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不当労働行為救済申立書の作り方―団交拒否・賞与差別・組合施設利用の請求趣旨と証拠(AI作成)

不当労働行為の救済申立てでは,「会社の対応が不当だった」という評価だけでは足りない。使用者のどの行為について,労働組合法7条のどの類型を主張し,何を命じてもらうのかを分ける必要がある。団交拒否,賞与の不支給,組合ニュースの回収及び組合掲示板の停止を例に,申立書と証拠説明書の組み立て方を整理する。

以下の請求文言は事案に応じた検討例であり,そのまま提出できる定型文ではない。事実,申立先の運用及び求める救済の必要性を確認して調整する。

第1 救済申立てで最初に決めること

救済申立ては,使用者による不当労働行為について,労働者又は労働組合が管轄の労働委員会に申立書を提出する手続である。中央労働委員会の案内によれば,原則として不当労働行為があった日から1年以内に申し立てる。管轄は,申立人の住所・主たる事務所,被申立人の主たる事務所,又は行為地などを手掛かりに確認する。複数の行為があるときは各行為の日付を特定し,期間の判断を先送りしない。

大阪府労働委員会の申立書記載例は,「請求する救済の内容」を具体的かつ簡潔な箇条書きにし,その後に当事者,背景,具体的事実を時系列で記載する構成を示す。組合が申立人となるときは,労働組合法上の手続に必要な組合資格審査の資料も確認する。様式,提出部数及び提出方法は管轄委員会の最新案内に合わせる。

第2 不当労働行為の類型を事実に結び付ける

労働組合法7条1号は組合員であることなどを理由とする不利益取扱い,同条2号は正当な理由のない団体交渉拒否,同条3号は組合の運営等に対する支配介入を問題にする。同じ経過から複数の類型を主張するときも,それぞれについて「行為・理由又は効果・証拠・必要な救済」を対応させる。

組合員名簿を求められた団交拒否では,申入れに示した組合員・議題と,会社が追加確認を求めた情報,その目的・範囲を対応させる。
昭和36年5月15日通知は,代表性や議題の確認と全組合員の氏名把握を分け,確認の必要性を具体的事情から判断している。
名簿要求を一律に違法とすることも,不提出なら必ず拒否できるとすることも避け,要求や調査の態様による組合活動への影響も記録する。

二重加入があるときは,同じ議題について他方の組合からも申入れがあるのか,双方の交渉意思や調整状況を,拒否回答の時点ごとに確認する。
中央労働委員会の中ノ郷信用組合事件・平成25年7月17日命令の概要は,二重加入だけを理由とする拒否と,実際に同一事項を別々に交渉する場合の調整とを分けている。
他方の組合が交渉しない旨の通知や,会社がそれを認識した時点は,申立書の時系列と証拠に位置付ける。

相手方が「管理職だから組合に加入できない」と主張する場合は,労組法2条但書1号の問題として,雇入れ等の直接の権限,労働関係の機密への接触と組合員としての責任との直接抵触を確認する。
これは当該団体の法適合性に関する検討であり,労基法上の管理監督者の判断に用いる手当や勤怠裁量とは,制度目的を分けて考える。

例えば,賞与交渉の申入れに別制度への同意を条件として応じない行為は2号,非組合員には賞与を支給し組合員に支給しない行為は1号と3号,組合掲示板の利用を停止して組合の情報伝達を妨げる行為は3号の問題として整理する。ただし,申立書には結論だけでなく,要求の内容,会社回答,支給又は停止の対象と時期,会社が示した理由及び組合活動への影響を書く。

ストライキを指揮した組合役員への懲戒処分を1号・3号で争うときは,そのストライキが「労働組合の正当な行為」であることを,主体,目的,手続及び態様に分けて主張する。事前の予告に関する取決めに反したといった手続上の問題があれば,取決めの目的,使用者がストライキを予測できたか及び違反による具体的な影響に当たる事実を挙げ,ピケッティングがあれば,説得の範囲にとどまり入構や操業を妨げなかったことを具体的に書く。懲戒処分の当否を労働契約法15条の懲戒権濫用の問題としてだけ論じると,7条1号の要件との対応が不明確になる。

