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訴訟告知の使い方―参加的効力の範囲,告知の方式と敗訴後の求償・損害賠償への備え(AI作成)

第1 本記事の対象と結論

1 本記事の対象

本記事は,民事訴訟の当事者が,訴訟の係属中に第三者へ訴訟告知をするのはどのような場合か,告知をするとどのような効力が生じるかを扱う。
典型は,敗訴した場合に第三者へ求償又は損害賠償を請求することになる当事者が,後の訴訟で同じ事実を一から争われないようにするために告知をする場面である。

調査基準日は令和8年9月25日である。
条文はe-Gov法令検索の現行条文を,裁判例は裁判所HPの裁判例検索で全文を確認した最高裁判例を用いた。
前の訴訟の判決を後の訴訟でどう使うか(既判力,裁判上の自白及び証拠価値)は別件判決・先行訴訟の準備書面は後訴でどう使われるかで,補助参加の具体例は遺言無効確認請求訴訟における公証人の証言の取扱い及び公証人の補助参加で扱っている。

2 結論

①訴訟告知は,当事者が,訴訟の係属中に,その訴訟に参加することができる第三者に対してするものであり,理由及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してする(民事訴訟法53条1項・3項)。
②告知を受けた者が参加しなかった場合も,参加することができた時に参加したものとみなされ,補助参加人に対する裁判の効力を受ける(同法53条4項,46条)。
③この効力は既判力ではなく,判決の確定後に,補助参加人(告知を受けた者)が被参加人(告知をした者)に対して,その判決が不当であると主張することを禁ずる効力である。
判決の理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の判断にも及ぶ(最高裁昭和45年10月22日判決)。
④もっとも,効力が及ぶ理由中の判断は,判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などに限られ,傍論には及ばない。
また,告知を受けた者が訴訟の結果につき法律上の利害関係を有する場合でなければ,効力は生じない(最高裁平成14年1月22日判決)。
⑤既判力は当事者等の間に生じるもので(同法115条1項),同じ原告から訴えられた共同被告どうしの間には当然には生じない。
後で求償や損害賠償を請求する相手との関係は,前の訴訟の段階で手当てを考える必要がある。
⑥債権者代位訴訟,詐害行為取消訴訟及び株主代表訴訟では,法律が訴訟告知を義務付けている(民法423条の6,424条の7第2項,会社法849条4項)。

第2 訴訟告知の要件と方式

1 誰が誰に告知できるか

民事訴訟法53条1項は,「当事者は、訴訟の係属中、参加することができる第三者にその訴訟の告知をすることができる。」と定める。
告知をするのは訴訟の当事者であり,告知を受けるのは,その訴訟に参加することができる第三者である。
訴訟告知を受けた者は,更に訴訟告知をすることができる(同条2項)。

「参加することができる第三者」の中心は,補助参加をすることができる者である。
補助参加は,「訴訟の結果について利害関係を有する第三者」が,当事者の一方を補助するためにする参加である(同法42条)。
最高裁平成14年1月22日判決は,ここにいう法律上の利害関係を有する場合とは,「当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合」をいうとしている(同判決は最高裁平成13年1月30日決定を参照している。)。
単に事実上又は経済上の影響を受けるというだけでは足りない。

2 告知書の記載

訴訟告知は,その理由及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してしなければならない(民事訴訟法53条3項)。
「理由」には,告知を受ける者がなぜその訴訟に参加することができるのか,すなわち,その訴訟の判決が告知を受ける者のどの法的地位に影響するのかを具体的に書く。
後に述べるとおり,法律上の利害関係がなければ告知をしても効力が生じないので,この欄は形式的な記載で済ませないほうがよい。
「訴訟の程度」には,訴訟が現在どの段階にあるか(次回期日,争点整理の状況,証拠調べの予定等)を書く。

最高裁平成14年1月22日判決の事案でも,訴訟告知書は告知を受ける者に送達されている。

3 告知の時期

訴訟告知は訴訟の係属中であればすることができる(民事訴訟法53条1項)。
もっとも,告知を受けた者は,参加することができた時に参加したものとみなされる(同条4項)。
補助参加人は,補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができない訴訟行為はできず(同法45条1項ただし書),その場合は判決の効力が補助参加人に及ばない(同法46条1号)。
そのため,告知が遅れて主要な主張立証の機会が過ぎた後になると,告知を受けた者から,その点について効力が及ばないと主張される余地が生じる。
後の請求を見込むのであれば,争点整理が固まる前の早い段階で告知をするのが望ましい。

