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裁判関連文書は国立公文書館への移管が予定されていないこと

本記事でいう裁判関連文書は,事件記録には当たらないが裁判に密接に関連し,裁判部で管理されている申合せ等の文書を指す。
平成28年度(最情)答申第24号は,そのような文書の内閣総理大臣への移管方法について,最高裁判所が内閣府と取り交わした文書を保有していないとした判断を妥当としたものである。

不存在とされたのは移管方法を取り決めた文書であり,裁判関連の内部資料が一切存在しないという判断ではない。
また,判決原本や司法行政文書を含む裁判所の文書全般について,移管が行われていないという意味でもない。

〇平成28年度(最情)答申第24号(平成28年7月15日答申)における最高裁判所事務総長の理由説明書には以下の記載があります(ナンバリング及び改行を追加しました。)。

1 裁判所は,公文書等の管理に関する法律附則4条の規定による改正前の国立公文書館法15条1項の規定に基づき,内閣総理大臣と協議して定めるところにより,裁判所の保管に係る歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置を講じ,その措置として,内閣総理大臣に対して裁判所の保管に係る歴史資料として重要な公文書等を移管している。
2 上記「歴史資料として重要な公文書等」については,平成21年8月5日付け内閣総理大臣・最高裁判所長官申合せ「歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置について」及び平成25年6月14日付け内閣府大臣官房長・最高裁判所事務総局秘書課長・同総務局長申合せ「歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置について(平成21年8月5日内閣総理大臣・最高裁判所長官申合せ)の実施について」(以下「本件各申合せ」という。)によって申合せがされ,最高裁判所は,本件各申合せに係る文書を保有している。
   裁判所から内閣総理大臣に移管する「歴史資料として重要な公文書等」の範囲は,本件各申合せにより,歴史資料として重要な判決書等の裁判文書並びに裁判所の過去の主要な活動を跡づけるために必要な,司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な事項に係る意思決定及びその意思決定に至るまでの審議,検討又は協議の過程及びその決定に基づく施策の遂行過程が記録された司法行政文書であるとされている。
3 本件開示申出書記載の「事件記録に該当しないものの,裁判に密接に関連する文書」とは,裁判に密接に関連する事項について,裁判官等が申合せを行った結果を記載し,裁判所の裁判部において管理している文書等を意味するものと理解されるが,そのような文書は,上記記載の「歴史資料として重要な公文書等」に当たらないので,本件各申合せは本件開示申出文書ではない。
   また,その他の文書の移管方法について,最高裁判所と内閣府との間で取り交わした文書は存在せず,したがって,「事件記録に該当しないものの,裁判に密接に関連する文書」の移管方法に係る文書も存在しない。

以上は,平成28年7月15日答申の理由説明書に記載された当時の説明である。
同答申の結論と判断理由は,答申書の第1及び第6(PDF1頁・3頁~4頁)に記載されている。

その後,令和6年1月30日の実施申合せ及び移管手続に関する申合せが,それぞれ平成25年6月14日付けの同名申合せを廃止して新たな取扱いを定めた。
実施申合せは,裁判文書と司法行政文書の移管を別々に規定し,民事事件の判決原本等の対象と除外事由を定めている。
このため,平成28年答申の紹介と,現在の移管対象・移管計画の説明は区別して読む必要がある。

関連資料:令和6年1月30日付け実施申合せ,同日付け移管手続申合せ。

関連記事:裁判事務に関する文書の意義,司法行政文書の国立公文書館への移管,民事事件の判決原本の国立公文書館への移管。