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令和5年度司法試験知的財産法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した48項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和5年司法試験の知的財産法第1問について,2500字以内の模範解答と48の評価項目を示す。
評価項目と重みは法務省の公式採点基準・配点ではなく,公式資料に基づく独自の整理である。

第1 この記事の対象と結論

対象は令和5年司法試験論文式試験問題(選択科目)の知的財産法第1問(PDF20〜21頁)である。
医薬品の用途発明を素材に,発明者名の補正,相当利益請求の時効,取消判決の拘束力,顕著な効果及び用途特許の効力を検討する。
出題の趣旨と採点実感から,負例と条件付きの分岐を含む48項目を抽出した。

答案例はBの補正手続請求と利益請求を認め,顕著な効果の主張を許容する構成を採る。
Dの予防用途を含む現状の販売は差し止めるが,予防用途の記載を抹消した治療用販売まで禁じず,薬剤本体の一律廃棄も否定する。
重み5は11項目であり,対象は第4の通し番号で示す。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準

1 評価項目の示し方

一項目には一つの判定対象を置き,必須・高評価・負例・許容分岐を区別する。
負例は誤りの監査であり,否定文の列挙を答案に求めるものではない。
許容分岐は採用した構成にだけ適用し,全てを累積的に要求しない。
頁はPDFの通し頁であり,「直接」は該当する公式記載を実読したこと,「記載なし」は本問関連範囲を実読した結果を示す。

2 5段階の重み付けの基準

重み5は採点実感が評価の分かれ目とした事項又は答案の骨格,4は出題の趣旨が検討を求め採点実感も取り上げた事項,3はどちらか一方が明示する中核の理由付け,2は補強又は典型的な誤り,1は控えめに触れる事項である。
本記事の重み4は,高評価に限らず,評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項を含む。
区分と重みは別であり,重み5の高評価項目も当然に全答案の必須事項とはならない。
各段階への件数の割当てはせず,項目ごとに根拠を示す。

第3 本問の概要

公知の化合物αには疾患βの治療作用である甲作用があり,Bの実験で予防作用である乙作用が確認された。
Aは適用可能性の検討を指示し,XはAを発明者として出願した。
職務発明規程は権利の発生時帰属と登録時の一括支払を定め,完成から7年,出願から6年,登録から4年が経過している。

Cの無効審判請求に関する第一次取消判決はαの予防用途への適用が容易想到であるとし,確定した。
再審理で無効審決がされ,Xは第二次取消訴訟で明細書記載実験に基づく顕著な効果を主張し,Cはγにも同程度の効果があると反論する。
Dの添付文書は治療・予防の双方を示し,それぞれの標準用法・用量は異なる。

