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弁護士会館の施設・建設史・国有地使用料(AIリライト)

第1 弁護士会館の概要

1 所在地,構造及び規模

弁護士会館は,東京都千代田区霞が関1丁目1番3号にある,日本弁護士連合会,東京弁護士会,第一東京弁護士会及び第二東京弁護士会の合同会館である。裁判所,法務省及び中央合同庁舎に近く,東京メトロ霞ケ関駅と地下で直結している。

佐藤総合計画の施設概要によれば,建物はSRC・S造,地上17階・地下2階,延床面積2万5816㎡であり,平成7年6月に竣工した。東京弁護士会LIBRA平成17年3月号は,竣工日を平成7年6月30日と記録している。

弁護士会館の正面玄関
弁護士会館の正面玄関

2 四会の共有建物

建物は,日弁連及び東京三弁護士会が建設費を分担して共有している。現在も,四会会館運営委員会及び四会会館管理協議会を通じて,保安,店舗,電力契約,設備更新,修繕及び会館財政を共同で調整している。

他方,敷地4750.88㎡は建物所有者の所有地ではなく,国有財産法上の行政財産である。四会は,法務省による国有財産使用許可を受けて敷地を使用し,土地使用料を負担しているため,建物の共有関係と敷地の利用関係を区別する必要がある。

第2 現在のフロア,地下店舗及びアクセス

1 主要フロア

令和8年7月に確認した日弁連の弁護士会館フロアガイドによれば,主要な入居団体及び施設は次のとおりである。各会の受付時間,法律相談の窓口及び会議室の利用条件は異なるため,訪問目的に応じて各団体の案内を確認する必要がある。

主要な入居団体・施設
17階日弁連法務研究財団
14階~16階日本弁護士連合会(受付は15階)
14階日弁連交通事故相談センター本部,日本弁護士国民年金基金,関東弁護士会連合会,全国弁護士協同組合連合会,東京都弁護士協同組合等
11階~13階第一東京弁護士会
8階~10階第二東京弁護士会
7階・8階東京弁護士会・第二東京弁護士会合同図書館
4階~7階東京弁護士会
3階法律相談,法テラス東京,日弁連交通事故相談センター受付等
2階講堂クレオ
1階総合案内,法律援助関係窓口等

東京都弁護士国民健康保険組合は,令和5年12月25日に弁護士会館14階から東京都港区虎ノ門5丁目のメトロシティ神谷町7階へ移転した。したがって,平成31年当時の同組合を14階入居者とする案内は,現在のフロア情報としては用いることができない。

2 地下1階の店舗

令和8年7月に公式フロアガイドで確認できる地下1階の店舗は,①京都二条苑霞が関店,②itsumo,③ファミリーマート弁護士会館/S店,④932東京霞が関,⑤蕎麦処みとう,⑥飯島印店,⑦大内商店,⑧大越謄写館,⑨弁護士会館ブックセンター及び⑩LABO等である。飲食店のほか,印章,訴訟記録の謄写及び法律書の購入に対応する店舗が集まっている。

店舗は入れ替わるため,旧記事に掲載されていた四季旬菜霞が関別亭桂,銀座鳳鳴春霞ヶ関店及びレストランメトロは現行一覧から除外した。生活彩家弁護士会館店も令和7年11月20日に閉店し,同年12月22日にファミリーマート弁護士会館/S店が開店しているので,訪問前には公式フロアガイドを確認するのが確実である。

3 霞ケ関駅からのアクセス

第二東京弁護士会のアクセス案内によれば,東京メトロ丸ノ内線及び日比谷線の霞ケ関駅B1-b出口から,弁護士会館地下1階へ直結している。ただし,B1-b出口にはエレベーターがない。

車いす利用者その他エレベーターを必要とする人は,桜田通り方面改札からA1出口のエレベーターで地上へ出て,弁護士会館1階入口を利用する。地下直結という案内だけではバリアフリー経路を示したことにならないため,この区別が必要である。

