令和5年司法試験の租税法第1問について,模範解答と公式資料から独自に抽出した30の評価項目を示す。
評価項目と重みは法務省の公式採点基準・項目別配点ではない。
第1 この記事の対象と結論
対象は令和5年司法試験論文式試験・租税法第1問である。
Aの総所得金額を令和3年2905万円,令和4年2135万円と算定し,Bの解決金を非課税所得に当たらない一時所得と解する構成を採る。
Bの手続は更正の請求であり,署長の応答は調査後の減額更正又は更正すべき理由がない旨の通知である。
評価項目は30項目,重み5は11項目である。
採点実感は新株予約権の判例と異なる立論を一律に無評価とはせず,判例を踏まえた説得的な理由を求める。
解決金についても結論だけでなく,給付の実質・非課税の趣旨・各所得の規定に沿う理由を重視する。
第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方
一つの行を一つの判定対象としている。
「必須」「高評価」「負例」「許容分岐」は重みと独立する。
負例も表内で重みを付して示すが,その回避を同じ規範の記載と二重に加点しない。
許容分岐はその立場を採る答案に限って適用する。
根拠欄は出題の趣旨と採点実感の頁・節を示す。
「間接」は一般的な検討指示を具体化した本記事の推論,「記載なし」は本問の関連範囲を実読した結果の個別記載の不在を意味する。
数字や所得区分の採用結論には問題事実と法令からの解釈を含み,公式が示した唯一解とは表示しない。
2 5段階の重み付けの基準
重み5=採点実感が評価の分かれ目とした事項又は答案の骨格そのもの。
重み4=出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項。
重み3=どちらか一方が明示する中核の理由付け。
重み2=一方の補強又は典型的な誤り。
重み1=一方が控えめに触れる事項。
重み4では両資料の対応を確認し,「取り上げた」ことを一律に「高く評価した」とは言い換えない。
重み5の高評価・条件付き分岐が,全答案の必須事項になるわけでもない。
第3 本問の概要
AはC社の取締役として毎年2100万円の報酬を受ける。
譲渡・質入れが禁止された新株予約権100個を平成25年に取得し,令和3年に500万円を払い込んで1万株を取得,令和4年に1800万円で売却して手数料20万円を支払った。
株価は行使時1500円,売却時1800円である。
AとBは甲建物の賃貸借を令和2年中に終了させ,明渡しを条件に300万円の解決金を授受した。
Bは当初,損失・移転費用等を要求したが,交渉以前から廃業を予定しており,最終合意は内訳を定めない円満退去の解決金となった。
Bは一時所得として申告した後,非課税と考えるに至った。
設問1はAの2年分の総所得金額,設問2はBの解決金の非課税性・所得分類と通則法上の措置・応答処分を問う。
問題文に掲げたもの以外のAの収入はなく,租税特別措置法の適用は考えない。
税額の計算や不服審査までを論ずる設問ではない。
第4 評価項目と重み
1 設問1⑴
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 毎年2100万円の役員報酬を給与所得の収入として扱う。(必須) | 4 | p21・設問1⑴ | p9・設問1⑴ |
| 2 | 譲渡不能の新株予約権の収入計上を現実の行使時とし,付与・行使可能時と区別する。(必須) | 5 | p21・設問1⑴ | p9・設問1⑴ |
| 3 | C社からの新株予約権行使益について,非独立的な役務の対価であることを理由に給与所得該当性を論ずる。(必須) | 5 | p21・設問1⑴ | p9・設問1⑴ |
| 4 | 平成17年1月25日最高裁判決の行使時給与課税の判断を意識した論証をする。(高評価) | 4 | p21・設問1⑴ | p9・設問1⑴ |
| 5 | 判例と異なる構成を採る場合,判例を示した上で説得的な自説を述べる。(許容分岐)判例と異なる立場を採る場合に限る。 | 3 | 記載なし | p9・設問1⑴ |
| 6 | 行使益を含む給与収入に対して給与所得控除を一度適用する。(必須) | 5 | p21・設問1⑴ | p9・設問1⑴ |
| 7 | 所法22条2項に従い令和3年の総所得金額を具体的に算定する。(必須) | 4 | 間接:p21・設問1⑴ | 間接:p9・設問1⑴ |
2 設問1⑵