現場監督者等の職制の発言を支配介入として主張するときは,その者が使用者の利益代表者に近接する職制上の地位にあり,使用者の意を体して発言したことを書く。最高裁平成18年12月8日判決(JR東海事件)は,このような場合には使用者との具体的な意思の連絡がなくても使用者の不当労働行為と評価できるとした。もっとも,令和7年司法試験の採点実感(労働法)は,職制が使用者のように振る舞ったというだけで帰責するのではなく,前提として使用者に反組合的意図ないし組合嫌悪をうかがわせる行為があり,その思いを汲み取った行為と評価できる実態が必要であることを指摘している。申立書には,発言の内容・日時・聴衆に加え,同じ時期の懲戒処分や特定の従業員への金員の支給など,会社自身の反組合的な言動を並べる。

第3 請求する救済の内容の書き方

請求趣旨は,後に主文として履行できる程度に対象と行為を特定する。事案と立証に応じて,次のように分けて検討する。

救済申立書では,不当労働行為に当たる理由と,その侵害を是正するために求める命令の内容を分けて説明する。
寿建築研究所事件・最判昭和53年11月24日は,成否判断を労委の裁量に委ねるものではないことと,是正措置の内容について広い裁量が認められることを区別している。
制度目的に沿った救済の必要性・範囲を主張する点は,第二鳩タクシー事件・最大判昭和52年2月23日も踏まえて検討する。

①団交拒否については,議題を特定し,資料提示や理由説明を含む誠実な団体交渉を求める。単に特定の労働協約の締結を命じるよう求めることとは区別する。最高裁令和4年3月18日判決(山形大学事件)は,合意の見込みがないことだけを理由に誠実団交命令を排斥しない。

②賞与差別については,対象者,対象期間,算定基礎,既払額を明らかにして金銭救済を求める。交渉未妥結で最終額を確定できない場合は,現に生じた不利益を埋める仮支給と妥結後の精算を検討する。確定的な差額支払を求めるなら,不当労働行為がなかった場合の額と個々の対象者への適用を証拠で説明する。

③施設利用については,協約・許可に基づく掲示板利用の回復,現に保管されている回収物の返還,又は過度の回収・利用停止を繰り返さないことを,確認できた事実に応じて求める。回収物の所在や返還の有無を未確認のまま,現物返還を当然の前提にしない。

④必要性があれば,違法行為を繰り返さない旨の文書交付・掲示も検討する。どの媒体に,誰へ,どの内容を示すかは,認定を求める行為との対応が必要である。

⑤懲戒処分の救済は,処分の撤回(処分がなかったものとしての取扱い)と文書の交付・掲示を求めるのが基本である。懲戒処分の無効確認,受け取った者からの金員の返還,既にされた支給の差止めといった民事訴訟と混同した内容や実現の可能性に乏しい内容は,令和7年司法試験の採点実感(労働法)でも不適切な例として挙げられている。

⑥金銭の支払を求める場合は,救済命令が不当労働行為による被害の救済としての性質を持つものでなければならないこと(最高裁昭和52年2月23日大法廷判決,第二鳩タクシー事件)を踏まえ,支払が認められない場合に備えて,同種の行為をしてはならない旨の命令や文書の掲示を併せて求めることを検討する。ストライキの代替勤務に就いた従業員だけに慰労金を支給した事案では,組合員への同額の支払を命じた労働委員会命令と,今後の同種の支給を禁じる命令にとどめた命令があり,ストライキ不参加者への慰労金・弁当代は不当労働行為か―支配介入・不利益取扱い,救済命令の限界及び給与課税で整理している。

第4 申立書の事実欄は時系列で書く

大阪府労働委員会の記載例は,「いつ,どこで,誰が,誰に対して,何を,どのようにしたか」を明確に書くよう求める。背景事情と不当労働行為を構成する具体的事実を混ぜず,日付ごとに整理する。