各設問は独立して検討する。
設問2⑵は効果の主張が許されるとの仮定,設問3は特許が有効との仮定に従う。

第4 評価項目と重み

1 設問1⑴

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
1技術的思想の創作への実質的関与を発明者認定の基準とする。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料が具体的な創作寄与の認定を求める。4PDF27頁・知的財産法・第1問・2。「技術的思想の創作に関与」(直接)PDF24頁・2⑴ア・設問1⑴。「発明者の認定を丁寧に」(直接)
2用途発明の効果は事前に予測できるとは限らず,実験による確認が完成の重要部分であると説明する。 区分:高評価。適用条件:全答案。重みの理由:重要性は両資料に明示されるが,予測困難性という理由の発展部分を独立した3とする。3PDF27頁・知的財産法・第1問・2。「効果の検証が発明の重要な要素」(直接)PDF26頁・3⑴ア・設問1⑴。「事前には必ず しも予測できず」(直接)
3Aの一般的指示とBの実験による完成を区別してBの創作寄与を認定する。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料の当てはめ対象である。4PDF27頁・知的財産法・第1問・2。「Bが本件発明の発明者といえるか」(直接)PDF24頁・2⑴ア・設問1⑴。「Bが発明者であること」(直接)
4人格権としての発明者名誉権を補正手続請求の根拠とする。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料が請求の根拠として明示する。4PDF27頁・知的財産法・第1問・2。「人格権としての発明 者名誉権」(直接)PDF24頁・2⑴ア・設問1⑴。「発明者名誉権に基づき」(直接)
5人格権の排他性から妨害排除請求を説明する。 区分:高評価。適用条件:全答案。重みの理由:採点実感がほとんどの答案に欠けた請求根拠を指摘し,救済の骨格となる。5PDF27頁・知的財産法・第1問・2。「人格権としての発明 者名誉権」(直接)PDF26頁・3⑴ア・設問1⑴。「人格権に基づく妨害排除請 求」(直接)
6名誉権の一身専属性を財産権帰属と区別する。 区分:高評価。適用条件:全答案。重みの理由:採点実感が二つの帰属の区別を明示する。3記載なし(本問関連範囲を実読)PDF26頁・3⑴ア・設問1⑴。「一身専属的に帰属」(直接)
7願書の発明者氏名を17条1項で補正するよう出願人Xに請求できると結ぶ。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料が補正の客体・手続・相手方を明示する。4PDF27頁・知的財産法・第1問・2。「補正手続(特許法(以下「法」という。)第17条第1項)」(直接)PDF27頁・3⑴ア・設問1⑴。「同法第17条第1項による」(直接)
8発明者なのに財産権を持たないことだけで名誉権請求を否定する誤りを避ける。 区分:負例。適用条件:全答案。重みの理由:採点実感が法の基本的理解を欠く取り違えとする。5記載なし(本問関連範囲を実読)PDF27頁・3⑴ア・設問1⑴。「後者を有しないことを理由に請求を否定」(直接)
9願書を明細書と混同して17条の2を適用する誤りを避ける。 区分:負例。適用条件:全答案。重みの理由:採点実感が少なくない条文・書面の誤認を指摘。2記載なし(本問関連範囲を実読)PDF27頁・3⑴ア・設問1⑴。「同法第17条の2による補正」(直接)
10係属中の補正を訂正審判と混同しない。 区分:負例。適用条件:全答案。重みの理由:採点実感が手続の混同を指摘。2記載なし(本問関連範囲を実読)PDF27頁・3⑴ア・設問1⑴。「訂正審判と混同」(直接)
11補正を行うのは出願人であることだけでBの対X請求を否定しない。 区分:負例。適用条件:全答案。重みの理由:採点実感の典型的な基礎知識の誤り。2記載なし(本問関連範囲を実読)PDF27頁・3⑴ア・設問1⑴。「出願者のみが補正を行える」(直接)

