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新型コロナウイルス感染症に準用されていた検疫法の条文-令和2年政令第28号の準用範囲と現在の取扱い(AI作成)

第1 本記事の対象と調査の基準日

本記事は,令和2年2月14日から令和3年2月12日までの間,新型コロナウイルス感染症について準用されていた検疫法の条文を整理したものである。
準用の根拠は,「新型コロナウイルス感染症を検疫法第三十四条の感染症の種類として指定する等の政令」(令和2年政令第28号)である。
第4に掲げる条文は当時の文言であり,準用されなかった項はその旨を示した。
感染症法側の準用条文は,新型コロナウイルス感染症に準用されていた感染症法の条文と5類移行までの変遷-令和2年の指定感染症政令で扱っている。

現在の取扱いは,令和8年9月18日時点の法令により確認した。
本記事は,e-Gov法令検索に収録された各時点の条文,官報,厚生労働省の通知・事務連絡及び政令案の説明資料を基に,生成AIを用いて作成した。

第2 新型コロナウイルス感染症と検疫法の関係の変遷

1 令和2年2月1日から令和3年2月12日まで

(1) 令和2年2月1日に検疫法2条3号の検疫感染症となった

新型コロナウイルス感染症は,検疫法施行令の一部を改正する政令(令和2年政令第12号)により,令和2年2月1日から検疫法2条3号の政令で定める検疫感染症とされた。
同政令は令和2年1月28日に公布され,同月31日公布の検疫法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令(令和2年政令第23号)を経て,同年2月1日に施行された。
同じ日に,新型コロナウイルス感染症は,新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令(令和2年政令第11号)により,感染症法6条8項の指定感染症ともされた。
指定感染症は感染症法上の概念であり,検疫法上の位置付けは検疫感染症である。

もっとも,2条3号の検疫感染症について検疫所長がとることのできる措置は,診察及び病原体の有無に関する検査(13条)や消毒(14条1項3号)等にとどまっていた。
隔離(14条1項1号)及び停留(同項2号)の対象は,2条1号又は2号の感染症に限られていたからである。
政令案の説明資料も,2条3号の検疫感染症と位置付けることで可能となる措置として,診察・検査及び消毒を挙げている(資料上2頁)。

(2) 令和2年2月14日に検疫法34条の感染症へ位置付け直された

令和2年2月13日,令和2年政令第28号及び検疫法施行令の一部を改正する政令(令和2年政令第29号)が公布され,いずれも翌14日に施行された。
令和2年政令第29号は,新型コロナウイルス感染症を検疫法2条3号の検疫感染症から削除し,同法26条の2及び27条1項の政令で定める感染症に加えた(令和2年2月13日健発0213第4号厚生労働省健康局長通知)。
令和2年政令第28号は,新型コロナウイルス感染症を検疫法34条の感染症の種類として指定し,同法の規定の一部を準用した。
準用の期間は,施行の日から起算して1年を経過する日までとされた(同政令2条)。

政令案の説明資料は,位置付け直しの理由を次のように説明している(資料上2頁~4頁)。
①2条3号の検疫感染症のままでは,患者が発生しても検疫法上の隔離・停留ができず,感染症法に基づく入院の勧告・措置によることになり,港湾所在地の都道府県知事等に相当の業務負担が生じる。
②船舶では検疫済証等を交付しないことで上陸させない扱いが可能であるが,航空機で同じ扱いをすることは必ずしも合理的・現実的ではない。
③そのため,34条の感染症に位置付け直して隔離・停留を可能とし,無症状病原体保有者も対象とする。

同資料は,34条の感染症は「検疫感染症以外」のものとされているため,2条3号の検疫感染症を34条の感染症へ振り替えることには法改正によるべきとの考え方もあり得ることを認めている。
その上で,国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれが迫っている場合には振替えが許容されると解されるべきであるとしている(資料上3頁)。
この部分は,政令案を立案した厚生労働省健康局結核感染症課の説明であり,裁判所の判断を経たものではない。

(3) 準用期間を延長する仕組みが設けられた

予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律(令和2年法律第75号)により,令和2年12月9日から検疫法34条2項が新設され,34条1項の政令で定めた期間を1年以内の政令で定める期間に限り延長できることとなった。
これを受けて,令和2年政令第28号の一部を改正する政令(令和3年政令第5号)により,同政令2条2項に延長期間の定めが置かれた(令和3年1月7日施行)。
同じ時期に,令和2年政令第28号の題名は「検疫法第三十四条第一項の感染症の種類として指定する等の政令」に改められている(令和2年政令第346号)。

2 令和3年2月13日以後

(1) 新型インフルエンザ等感染症として検疫法が直接適用された

新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律(令和3年法律第5号)が令和3年2月13日に施行され,感染症法6条7項3号に「新型コロナウイルス感染症」が新型インフルエンザ等感染症の一つとして規定された。
新型インフルエンザ等感染症は検疫法2条2号の検疫感染症であるから,新型コロナウイルス感染症には,34条による準用を経ずに検疫法が直接適用されることになった。
これに伴い,令和2年政令第28号は,同日施行の令和3年政令第25号により廃止された。