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 8 | 令和4年にも毎年の役員報酬を回収する。(必須) | 2 | 間接:p21・設問1⑵ | 間接:p10・設問1⑵ |
| 9 | 取得費は所法38条の取得に要した金額を原則とし,本件の予約権行使株式の特則により行使時価額1500万円を採る。(必須) | 5 | 間接:p21・設問1⑵ | p10・設問1⑵ |
| 10 | 今回の株式売買手数料20万円を譲渡費用とし,取得時の付随費用と混同しない。(必須) | 4 | 間接:p21・設問1⑵ | p10・設問1⑵ |
| 11 | 所法33条により単発の株式売却を譲渡所得として計算する。(必須) | 5 | p21・設問1⑵ | p10・設問1⑵ |
| 12 | 短期譲渡として譲渡益から50万円を控除した譲渡所得を全額合算する。(必須) | 4 | 間接:p21・設問1⑵ | 間接:p10・設問1⑵ |
| 13 | 令和4年の各所得を合算して総所得金額を具体的に算定する。(必須) | 4 | 間接:p21・設問1⑵ | 間接:p10・設問1⑵ |
| 14 | 行使と売却を通じた利益1300万円(手数料控除後1280万円)と各段階の課税対象を照合する。(高評価) | 5 | p21・設問1⑵ | p10・設問1⑵ |
3 設問2⑴
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 15 | 損害填補は減少した経済的価値の回復であり担税力の純増ではないという非課税の趣旨を示す。(必須) | 5 | p21・設問2⑴ | p10・設問2⑴ |
| 16 | 所令30条2号の損害に基因する給付・突発的事故等の要件を解決金の原因事実へ当てはめる。(必須) | 4 | 間接:p21・設問2⑴ | p10・設問2⑴ |
| 17 | 所令30条3号の損害に対する相当の見舞金という要件を本件給付へ当てはめる。(必須) | 4 | 間接:p21・設問2⑴ | p10・設問2⑴ |
| 18 | 当初の損失・転居費等の要求と無内訳の最終合意を分け,給付の実質を所得分類の理由へ使う。(必須) | 3 | 間接:p21・設問2⑴ | 間接:p10・設問2⑴ |
| 19 | 解決金を借地借家法28条の正当事由を補完する建物賃借人への財産上の給付として検討する。(高評価) | 5 | 記載なし | p10・設問2⑴ |
| 20 | 所令30条2・3号該当性を先に検討し,該当した場合に94条による除外を検討する順序を守る。(負例) | 5 | p21・設問2⑴ | p10・設問2⑴ |
| 21 | 大阪地判昭和54年5月31日を意識して所令30条2・3号の解釈と事例への適用を深める。(高評価)判例を用いて解釈を深める場合の高評価事項。 | 3 | 記載なし | p10・設問2⑴ |
| 22 | 課税所得とする場合,各種所得の定義に即して解決金の所得区分を理由付きで示す。(必須) | 4 | 間接:p21・設問2⑴ | p10・設問2⑴ |
4 設問2⑵
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 23 | 過大申告の減額を求める手段を更正の請求とし,修正申告と区別する。(必須) | 5 | p21~22・設問2⑵ | p11・設問2⑵ |
| 24 | 通則法23条1項1号の過大申告要件と法定申告期限から5年という請求期間を示す。(必須) | 3 | 間接:p21~22・設問2⑵ | 間接:p11・設問2⑵ |
| 25 | 通則法23条4項に従う調査後の減額更正又は更正すべき理由がない旨の通知を区別する。(必須) | 5 | p21~22・設問2⑵ | p11・設問2⑵ |
| 26 | 更正請求に理由がない場合の応答を,そのことだけで増額更正処分としない。(負例) | 2 | 記載なし | p11・設問2⑵ |
5 答案全体
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 27 | 総所得金額の計算に基礎控除等の所得控除を混入させない。(負例) | 2 | p21・答案全体 | p9・その他参考事項 |
| 28 | 甲建物賃貸借の令和2年中の終了を踏まえ,令和3・4年の賃料収入を無根拠に加えない。(負例) | 2 | 記載なし | p14~15・その他参考事項 |