2 設問1⑵

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
12業務範囲とBの職務から職務発明該当性を認定する。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料が法35条1項の入口を明示。4PDF27頁・知的財産法・第1問・2。「Xの職務発明(法第35条第1項)」(直接)PDF24頁・2⑴ア・設問1⑵。「職務発明該当性」(直接)
1335条4項に基づく相当利益請求権を特定する。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料の直接の請求権。4PDF27頁・知的財産法・第1問・2。「相当利益請求権(同条第4項)」(直接)PDF24頁・2⑴ア・設問1⑵。「相当 利益請求権(同条第4項)」(直接)
14相当利益請求権の法定債権としての性質を明示する。 区分:高評価。適用条件:全答案。重みの理由:趣旨が法定債権と要求し,実感が法的性質の詳細を良好・優秀事項とする。4PDF27頁・知的財産法・第1問・2。「法定債権」(直接)PDF24頁・2⑴ア・設問1⑵。「法的性質を詳しく」(直接)
15原則として使用者の権利取得時が行使可能時であると説明する。 区分:高評価。適用条件:全答案。重みの理由:実感だけが原則・例外を丁寧に論じることを明示。3記載なし(本問関連範囲を実読)PDF27頁・3⑴ア・設問1⑵。「原則として、使用者の権利取得時」(直接)
16規程の支払期到来までは法律上の障害があり,支払期が起算点になると説明する。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料がオリンパス判決の例外規範を取り上げる。4PDF27頁・知的財産法・第1問・2。「権利行使につ き法律上の障害」(直接)PDF27頁・3⑴ア・設問1⑵。「勤務規則等に支払時期の定め」(直接)
17登録時一括支払と規程の周知から登録時を起算点として5年時効を検討する。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:採点方針の一応の水準の骨格。号までの明示がない固定版は実質的一致。5PDF27頁・知的財産法・第1問・2。「当該支払時期が消滅時効の起算点」(直接)PDF24頁・2⑴ア・設問1⑵。「消滅時効期間が5年となること」(直接)
18民法166条1項1号を特定して登録後4年では5年未経過と結ぶ。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料が時効期間と事実による結論を取り上げる。4PDF27頁・知的財産法・第1問・2。「消滅時効期間が5年又は1 0年」(直接)PDF24頁・2⑴ア・設問1⑵。「民 法第166条第1項第1号」(直接)
19民法166条1項2号の客観的10年時効も経過していないことを示す。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:趣旨が両期間を明示。実感の5年要求と置換しない。3PDF27頁・知的財産法・第1問・2。「消滅時効期間が5年又は1 0年」(直接)記載なし(本問関連範囲を実読)
20拒絶される可能性を理由に当然に登録時起算とする誤りを避ける。 区分:負例。適用条件:全答案。重みの理由:採点実感の典型的な誤った起算理由。2記載なし(本問関連範囲を実読)PDF27頁・3⑴ア・設問1⑵。「拒絶されて特許権が認められない可能性」(直接)
21周知規程があるのに10年だけを検討して5年時効を落とす誤りを避ける。 区分:負例。適用条件:全答案。重みの理由:両資料が期間を取り上げ,実感が5年検討の欠落を具体的に指摘。4PDF27頁・知的財産法・第1問・2。「5年又は1 0年」(直接)PDF27頁・3⑴ア・設問1⑵。「5年の消滅時効の適用を検討すべき」(直接)
22職務発明利益を65条の補償金請求権と混同しない。 区分:負例。適用条件:全答案。重みの理由:実感の典型的な請求権誤認。2記載なし(本問関連範囲を実読)PDF27頁・3⑴ア・設問1⑵。「特許法第65条の補償金請求権と混同」(直接)
23利益請求に不法行為の時効を適用する誤りを避ける。 区分:負例。適用条件:全答案。重みの理由:実感の典型的な時効条文誤認。2記載なし(本問関連範囲を実読)PDF27頁・3⑴ア・設問1⑵。「民法第724条」(直接)