同じ令和3年法律第5号により,検疫法14条1項に,2条2号の感染症の患者等に対し感染の防止に必要な報告又は協力を求める措置が加えられ,16条の2に,患者に対しては宿泊施設から,感染したおそれのある者に対しては居宅又はこれに相当する場所から,外出しないことの協力を求める規定が置かれた。
さらに,感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第96号)により,令和4年12月19日から,協力の求めに応じない者に対して居宅等から外出しないことを指示する規定(14条1項4号,16条の3)が設けられた。
これらは令和3年2月13日以後の検疫法本体の規定であり,令和2年政令第28号による準用の対象ではなかった。

(2) 令和5年5月8日以後は検疫感染症ではない

厚生労働省によれば,日本時間令和5年4月29日午前0時以降の入国者については,有効なワクチン接種証明書又は出国前検査証明書の提示が不要となった。
令和5年5月8日,感染症法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第74号)の施行により,新型コロナウイルス感染症は同規則1条16号の五類感染症とされた。
厚生労働省は,これにより新型コロナウイルス感染症の位置付けが「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」から「5類感染症」になったと説明している。

現行の検疫法2条が定める検疫感染症は,一類感染症,新型インフルエンザ等感染症及び政令で定める感染症である。
政令で定める感染症は,ジカウイルス感染症,チクングニア熱,中東呼吸器症候群,デング熱,鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)及びマラリアである(検疫法施行令1条)。
五類感染症とされた現在の新型コロナウイルス感染症は,これらのいずれにも当たらないから,検疫感染症ではない。

なお,検疫法施行令1条の3第6号は,感染症法6条7項3号の新型コロナウイルス感染症について停留の期間を336時間と定めている。
同号は新型インフルエンザ等感染症の類型としての「新型コロナウイルス感染症」を指す規定であるから,同号に該当する感染症が新たに生じた場合に働くものであり,五類感染症とされた現在の新型コロナウイルス感染症を検疫感染症とするものではないと考えられる。

第3 令和2年政令第28号による準用の内容

1 準用された規定と準用されなかった規定

(1) 準用された規定

令和2年政令第28号3条は,新型コロナウイルス感染症について,次の検疫法の規定(これらの規定に基づく命令の規定を含む。)を準用した。
①2条の2(2項を除く。)
②第2章(7条,16条1項並びに18条2項及び3項を除く。)
③28条から33条まで及び41条
前記の施行通知は,③を「第4章(法第34条から第40条までを除く。)」と表現しているが,準用の範囲は同じである。

(2) 準用されなかった規定の意味

2条の2第2項は,2条2号の感染症(新型インフルエンザ等感染症)の疑似症患者を,病原体に感染したおそれがある場合に限って患者とみなす規定である。
16条1項は2条1号の感染症(一類感染症)の病原体に感染したおそれのある者の停留を,18条2項及び3項は2条2号の感染症を除く検疫感染症の病原体に感染したおそれのある者に対する健康状態の報告の求め等を定める規定である。
7条は,当時既に削除されていた。
したがって,停留については2条2号の感染症と同じ16条2項が,停留されない者に対する旅券の提示・報告の求めについても2条2号の感染症と同じ18条4項及び5項が準用されたことになる。

2 主な読替え

(1) 疑似症患者及び無症状病原体保有者

2条の2第1項及び3項の「前条第一号に掲げる感染症」及び「同号に掲げる感染症」は,いずれも新型コロナウイルス感染症に読み替えられた。
その結果,新型コロナウイルス感染症の疑似症を呈している者と,病原体を保有しているが症状を呈していない者は,いずれも患者とみなされた。

(2) 隔離の委託先

15条1項本文の「次の各号に掲げる感染症ごとに、それぞれ当該各号に掲げる医療機関」は,特定感染症指定医療機関,第一種感染症指定医療機関又は第二種感染症指定医療機関(感染症指定医療機関)に読み替えられた。
同項ただし書の「当該各号に掲げる医療機関」も感染症指定医療機関に読み替えられたので,緊急その他やむを得ない理由があるときは,それ以外の病院又は診療所であって検疫所長が適当と認めるものに入院を委託することができた。
隔離は入院の委託によって行うものであり,宿泊施設又は船舶内への収容によって行う規定は準用されていない。

(3) 停留の場所及び期間

16条2項は,「第二条第二号に掲げる感染症」が新型コロナウイルス感染症に,医療機関の列挙が感染症指定医療機関に読み替えられて準用された。
これにより,停留は,感染症指定医療機関その他検疫所長が適当と認める病院若しくは診療所への入院の委託によるほか,宿泊施設の管理者の同意を得て宿泊施設内に,又は船舶の長の同意を得て船舶内に収容して行うことができた。

16条3項は,「前二項」が「前項」に,期間の上限が「三百三十六時間」に読み替えられた。
政令案の説明資料は,新型コロナウイルス感染症の潜伏期間を当時の知見で最長14日としたことから336時間と定めたと説明している(資料上4頁)。