| 29 | 自明な役員報酬の給与性に長い判例論証を費やさず,新株予約権に論述を配分する。(負例) | 2 | 記載なし | p14~15・その他参考事項 |
| 30 | 総所得金額に至る足し算・掛け算を整合させる。(負例) | 2 | 記載なし | p14~15・その他参考事項 |
6 重みの分布
重み1は0項目,重み2は6項目,重み3は4項目,重み4は9項目,重み5は11項目である。
総項目数は30,重み合計は115であり,いずれも公式得点ではない。
番号2は,譲渡不能の新株予約権の収入計上を現実の行使時とし,付与・行使可能時と区別する。
答案の骨格又は評価の分かれ目として重み5とした。
番号3は,C社からの新株予約権行使益について,非独立的な役務の対価であることを理由に給与所得該当性を論ずる。
答案の骨格又は評価の分かれ目として重み5とした。
番号6は,行使益を含む給与収入に対して給与所得控除を一度適用する。
答案の骨格又は評価の分かれ目として重み5とした。
番号9は,取得費は所法38条の取得に要した金額を原則とし,本件の予約権行使株式の特則により行使時価額1500万円を採る。
答案の骨格又は評価の分かれ目として重み5とした。
番号11は,所法33条により単発の株式売却を譲渡所得として計算する。
答案の骨格又は評価の分かれ目として重み5とした。
番号14は,行使と売却を通じた利益1300万円(手数料控除後1280万円)と各段階の課税対象を照合する。
答案の骨格又は評価の分かれ目として重み5とした。
番号15は,損害填補は減少した経済的価値の回復であり担税力の純増ではないという非課税の趣旨を示す。
答案の骨格又は評価の分かれ目として重み5とした。
番号19は,解決金を借地借家法28条の正当事由を補完する建物賃借人への財産上の給付として検討する。
正当事由の私法機能を捉える高評価事項であり,これだけを全答案必須へ格上げしない。
番号20は,所令30条2・3号該当性を先に検討し,該当した場合に94条による除外を検討する順序を守る。
答案の骨格又は評価の分かれ目として重み5とした。
番号23は,過大申告の減額を求める手段を更正の請求とし,修正申告と区別する。
答案の骨格又は評価の分かれ目として重み5とした。
番号25は,通則法23条4項に従う調査後の減額更正又は更正すべき理由がない旨の通知を区別する。
答案の骨格又は評価の分かれ目として重み5とした。
第5 模範解答
1 答案の前提と表記
答案は2317字である(見出し・句読点・末尾「以上」を含むUnicode文字数,改行を除く)。
試験日である令和5年7月12日を基準とし,各課税年の施行版も照合した。
法令の条番号は問題の参照表記を用い,令和2年の非課税条項の旧番号は17号,問題の参照条項は18号であるが,対象規範の実質は同じである。
2 答案
1 設問1⑴
(1)Aの取締役報酬2100万円は,雇用契約に類する関係に基づく非独立的な役務の対価であり,給与所得に係る収入である(所得税法28条1項)。
(2)本件新株予約権には譲渡・質入れの禁止が付され,付与時に換価できず,行使可能となっただけでは株式も取得していない。
現実の権利行使により初めて経済的利益を取得するため,令和3年の行使益が収入となる(同法36条1・2項,施行令84条3項2号)。
最高裁平成17年1月25日判決も,譲渡不能のストックオプションの行使益につき,行使時の給与所得課税を認める。
AはC社の取締役としての職務に基づき権利を与えられ,C社はあらかじめ低い行使価額で株式を取得させて利益を給付している。
株価の動向や行使時期に関するAの判断に利益額が左右されても,非独立的な役務への対価性は失われない。
したがって,行使益も給与所得である。
取得対価の記載がない本件権利の取得価額を0円として,行使益は1500円×1万株-500万円=1000万円である。
給与収入は2100万円+1000万円=3100万円となる。
給与所得控除は収入850万円超の場合195万円である(同法28条2項・3項5号)。
よって給与所得は2905万円である。
総所得金額は各種所得の合計であり,基礎控除等の所得控除はここでは適用しない。
甲建物の賃貸借は令和2年中に終了し,他の収入もないから,令和3年の総所得金額は2905万円となる(同法22条2項)。
2 設問1⑵