第3 告知の効力―参加的効力

1 条文

民事訴訟法46条は,「補助参加に係る訴訟の裁判は、次に掲げる場合を除き、補助参加人に対してもその効力を有する。」と定める。
同法53条4項は,「訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合においても、第四十六条の規定の適用については、参加することができた時に参加したものとみなす。」と定める。
したがって,告知を受けた者は,実際に参加したかどうかにかかわらず,46条の効力を受ける。
この効力は,一般に参加的効力と呼ばれる。

2 既判力とは異なる効力

最高裁昭和45年10月22日判決は,旧民事訴訟法70条(現行の46条に当たる。)の効力について,次のとおり判示した。

「この効力は、いわゆる既判力ではなく、それとは異なる特殊な効力、すなわち、判決の確定後補助参加人が被参加人に対してその判決が不当であると主張することを禁ずる効力であつて、判決の主文に包含された訴訟物たる権利関係の存否についての判断だけではなく、その前提として判決の理由中でなされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断などにも及ぶものと解するのが相当である。」

同判決は,その理由として,補助参加人が被参加人の訴訟追行に協力し,又は協力し得たのに被参加人が敗訴したときは,敗訴の責任を補助参加人にも分担させるのが衡平にかなうこと,単に訴訟告知を受けたにすぎない者にも同一の効力が認められていることを挙げている。
事案は,建物の賃貸人が,第三者から賃借人に対する明渡請求訴訟に賃借人側で補助参加し,建物の所有権は自分にあると主張したが,賃借人が建物は第三者の所有であるとの理由で敗訴したというものである。
最高裁は,賃貸人は,後の賃借人との訴訟において,賃貸当時に建物の所有権が自分に属していたと主張することは許されないとした。

既判力が確定判決の主文に包含するものに限って生じる(民事訴訟法114条1項)のに対し,参加的効力は理由中の判断にも及ぶ。
この点が,後の求償や損害賠償の訴訟で訴訟告知が意味を持つ理由である。

3 効力が及ぶ理由中の判断の範囲

最高裁平成14年1月22日判決は,昭和45年判決を引用した上で,効力が及ぶ理由中の判断について次のとおり判示した。

「この判決の理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断とは,判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などをいうものであって,これに当たらない事実又は論点について示された認定や法律判断を含むものではないと解される。」

同判決は,判決の結論に影響のない傍論において示された事実の認定や法律判断には,この効力が及ばないとしている。
したがって,前の訴訟の判決書に告知を受けた者に不利な記載があっても,それが主文を導くのに必要な主要事実の判断でなければ,後の訴訟でその者を拘束しない。

4 法律上の利害関係がなければ効力は生じない

最高裁平成14年1月22日判決は,訴訟告知を受けたが参加しなかった者に裁判の効力が及ぶのは,その者が訴訟の結果につき法律上の利害関係を有する場合に限られるとした。

(1) 事案

家具等を販売した業者が,店舗新築工事の請負業者を被告として代金を請求した。
前の訴訟で,請負業者は,商品を買い受けたのは施主であると主張したため,販売業者は施主に訴訟告知をしたが,施主は参加しなかった。
前の訴訟では,その商品の代金請求部分について販売業者の請求を棄却する判決が確定し,理由中には,商品は施主が買い受けたと認められる旨の記載があった。
その後,販売業者が施主に代金を請求した訴訟で,原審は,訴訟告知による判決の効力が施主に及ぶとして請求を認容した。

(2) 最高裁の判断

最高裁は,前の訴訟における請負業者に対する代金請求訴訟の結果によって,施主の代金支払義務の有無が決せられる関係にはなく,前の訴訟の判決は施主の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすものではないから,施主は法律上の利害関係を有していたとはいえないとした。
また,前の判決の理由中,請負業者が商品を買い受けたとは認められない旨の記載は主要事実に係る認定に当たるが,施主が買い受けたと認められる旨の記載は,主文を導き出すために必要な判断ではない傍論にすぎないとした。
結論として,原判決を破棄し,事件を差し戻した。