3 設問2⑴

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
24第一次取消判決の拘束力を行政事件訴訟法33条1項に位置付ける。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:採点実感が極めて少数しか指摘できなかった手続の骨格。5PDF27頁・知的財産法・第1問・3。「行政事件訴訟法第33条第1項」(直接)PDF27頁・3⑴イ・設問2⑴。「取消判決の拘束力が問題となる」(直接)
25拘束力の客観的範囲を主文に必要な事実認定・法律判断に限定する。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料が最高裁の規範を明示。4PDF27頁・知的財産法・第1問・3。「必要な事実認定及び法律判断」(直接)PDF24頁・2⑴イ・設問2⑴。「必要な事実認定及び法律判断」(直接)
26拘束力に従った審決を第二次取消訴訟の裁判所も違法とできないことを示す。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料が再訴裁判所までの効果を取り上げる。4PDF27頁・知的財産法・第1問・3。「再度の審決取消訴訟においてこれを違法」(直接)PDF27頁・3⑴イ・設問2⑴。「第二次判決に対する拘束力」(直接)
27顕著な効果を独立要件又は二次的考慮要素のいずれに位置付けるか明らかにする。 区分:高評価。適用条件:全答案。重みの理由:実感が良好・優秀を分ける理論的理由付けと明示。5PDF27頁・知的財産法・第1問・3。「構成の容易想到性に加えて、予測し 得ない顕著な効果」(直接)PDF24頁・2⑴イ・設問2⑴。「独立の要件か、容易 想到性を基礎付ける二次的考慮要素か」(直接)
28採用した効果の位置付けと第一次判決の判断内容から新主張の可否を一貫して論じる。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料が拘束力の具体的な射程を要求。4PDF27頁・知的財産法・第1問・3。「第一次取消判 決の拘束力」(直接)PDF24頁・2⑴イ・設問2⑴。「説得的な論証」(直接)
29二次的考慮要素説を採る場合,進歩性判断全体に及ぶ拘束力と主張不許容を整合的に説明する。 区分:許容分岐。適用条件:二次的考慮要素説を主位に採用する答案のみ(本答案は不適用)。重みの理由:両資料が対立する射程を提示するが,選択しない構成を累積要求しない。3PDF27頁・知的財産法・第1問・3。「進歩性の判断全体に及ぶのか」(直接)PDF24頁・2⑴イ・設問2⑴。「二次的考慮要素か」(直接)
30拘束力の問題を単なる審理範囲の問題に置き換えない。 区分:負例。適用条件:全答案。重みの理由:実感の典型的な論点置換。2記載なし(本問関連範囲を実読)PDF27頁・3⑴イ・設問2⑴。「審決取消訴訟の審理範囲の問題」(直接)
31進歩性の29条2項と新規性を混同しない。 区分:負例。適用条件:全答案。重みの理由:実感の典型的な制度誤認。2記載なし(本問関連範囲を実読)PDF27頁・3⑴イ・設問2⑴。「新規性(特許法第29条第1項)と進歩性」(直接)
32確定審決のない本件に167条の一事不再理効を適用しない。 区分:負例。適用条件:全答案。重みの理由:実感が法的段階の誤認を指摘。2記載なし(本問関連範囲を実読)PDF27頁・3⑴イ・設問2⑴。「審決が確定していな い」(直接)

4 設問2⑵

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
33本件構成から当業者が予測できる効果を比較基準とする。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:一応の水準の骨格で,実感が極めて少数の適切な判例理解を評価。5PDF27頁・知的財産法・第1問・3。「予測される効果との比較」(直接)PDF24頁・2⑴イ・設問2⑵。「予測される効果との比較」(直接)
34他の化合物との比較だけでは顕著性を決定できない実質的理由を示す。 区分:高評価。適用条件:全答案。重みの理由:実感が理由付けを良好・優秀,高評価の分かれ目とする。5PDF27頁・知的財産法・第1問・3。「特許発明以外の発明との比較のみ」(直接)PDF24頁・2⑴イ・設問2⑵。「実質的な根拠を具体的に論述」(直接)
35Xの明細書記載実験をαの予測困難性・顕著性に結び付けて条件付きで評価する。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料が各当事者主張の当てはめを求める。4PDF27頁・知的財産法・第1問・3。「X及びCの主張の当否」(直接)PDF24頁・2⑴イ・設問2⑵。「本件発明の効果」(直接)
36γの同程度の効果だけではαの顕著性を否定できないとCの主張を評価する。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料の比較基準をCの反論に適用する。4PDF27頁・知的財産法・第1問・3。「X及びCの主張の当否」(直接)PDF24頁・2⑴イ・設問2⑵。「本件発明以外の発明との比較のみ」(直接)