第3 現在の会館が完成するまで

1 旧会館の狭隘化と合同会館構想

旧東京弁護士会館は昭和7年12月に完成したが,昭和40年頃から,会員数の増加及び弁護士会活動の拡大に伴い,老朽化と狭隘化が共通課題となった。地代を無償化する立法運動は昭和43年に成立直前まで進んだものの実現せず,その後の敷地払下げ交渉もまとまらなかった。

昭和49年の霞が関A地区中央官衙マスタープランを契機として,日弁連及び東京三弁護士会による合同会館計画へ収斂した。同年11月,四会は合同名で敷地の第1次要望書を提出し,法務省及び建設省との長期の協議に入った。

2 敷地確認書と四会間の調整

昭和62年9月7日,東京三弁護士会,日弁連,法務省及び建設省の担当者は,弁護士会館敷地等確認書に調印した。四会の床面積配分は39回にわたる協議を経て合意され,昭和63年には,日弁連と東京弁護士会が2階講堂を,東京弁護士会と第二東京弁護士会が合同図書館を設けることにも合意した。

建設準備金は昭和56年から積み立てられ,会員の寄附及び新会館臨時会費等も建設資金に充てられた。東京弁護士会LIBRA令和5年10月号40頁は,敷地交渉,四会間調整及び資金調達の経過を1頁にまとめており,会館建設が単なる建築事業ではなく,国との土地交渉と四会間の共同事業であったことを示している。

3 竣工日と開館後の共同施設

現在の会館は平成7年6月30日に竣工し,同年8月1日に竣工記念式典が行われた。東京弁護士会LIBRA令和5年10月号には同年7月3日「完成」との記載もあるが,本記事では,建築記録及び同会の平成17年の記録が一致する6月30日を竣工日としている。

2階講堂は「クレオ」と名付けられ,完成当時の資料では900人を収容するとされた。東京弁護士会・第二東京弁護士会合同図書館は平成7年9月11日に開館し,四会が独立性を保ちながら会館機能の一部を共同化する仕組みが形になった。

第4 建設費,共有持分及び新会館臨時会費

1 建設費と共有持分

東京弁護士会LIBRA平成21年3月号43頁によれば,建設費総額は160億2680万円である。建設費の負担割合は建物の共有持分と一致し,四会の割合は次のとおりである。

建物所有者建設費負担割合・共有持分
日本弁護士連合会27.36202%
東京弁護士会36.18926%
第一東京弁護士会18.82553%
第二東京弁護士会17.62319%

設計は佐藤総合計画,建設工事は大成建設,機械設備工事は新菱冷熱工業,電気設備工事はきんでんが担当した。共有持分は,現在の各会の会員数の割合ではなく,会館建設時の費用負担を基礎とする固定された権利割合である。

2 東京弁護士会の新会館臨時会費

東京弁護士会は,平成5年10月20日の臨時総会決議に基づき,会館の建設,維持及び管理等の費用に充てる新会館臨時会費を徴収してきた。負担額と支払方法は,入会時期,既払額及び若手会員の経済的負担等を考慮して段階的に改正された。

東京弁護士会の令和8年度会費案内によれば,平成15年4月1日から平成30年3月31日までに同会へ入会した会員は,入会日に応じて40万円から130万円の新会館臨時会費を納付する。平成30年4月1日以後の入会者は,総会決議により納付を要しない。

第5 国有地の使用許可

1 令和2年からの30年許可

弁護士会館の敷地は,令和2年3月31日までは1年ごとに使用許可が更新されていた。令和2年3月31日付け国有財産使用許可書により,法務省大臣官房施設課長は,四会に対し,令和2年4月1日から令和32年3月31日までの30年間,敷地の使用を許可した。

許可の相手方は日弁連だけではなく,日弁連,東京弁護士会,第一東京弁護士会及び第二東京弁護士会の四会であり,指定用途は四会が共同使用する弁護士会館の敷地である。令和7年度日弁連会務報告も,この許可期間を令和32年3月31日までと記録している。

2 賃貸借ではなく行政財産の使用許可であること

国有財産法18条6項は,行政財産について,その用途又は目的を妨げない限度で使用又は収益を許可できると定める。同条8項により,この許可を受けた行政財産の使用又は収益には借地借家法が適用されないため,弁護士会館の敷地利用を民有地の通常の借地契約と同一に扱うことはできない。