(3) 実務への示唆

「買主は被告か告知を受けた者のどちらかである」という事実上の二者択一の関係があるだけでは,告知をしても後の訴訟で相手を拘束できないことがある。
告知によって拘束したい相手については,前の訴訟の判決が,その相手のどの法的地位(求償義務,担保責任,損害賠償義務等)に影響するのかを,告知書の理由で具体的に示せるかを確認する必要がある。

5 効力が及ばない場合(46条各号)

民事訴訟法46条は,次の場合には裁判の効力が補助参加人に及ばないと定める。

①補助参加の時における訴訟の程度に従い,補助参加人が訴訟行為をすることができなかったとき(同条1号,45条1項ただし書)
②補助参加人の訴訟行為が被参加人の訴訟行為と抵触するため,効力を有しなかったとき(同条2号,45条2項)
③被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき(同条3号)
④被参加人が補助参加人のすることができない訴訟行為を故意又は過失によってしなかったとき(同条4号)

告知をした側が前の訴訟で主張立証を尽くさなかった結果の敗訴については,④により,告知を受けた者から効力を争われることがある。

6 既判力と参加的効力の比較

項目既判力参加的効力
条文民事訴訟法114条・115条民事訴訟法46条・53条4項
誰に及ぶか当事者,口頭弁論終結後の承継人等(115条1項)補助参加人又は告知を受けた者と,被参加人又は告知をした者との間
何に及ぶか主文に包含するもの(相殺の抗弁の例外あり)主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断など
性質確定判決の効力敗訴の責任を分担させる特殊な効力(昭和45年判決)
例外―46条各号

第4 効力はどちらの向きに働くか

昭和45年判決がいう効力は,補助参加人が被参加人に対してその判決が不当であると主張することを禁ずるものである。
訴訟告知では,告知を受けた者が補助参加人の立場に,告知をした者が被参加人の立場に置かれる。
したがって,後の訴訟で,告知をした者は,告知を受けた者に対し,前の訴訟の判断と異なる主張をさせないことができる。

これに対し,自分が他人の訴訟に補助参加した場合は,自分が補助参加人の立場に立つ。
後で求償や損害賠償を請求したい相手を拘束する手段にはならず,むしろ自分がその相手との関係で判断を争えなくなる。
拘束したい相手がいるときは,自分が参加するのではなく,相手に告知をする。

なお,告知を受けた者の側から,告知をした者に対して前の訴訟の判断を援用できるかについて,本記事の調査範囲では最高裁判例を確認していない。
個別事件でこの向きの効力が問題になるときは,別途判例データベース等で確認する必要がある。

第5 訴訟告知を検討する場面

1 敗訴すると第三者へ請求することになる場合

訴訟告知を検討するのは,前の訴訟で敗訴した場合に,同じ事実を前提として第三者へ請求することになる場合である。
例えば,買主から目的物の不具合を理由に請求を受けた売主が,敗訴すれば仕入先に責任を追及することになる場合や,被害者から損害賠償を請求された者が,敗訴すれば他の加害者に求償することになる場合が考えられる。
いずれも,前の訴訟で認定される事実(不具合の存否や原因,事故の態様等)が後の請求の前提になるため,告知をしておかないと,後の訴訟でその事実を改めて争われるおそれがある。

もっとも,どの場面で法律上の利害関係が認められるかは,前記第3の4のとおり,前の訴訟の判決が告知を受ける者の法的地位に影響するかによって決まる。
取引の流れが似ているというだけで効力が生じるとは限らないので,告知書の理由を具体化する段階で検討する。

2 共同被告との関係

同じ原告から複数の者が訴えられた場合,通常の共同訴訟では,共同訴訟人の一人の訴訟行為等は他の共同訴訟人に影響を及ぼさない(民事訴訟法39条)。
確定判決の既判力も当事者等に対して生じるものであり(同法115条1項),共同被告どうしの間には当然には生じない。
したがって,共同被告の一人が,敗訴後に他の共同被告へ求償することを見込んでいても,前の訴訟の判決の理由中の判断を,既判力によって後の求償訴訟へ持ち込むことはできないのが出発点である。

同じ訴訟の共同被告に対して訴訟告知をすることができるか,できるとしてどのような効力が生じるかについて,本記事の調査範囲では最高裁判例を確認していない。
共同被告に求償や損害賠償を請求する見込みがあるときは,前の訴訟の段階で,訴訟告知のほか,その者を相手とする別訴の提起と併合の申出などを含めて検討する。

