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最高裁判決の英訳の探し方・使い方―日本語原文との照合と翻訳予算(AI作成)

第1 最高裁判決・決定の英訳はどこで探せるか

最高裁判所の判決・決定の英訳は,裁判所ウェブサイトの英語版「Judgments of the Supreme Court」で探せる。
知的財産に関する裁判例については,知的財産高等裁判所の「IP Judgments Database」も利用できる。
いずれも裁判所が掲載する資料であるが,掲載元は英訳を非公式訳と位置付けているため,日本語の裁判書原文と照合して利用する必要がある。

入口は,次のとおりである。

調べたい資料入口
最高裁判所の判決・決定の英訳Judgments of the Supreme Court
最高裁判例の英語版検索画面Search screen
知財関係裁判例の英訳・英語要旨IP Judgments Database

以下は,令和8年10月21日に確認した掲載内容に基づく。

第2 事件番号と裁判年月日から英訳を探す

最高裁判例の英語版検索画面には,キーワード,裁判年月日,事件番号,法廷及び原審裁判所の検索項目がある。
特定の裁判例を探す場合は,まず日本語版で事件番号と裁判年月日を確認し,英語版で対応する事件を絞り込むと照合しやすい。
キーワードだけで探すと,日本語の法律用語と英訳の表現が一致しないこともあるため,見つからない場合は日付や事件番号でも確認する。

事件番号の年は,裁判がされた年と別の情報である。
例えば,令和8年1月28日の第一小法廷決定に係る令和7年(許)第18号は,英語版では「2025(Kyo)18」と表示されている。
この事件を事件番号で探す際の年は2025年であり,決定日の2026年とは区別する。

第3 日本語原文との照合例

前記の決定について,日本語版と英語版の事件を対応させると,次のようになる。

確認項目日本語版英語版
事件番号令和7年(許)第18号2025(Kyo)18
裁判年月日令和8年1月28日2026.01.28
法廷・裁判種別最高裁判所第一小法廷・決定Decision of the First Petty Bench
結果却下dismissed without prejudice

日本語版の結果詳細は,裁判例結果詳細に,裁判書全文は日本語原文のPDFに掲載されている。
対応する英語版は,2025(Kyo)18である。

実際の利用では,事件番号と日付だけでなく,事件名,法廷,裁判種別,主文及び理由の該当箇所まで確認する。
英語版には,事件の要旨に当たる「Summary」と,主文・理由に当たる「Main text」「Reasons」が区別して表示される例がある。
要旨の表現をそのまま裁判書本文の表現として引用せず,引用対象が要旨なのか,主文なのか,理由なのかを明らかにする。

この例の日本語原文の主文には,本件申立てを却下し,申立費用を申立人の負担とする旨が記載され,英語版にも対応する記載がある。
英語の訳語だけから日本法上の効果を判断することを避け,法的な意味を検討する際は日本語原文と参照条文に戻る。

第4 非公式訳・暫定訳という位置付け

最高裁判所の英語版案内と検索画面は,掲載する訳を非公式訳とし,翻訳の正確性について最高裁判所が責任を負わない旨を明示している。
前記2025(Kyo)18の個別ページにも,暫定的な翻訳であり,改訂されることがある旨が記載されている。
裁判所のサイトに掲載されていることと,英語の表現が日本語原文に代わる確定的な正文であることとは区別する必要がある。

海外の依頼者,研究者又は外国法の専門家に紹介する場合は,英語版のURLとともに,日本語版の事件番号,裁判年月日及び原文のURLを示すと,原典に戻って確認しやすい。
後に引用箇所を確認できるように,参照した日付と該当箇所も控えておくとよい。

第5 知財判決の全訳・抄訳・要旨を区別する

知的財産高等裁判所の新着英訳判決情報に関する案内は,重要と思われる裁判例について,全訳又は抄訳と判決要旨の英訳を掲載すると説明している。
IP Judgments Databaseの利用案内も,選定された裁判例の全文・抄訳及び要旨を扱うことを示している。
すべての裁判例の全文が英訳されているものとして利用しない。

全訳では本文全体,抄訳では訳出対象となった部分,要旨では裁判内容をまとめた記載を読むことになる。
検索結果のPDFを開いたら,どの種類の資料かを確認し,抄訳や要旨で省かれている部分が必要な場合は日本語原文に戻る。
英訳が見つからなかったことだけで,対応する日本語の裁判例が存在しないとは判断できない。

第6 最高裁判決の翻訳費はいくら要求されているか

最高裁判所の「令和9年度概算要求書(説明資料)」の秘書課関係部分には,「最高裁判所判決翻訳等経費」が掲げられている。
同資料の印刷頁45頁(PDF実頁47頁)の内訳は,英語への翻訳595枚,1枚7480円,所要額445万600円であり,千円単位の要求額欄は4451千円,すなわち445万1000円となっている。

ここでいう595は,翻訳費を計算するための「枚数」であって,判決・決定595件という意味ではない。
また,令和9年度の概算要求書に記載された積算額であり,予算成立額,契約額又は支出済みの実績額と同じものとして扱うことはできない。

資料は,令和9年度概算要求書(説明資料)で確認できる。
秘書課の所掌事務については,最高裁判所事務総局秘書課の事務分掌を参照されたい。