同法19条は,使用許可に貸付期間等の規定を準用し,使用許可について21条1項2号を適用対象から除いている。同項3号が前二号以外の土地及び土地の定着物について30年以内と定めることから,本記事では,本件使用許可の期間区分は同号に対応し,令和2年の30年許可はその上限と一致すると整理する。

3 許可条件と利用関係の限界

使用者は許可された用途を守り,敷地を善良な管理者の注意をもって維持保存し,法務省の承認なく第三者へ転貸し,又は権利を譲渡することができない。国が公用又は公共用に供する必要が生じた場合,許可条件違反があった場合等には許可が取り消され得る。

許可期間が満了し,又は許可が取り消された場合,使用者は,許可書の条件に従い,原則として自己の負担で原状回復して土地を返還しなければならない。民間賃貸借との単純比較では,この行政処分としての不安定性及び原状回復条件が抜け落ちる。

第6 土地使用料の推移と算定

1 令和元年度から令和7年度までの年額

令和元年度及び令和2年度は法務省資料,令和3年度から令和7年度までは日弁連会務報告の原PDFで確認した。敷地面積4750.88㎡を用いて,各年度の1㎡当たり年額及び月額換算を計算すると,次のとおりである。

年度四会全体の年額1㎡当たり年額1㎡当たり月額換算
令和元年度9066万4000円約1万9084円約1590円
令和2年度1億780万2900円約2万2691円約1891円
令和3年度1億1349万7400円約2万3890円約1991円
令和4年度1億1349万7400円約2万3890円約1991円
令和5年度1億1884万5400円約2万5015円約2085円
令和6年度1億2835万2100円約2万7016円約2251円
令和7年度1億2905万6700円約2万7165円約2264円

確認できた最新の令和7年度額を敷地面積で除した精密値は,1㎡当たり年額2万7164.80円,月額換算2263.73円である。令和8年度の四会全体の土地使用料は確認できていないため,令和7年度額を「現在額」ではなく「確認できた最新額」としている。

2 令和2年度額の訂正と実際の算定

令和2年度の年額1億780万2900円を敷地面積4750.88㎡で除すと,1㎡当たり年額は2万2691.14円となる。旧記事の「2万2628円」は,元の金額及び面積と一致しない計算誤りであった。

令和2年度弁護士会館敷地使用料算定については,従前算定使用料9800万円の1.05倍である1億290万円と,令和2年度国有資産等所在市町村交付金額1億780万2900円を比較し,後者を決定使用料としている。したがって,令和2年度額は,相続税路線価又は公示地価から直接算出された金額ではない。

3 長期使用許可の現在の算定基準

財務省の現行取扱基準は,令和7年5月23日改正までを反映している。使用許可期間が5年を超える土地及び建物の使用料年額は,原則として不動産鑑定士による鑑定評価額を基礎として決定し,鑑定評価では,借地借家法の適用を受けない行政処分であることを評価条件として示すものとしている。

財務省「国の施設の有効活用」も,使用期間がおおむね5年以内か5年を超えるかによって算定方法が異なることを説明している。弁護士会館敷地の30年許可について,住宅地の地代率,周辺の民間賃料,路線価又は公示地価の一つだけを当てはめて使用料の高低を断定することは,現行基準に沿わない。平成15年9月30日付け内閣答弁書も,行政財産の使用許可は国の必要により取り消され得るなど,使用者が民間施設の賃借人より不安定な立場にあるため,使用料を民間相場と単純に比較することは適当でないと説明している。

4 四会全体の年額と日弁連の会計支出の違い

令和7年度日弁連会務報告の1億2905万6700円は,四会が使用する敷地全体の年額である。これに対し,日弁連会員専用ページの会館特別会計に計上された令和7年度敷地使用料支出実績3530万9913円は,日弁連側の会計上の支出であり,両者は対象範囲が異なる。

同会計の令和8年度予算には敷地使用料支出3540万円が計上されているが,これは令和8年度の四会全体の年額を示すものではない。四会全体の使用料と各会の負担額又は会計支出を混同すると,約3分の1の金額を敷地全体の使用料と誤認することになる。