(4) 停留されない者に対する旅券の提示及び報告の求め

18条4項は,「第二条第二号に掲げる感染症」が新型コロナウイルス感染症に,「第二項に規定する旅券」の「第二項」が「出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第五号」に読み替えられて準用された。
この読替えは,18条2項が準用されていないため,同項を引用する部分を旅券の定義規定に直接置き換えたものと考えられる。
検疫所長は,新型コロナウイルス感染症の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものに対し,旅券の提示や国内における居所,連絡先,氏名,旅行の日程等の報告を求めることができ(18条4項),報告された事項を居所の所在地を管轄する都道府県知事に通知しなければならなかった(同条5項)。

3 罰則の適用

(1) 検疫法40条による罰則の準用

検疫法34条は,罰則を定める35条から40条までを,政令で準用できる規定から除いている。
しかし,当時の検疫法40条は,「第三十四条の場合においては、当該政令で準用する規定に係る前五条の罰則の規定もまた、準用されるものとする。」と定めていた。
そのため,政令で準用された規定に係る罰則(35条から39条まで)は,政令に定めがなくても法律上当然に準用された。
令和2年政令第28号の附則2項が,同政令の失効後もそれまでにした行為に対する罰則の適用については効力を有すると定めているのも,罰則の準用を前提とするものである。

当時の検疫法35条は,5条に違反した者及び隔離又は停留の処分を受けてその処分の継続中に逃げた者を,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処するとしていた。
当時の同法36条は,13条の診察・検査を拒み,妨げ,又は忌避した者等を,6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処するとしていた。
現行の検疫法では,刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)により,令和7年6月1日から懲役が拘禁刑に改められている。

(2) 入国者の待機要請と罰則の運用

厚生労働省健康局結核感染症課等の令和2年3月22日付事務連絡は,検査結果が判明するまで検疫所長が指定する場所に留まるよう要請された者が,結果判明前に公共交通機関で帰宅し,その後陽性と判明した事案を受けて出されたものである。
同事務連絡は,仮検疫済証の交付前に上陸し又は検疫場所を離れた者は5条違反として35条の罰則の対象となり得るとしている。
また,検体採取から検査結果の伝達までの一連の行為を13条の診察として実施し,結果判明前に待機要請に従わず離れた者は診察を忌避した者として36条の罰則の対象となり得るとしている。
さらに,待機要請に応じない場合には,14条1項2号の停留の対象となり得るとしている。
同事務連絡の記載は「対象となりうる」というものであり,実際にこれらの罰則が適用された事例の有無は,本記事の調査の範囲では確認していない。

4 一類感染症及び新型インフルエンザ等感染症との異同

(1) 二つの類型を組み合わせた準用

本記事では,令和2年政令第28号による準用を,二つの類型を組み合わせたものと整理する。
疑似症患者を感染したおそれの有無を問わず患者とみなし,無症状病原体保有者も患者とみなす点(2条の2第1項及び3項)は,2条1号の感染症(一類感染症)と同じ扱いである。
他方,停留を宿泊施設又は船舶内で行うことができ(16条2項),停留されない者について18条4項及び5項の旅券提示・報告・通知の仕組みによる点は,2条2号の感染症(新型インフルエンザ等感染症)と同じ扱いである。
隔離の委託先は,第一種感染症指定医療機関までの2条1号の感染症と異なり,第二種感染症指定医療機関を含む感染症指定医療機関とされた。

(2) 指定の時期に関する指摘

大林啓吾『公衆衛生法 感染症編』は,2条3号の検疫感染症としての指定では検査しかできないため,政府は2月14日に新型コロナウイルス感染症を検疫法34条の対象としたと説明している(71頁)。
同書は,横浜港に到着したクルーズ船について,到着から11日後に34条の指定がされたことを挙げ,より早い時期の指定が必要だったのではないかという問題を指摘している(71頁)。
他方,政令案の説明資料は,指定前の時点でも,検疫済証又は仮検疫済証を交付しなければ船から上陸できない5条の仕組みを活用して上陸を認めていなかったと説明している(資料上3頁)。

第4 準用されていた検疫法の条文

以下は,令和2年2月14日時点で施行されていた検疫法(平成28年4月1日施行の改正までを反映したもの)の条文のうち,令和2年政令第28号3条により準用されたものである。
条文中の「前条第一号に掲げる感染症」等は,第3の2のとおり読み替えられた。

1 疑似症患者及び無症状病原体保有者に関する規定(2条の2)

(疑似症及び無症状病原体保有者に対するこの法律の適用)
第二条の二 前条第一号に掲げる感染症の疑似症を呈している者については、同号に掲げる感染症の患者とみなして、この法律を適用する。
(第2項は準用されない。)
3 前条第一号に掲げる感染症の病原体を保有している者であつて当該感染症の症状を呈していないものについては、同号に掲げる感染症の患者とみなして、この法律を適用する。

2 第2章 検疫(4条~23条の2)

(1) 入港・上陸の制限と検疫前の通報(4条~6条)