(1)令和4年の取締役報酬に係る給与所得は2100万円-195万円=1905万円である。
(2)株式売却は資産の譲渡であり,単発の売却だから営利を目的として継続的に行う資産の譲渡による所得には当たらず,譲渡所得となる(同法33条1項・2項1号)。
租税特別措置法の適用を除外する設問に従い,総合課税として計算する。
取得費は原則として取得に要した金額によるが,本件は予約権行使株式についての特則があり,行使時の株式価額1500万円を用いる(同法38条1項,施行令109条1項3号)。
払込額500万円だけを取得費とすると,前年に給与所得として課税した1000万円を再び課税するためである。
売買手数料20万円は今回の売却に直接要した譲渡費用であり,取得時の付随費用ではない。
譲渡益は1800万円-1500万円-20万円=280万円,譲渡所得は特別控除50万円を引いて230万円となる(同法33条3・4項)。
取得から売却まで5年以内の短期譲渡であり,2分の1算入はない。
したがって,総所得金額は1905万円+230万円=2135万円である(同法22条2項1号)。
行使益1000万円と控除前の譲渡益280万円の合計1280万円は,売却代金1800万円-払込額500万円-手数料20万円と一致し,二重課税又は課税漏れはない。
3 設問2⑴
(1)損害賠償金等の非課税は,損害による経済的価値の減少を補填する給付は,原則として担税力の純増をもたらさないことを根拠とする。
所得税法9条1項18号及び施行令30条2号は,資産の損害に基因する保険金又は不法行為その他突発的な事故による資産損害の賠償金等を非課税とする。
本件は老朽建物を取り壊し,新たな賃貸アパートを建てたいAが更新拒絶を申し入れ,円満な明渡しを得るために支払う解決金である。
これは借地借家法28条の正当事由を補完する「財産上の給付」としての性質を持ち,Bの経済的価値の減少を填補する損害賠償金とは異なる。
当初要求と異なり最終合意には損害の内訳がなく,Bは交渉前から廃業を予定していたから,損害填補としての性質は認め難い。
同条3号の相当の見舞金も,心身又は資産への損害を前提とする。
しかし本件は円満退去のための合意金であって,損害に対する見舞金とはいえない。
じゅう器・食材の廃棄や移転費用等について当初要求があったことと,最終合意の給付原因とは区別される。
よって非課税所得には当たらない。
なお,損害賠償金又は見舞金に該当する場合に初めて,必要経費補填や収入代替性に係る同条柱書・施行令94条の除外を検討するのであり,94条該当性だけを先に論じて非課税を否定すべきではない。
(2)所得の分類は解決金の実質による。
Bは交渉前から年内の廃業を予定し,合意も営業収益の補償を定めていないから,事業収益に代わる補償金としての事業所得(同法27条1項,施行令94条1項2号)には当たらない。
また,本件解決金は正当事由を補完して合意退去を得るための給付であり,独立した交換価値を持つ借家権の譲渡やその消滅への補償とは認め難いから,資産補償に係る譲渡所得(同法33条,施行令95条)とも解し難い。
本件解決金は,営利を目的とする継続的行為から生じず,労務その他の役務や資産の譲渡の対価たる性質を有しない臨時の収入である。
明渡しは契約終了に伴う返還であり,独立した役務の提供ではない。
したがって,一時所得に分類される(同法34条1項)。
4 設問2⑵
Bは,申告の計算が法令に従っていないことにより税額が過大であるとして,法定申告期限から5年以内に税務署長へ更正の請求をすることができる(国税通則法23条1項1号)。
修正申告は税額を減少させるための手段ではない。
請求書には更正後の課税標準・税額,理由等を記載する(同条3項)。
署長は調査し,過大申告が認められれば減額更正をし,認められなければ更正をすべき理由がない旨を通知する(同条4項,同法24条)。
本件解決金を一時所得とした申告は正しいので,非課税との理由による請求には,更正をすべき理由がない旨の通知が考えられる。
以上
3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説
(1) 答案と評価項目の対応
設問1⑴の答案と評価項目番号1~7を対応させる。
設問1⑵の答案と評価項目番号8~14を対応させる。
設問2⑴の答案と評価項目番号15~22を対応させる。
設問2⑵の答案と評価項目番号23~26を対応させる。
(2) 新株予約権と株式売却
