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競願・候補者不選定を争う行政訴訟―処分性,訴えの利益,審査基準及び諮問機関(AI作成)

第1 競願・候補者選定の全体像

1 まず行政過程を時系列にする

公募又は競願では,申請,形式審査,候補者選定・不選定,諮問機関の答申,最終許認可,競願者への許認可という複数の行為が連続することがある。最初に,各行為の主体,根拠規定,通知日,法的効果及び次の段階への影響を一枚の表にする。

2 手続上の要件を分ける

「選定基準に違反した」というだけでは足りない。根拠法令,公募要領,審査基準,内部の採点要領,諮問規定及び最終決定権限を分け,どの段階のどの要件に違反したかを特定する。

第2 候補者不選定に処分性があるか

1 名称ではなく法的効果で判断する

「選定」「推薦」「答申」「内定」などの名称だけで処分性は決まらない。不選定だけで次の手続へ進めなくなり,後の許認可を受ける可能性が法的に断たれるのか,それとも最終処分に向けた内部的・準備的判断にすぎないのかを確認する。

2 確認する六つの要素

①根拠法令,②不選定を受ける者の範囲,③不選定による法的地位の変動,④最終処分までの自動性,⑤後の段階で不選定の違法を争えるか,⑥後の段階まで待つと救済が著しく困難になるかを検討する。

3 処分性がない場合も救済方法を検討する

中間判断の処分性が否定されても,最終的な拒否処分又は競願者への許可を争う余地,公法上の当事者訴訟又は確認訴訟の余地,国家賠償請求の余地を別に検討する。ただし,各訴訟類型の要件は独立しており,処分性がないことから直ちに他の訴えが適法になるわけではない。

第3 競願者への許可後も訴えの利益があるか

1 自己への拒否と競願者への許可を一体として見る

最高裁昭和43年12月24日判決(いわゆる東京12チャンネル事件)は,同一周波数をめぐる競願について,原告への拒否処分と競願者への免許付与は表裏の関係にあるとした。拒否処分に関する決定が取り消されれば,行政庁は決定前の白紙の状態に戻り,両申請の優劣を再審査すべきことになるため,競願者に既に免許が付与されているだけで訴えの利益は失われないとした。

2 取消判決が直ちに自己への許可を意味するわけではない

取消判決の効果は,原則として適法な再審査を求めることにある。自己に許可を付与せよという結論が当然に生じるわけではない。また,制度の構造によっては,自己への拒否だけでなく,競願者への許可も争う必要がある。

3 期間満了と更新・再免許

同判決は,当初の免許期間が満了しても,直ちに再免許が与えられて事業が継続している場合,形式的な期間満了だけで訴えの利益を否定しなかった。現在の制度に当てはめる際は,旧電波法の競願・異議申立て・裁決主義を前提とする判決である点に注意し,更新が従前の許可と法的・実質的に連続するかを個別に検討する。

第4 審査基準・内部採点をどう点検するか

1 行政手続法5条・8条の適用を先に確認する

候補者選定又は最終許認可が行政手続法上の「申請に対する処分」に当たる場合,同法5条の審査基準及び同法8条の理由提示が問題となる。不選定が内部的・準備的判断にとどまる場合には,これらの規定がそのまま適用されるとは限らないが,公平な取扱い,判断過程の合理性及び後の処分の適法性を検討する資料として,選定基準と運用実態はなお重要である。

2 公表基準と内部基準を区別する

募集時に示された基準,内部の採点表,審査途中で追加された評価項目及び最終決定時の判断理由を時系列で比較する。公表基準を内部で具体化しただけなのか,応募者が予測できない新基準を追加したのかを分ける。

3 比較可能な事実が認定されているか

東京12チャンネル事件は,競願者の優劣比較に必要な具体的事実がなければ比較考量はできないとした。抽象的な結論だけでなく,資金,実施能力,事業計画,地域との結び付きその他の法定考慮事項について,比較可能な資料と認定事実が示されているかを確認する。

4 政策判断を法定基準に接続できるか

政治的方針,首長の公約又は行政計画が考慮された事実だけで直ちに違法になるとは限らない。しかし,それが根拠法令の目的及び審査基準とどのように関係するか,必要な事実に基づくか,他の考慮事項を押しのけていないか,同種事案との不平等を生じさせていないかを検討する。

第5 諮問機関の答申と最終決定権者

1 答申に法的拘束力がなくても無視できるとは限らない

最高裁昭和50年5月29日判決(群馬中央バス事件)は,法が行政庁に諮問を求め,諮問機関の決定を尊重して処分するよう定める場合,答申は行政庁を法的に拘束しないとしても,行政庁は答申を慎重に検討し,十分に考慮し,特段の合理的な理由がない限り反する処分をしないことが要求されるとした。

2 二段階で監査する

第一に,諮問機関が適正な資料を収集し,利害関係人に意見・証拠提出の機会を与え,法定基準に沿って審理・答申したかを点検する。第二に,最終決定権者が答申と異なる結論を採った場合,その理由が法定目的,具体的事実及び比較基準に結び付いているかを点検する。

3 手続違反の影響を一律に扱わない

群馬中央バス事件は,補助機関の聴聞の瑕疵と,独立した第三者的諮問機関の公聴会・答申の重大な瑕疵を区別した。手続違反があれば常に最終処分が取り消されるのではなく,当該手続が制度上担う役割と,瑕疵の重大性を検討する。

第6 従前の取扱いと移行措置

長年の指定,許可又は事実上の行政承認があることから,将来も同じ地位が保障されるとは限らない。しかし,従前の取扱い,行政側の説明,事業者の投資・雇用,利用者への影響,代替措置及び移行期間は,信頼保護,平等取扱い,比例性又は裁量判断の合理性を検討する具体的事情となり得る。

既得権があるという抽象論ではなく,行政庁がいつ,誰に,どの内容を説明し,相手方がどのような行動をしたかを証拠化する。

第7 受任直後の証拠保全と訴訟設計

1 直ちに確保する資料

①根拠法令・条例・規則,②公募要領,③審査基準と各改訂版,④内部採点表,⑤審査会・諮問機関の議事録及び配布資料,⑥当初評価と最終評価,⑦答申,⑧決裁文書,⑨不選定通知と理由,⑩競願者への選定・許可文書,⑪従前の許可・更新資料,⑫移行措置の検討資料を確保する。

2 処分と訴訟類型の対応表を作る

自己への不選定,最終拒否,競願者への許可,更新・再許可の各行為について,処分性,原告適格,訴えの利益,出訴期間,執行停止又は仮の差止めの必要性を別々に検討する。取消しを求める対象を一つに決め付けず,制度全体の救済経路を図示する。

3 事実・評価・結論を分ける

主張書面では,①認定された事実,②法定の考慮事項,③各事実の評価,④競願者間の比較,⑤結論を分ける。問題のある箇所を,事実誤認,調査不足,考慮不尽,他事考慮,評価の不合理,平等取扱い違反,理由提示の不備又は手続違反に分類する。

第8 出典、射程及び関連記事

本記事では,行政事件訴訟法及び行政手続法の現行条文,最高裁昭和43年12月24日判決並びに最高裁昭和50年5月29日判決の裁判所HP掲載判決全文を確認した。

もっとも,現在の一般的な候補者選定制度と同一構造の判例を網羅的に確認したものではなく,判例秘書はログイン状態を確認できなかったため検索していない。個別案件では,根拠法令と制度固有の裁判例を追加調査する必要がある。

関連記事として,行政処分の処分性とは取消訴訟の原告適格と訴えの利益の違い行政裁量の司法審査及び行政事件訴訟の主要論点を参照されたい。