(入港等の禁止)
第四条 次に掲げる船舶又は航空機(以下それぞれ「外国から来航した船舶」又は「外国から来航した航空機」という。)の長(長に代つてその職務を行う者を含む。以下同じ。)は、検疫済証又は仮検疫済証の交付(第十七条第二項の通知を含む。第九条を除き、以下同じ。)を受けた後でなければ、当該船舶を国内(本州、北海道、四国及び九州並びに厚生労働省令で定めるこれらに附属する島の区域内をいう。以下同じ。)の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させてはならない。ただし、外国から来航した船舶の長が、検疫を受けるため当該船舶を第八条第一項に規定する検疫区域若しくは同条第三項の規定により指示された場所に入れる場合若しくは次条ただし書第一号の確認を受けた者の上陸若しくは同号の確認を受けた物若しくは第十三条の二の指示に係る貨物の陸揚のため当該船舶を港(第八条第一項に規定する検疫区域又は同条第三項の規定により指示された場所を除く。)に入れる場合又は外国から来航した航空機の長が、検疫所長(検疫所の支所又は出張所の長を含む。以下同じ。)の許可を受けて当該航空機を着陸させ、若しくは着水させる場合は、この限りでない。
一 外国を発航し、又は外国に寄航して来航した船舶又は航空機
二 航行中に、外国を発航し又は外国に寄航した他の船舶又は航空機(検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けている船舶又は航空機を除く。)から人を乗り移らせ、又は物を運び込んだ船舶又は航空機

(交通等の制限)
第五条 外国から来航した船舶又は外国から来航した航空機(以下「船舶等」という。)については、その長が検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けた後でなければ、何人も、当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機及び検疫飛行場ごとに検疫所長が指定する場所から離れ、若しくは物を運び出してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 検疫感染症の病原体に汚染していないことが明らかである旨の検疫所長の確認を受けて、当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機及び検疫飛行場ごとに検疫所長が指定する場所から離れ、若しくは物を運び出すとき。
二 第十三条の二の指示に従つて、当該貨物を陸揚げし、又は運び出すとき。
三 緊急やむを得ないと認められる場合において、検疫所長の許可を受けたとき。

(検疫前の通報)
第六条 検疫を受けようとする船舶等の長は、当該船舶等が検疫港又は検疫飛行場に近づいたときは、適宜の方法で、当該検疫港又は検疫飛行場に置かれている検疫所(検疫所の支所及び出張所を含む。以下同じ。)の長に、検疫感染症の患者又は死者の有無その他厚生労働省令で定める事項を通報しなければならない。

(2) 検疫の手続(8条~13条の2)

(検疫区域)
第八条 船舶の長は、第十七条第二項の通知を受けた場合を除くほか、検疫を受けようとするときは、当該船舶を検疫区域に入れなければならない。
2 外国から来航した航空機の長は、当該航空機を最初に検疫飛行場に着陸させ、又は着水させたときは、直ちに、当該航空機を検疫区域に入れなければならない。
3 前二項の場合において、天候その他の理由により、検疫所長が、当該船舶等を検疫区域以外の場所に入れるべきことを指示したときは、船舶等の長は、その指示に従わなければならない。
4 第一項及び第二項の検疫区域は、厚生労働大臣が、国土交通大臣と協議して、検疫港又は検疫飛行場ごとに一以上を定め、告示する。

(検疫信号)
第九条 船舶の長は、検疫を受けるため当該船舶を検疫区域又は前条第三項の規定により指示された場所に入れた時から、検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けるまでの間、厚生労働省令の定めるところにより、当該船舶に検疫信号を掲げなければならない。船舶が港内に停泊中に、第十九条第一項の規定により仮検疫済証が失効し、又は同条第二項の規定により仮検疫済証が失効した旨の通知を受けた場合において、その失効又は失効の通知の時から、当該船舶を港外に退去させ、又は更に検疫済証若しくは仮検疫済証の交付を受けるまでの間も、同様とする。

(検疫の開始)
第十条 船舶等が検疫区域又は第八条第三項の規定により指示された場所に入つたときは、検疫所長は、荒天の場合その他やむを得ない事由がある場合を除き、すみやかに、検疫を開始しなければならない。但し、日没後に入つた船舶については、日出まで検疫を開始しないことができる。

(書類の提出及び呈示)
第十一条 検疫を受けるに当つては、船舶等の長は、検疫所長に船舶等の名称又は登録番号、発航地名、寄航地名その他厚生労働省令で定める事項を記載した明告書を提出しなければならない。但し、仮検疫済証の失効後に受ける検疫にあつては、検疫所長から求められた場合に限る。
2 検疫所長は、船舶等の長に対して、第一号から第三号までに掲げる書類の提出並びに第四号及び第五号に掲げる書類の呈示を求めることができる。
一 乗組員名簿
二 乗客名簿
三 積荷目録
四 航海日誌又は航空日誌
五 その他検疫のために必要な書類

(質問)
第十二条 検疫所長は、船舶等に乗つて来た者及び水先人その他船舶等が来航した後これに乗り込んだ者に対して、必要な質問を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。

(診察及び検査)
第十三条 検疫所長は、検疫感染症につき、前条に規定する者に対する診察及び船舶等に対する病原体の有無に関する検査を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。
2 検疫所長は、前項の検査について必要があると認めるときは、死体の解剖を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。この場合において、その死因を明らかにするため解剖を行う必要があり、かつ、その遺族の所在が不明であるか、又は遺族が遠隔の地に居住する等の理由により遺族の諾否が判明するのを待つていてはその解剖の目的がほとんど達せられないことが明らかであるときは、遺族の承諾を受けることを要しない。

