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鎖骨骨折でプレート除去をしない場合の後遺障害|症状固定と認定のポイント(AI作成)

第1 プレートを残したままでも後遺障害を検討できるか

1 残っている金属だけで等級は決まらない

交通事故による鎖骨骨折でプレート除去をしない場合でも,後遺障害の検討が一律に排除されるわけではない。
しかし,体内にプレートが残っている事実だけで後遺障害等級が認定されるものでもない。
症状固定時に残る骨の変形,肩関節の動かしにくさ,痛み・しびれの内容と原因を確認する必要がある。

特に重要なのは,プレートが肩関節の機能障害の原因になっているか,抜去による改善が見込まれるか,主治医がどのような治療計画を立てているかである。
「抜去しない」という本人の希望だけで,症状固定や等級が決まるものではない。
本記事は,プレートを残す治療上の判断と,後遺障害の認定時期・資料の問題を扱う。

2 鎖骨骨折全般の解説との関係

変形,肩関節機能障害,神経症状の等級と裁判例は,交通事故による鎖骨骨折の後遺障害等級で説明している。
本記事では,プレートの種類,症状の原因及び抜去計画という,除去しない場合に先に確認すべき問題に重点を置く。

第2 鎖骨のプレートは必ず除去するのか

1 骨幹部プレートとフックプレートを区別する

鎖骨の中央付近を固定するプレートについて,骨癒合後も残している患者を追跡した研究があり,すべての患者に一律の抜去を勧める扱いではない。
他方,鎖骨の遠位端骨折に用いるフックプレートについては,骨癒合後,肩の可動域を改善し金属による不快感を解消するため,通常は抜去が必要になるとする専門家向け手術資料がある。
したがって,「鎖骨のプレート」という名称だけで,除去の要否を判断することはできない。

受傷部位,手術記録,プレートの種類・位置,現在の骨癒合及び肩の状態を主治医に確認するのが先である。
別の種類のプレートについての説明や,別の患者が抜去しなかったという経験を,そのまま自分の治療計画へ当てはめるべきではない。

2 抜去の利益と手術の負担を確認する

抜去により,金属の突出に伴う圧迫感や,物・衣類が当たるときの痛みが改善する場合がある。
一方,抜去にも手術の負担があり,抜去後の再骨折が報告されている。
小規模の後ろ向き研究では,抜去群と残置群で肩機能の評価に有意差がなかったという結果もあるが,患者の選ばれ方や追跡期間に限界がある。
この結果は,「残した方が安全である」「除去は不要である」とすべての患者に言い切る根拠ではない。

抜去を考えている場合は,改善を期待する症状,改善の見込み,骨癒合の確認方法,手術のリスク及び術後の仕事・運動の制限について説明を受ける必要がある。
除去せず経過観察する場合も,その理由と今後の受診方針を確認しておくと,後の症状固定判断を理解しやすい。

第3 除去しない場合の症状固定と認定時期

1 金属が機能障害の原因となる場合の認定基準

自賠責の支払基準は,後遺障害の等級認定について,原則として労災の障害等級認定基準に準じるとしている。
厚生労働省の上肢の認定基準は,骨折部に用いた金属が機能障害の原因となる場合,その除去を待って等級を認定することとし,原因とならない場合には,創面治癒をもって等級を認定することとしている。
この区別から,金属が残っているという理由だけで,全員について認定を先送りする説明は適切ではない。

ただし,この取扱いは,金属と機能障害の関係を区別したものである。
骨癒合が未完成である場合や,リハビリ等による改善が見込まれる場合まで,傷口が治ったことだけで症状固定になるという意味ではない。
長期固定に伴う廃用性の可動域制限についても,認定基準は将来の軽減を考慮することとしている。

2 除去しない理由と改善の見込みを分けて確認する

確認すべき事項は,①金属が現在の制限の原因か,②抜去によりどの程度の改善が見込まれるか,③抜去が医学的に必要又は適切か,④具体的な手術予定があるかである。
骨癒合後に症状が落ち着き,主治医が残置の方針としている場合と,金属による制限があり,抜去を予定している場合とでは,評価の前提が異なる。

抜去が提案されていても実施しない事情がある場合は,手術の適応・負担,患者の希望及び医師の見解を整理する必要がある。
本記事で挙げた公的基準だけから,手術を受けないすべての場合の認定可否や損害賠償上の結論が決まるわけではない。
診断書を作成する時点で治療計画が不明確なら,既存の診療記録を確認した上で,必要な点を主治医に照会するのが実用的である。

第4 残る症状ごとに確認する後遺障害

1 鎖骨の変形とプレートの突出

鎖骨の著しい変形は自賠責の第12級5号の対象であり,認定基準では,裸体となったとき変形が明らかに分かる程度を要求している。
エックス線で初めて分かる程度の変形は対象から除かれる。

プレートやねじの突出で皮膚の表面が盛り上がって見えることと,鎖骨自体に変形が残っていることは区別しなければならない。
金属が浮いて見える写真だけで,鎖骨の著しい変形が立証されたとはいえない。
外見の写真と画像所見を対応させ,隆起の原因が骨,金属又は軟部組織のどれなのかを確認する必要がある。