3 告知だけでは相手に対する債務名義にならない

参加的効力は,告知を受けた者が前の訴訟の判断を争えなくなる効力であり,告知を受けた者に支払を命じる判決ではない。
告知を受けた者に請求するには,改めてその者を相手に訴えを提起する必要がある。
前の訴訟の中で第三者に対する請求まで判断を得たいときは,その第三者を当事者とする訴えを別に考える必要がある。

第6 法律が訴訟告知を義務付けている場面

次の訴えでは,原告は,遅滞なく訴訟告知をしなければならない。

訴え告知を受ける者条文
債権者代位権による被代位権利の行使に係る訴え債務者民法423条の6
詐害行為取消請求に係る訴え債務者民法424条の7第2項
株主等による責任追及等の訴え(株主代表訴訟等)株式会社等会社法849条4項

株主代表訴訟では,訴訟告知を受けた株式会社等は,遅滞なく,その旨を公告し,又は株主に通知しなければならない(会社法849条5項。公開会社でない株式会社では株主への通知。同条9項)。
遺産分割協議に対する詐害行為取消しの手続は,遺産分割と詐害行為取消権・無償行為否認―相続放棄との違いで扱っている。

第7 訴訟告知を受けた側の対応

訴訟告知を受けた者は,参加しなくても,参加することができた時に参加したものとみなされる(民事訴訟法53条4項)。
告知書を受け取ったまま放置すると,後の訴訟で,前の訴訟の主要事実の判断を争えなくなるおそれがある。

告知を受けた者は,まず,前の訴訟の結果が自分の法的地位に影響するか(法律上の利害関係があるか)を確認する。
利害関係があるなら,補助参加して主張立証をするかどうかを検討する。
補助参加の申出は,参加の趣旨及び理由を明らかにして,補助参加により訴訟行為をすべき裁判所にする(同法43条1項)。
当事者が異議を述べたときは,裁判所が決定で補助参加の許否を裁判し,補助参加人は参加の理由を疎明しなければならない(同法44条1項)。
補助参加人は,攻撃又は防御の方法の提出,異議の申立て,上訴の提起その他一切の訴訟行為をすることができるが,被参加人の訴訟行為と抵触する行為は効力を有しない(同法45条1項・2項)。

参加しない場合でも,後の訴訟で46条各号の事由(被参加人の訴訟行為の妨げ,故意又は過失による訴訟行為の懈怠等)を主張する可能性があるときは,告知書,前の訴訟の期日の経過及び自分が知り得た主張立証の状況を記録しておく。

第8 告知書を出す前の確認事項

①後で誰に,何を請求する予定かを特定する(求償,担保責任,損害賠償等)。
②前の訴訟の判決が,告知を受ける者のどの法的地位に影響するかを一文で書けるかを確認する(法律上の利害関係)。
③後の請求の前提となる事実が,前の訴訟で主文を導くのに必要な主要事実として判断される争点になっているかを確認する(傍論には効力が及ばない)。
④争点整理が固まる前に告知できるかを確認する(参加することができた時に参加したものとみなされる)。
⑤告知書に理由及び訴訟の程度を記載する(民事訴訟法53条3項)。
⑥自分が前の訴訟で主張立証を尽くしたかを記録しておく(46条4号の反論に備える)。
⑦告知の効力だけでは相手に対する債務名義にならないので,後の訴訟の見通しと費用を併せて検討する。

第9 本記事で扱わなかった事項

訴訟告知が時効の完成猶予又は更新との関係でどのような意味を持つか,同じ訴訟の共同被告に対する訴訟告知の可否と効力,告知を受けた者の側から告知をした者に対する援用の可否,並びにmints又はTreeeSで訴訟告知書を提出する具体的な操作は,本記事の調査範囲では一次資料を確認していないため扱っていない。

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第11 出典

①e-Gov法令検索「民事訴訟法」(39条,42条~46条,53条,114条,115条)
②e-Gov法令検索「民法」(423条の6,424条の7)
③e-Gov法令検索「会社法」(849条)
④最高裁第一小法廷昭和45年10月22日判決(昭和45年(オ)第166号,民集24巻11号1583頁)
⑤最高裁第三小法廷平成14年1月22日判決(平成10年(オ)第512号,集民205号93頁)