5 設問3

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
37αを有効成分とする予防剤は物の発明であると認定する。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:実感が制度分類を明示。固定版の適用号から実質的理解は確認できる。3記載なし(本問関連範囲を実読)PDF27頁・3⑴ウ・設問3。「物の発明と認定」(直接)
38用途発明の効力を新たな予防用途の製造・譲渡等に限定する。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料の侵害判断の入口。4PDF27頁・知的財産法・第1問・4。「予防剤の製造、譲渡等にのみ及ぶ」(直接)PDF24頁・2⑴ウ・設問3。「用途発明に係る特許権 の効力」(直接)
39添付文書の予防用の用法・用量の記載からDの販売を予防用途の実施と評価する。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料が用途限定と販売の橋渡しを求める。4PDF27頁・知的財産法・第1問・4。「D製剤の添 付文書」(直接)PDF25頁・2⑴ウ・設問3。「D製剤の販売行為が本件発明の実施行 為」(直接)
40業としての譲渡による直接侵害を2条3項1号・68条に結び付ける。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料が対象行為と侵害類型を取り上げる。4PDF27頁・知的財産法・第1問・4。「法第68条、法第2条第3項第1号」(直接)PDF28頁・3⑴ウ・設問3。「直接侵害の問題」(直接)
41100条1項により現状の予防用途を含む販売の差止めを導く。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料が差止請求の直接の効果を求める。4PDF27頁・知的財産法・第1問・4。「法第100条第1項」(直接)PDF25頁・2⑴ウ・設問3。「特許法第1 00条第1項」(直接)
42予防用途の記載を抹消した後の適法な治療用販売を差し止めるのは過剰と説明する。 区分:高評価。適用条件:全答案。重みの理由:実感が良好・優秀を分ける利益調整,販売差止めの限界の骨格。5PDF28頁・知的財産法・第1問・4。「過剰差止めとならないか否か」(直接)PDF25頁・2⑴ウ・設問3。「販売の差止めを認めるこ とが過剰差止め」(直接)
43100条2項の措置は差止めを実効あらしめ,実現に必要な範囲内と規範を示す。 区分:高評価。適用条件:全答案。重みの理由:実感が良好・優秀を分ける二要素の規範。必要性だけの固定版は半分。5PDF28頁・知的財産法・第1問・4。「必要な範囲内のものである」(直接)PDF25頁・2⑴ウ・設問3。「差止請求権の行使を実効あらしめ る」(直接)
44表示の抹消による侵害防止と適法な治療用途から薬剤本体の一律廃棄の必要性を否定する。 区分:必須。適用条件:全答案。重みの理由:両資料が廃棄措置の具体的必要性を要求。4PDF28頁・知的財産法・第1問・4。「D製剤の廃棄」(直接)PDF28頁・3⑴ウ・設問3。「予 防剤に関する記載を抹消すれば」(直接)
45販売差止めと廃棄の不利益・要件を区別して検討する。 区分:高評価。適用条件:全答案。重みの理由:実感が両者を区別しない答案を低く評価すると明示。5PDF27頁・知的財産法・第1問・4。「差止請求の 検討」(直接)PDF28頁・3⑴ウ・設問3。「相手方に及ぼす不利益の程度が異なり得る」(直接)
46本件を方法の発明と分類する誤りを避ける。 区分:負例。適用条件:全答案。重みの理由:実感の典型的な制度分類誤り。2記載なし(本問関連範囲を実読)PDF28頁・3⑴ウ・設問3。「方法の発明と認定した答案」(直接)
47本件直接侵害を間接侵害に置き換えない。 区分:負例。適用条件:全答案。重みの理由:実感が極めて多い誤った侵害類型を指摘。2記載なし(本問関連範囲を実読)PDF28頁・3⑴ウ・設問3。「間接侵害について論じている答案」(直接)
48差止めと廃棄を一括して侵害なら全部認容とする誤りを避ける。 区分:負例。適用条件:全答案。重みの理由:実感が低評価の分かれ目として明示。肯定項目との二重加点はしない。5記載なし(本問関連範囲を実読)PDF28頁・3⑴ウ・設問3。「両者を区別せずに論じている答案は低く評価」(直接)

6 一般的な指摘(重み・集計の対象外)

問題文の事実を正確に理解し,条文を項・号まで特定し,後半設問にも十分な分量を配分する。
手書き答案では判読可能性にも注意する。
職務発明「規程」の表記,基本概念の理解,請求権の特定に関する教育上の指摘は,個別の加重項目と分ける。