第7 大規模改修と会館の共同管理

1 10年目改修と20年目改修

10年目の大規模改修は平成17年から平成19年頃に行われ,四会全体の費用は約10億円であった。20年目改修では,会員負担による工事であることから,コンサルタント,設計者及び施工者の選定に透明性と公正性を確保する手続がとられた。

20年目改修は令和3年7月31日に完了して引渡しがされ,追加工事を含む総額は約48億円であった。設計・監理は佐藤総合計画,施工は大成建設が担当し,便所,照明のLED化,空調設備・配管及びエレベーターホール自動扉等が改修された。

2 30年目改修の資金準備

令和7年度会務報告によれば,30年目大規模改修プロジェクトでは,日建設計コンストラクション・マネジメントをアドバイザーとし,中長期修繕計画を基礎に工事項目の選定を進めている。東京弁護士会LIBRA令和8年3月号26頁は,予測額は算出されているものの未確定であり,今後の情勢によって上振れする可能性があるとしている。

日弁連会員専用ページの理事会議事概要及び予算書によれば,30年目改修に備え,令和4年度に4億円,令和5年度から令和7年度まで各3億円,合計13億円が会館特別会計へ追加で繰り入れられた。令和7年度の大規模改修工事支出は予算6000万円に対して実績0円であり,令和8年度予算にも6000万円が計上され,令和8年度には大規模修繕積立資産から2億円を取り崩す予算が組まれている。

もっとも,追加繰入額,年度予算及び積立資産取崩額は資金準備上の数字であって,30年目改修の確定総額ではない。会館特別会計には情報システム関係経費も含まれるため,これらの全額を建物工事費とみなすこともできず,最終的な工事範囲,総額及び工程は未確定である。

3 令和7年度の設備・店舗更新

令和7年度には,5基のエレベーターのうち3基の改修が完了し,残る工事も継続している。また,公衆電話は7台から地下1階及び1階の2台に整理され,三菱UFJ銀行のATMは同年9月に撤去されてコンビニATMが設置された。

このような設備更新,店舗の入替え,土地使用料,固定資産税等,日常の維持管理及び定期的な大規模改修は,四会が継続して調整する事項である。会館財政は平成7年の建設費だけで終わるものではなく,共有建物と国有地を長期間維持するための継続的な共同管理である。

第8 敷地の歴史と東京三弁護士会

1 大岡越前守忠相屋敷跡

弁護士会館の敷地は,江戸時代に大岡越前守忠相の屋敷があった場所である。日弁連『日弁連七十年』34頁によれば,平成20年11月,弁護士会館の中庭に「大岡越前守忠相屋敷跡」の記念碑が建立された。

中庭は日弁連及び東京三弁護士会の共用部分であり,碑文にも四会の名称が記されている。歴史資料にみられる国から土地を「借りている」との口語的表現は,法的には国有財産法上の使用許可を指すものであり,民法上の賃貸借を意味しない。

2 東京に三つの弁護士会がある経緯

国立国会図書館日本法令索引によれば,弁護士法中改正法律(大正12年法律第51号)は,大正12年2月12日に提出され,同年3月15日に成立し,同年4月18日に公布された。4月17日は御署名日であり,公布日ではない。

同改正により,一つの地方裁判所管内に複数の弁護士会を設立できる制度上の余地が生じ,その後,第一東京弁護士会及び第二東京弁護士会が設立された。分立や合併の是非については歴史的に異なる意見があるが,現在の弁護士会館は,三会を統合せず,日弁連と東京三会が共同で建設し,共有・管理する方式によって実現した施設である。

第9 出典・参考資料

1 法令及び行政資料

2 日弁連及び東京弁護士会の資料

3 年史その他の文献

  • ① 日本弁護士連合会『日弁連五十年史』35頁~36頁
  • ② 日本弁護士連合会『日弁連七十年』16頁及び34頁
  • ③ 東京弁護士会『東京弁護士会百年史』365頁~384頁
  • ④ 日弁連『弁護士百年』73頁及び158頁
  • ⑤ 法曹公論社『法曹百年史』665頁