(陸揚等の指示)
第十三条の二 検疫所長は、船舶等に積載された貨物について当該船舶等において前条第一項の検査を行なうことが困難であると認めるときは、同項の検査を行なうため、当該船舶等の長に対して、当該貨物を検疫所長の指示する場所に陸揚し、又は運び出すべき旨を指示することができる。

(3) 隔離・停留その他の措置(14条~16条の2)

(汚染し、又は汚染したおそれのある船舶等についての措置)
第十四条 検疫所長は、検疫感染症が流行している地域を発航し、又はその地域に寄航して来航した船舶等、航行中に検疫感染症の患者又は死者があつた船舶等、検疫感染症の患者若しくはその死体、又はペスト菌を保有し、若しくは保有しているおそれのあるねずみ族が発見された船舶等、その他検疫感染症の病原体に汚染し、又は汚染したおそれのある船舶等について、合理的に必要と判断される限度において、次に掲げる措置の全部又は一部をとることができる。
一 第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の患者を隔離し、又は検疫官をして隔離させること。
二 第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者を停留し、又は検疫官をして停留させること(外国に当該各号に掲げる感染症が発生し、その病原体が国内に侵入し、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときに限る。)。
三 検疫感染症の病原体に汚染し、若しくは汚染したおそれのある物若しくは場所を消毒し、若しくは検疫官をして消毒させ、又はこれらの物であつて消毒により難いものの廃棄を命ずること。
四 墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)の定めるところに従い、検疫感染症の病原体に汚染し、又は汚染したおそれのある死体(死胎を含む。)の火葬を行うこと。
五 検疫感染症の病原体に汚染し、若しくは汚染したおそれのある物若しくは場所の使用を禁止し、若しくは制限し、又はこれらの物の移動を禁止すること。
六 検疫官その他適当と認める者をして、ねずみ族又は虫類の駆除を行わせること。
七 必要と認める者に対して予防接種を行い、又は検疫官をしてこれを行わせること。
2 検疫所長は、前項第一号から第三号まで又は第六号に掲げる措置をとる必要がある場合において、当該検疫所の設備の不足等のため、これに応ずることができないと認めるときは、当該船舶等の長に対し、その理由を示して他の検疫港又は検疫飛行場に回航すべき旨を指示することができる。

(隔離)
第十五条 前条第一項第一号に規定する隔離は、次の各号に掲げる感染症ごとに、それぞれ当該各号に掲げる医療機関に入院を委託して行う。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、当該各号に掲げる医療機関以外の病院又は診療所であつて検疫所長が適当と認めるものにその入院を委託して行うことができる。
一 第二条第一号に掲げる感染症 特定感染症指定医療機関(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定する特定感染症指定医療機関をいう。以下同じ。)又は第一種感染症指定医療機関(同法に規定する第一種感染症指定医療機関をいう。以下同じ。)
二 第二条第二号に掲げる感染症 特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関又は第二種感染症指定医療機関(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定する第二種感染症指定医療機関をいう。以下同じ。)
2 検疫所長は、前項の措置をとつた場合において、第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の患者について、当該感染症の病原体を保有していないことが確認されたときは、直ちに、当該隔離されている者の隔離を解かなければならない。
3 第一項の委託を受けた病院又は診療所の管理者は、前条第一項第一号の規定により隔離されている第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の患者について、当該感染症の病原体を保有していないことを確認したときは、検疫所長にその旨を通知しなければならない。
4 前条第一項第一号の規定により隔離されている者又はその保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ。)は、検疫所長に対し、当該隔離されている者の隔離を解くことを求めることができる。
5 検疫所長は、前項の規定による求めがあつたときは、当該隔離されている第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の患者について、当該感染症の病原体を保有しているかどうかの確認をしなければならない。

(停留)
第十六条 (第1項は準用されない。)
2 第十四条第一項第二号に規定する停留は、第二条第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者については、期間を定めて、特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関若しくは第二種感染症指定医療機関若しくはこれら以外の病院若しくは診療所であつて検疫所長が適当と認めるものに入院を委託し、又は宿泊施設の管理者の同意を得て宿泊施設内に収容し、若しくは船舶の長の同意を得て船舶内に収容して行うことができる。
3 前二項の期間は、第二条第一号に掲げる感染症のうちペストについては百四十四時間を超えてはならず、ペスト以外の同号又は同条第二号に掲げる感染症については五百四時間を超えない期間であつて当該感染症ごとにそれぞれの潜伏期間を考慮して政令で定める期間を超えてはならない。
4 検疫所長は、第一項又は第二項の措置をとつた場合において、当該停留されている者について、当該停留に係る感染症の病原体を保有していないことが確認されたときは、直ちに、当該停留されている者の停留を解かなければならない。
5 第一項又は第二項の委託を受けた病院又は診療所の管理者は、第十四条第一項第二号の規定により停留されている者について、当該停留に係る感染症の病原体を保有していないことを確認したときは、検疫所長にその旨を通知しなければならない。
6 第十四条第一項第二号の規定により停留されている者又はその保護者は、検疫所長に対し、当該停留されている者の停留を解くことを求めることができる。
7 検疫所長は、前項の規定による求めがあつたときは、当該停留されている者について、当該停留に係る感染症の病原体を保有しているかどうかの確認をしなければならない。