2 肩関節の可動域制限

肩関節機能障害は,自賠責の第8級6号,第10級10号又は第12級6号が問題となる。
単に「腕を上げにくい」と述べるだけでなく,可動域の測定値,制限の原因,経過及び抜去による改善の見込みを確認する。
測定の基本と健側比較は,可動域制限の後遺障害等級及び肩関節の可動域制限と後遺障害12級6号で説明している。

3 金属による刺激と皮膚のしびれ

持続する痛み・しびれについては,第12級13号又は第14級9号の局部神経症状を検討する。
プレート周辺に物が当たると痛い場合と,手術の切開部周囲の皮膚感覚が低下している場合とでは,原因が同じとは限らない。
鎖骨上神経は鎖骨周辺の皮膚感覚に関わり,骨折や手術による影響を受け得る。

術後の皮膚知覚異常を調べた後ろ向き研究では,しびれが経過とともに改善する患者が多かった一方,残る患者もあり,プレート抜去はしびれに明確な影響を与えなかったと報告されている。
これは抜去に効果がないと全症例について断定するものではないが,「金属を取ればしびれは必ず治る」と説明できない理由になる。
症状の範囲,出現時期,触覚・痛覚の所見及び時間経過を,診療記録と照合する必要がある。

第5 申請前に確認する資料と医師への質問

1 まず通常の診療資料をそろえる

通常は,後遺障害診断書,症状固定時を含む画像・読影所見,診療録及び手術記録を確認することから始める。
最初から特別な検査や専門医意見書を追加する必要はない。
診断書と記録の不一致,具体的な非該当理由,症状の原因や抜去予定が不明であるなど,残る争点に応じて補足を検討する。

確認事項通常資料と確認のポイント
プレートの種類手術記録・インプラント情報で,骨折部位と固定方法を確認する。
骨癒合と残る変形経時的な画像と読影所見を確認し,外見の写真が示す隆起の原因を区別する。
肩の機能可動域の左右・自動他動の別と測定時点を確認し,制限の原因及び改善経過を対応させる。
痛み・しびれ診療録の訴えと身体所見を照合し,金属の刺激と皮膚感覚の障害を分けて考える。
抜去方針残置又は抜去の理由,手術予定及び期待される改善が記録から分かるかを確認する。

2 主治医に確認する質問

資料だけでは不明な場合には,「このプレートは肩の制限の原因になっていますか」「抜去すると,どの症状がどの程度改善すると考えられますか」「抜去は必要ですか,今後の予定はありますか」「現在残っている症状について,今後の治療による改善は見込まれますか」という点を確認する。
法的に有利な結論を求めるためではなく,診療上の判断と認定の前提を一致させるための確認である。

第6 よくある質問

1 プレート除去をしないと後遺障害は認められないか

一律にはいえない。
公的基準には,金属が機能障害の原因となる場合と,原因とならない場合を区別する取扱いがある。
残る障害の内容と治療の見通しを確認する必要がある。

2 プレートが入っていれば第12級になるか

プレートの存在だけで第12級になるものではない。
骨の著しい変形,肩関節機能障害又は局部神経症状について,それぞれの要件を満たすかを確認する。

3 骨がついたのに痛い場合は何を確認するか

骨癒合の状態に加えて,金属の突出・刺激,圧痛,皮膚の知覚異常,肩鎖関節等の状態及び症状の経過を確認する。
骨癒合が良好であるという事実だけで,すべての痛みやしびれの原因がなくなるわけではない。

4 抜去後にしびれが残ったら申請できないか

抜去後もしびれが残ることは医学文献で報告されている。
ただし,症状が残ることと等級の要件を満たすことは別であり,事故・治療との関係,診療経過及び知覚所見等による個別の検討が必要である。

第7 出典・参考資料

1 法令・公的認定基準

① 自動車損害賠償保障法施行令2条・別表第二

② 国土交通省「自動車損害賠償責任保険の保険金及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」第3・1(PDF3頁)

③ 厚生労働省・平成16年6月4日基発第0604003号「せき柱及びその他の体幹骨,上肢並びに下肢の障害に関する障害等級認定基準について」別添「その他の体幹骨の障害」第2・2,「上肢及び手指の障害」第1・2

2 医学資料

① Wang J, Chidambaram R, Mok D, “Is removal of clavicle plate after fracture union necessary?”, International Journal of Shoulder Surgery, 2011;5:85–89(骨幹部骨折患者の後ろ向き研究。残置・抜去の結果,抜去後の合併症及び研究の限界。)

② Ou L et al., “Cutaneous paresthesia after internal plate fixation of clavicle fractures and underlying anatomical observations”, Medicine, 2018;97:e12729(術後皮膚知覚異常の経過,抜去との関係及び鎖骨上神経の解剖。後ろ向き研究。)

③ AO Surgery Reference「ORIF – Hook plate」(遠位端骨折のフックプレート。Introductionの骨癒合後の抜去に関する説明。)

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