7 重みの分布

48項目の内訳は,重み1が0項目,重み2が11項目,重み3が6項目,重み4が20項目,重み5が11項目であり,重み合計は175である。
この合計は公式配点ではなく,負例と条件付き項目も含む一覧の集計である。

番号5:人格権の排他性から妨害排除請求を説明する。〔高評価/全答案〕
番号8:発明者なのに財産権を持たないことだけで名誉権請求を否定する誤りを避ける。〔負例/全答案〕
番号17:登録時一括支払と規程の周知から登録時を起算点として5年時効を検討する。〔必須/全答案〕
番号24:第一次取消判決の拘束力を行政事件訴訟法33条1項に位置付ける。〔必須/全答案〕
番号27:顕著な効果を独立要件又は二次的考慮要素のいずれに位置付けるか明らかにする。〔高評価/全答案〕
番号33:本件構成から当業者が予測できる効果を比較基準とする。〔必須/全答案〕
番号34:他の化合物との比較だけでは顕著性を決定できない実質的理由を示す。〔高評価/全答案〕
番号42:予防用途の記載を抹消した後の適法な治療用販売を差し止めるのは過剰と説明する。〔高評価/全答案〕
番号43:100条2項の措置は差止めを実効あらしめ,実現に必要な範囲内と規範を示す。〔高評価/全答案〕
番号45:販売差止めと廃棄の不利益・要件を区別して検討する。〔高評価/全答案〕
番号48:差止めと廃棄を一括して侵害なら全部認容とする誤りを避ける。〔負例/全答案〕

第5 模範解答

1 答案の前提と表記

問題文の事実を前提とし,法令・判例は試験実施日である令和5年7月12日を基準とする。
法令は当時施行版を確認し,後年の資料によって答案要求を変えていない。
設問2⑴は顕著な効果を独立の要件と捉える構成を採り,反対構成の帰結も示す。
答案中の「法」は特許法を指し,民法・行政事件訴訟法は明記する。
答案は見出し・「以上」を含め,空白・改行を除いて2061字である。

2 答案

第1 設問1
1 ⑴
発明者は,技術的思想の創作(特許法2条1項。以下,法という。)に実質的に関与した自然人であり,一般的な指示や課題の提示だけでは足りない。
本件は公知のαの予防用途を見いだした用途発明である。
医薬品の効果は事前に必ずしも予測できず,実験による確認が完成の重要な要素となる。
Aは適用可能性の検討を指示しただけであるのに対し,Bは所定の用法・用量で乙作用を確認して発明を完成したから,Bが発明者である。

発明者には,発明者として氏名を表示される人格権である発明者名誉権が認められる。
願書に発明者の氏名を記載させる法36条1項2号も,この利益を具体化している。
同権利は一身専属的であり,特許を受ける権利がXに帰属してもBから失われない。
Aのみを発明者とする記載はBの権利を侵害するから,人格権の排他性に基づく妨害排除として,BはXに対し,出願係属中に法17条1項によって願書の発明者をBに訂正する補正手続を請求できる。

2 ⑵
本件発明はXの医薬品事業の範囲に属し,研究開発というBの職務に属する行為によって完成したから,職務発明である(法35条1項)。
事前の規程により特許を受ける権利は発生時からXに帰属するが(同条3項),Bは相当の利益を受ける法定債権を有する(同条4項)。
退職によっても失われず,本問は規程額の請求であるから不足額の算定は問題とならない。

消滅時効は,行使可能であることを知った時から5年,又は行使可能時から10年で完成する(民法166条1項1・2号)。
行使可能時は原則として使用者の権利取得時であるが,規程に支払時期の定めがあれば,その到来までは権利行使に法律上の障害があるから,当該支払時期となる。
本件では発明完成時にXが権利を取得したものの,規程は特許登録時の一括支払を定め,従業員に周知されていた。
したがって,登録時が起算点となり,Bが登録を知ったとしても経過は4年であって,同項1号の5年が経過していない。
同項2号の10年も経過しておらず,時効は完成しないから,Bの請求は認められる。