賞与事案なら,団交申入れ,会社回答,組合の承諾又は対案,会社が付した条件,非組合員への支給,組合員への不支給,その後の交渉申入れと回答を並べる。施設利用事案なら,従前の許可・黙認,投函又は掲示の態様,現実の業務支障,回収・停止の範囲,会社の通知,回収物の保管・返還状況を並べる。分からない事項は不存在と断定せず,確認すべき事項として残す。

第5 証拠説明書と立証趣旨

書証を集めるだけでなく,一つずつ「どの事実を証明するか」を付ける。大阪府労働委員会の証拠説明書案内は,書証番号,標題,作成年月日,作成者及び立証趣旨の記載を求める。申立人側の書証には甲号証番号を付け,立証趣旨を申立書の事実欄と対応させる。

団交拒否には団交申入書,要求書,会社回答書,議事録及び当事者のメモを対応させる。賞与差別には就業規則,労働協約,会社回答,妥結通告,支給明細,対象者・勤務実績の資料を対応させる。施設利用には利用許可や協約,投函した文書,回収・停止通知,ケースや掲示板の写真,保管・返還の記録を対応させる。これらは事案に応じた証拠候補であり,存在しない資料をあるものとして記載しない。

例えば「甲第3号証・会社回答書・○年○月○日・会社作成・会社が賞与の算定案を提示し,別制度への了解を条件にしたこと」という形で特定する。個人の給与資料や組合員名簿を扱う場合は,提出の必要範囲,閲覧される範囲及びマスキングの要否を確認する。

罷業とインターネット投稿が処分理由になっている場合は,両者を別の行為として時系列と証拠を整理する。
罷業については,実施主体,決定・承認の資料,要求内容,会社への通知と交渉の経過,実施時間及び現場の態様を対応させる。
組合内部の手続上の問題だけで,別の投稿行為の正当性まで否定しない。

投稿については,原文と前後の文脈,掲載先のURL,投稿・変更日時,閲覧できる範囲,事実記載を裏付ける資料及び会社が主張する被害とその根拠を確保する。
会社の信用への影響を主張する場合も,どの記載が,どのような経過で,どの被害を生じさせたとするのかを具体化する。
これらは立証資料の整理例であり,投稿又は企業批判という形式だけから適法・違法を決めるものではない。

判断の枠組みは,労働組合法7条と具体的な申立事実を対応させて確認する。
罷業と投稿の正当性,懲戒事由及び処分の相当性を分ける比較素材として,令和3年司法試験労働法第2問(AI作成)を参照されたい。

第6 賞与差別における金銭救済

賞与の民事上の具体的請求権と,労働委員会が不当労働行為を取り除くために命じる金銭救済は区別する。会社回答と組合の承諾があっても,労働組合法14条の方式を欠くときは,それだけで労働協約の規範的効力が生じるわけではない。

黒川乳業事件の中央労働委員会命令は,会社回答の一部を組合が受諾しただけで一時金交渉が妥結したとはせず,その回答額を確定的に支払わせる救済を採らなかった。他方,一時金が全く支給されないことによる現実の不利益を認め,団交に決着がつくまでの仮支給を相当とした。申立てでは「未妥結だから金銭救済がない」「非組合員と同額だから直ちに最終額が確定する」という両極端を避け,算定資料と後日の精算方法を検討する。

第7 組合ニュースの回収と掲示板停止

施設管理上の必要性がある回収と,組合の伝達手段を広く奪う措置は,対象と範囲を分けて検討する。満杯のレターケースから業務資料の投入を妨げる文書を移す必要があっても,支障のないケースまで一律に回収したかどうかは別の問題である。掲示板については利用を定めた協約,許可の条件,違反の内容,停止期間及び代替手段を確認する。