付与,行使可能,現実の行使,株式譲渡の各段階を分ける。
給与収入の認識には所得税法36条及び施行令84条3項2号を,行使株式の取得価額には施行令109条1項3号を用いる。
取得費は常に時価であるという一般化を避け,取得に要した金額という原則と本件特則を区別する。
給与所得控除・譲渡所得特別控除と,総所得算定後の所得控除も別段階である。
最高裁平成17年1月25日判決は外国親会社から子会社役員へのストックオプション付与の事案である。
本問にその親会社支配や雇用終了条件を補充せず,譲渡不能権利の行使時実現,給付性,非独立的な役務対価性という機能を参照する。
(3) 解決金の性質と非課税規定
名目が解決金又は損害賠償金であることだけでは所得区分は定まらない。
交渉開始時のBの要求と,最終的に合意した給付原因を分け,正当事由を補完する財産上の給付という私法上の機能を租税法の要件へ接続する。
営業収入・必要経費の補償なら所令94条,資産消滅補償なら所令95条の問題となり得るが,本答案は廃業予定・無内訳・合意退去という事情から一時所得を採る。
所令30条2・3号の本文該当性を先に判断し,その後に94条等による除外を扱う。
採点実感は大阪地判昭和54年5月31日を意識した解釈を高く評価している。
同判決は,マンション建設を承諾した近隣居住者が受けた金員について,損害の補塡に当たる部分を超える部分は非課税所得に当たらないとした事例であり,本問の立退きの解決金とは事案が異なる。
(4) 更正の請求と通知
税額の減少を求める申告者の手段は更正の請求である。
請求の理由がないことを通知する処分と,税額を増額する更正は別のものであり,両者を混同しない。
Bが非課税と考えることと,請求が実体上認められることも別問題である。
(5) 答案の弱点と扱わなかった事項
裁判例を用いた非課税規定の詳細な射程は,原判決を確認した範囲に限って述べる必要がある。
本答案はその原文未確認部分を判旨として断定せず,問題事実と条文から一時所得の構成を示した。
判例と異なる新株予約権の構成は評価表の条件付き分岐として残すが,採用答案へ重ねて要求しない。
自明な役員報酬の給与所得性は簡潔に処理し,Aの建築費・不動産所得の必要経費,所得控除,所得税額,不服審査を長く論じていない。
解決金について別の所得区分を採る場合も,対価・補償の性質を各定義へ一貫して当てはめる必要がある。
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1 同じ年度の司法試験の別の模範解答
①令和5年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答(AI作成)
②令和5年司法試験民事系第1問(民法)の模範解答と評価項目(AI作成)
③令和5年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の模範解答(AI作成)
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①令和7年度司法試験租税法第1問の模範解答と評価項目(AI作成)
第7 出典及び確認状態
1 公式資料
①令和5年司法試験論文式試験問題・選択科目(租税法第1問,PDF8~10頁)
②令和5年司法試験論文式試験出題の趣旨(租税法第1問,PDF21~22頁)
③令和5年司法試験の採点実感・選択科目(租税法の第1問・総論・関連注記,PDF9~11頁,14~15頁)
2 法令
①所得税法・試験日版
②所得税法施行令・試験日版
③国税通則法・試験日版
④借地借家法・解決金授受時の施行版
3 裁判例
①最三小判平成17年1月25日・所得税更正処分等取消請求事件(平成16年(行ヒ)第141号)(原判決PDF全4頁)
②大阪地判昭和54年5月31日・所得税更正処分取消請求事件(昭和53年(行ウ)第9号)・行集30巻5号1077頁は,法務省の採点実感が参照を評価した裁判例である。
裁判所HPで判示事項と判決全文を確認した。
掲載誌の巻号頁は採点実感の表示による。
4 確認状態
問題・両公式資料の対象部分,e-Govの本則条文並びに最高裁平成17年判決及び大阪地裁昭和54年判決の原文を確認した。
別問の内容は本問の答案根拠に用いていない。
評価項目・重み・採用した所得分類・事例への適用は本記事の独自分析を含む。
後発のタックスアンサーによって試験当時の法状態を置き換えていない。