第2 設問2
1 ⑴
取消判決確定後の再審理(法181条2項)には行政事件訴訟法33条1項の拘束力が及び,主文を導くために必要な事実認定及び法律判断を蒸し返すことはできない。
これに従った審決はその限りで適法であり,第二次取消訴訟の裁判所もこれを違法とできない。

顕著な効果を容易想到性判断の二次的考慮要素と捉えれば,進歩性を否定した第一次判決に拘束され,効果に基づく反論も許されないとの構成が考えられる。
しかし,予測できない顕著な効果は,構成が容易想到でも進歩性(法29条2項)を基礎付ける独立の要件と解すべきである。
構成に想到できることと,その構成から得られる効果の程度を予測できることは異なるからである。
第一次判決が必要に判断したのはαの予防剤への適用の容易想到性であり,効果の程度まで判断したとはされていない。
Xは構成の容易想到性を争わず,明細書記載実験に基づく効果の顕著性を主張するので,従前の判断に抵触せず,この主張は許される。

2 ⑵
効果の顕著性は,出願当時,当業者が本件発明の構成から予測できなかった効果か,予測できた範囲を超える顕著な程度の効果かによって判断する。
他の発明との比較だけで決すべきではない。
作用があると予測できてもその程度まで予測できるとは限らず,医薬品では化合物が異なれば作用の程度も異なり得るからである。

Xの実験結果がαの構成から予測できた範囲を超える顕著な効果を示すなら,Xの主張は妥当である。
ただし,実験で効果を確認しただけでは予測困難性・顕著性が当然に認められるわけではない。
γが同程度の効果を奏するというCの主張だけでは,αについても同程度の効果を予測できたとはいえない。
γからαの効果を推認できる技術的事情がなければ,Cの主張だけで顕著性を否定できない。

第3 設問3
本件は予防剤という物の用途発明であり,その効力は新たな予防用途のためのαの製造・譲渡等に限られ,公知の治療用途には及ばない(法70条1・2項)。
D製剤はαを含み,添付文書に予防用の用法・用量も明示されているから,予防用途のための販売でもあり,業としての譲渡による直接侵害となる(法2条3項1号,68条)。

Xは現状の予防用途を含む販売の差止めを請求できる(法100条1項)。
ただし,治療用と予防用では標準用法・用量が異なり,予防用途の記載を抹消すれば治療剤として適法に販売できる。
したがって,差止めは予防用途を表示した販売に限るべきであり,抹消後の治療用販売まで禁じるのは過剰である。

廃棄等は,発明の内容,侵害態様及び差止めの内容に照らし,差止請求権の行使を実効あらしめ,その実現に必要な範囲内でなければならない(同条2項)。
差止めと廃棄ではDの不利益も異なる。
本件では予防用途の記載の抹消によって侵害を防止できるから,その措置は認められるが,治療剤としても使用できる薬剤本体の一律廃棄は必要性を欠き,認められない。

以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説

(1) 答案と評価項目の対応

設問1⑴は番号1〜7,設問1⑵は番号12〜19,設問2⑴は番号24〜29,設問2⑵は番号33〜36,設問3は番号37〜45に対応する。
負例の番号8〜11・20〜23・30〜32・46〜48は,誤った権利・手続・侵害類型に置き換えていないかを監査する項目である。

(2) 発明者と財産権,利益請求の時効

用途発明では効果の実験的確認に創作寄与を認める一方,権利が会社に帰属しても人格権は発明者に残る。
番号5の妨害排除までつなぐことが,単なる名義訂正の結論との差となる。
利益請求は法定債権であり,権利取得時の原則から支払期条項による法律上の障害へ移り,周知の規程から5年時効を検討する。
オリンパス判決の旧法上の相当対価・承継構成を,現行35条の項番号や使用者原始帰属へそのまま移していない。