申立書では,回収物の数量・所在・返還状況,掲示板の使用停止日と再開日,会社の説明,組合員への伝達上の影響を個別に書く。救済内容も,物の返還,利用回復,将来の妨害禁止を一括せず,それぞれ現在なお必要なものに絞る。

第8 申立て前後の実務上の確認

初審は通常,都道府県労働委員会に申し立て,調査,審問,合議,命令等へ進む。和解による解決もあり得る。団交や自主交渉を続ける場合も,申立期間を過ぎないように管理する。労働委員会の救済申立てと,既に発生した賃金請求権等について裁判所に請求する手続は,目的と要件が異なるため,並行するかどうかを別に判断する。

金銭救済や和解の支払段階では,支払先が労働者本人か組合か,何を補う金員か,対象期間と内訳を確認する。
国税庁は,給与所得の説明に給与の性質を有する収入を含め,休業手当等の課税関係では,休業手当を給与所得,業務上の負傷等に伴う休業補償などを非課税所得として区別している。
これらは対象となる給付の法的性質に即した説明であり,名称を「解決金」「救済金」としただけでは課税関係は決まらない。
労働者に対する賃金等の支払と組合自身に対する賠償を分け,個人の給与等についての取扱いを組合の受取金へそのまま移さず,合意書・命令書と源泉徴収等の処理を整理する。

資料の提出後に新たな支払,返還又は団交があったときは,事実経過と求める救済を見直す。申立書の主張に関係しない私生活情報や第三者情報を漫然と提出しない。審査中の補充,和解案,命令後の不服申立ての期限は,事件を担当する労働委員会の案内を確認する。

第9 申立書作成のチェックリスト

①対象行為と行為日を特定し,1年の申立期間を確認したか。
②管轄と組合資格審査に必要な資料を確認したか。
③各行為を労働組合法7条の号数と対応させたか。
④請求する救済は対象者,対象期間,行為内容が分かるか。
⑤事実欄に日時,行為者,相手方,発言・文書の内容を記したか。
⑥各事実に対応する甲号証と立証趣旨があるか。
⑦賞与の仮支給と確定額,掲示板の利用回復と回収物の返還を分けたか。
⑧未確認事実を断定せず,必要な追加調査を明示したか。

第10 関連記事

名簿・二重加入・利益代表者と救済の組立てを具体的な事例で比較する際は,令和2年司法試験労働法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した26項目と5段階の重み付け(AI作成)を参照されたい。

第11 出典・参考資料

①労働組合法(2条,7条,14条,27条以下)
②中央労働委員会「よくあるご質問」(申立期間,管轄及び審査の流れ)
③大阪府労働委員会「労働委員会のごあんない」(不当労働行為救済申立書の記載例,組合資格審査)
④大阪府労働委員会「証拠説明書」(書証番号,立証趣旨及び類型別の証拠例)
⑤中央労働委員会・黒川乳業事件命令の概要(未妥結の一時金と仮支給)
⑥最高裁令和4年3月18日判決(山形大学事件)(誠実団交を命じる救済)
⑦最高裁平成18年12月8日判決(JR東海事件)(職制上の地位にある者の支配介入の帰責)
⑧最高裁昭和52年2月23日大法廷判決(第二鳩タクシー事件)(救済命令の裁量と限界)
⑨令和7年司法試験の採点実感(選択科目)(労働法第2問。職制の発言の帰責と求める救済の内容)

⑩昭和36年5月15日「組合員名簿の提出要求と団体交渉拒否の正当理由」(名簿確認の必要範囲と調査の態様)。

⑪中央労働委員会・中ノ郷信用組合事件の概要(平成25年7月17日。二重加入と実際の二重交渉の調整)。

⑫寿建築研究所事件・最判昭和53年11月24日(不当労働行為の成否判断と是正措置の内容に関する裁量の区別)。

⑬国税庁No.1400「給与所得」及びNo.1905「労働基準法の休業手当等の課税関係」(各令和8年4月1日現在法令等。個人の給与等の取扱いを組合の受取金へ一般化しない)。