ効力を生ずる。
過去の役務が全て存在しなかったことになるわけではない。

したがって,任意解除時の精算を,債務不履行解除の原状回復と同一視しない。
既払金の処理は,報酬合意,契約上の精算条項,民法648条3項の割合報酬及び未実施部分の返還根拠を分けて検討する。

2 契約上の精算式を再現する

契約上の返金又は中途精算の条項がある場合は,①適用される終了原因,②税込・税抜の基礎額,③実施済みの工程,④成果の算入基準,⑤返金率,⑥実費,⑦消費税,⑧端数処理及び⑨支払日を一つずつ確認する。
条項の文言が簡略である場合は,複数の計算結果を示し,どの解釈を採用するかを交渉する。

3 未実施部分の返還根拠を特定する

既払金のうち未実施部分の返還を求める場合は,契約上の返金請求,合意精算,債務不履行解除の原状回復,不当利得その他のいずれを根拠とするかを特定する。
同じ金額であっても,根拠によって要件,抗弁,利息及び起算日の問題が異なる。

請求書又は通知書には,結論的な返金額だけでなく,契約終了の根拠,終了日,実施済み役務,精算式,既払額,差引返還額及び支払期限を示す。

第7 契約条項の作り方

1 四つの条項を分ける

契約書では,①民法651条の任意解除の可否及び手続,②契約上の中途解約と返金式,③履行の中途終了時の割合報酬,④不利な時期の解除等による損害賠償を分ける。
「中途解約の場合は半額を返金する」という一文だけで,全ての終了原因と金銭関係を処理できるとは限らない。

2 中間成果物と工程別報酬を定める

契約開始時,中間時点及び最終時点の成果物,定期報告,検収方法,修正回数及び依頼者の協力事項を定める。
工程ごとの金額又は配点があれば,中途終了時に単純な経過月数だけで争うことを避けられる。

3 違約金・解除方法の明示

有料職業紹介事業では,令和7年4月1日から,違約金に関する定めについて,求人者に誤解が生じないようあらかじめ明示することが求められている。
人材紹介契約に中途解約料,直接採用時の違約金その他の金銭条項がある場合は,額又は算定方法,発生条件,対象期間及び解除方法を分かりやすく示す。

第8 終了通知と交渉の進め方

1 通知前に資料を固定する

通知前に,契約書,規約,提案書,見積書,発注書,議事録,電子メール,報告書,中間成果物,請求書及び支払記録を保存する。
ウェブ上の規約又は料金表は更新されることがあるため,契約時及び終了時の版を日付が分かる方法で保存する。

2 履行状況を時系列と工程表にする

事実経過は,日付,依頼事項,受任者の対応,依頼者の協力,成果物,修正要求及び未完了事項に分ける。
「対応が悪い」「十分な成果がない」という評価は,契約上の義務と確認可能な行為に置き換える。

3 解除根拠と精算根拠を書き分ける

終了通知には,①根拠条項又は根拠法条,②終了日,③催告の要否と実施状況,④終了後の引継ぎ,⑤最終報告,⑥既払金,⑦割合報酬,⑧返還額及び⑨損害賠償の有無を項目ごとに示す。
「解除するので全額を返金せよ」という結論だけでは,当事者間の計算の差を確認できない。

4 交渉案は金銭以外も含める

交渉では,返金だけでなく,追加履行,無償の修正,契約期間の延長,担当者の交代,他業務への振替え,将来報酬との相殺,資料の引継ぎ及び相互の清算条項を検討できる。
継続的なニーズが残っているか,信頼関係を回復できるか,立証可能性と回収費用を比較して選択する。

第9 ヘッドハンティング契約への当てはめ

1 探索工程ごとに履行を確認する

人材探索では,①求人企業が求める候補者像の具体化,②対象市場の調査,③候補者の抽出,④接触,⑤面談・評価,⑥求人企業への情報提供,⑦面接調整,⑧面接後の連絡及び⑨最終報告に分ける。
接触件数だけでなく,合意した求人要件への適合,候補者情報の質,後続工程での利用可能性及び依頼者側の協力状況を確認する。

2 年齢条件の適法性を先に確認する

候補者の年齢に関する指示がある場合は,履行の優劣を判断する前に,労働施策総合推進法9条及び同法施行規則1条の3の例外事由に適合するかを確認する。
例外に適合しない年齢上限をそのまま履行基準にせず,職務,能力,経験,技能,勤務条件その他の適法で具体的な要件に置き換える。

第10 関連記事

ヘッドハンティング・人材スカウト契約の中途解約と返金-成果が出ない場合の確認事項(AI作成)では,人材探索の履行状況,月間報告書,改善催告,中途解約及び返金交渉を説明している。
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採用時の年齢制限と人材紹介会社への指示-「35歳以下」等の条件が許される場合と許されない場合(AI作成)では,年齢制限の原則,法定例外及び人材紹介会社への指示を整理している。

第11 出典

①e-Gov法令検索「民法」620条,648条,648条の2,651条,652条及び656条
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

②e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」9条
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132

③e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則」1条の3
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/341M50002000023

④厚生労働省「雇用仲介事業者(職業紹介事業者,募集情報等提供事業者)は新たなルールへの対応が必要です」
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/r0604anteisokukaisei1_00002.html