第1 令和8年4月の配置表が示すもの
令和8年3月24日付の最高裁判所事務総長通達は,8高等裁判所の各長官に宛てて,下級裁判所の裁判官の配置表を改め,令和8年4月1日から実施するものである。
通達番号は最高裁総二A第44号から第51号までであり,公開されたPDFは116頁からなる。
本記事は,この資料のうち東京・大阪・札幌の地方裁判所本庁等を取り上げ,令和7年4月の表と比較する。
全国全庁の増減を集計したものではない。
配置定員は,表に示された裁判官の配置枠である。
実際に在籍する裁判官の人数を示す現在員の名簿ではないため,配置定員が1人分減ったことから,実際の在籍人数が1人減ったと断定することはできない。
第2 東京・大阪・札幌の地裁本庁を令和7年と比較する
1 職種区分を分けて読む
表の「判事及び職権特例判事補」と「その他の判事補」は別の区分である。
以下の「判事等」は前者を指し,各区分の基礎定員と付加定員を合計した数を示す。
「本庁小計」は,両区分を本記事で足し合わせた数であり,支部や家庭裁判所を含む管内総数ではない。
単位は人分である。
| 地裁本庁 | 年度 | 判事等 | その他の判事補 | 本庁小計 |
|---|---|---|---|---|
| 東京 | 令和7年 | 269 | 55 | 324 |
| 東京 | 令和8年 | 258 | 65 | 323 |
| 大阪 | 令和7年 | 127 | 27 | 154 |
| 大阪 | 令和8年 | 125 | 28 | 153 |
| 札幌 | 令和7年 | 27 | 7 | 34 |
| 札幌 | 令和8年 | 25 | 8 | 33 |
東京地裁本庁では,判事等が11人分減り,その他の判事補が10人分増えているため,本庁小計の差は1人分の減少となる。
大阪地裁本庁と札幌地裁本庁も,判事等の減少とその他の判事補の増加を合わせると,いずれも小計は1人分の減少である。
この区分別の動きから,個々の裁判官の異動や職権特例判事補の指定状況,改定の理由までは特定できない。
出典は,令和7年及び令和8年通達の別表であり,いずれも東京がPDF3頁,大阪が27頁,札幌が99頁である。
頁数は,それぞれのPDFファイルの先頭から数えた頁である。
2 基礎定員と付加定員の内訳
令和8年の東京地裁本庁の判事等258人分は,基礎定員241人分と付加定員17人分の合計である。
その他の判事補65人分は,基礎定員64人分と付加定員1人分の合計である。
大阪地裁本庁の判事等125人分は114人分と11人分,札幌地裁本庁の判事等25人分は24人分と1人分に分かれる。
平成27年3月26日付の基本通達は,付加定員を,未済事件の累積,特殊事件の係属その他の一時的な事由に基づき暫定的に配置する定員と説明している。
したがって,付加定員の増減を調べることには意味があるが,個々の庁でどの事情が改定理由となったかは,配置表の数字だけから確定できない。
基礎定員の増減だけでなく,付加定員と職種区分を併せて確認する必要がある。
第3 家裁・支部・簡裁を混ぜないための注意点
1 家裁は地裁と別に確認する
令和8年の東京家裁本庁は,判事等が基礎35人分と付加6人分の合計41人分であり,その他の判事補に付加1人分があるため,小計は42人分となる。
令和7年も小計は42人分であるが,判事等の内訳は基礎36人分と付加5人分であり,合計が同じでも内訳は変わっている。
大阪家裁本庁は令和8年の判事等が基礎22人分と付加4人分の合計26人分,札幌家裁本庁は判事等10人分とその他の判事補1人分の小計11人分である。
2 地家裁を合算した支部の行に注意する
東京の表にある立川支部の行は,地方裁判所と家庭裁判所を合わせた配置枠として読む必要がある。
令和8年は判事等35人分とその他の判事補8人分の合計43人分であり,令和7年も同じである。
これを「東京地裁立川支部だけに43人」と書くと,表の対象範囲を誤ることになる。
同様に,簡易裁判所の配置表を地方裁判所・家庭裁判所の表と取り違えないようにする。
配置表を利用するときは,庁名だけでなく,表題,地裁・家裁の区別,本庁・支部の区別及び職種区分を一緒に記録することが有用である。
第4 法律実務で利用するときの確認順序
裁判所の体制を調べる際は,まず,知りたいのが配置枠,実際の在籍人数,特定の部の担当裁判官,又は事件処理の状況のいずれなのかを分ける必要がある。
配置枠の確認には,実施日が対応する通達と別表を用いる。
実際の在籍状況や担当部を調べるには,対象時点の裁判官一覧や事務分配等を別に照合する必要がある。
また,事件の負担や審理期間を論じるときは,配置定員だけでなく,事件数,事件の種類,未済事件及び処理期間等の資料を確認する必要がある。
本通達の別表だけから,支部に常時何人が勤務しているか,特定の事件がなぜ長期化しているか,又はどの庁が人員不足であるかまでは判断できない。
第5 出典と関連記事
1 出典資料
– 「下級裁判所の裁判官の定員配置について」の一部改正について(令和8年3月24日付通達)(4月1日実施。通達表紙PDF1・25・39・53・65・83・97・107頁,数値確認箇所3・27・99頁)。
– 令和7年3月28日付の配置表改正通達(4月1日実施。比較した数値はPDF3・27・99頁。リンク先ファイル名の「配置定員」と,本文の正式表題「定員配置」の語順は異なる)。
– 平成27年3月26日付基本通達等の掲載一覧(付加定員の説明は基本通達のPDF1頁)。
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