(3) 拘束力と顕著な効果

番号27の効果の位置付けによって拘束力の射程が変わり得る。
独立要件説を採る答案は構成の容易想到性と予測できない効果を分け,二次的考慮要素説を採る答案は第一次判決の進歩性判断全体への拘束を説明する。
番号29は後者を採る場合の分岐であり,本答案に追加の主位結論として要求しない。
令和元年最高裁判決は,他の化合物との比較だけで顕著性を否定した原判決を破棄差戻ししたものであり,αの顕著性が当然に確定すると読むものではない。

(4) 用途侵害と救済の限界

D製剤は予防用途のためにも販売される物であり,直接侵害を論じる。
番号42〜45では,現状の販売の差止めと,予防用途の記載を抹消した後の適法な販売を区別し,薬剤本体の廃棄の実効性・必要範囲を別に検討する。
平成4年喘息予防剤判決の製剤・用量・用途の認定を本問へ移植せず,本問の二用途と異なる標準用法・用量という与件を用いている。

(5) 答案の限界と扱わない事項

効果の具体的な実験数値や技術常識は問題文にないため,Xの主張を条件付きで評価する。
規程額の不足分の算定,間接侵害,特許が無効との仮定による設問3の回避,設問外の損害賠償は論じない。
公式資料から抽出した高評価事項と,法源による補強を区別し,全ての分岐を一つの答案に累積しない。

第6 関連記事

1 同じ年度の司法試験の別の模範解答

①令和5年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答(AI作成)
②令和5年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の模範解答(AI作成)

2 本問に関連するブログ記事

①令和6年度司法試験知的財産法第1問の模範解答と評価項目(AI作成)
②令和7年度司法試験知的財産法第1問の模範解答と評価項目(AI作成)

第7 出典及び確認状態

1 公式資料

①法務省・令和5年司法試験問題(選択科目):知的財産法第1問,PDF20〜21頁。
②法務省・令和5年司法試験論文式試験問題出題の趣旨:PDF27頁及び28頁の第1問部分。
③法務省・令和5年司法試験の採点実感等に関する意見:PDF24〜25頁の第1問採点方針,26〜28頁の第1問採点実感及び科目総論,29頁の科目共通の末尾部分。

2 法令

①e-Gov法令検索・特許法:令和5年7月3日施行版の対象条文。
②e-Gov法令検索・民法:令和5年6月14日施行版の166条。
③e-Gov法令検索・行政事件訴訟法:令和5年6月7日施行版の33条。

3 裁判例

①大阪地判平成14年5月23日(平成11年(ワ)第12699号)・希土類の回収方法事件:人格権による請求の理由,PDF11〜12頁。
②最三小判平成15年4月22日(平成13年(受)第1256号,民集57巻4号477頁)・オリンパス事件:全6頁,起算点の理由は5頁。
③最三小判平成4年4月28日(昭和63年(行ツ)第10号,民集46巻4号245頁)・高速旋回式バレル研磨法事件:法廷意見の拘束力の理由,PDF5〜8頁。園部裁判官の補足意見とは区別する。
④最三小判令和元年8月27日(平成30年(行ヒ)第69号,集民262号51頁)・アレルギー性眼疾患用処方物事件:全8頁,比較基準の理由は5〜6頁。
⑤知財高判平成28年7月28日(平成28年(ネ)第10023号)・メニエール病治療薬事件:用途と実施の判断,PDF3〜7頁。
⑥東京地判平成4年10月23日(平成2年(ワ)第12094号)・アレルギー性喘息予防剤事件:用途・添付文書・差止範囲の判断,PDF8〜11頁。
⑦最二小判平成11年7月16日(平成10年(オ)第604号,民集53巻6号957頁)・生理活性物質測定法事件:廃棄等の必要範囲,PDF4〜5頁。

4 確認状態

公式資料の本問関連部分を実読し,評価表の引用の存在と頁を抽出テキストに照合した。
上記裁判例は,記載した規範を裁判所公表原文の該当範囲で確認した。
法令は履歴から基準時の施行版を取得し,答案で用いる対象条文を確認した。
評価単位・重み・答案の採用構成は独自の整理であり,法務省の公式解答や配点ではない。