(審査請求の特例)
第十六条の二 第十四条第一項第一号の規定により隔離されている者であつて当該隔離の期間が三十日を超えるもの又はその保護者は、当該隔離について文書又は口頭により、厚生労働大臣に審査請求をすることができる。
2 厚生労働大臣は、前項の審査請求があつたときは、当該審査請求があつた日から起算して五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
3 第十四条第一項第一号の規定により隔離されている者であつて当該隔離の期間が三十日を超えないもの又はその保護者が、厚生労働大臣に審査請求をしたときは、厚生労働大臣は、当該審査請求に係る隔離されている者が同号の規定により隔離された日から起算して三十五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
4 厚生労働大臣は、第二項の裁決又は前項の裁決(隔離の期間が三十日を超える者に係るものに限る。)をしようとするときは、あらかじめ、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。
5 第三項の審査請求(隔離の期間が三十日を超えない者に係るものに限る。)については、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二章第四節の規定は、適用しない。

(4) 検疫済証及び仮検疫済証(17条~20条)

(検疫済証の交付)
第十七条 検疫所長は、当該船舶等を介して、検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがないと認めたときは、当該船舶等の長に対して、検疫済証を交付しなければならない。
2 検疫所長は、船舶の長が第六条の通報をした上厚生労働省令で定めるところにより厚生労働省令で定める事項を通報した場合において、これらの通報により、当該船舶を介して、検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがないと認めたときは、あらかじめ、当該船舶の長に対して、検疫済証を交付する旨の通知をしなければならない。

(仮検疫済証の交付)
第十八条 検疫所長は、検疫済証を交付することができない場合においても、当該船舶等を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがほとんどないと認めたときは、当該船舶等の長に対して、一定の期間を定めて、仮検疫済証を交付することができる。
(第2項は準用されない。)
(第3項は準用されない。)
4 第一項の場合において、検疫所長は、第二条第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものに対し、第二項に規定する旅券の提示を求め、若しくは当該者の国内における居所、連絡先及び氏名並びに旅行の日程その他の厚生労働省令で定める事項について報告を求め、又は検疫官をしてこれらを求めさせることができる。
5 検疫所長は、前項の規定により報告された事項を同項に規定する者の居所の所在地を管轄する都道府県知事に通知しなければならない。

(仮検疫済証の失効)
第十九条 仮検疫済証の交付を受けた船舶等に、前条第一項の規定により定められた期間内に、検疫感染症の患者又は検疫感染症による死者が発生したときは、当該仮検疫済証は、その効力を失う。この場合においては、当該船舶等の長は、直ちに、その旨を最寄りの検疫所長に通報しなければならない。
2 仮検疫済証を交付した検疫所長は、当該船舶等について更に第十四条第一項各号に掲げる措置をとる必要があると認めたときは、前条第一項の規定により定めた期間内に限り、当該仮検疫済証の効力を失わしめることができる。この場合においては、当該検疫所長は、直ちに、その旨を当該船舶等の長に通知しなければならない。
3 前二項の規定により仮検疫済証が失効した場合において、当該船舶が港内に停泊中であり、又は当該航空機が国内の場所(港の水面を含む。)に停止中であるときは、第一項の通報を受けた検疫所長又は当該仮検疫済証を交付した検疫所長は、当該船舶等の長に対し、当該船舶等を検疫区域若しくはその指示する場所に入れ、又は当該船舶を港外に退去させ、若しくは当該航空機をその場所から離陸させ、若しくは離水させるべき旨を命ずることができる。

(証明書の交付)
第二十条 検疫所長は、第十四条第一項各号の一に掲げる措置又は同条第二項の指示をした場合において、当該船舶等の長その他の関係者から求められたときは、その旨の証明書を交付しなければならない。

(5) 検疫港以外の港での検疫,緊急避難及び協力の要請(21条~23条の2)

(検疫港以外の港における検疫)
第二十一条 次に掲げる要件のすべてを満たしている船舶の長は、第四条の規定にかかわらず、検疫を受けるため、当該船舶を検疫港以外の港に入れることができる。ただし、あらかじめその港の最寄りの検疫所の長の許可を受けた場合に限る。
一 検疫感染症が現に流行し、又は流行するおそれのある地域として厚生労働省令で指定する外国の地域を発航し、又はその地域に寄航して来航したものでないこと。
二 航行中に、前号に規定する外国の地域を発航し又はその地域に寄航した他の船舶又は航空機(検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けている船舶又は航空機を除く。)から人を乗り移らせ、又は物を運び込んだものでないこと。
三 航行中に検疫感染症の患者が発生しなかつたこと。
四 医師又は外国の法令によりこれに相当する資格を有する者が船医として乗り組んでいること。
五 ねずみ族の駆除が十分に行われた旨又はねずみ族の駆除を行う必要がない状態にあることを確認した旨を証する証明書(検疫所長又は外国のこれに相当する機関が六箇月内に発行したものに限る。)を有すること。
2 船舶の長は、前項ただし書の許可を受けようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、同項各号に掲げる事項その他厚生労働省令で定める事項を通報して申請しなければならない。
3 検疫所長は、第一項ただし書の許可の申請を受けたときは、すみやかに、許可するかどうかを決定し、これを当該船舶の長に通知しなければならない。
4 第一項の船舶の長は、当該船舶を検疫港以外の港に入れたときは、直ちに、当該船舶をその港の区域内の検疫所長が指示する場所に入れなければならない。
5 第九条及び第十条の規定は、第一項の船舶が前項の規定により指示された場所に入つた場合に準用する。
6 検疫所長は、第一項の船舶が検疫感染症の病原体に汚染し、若しくは汚染したおそれがあると認めるとき、又は当該船舶を検疫港に回航させた上更に第十三条に規定する診察若しくは検査を行う必要があると認めるときは、当該船舶の長に対し、その理由を示して、その港における検疫を打ち切ることができる。
7 前項の規定により検疫港以外の港における検疫が打ち切られたときは、当該船舶の長は、直ちに、当該船舶を港外に退去させなければならない。
8 第二十条の規定は、検疫所長が第六項の規定により検疫を打ち切つた場合に準用する。

