第1 「期限が過ぎた」「申請中」だけでは判断できない
在留カードに記載された在留期間の満了日を過ぎても,一定の要件を満たす更新・変更申請の審査中には,従前の在留資格で在留できる「特例期間」がある。
ただし,申請すれば無期限に働けるわけではなく,申請先の新しい資格での就労が先に許されるわけでもない。
この記事は,令和8年10月27日時点の出入国在留管理庁の案内に基づき,在留カードを所持し,通常の就労資格を持つ従業員について,特例期間と会社の確認事項を整理する。
第2 特例期間が続くのは,二つの時点の早い方まで
もとの在留期間が満了するまでに在留資格変更許可申請又は在留期間更新許可申請を行い,満了日までに処分がされない場合には,原則として,次のいずれか早い時点まで,従前の在留資格をもって在留することができる。
– 申請に対する処分がされる時。
– もとの在留期間の満了の日から2か月を経過する日が終了する時。
例えば,満了日の1か月後に処分がされた場合,処分後も「2か月経過までは審査中扱い」として働けるわけではない。
反対に,2か月を経過しても処分がされていないことだけを理由に,この特例がさらに延びるわけではない。
不許可後の在留・就労の取扱いは,実際の処分内容や新たな在留資格等の有無を確認する必要がある。
審査中の特例期間の説明を,不許可後の就労許可に置き換えないことが必要である。
第3 続けられるのは,従前の在留資格で認められる活動
特例期間は,従前の在留資格で在留するための仕組みである。
会社が確認すべきなのは,「申請をしたか」だけでなく,「いま行わせる仕事が,従前の資格で認められるか」である。
例えば,現在の就労資格で認められる業務を続けながら更新審査を待つ場合と,別の資格への変更許可を待ちながら新しい種類の業務を始める場合は,結論が異なる。
後者について,申請中であることだけを理由に新業務へ配置することはできない。
転職時の確認方法と就労資格証明書については,外国人が転職するときの手続を参照されたい。
第4 会社は受付と処分の両方を確認する
窓口で申請した場合には,在留カード裏面の申請中の記載などが確認資料になる。
一方,オンライン申請では,在留カード裏面に申請中である旨は記載されない。
出入国在留管理庁の案内に沿って,申請受付番号等が記載された受付完了メールと在留カードを併せて確認する必要がある。
会社の管理では,次の事項を記録する方法が考えられる。
これは確認漏れを防ぐための提案である。
| 確認する事項 | 管理上の注意 |
|---|---|
| もとの在留期間と満了日 | カード表面の期限だけで特例期間を否定しない |
| 申請の種類・申請日・受付確認資料 | 更新と変更を区別し,申請予定だけで審査中と扱わない |
| 現在の在留資格と担当業務 | 変更後の資格を先取りしない |
| 特例期間の終期と処分の有無 | 満了日から2か月後だけでなく,それより前の処分も把握する |
| 次回の確認日と担当者 | 本人から結果が届く仕組みを決め,新カード等を確認する |
申請受付の資料があることと,審査結果がまだ出ていないことは別の確認事項である。
人事担当者は,本人と処分結果の連絡方法を決めておくとよい。
第5 在留資格の取消しとは別の問題
在留期間の満了,更新・変更申請中の特例期間,在留資格の取消しは,それぞれ異なる制度である。
「取消しの通知がないから,期限後も当然に就労できる」とは判断できない。
取消し制度の要件と手続は,「在留資格の取消し」制度を参照されたい。
第6 根拠資料
– 出入国在留管理庁特例期間とは。
– 同庁出入国審査・在留審査Q&A。
– 同庁オンライン申請を行った場合に申請中であることを証明する方法。