(第四条第二号に該当する船舶等に関する特例)
第二十二条 第四条第二号に該当する船舶又は航空機(同時に同条第一号にも該当する船舶又は航空機を除く。)の長は、当該船舶又は航空機の性能が長距離の航行に堪えないため、又はその他の理由により、検疫港又は検疫飛行場に至ることが困難であるときは、第四条の規定にかかわらず、検疫を受けるため、当該船舶を検疫港以外の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させることができる。
2 前項の船舶又は航空機の長は、当該船舶を検疫港以外の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させたときは、直ちに、最寄りの保健所長に、検疫感染症の患者の有無、第四条第二号に該当するに至つた日時及び場所その他厚生労働省令で定める事項を通報しなければならない。ただし、当該船舶又は航空機の長が、あらかじめ、最寄りの検疫所長にこれらの事項を通報した場合は、この限りでない。
3 前項の通報を受けた保健所長は、当該船舶又は航空機について、検査、消毒その他検疫感染症の予防上必要な措置をとることができる。
4 第一項の船舶又は航空機については、第五条ただし書第三号に規定する許可は、保健所長もすることができる。
5 第一項の船舶又は航空機であつて、当該船舶又は航空機を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがない旨の保健所長の確認を受けたものについては、第四条及び第五条の規定を適用しない。
6 第九条及び第十条の規定は第一項の船舶の長が第二項ただし書の通報をした後当該船舶を検疫港以外の港に入れた場合に、同条の規定は第一項の航空機の長が第二項ただし書の通報をした後当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、又は着水させた場合に準用する。

(緊急避難)
第二十三条 検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けていない船舶等の長は、急迫した危難を避けるため、やむを得ず当該船舶等を国内の港に入れ、又は検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させた場合において、その急迫した危難が去つたときは、直ちに、当該船舶を検疫区域若しくは検疫所長の指示する場所に入れ、若しくは港外に退去させ、又は当該航空機をその場所から離陸させ、若しくは離水させなければならない。
2 前項の場合において、やむを得ない理由により当該船舶を検疫区域等に入れ、若しくは港外に退去させ、又は当該航空機をその場所から離陸させ、若しくは離水させることができないときは、船舶等の長は、最寄りの検疫所長、検疫所がないときは保健所長に、検疫感染症の患者の有無、発航地名、寄航地名その他厚生労働省令で定める事項を通報しなければならない。
3 前項の通報を受けた検疫所長又は保健所長は、当該船舶等について、検査、消毒その他検疫感染症の予防上必要な措置をとることができる。
4 第二項の船舶等については、第五条ただし書第三号に規定する許可は、保健所長もすることができる。
5 第二項の船舶等であつて、当該船舶等を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがほとんどない旨の検疫所長又は保健所長の確認を受けたものについては、当該船舶等がその場所にとどまつている限り、第五条の規定を適用しない。
6 前四項の規定は、国内の港以外の海岸において航行不能となつた船舶等について準用する。
7 検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けていない船舶等の長は、急迫した危難を避けるため、やむを得ず当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機から離れ、若しくは物を運び出した者があるときは、直ちに、最寄りの保健所長又は市町村長に、検疫感染症の患者の有無その他厚生労働省令で定める事項を届け出なければならない。

(協力の要請)
第二十三条の二 検疫所長は、当該検疫所における検疫業務を円滑に行うため必要があると認めるときは、船舶等の所有者若しくは長又は検疫港若しくは検疫飛行場の管理者に対し、第十二条の規定による質問に関する書類の配付、検疫の手続に関する情報の提供その他必要な協力を求めることができる。

3 第4章 雑則(28条~33条及び41条)

(1) 検疫官とその権限(28条~31条)

(検疫官)
第二十八条 この法律に規定する事務に従事させるため、厚生労働省に検疫官を置く。

(立入権)
第二十九条 検疫所長及び検疫官は、この法律の規定による職務を行うため必要があるときは、船舶、航空機又は第二十七条第一項及び第二項に規定する施設、建築物その他の場所に立ち入ることができる。

(権限の解釈)
第三十条 この法律の規定による検疫所長及び検疫官の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(制服の着用及び証票の携帯)
第三十一条 検疫所長及び検疫官は、この法律の規定による職務を行うときは、制服を着用し、且つ、その身分を示す証票を携帯し、関係者の要求があるときは、これを呈示しなければならない。
2 検疫所長及び検疫官の服制は、厚生労働大臣が定める。

(2) 費用及び省令委任(32条,33条及び41条)

(実費の徴収)
第三十二条 検疫所長は、左に掲げる場合においては、船舶等の所有者又は長から、政令の定めるところにより、その実費を徴収しなければならない。
一 第十四条第一項第三号、第四号又は第六号に規定する措置をとつたとき。
二 船舶等の乗組員に対して第十四条第一項第一号又は第二号に規定する措置をとつたとき。
2 検疫所長は、前項の規定により実費を負担しなければならない者が、経済的事情により、その実費の全部又は一部を負担することが困難であると認められる場合においては、同項の規定にかかわらず、その全部又は一部を徴収しないことができる。
3 前二項の規定は、第二十二条第三項又は第二十三条第三項(同条第六項において準用する場合を含む。)の規定により、検疫所長又は保健所長が必要な措置をとつた場合に準用する。

(費用の支弁及び負担)
第三十三条 第二十二条第三項又は第二十三条第三項(同条第六項において準用する場合を含む。)の規定により保健所長がとる措置に要する費用は、当該保健所を設置する都道府県、市又は特別区が支弁し、国庫は、政令の定めるところにより、これを負担しなければならない。

(省令委任)
第四十一条 この法律で政令に委任するものを除く外、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第5 関連資料及び関連記事

当時の検疫実務に関する次の資料を本ブログに掲載している。
新型コロナウイルス感染症を検疫法第34条の感染症の種類として指定する等の政令案 内閣法制局説明資料(令和2年2月の厚生労働省健康局結核感染症課の文書)
新型コロナウイルス感染症発生国からの入国者に対する検疫対応に関する,厚生労働省健康局結核感染症課等の事務連絡(令和2年1月7日から同年5月25日までの分)
新型コロナウイルス感染症発生国からの入国者に対する検疫対応について(流行地域の追加)(令和2年4月2日付の厚生労働省健康局結核感染症課等の事務連絡)
予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案 説明資料(令和2年10月の厚生労働省健康局の文書)
検疫法の手引(平成25年10月28日付で全国検疫所長協議会が作成し,厚生労働省健康局結核感染症課が監修した文書)

新型コロナウイルス感染症への対応に関する次の記事も参照されたい。
新型コロナウイルス感染症に準用されていた感染症法の条文と5類移行までの変遷-令和2年の指定感染症政令
新型コロナウイルス感染症への対応に関する最高裁判所作成の文書
国家緊急権に関する内閣法制局長官の国会答弁

第6 出典・参考資料

1 法令

①e-Gov法令検索「検疫法(令和2年2月14日時点で施行されていたもの)」2条,2条の2,4条~23条の2,28条~41条。
②e-Gov法令検索「検疫法(現行)」2条,14条,16条の2,16条の3,34条,35条,36条,40条(令和8年9月18日現在施行中の条文を確認)。
③e-Gov法令検索「検疫法施行令」1条,1条の3(令和2年2月1日,同月14日,令和3年2月13日時点及び現行の各条文を確認)。
④e-Gov法令検索「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」6条7項・8項(令和2年12月9日時点,令和3年2月13日時点及び現行の各条文を確認)。
⑤e-Gov法令検索「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則」1条16号(令和5年5月8日時点及び現行の各条文を確認)。

2 廃止された政令及び官報

①e-Gov法令検索「新型コロナウイルス感染症を検疫法第三十四条の感染症の種類として指定する等の政令(令和二年政令第二十八号)」(令和2年2月14日施行時点のもの,令和3年2月13日廃止)。
②e-Gov法令検索「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令(令和二年政令第十一号)」(令和3年2月13日廃止)。
官報令和2年1月28日特別号外第4号(令和2年政令第11号及び第12号)。
官報令和2年1月31日特別号外第5号(令和2年政令第22号及び第23号)。
官報令和2年2月13日特別号外第9号(令和2年政令第28号,第29号及び第30号)。

3 厚生労働省の通知・事務連絡・説明資料

①厚生労働省健康局長「新型コロナウイルス感染症を検疫法第三十四条の感染症の種類として指定する等の政令等について(施行通知)」(令和2年2月13日健発0213第4号)1頁~3頁。
②厚生労働省健康局結核感染症課・医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課検疫所業務管理室「新型コロナウイルス感染症の流行地域からの入国者の取扱いについて」(令和2年3月22日付事務連絡)1頁~2頁。
③厚生労働省健康局結核感染症課「新型コロナウイルス感染症を検疫法第三十四条の感染症の種類として指定する等の政令案 内閣法制局説明資料」(令和2年2月)資料上2頁~4頁(PDF4頁~6頁)。
④厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」(令和8年9月18日閲覧)。
⑤厚生労働省「水際対策」(令和8年9月18日閲覧)。

4 文献

①大林啓吾『公衆衛生法 感染症編』(弘文堂,2022年)71頁。