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むち打ちの慰謝料はいくら?通院1・3・6か月と後遺障害の計算例(AI作成)

第1 むち打ちの慰謝料を先に確認する

1 通院1・3・6か月の目安

むち打ちの慰謝料を調べるときは,治療のために通院したことによる入通院慰謝料と,症状固定後に残った障害による後遺障害慰謝料を分けて確認する。
他覚所見のないむち打ち症で,入院がなく,事故による相当な通院期間の全体を算定の基礎とする場合,赤い本2026年版の別表Ⅱによる入通院慰謝料の目安は,1か月19万円,3か月53万円,6か月89万円である。

通院期間別表Ⅱの目安この金額を読む前提
1か月19万円入院がなく,他覚所見のないむち打ち症等として別表Ⅱを用いる。
3か月53万円同上。実際に受診した日数だけでなく,相当な通院期間を確認する。
6か月89万円同上。長期通院の調整や,事故と関係のない期間の除外が問題になることがある。

出典は,日弁連交通事故相談センター東京支部『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』2026年版上巻218頁~220頁である。
この表は裁判実務上の目安であり,通院期間だけで受取額が確定するものではない。
治療費,休業損害,逸失利益等を含む示談金の総額でもなく,過失相殺や既払金の控除も反映していない。

2 「むち打ち」という診断名だけでは金額が決まらない

赤い本は,通常の傷害には原則として別表Ⅰを用い,他覚所見のないむち打ち症等には別表Ⅱを用いるとしている。
したがって,診断名に「頚椎捻挫」と書かれていることだけで,別表Ⅱの適用を決めるものではない。
画像,神経学的検査,治療経過等を確認し,事故による傷害をどのように評価するかを検討する必要がある。

なお,他覚所見があるという一点だけから別表Ⅰの金額や後遺障害等級が自動的に確定するわけでもない。
所見の具体例と評価上の注意は,交通事故の入通院慰謝料に影響する他覚所見で説明している。

第2 自賠責基準と裁判実務上の目安を区別する

1 自賠責は1日4300円で対象日数を確認する

令和2年4月1日以後に発生した事故に適用される自賠責保険の支払基準では,傷害慰謝料は1日につき4300円である。
告示は,対象日数について,傷害の態様,実治療日数その他を勘案し,治療期間の範囲内で定めるとしている。

支払実務では,治療期間と実治療日数の2倍を比較する計算が説明されることがある。
ただし,2倍という簡便な計算だけで,告示上の対象日数が必ず確定すると説明することはできない。
例えば,審査により対象日数が20日とされたと仮定すれば,4300円×20日=8万6000円となる。

自賠責保険の傷害による損害の限度額120万円は,慰謝料だけの上限ではない。
治療費,文書料,休業損害等も含む傷害損害全体の限度額である。
支払基準と限度額については,金融庁掲載の自賠責保険の支払基準と,国土交通省の限度額と補償内容を参照されたい。

2 保険会社の提示額と赤い本の金額を比較する

任意保険会社の提示額については,どの基準を使い,どの期間又は日数を対象としたかを確認する。
「任意保険基準」と記載されていても,各社共通の現行公開表があることを前提にすることはできない。
自賠責基準による計算額が提示されている場合もあるため,名称より計算過程を確かめることが大切である。

日弁連交通事故相談センターの慰謝料額についての相談事例では,2か月間に10日通院した頸椎捻挫の被害者に,自賠責基準を用いた8万6000円が提示された事例が紹介されている。
同センターは,裁判実務上の目安を参考に36万円程度を検討し,交渉又は示談あっせんを案内した。
これは令和3年10月5日作成の相談事例であり,増額を命じた裁判例でも,同じ日数なら必ず同額になるという説明でもない。

三つの算定基準,慰謝料の種類及び示談金全体との関係は,交通事故の慰謝料の種類と三つの算定基準で確認できる。

第3 通院期間と通院日数で計算が変わる場面

1 3か月通院した場合の計算例

他覚所見のないむち打ち症で入院がなく,事故と相当因果関係のある通院期間が3か月であり,全期間を基礎として別表Ⅱを用いると仮定する。
この場合の入通院慰謝料の目安は53万円である。

自賠責保険で対象日数が60日とされたと仮定すれば,傷害慰謝料は4300円×60日=25万8000円となる。
この60日は計算方法を説明するための仮定であり,3か月通院すれば自動的に60日になるという意味ではない。
二つの金額は異なる基準による慰謝料項目の比較であり,実際の示談金の差額を示すものではない。

2 通院日数が少ない場合と3倍の調整

赤い本2026年版上巻218頁は,他覚所見のないむち打ち症等について,通院が長期にわたる場合には,症状,治療内容及び通院頻度を踏まえ,実通院日数の3倍程度を算定上の通院期間の目安とすることもあるとしている。
通院日数が少ないという理由だけで,どの事案でも3倍へ置き換える基準ではない。
また,通常の傷害に関する別表Ⅰの3.5倍や,自賠責の支払実務で説明される2倍とは適用場面が異なる。

例えば,算定上の通院期間が12か月,実通院日数が20日という仮定では,別表Ⅱの期間原則による目安は119万円である。
症状,治療内容及び通院頻度を検討した結果,例外的に3倍で調整するなら,20日×3=60日,1か月を30日として2か月に相当する36万円が計算上の目安となる。
この例は調整による違いを示すものであり,3倍の採用自体を予測するものではない。

医師の受診指示,手術又は検査の待機,家庭や仕事による受診間隔の事情等も,治療記録と併せて確認する。
詳しくは,通院日数が少ない場合の入通院慰謝料を参照されたい。

3 通院の空白や整骨院への通院がある場合

初診日から最終受診日までの暦上の期間と,事故による相当な治療期間は,常に一致するわけではない。
受診が途切れた場合は,中断の理由,その間の症状,医師の指示及び再開後の治療内容を日付順に確認する。
金額を増やすことを目的として通院を重ねたり,医療上の必要性と関係なく治療期間を延ばしたりするべきではない。

整骨院・接骨院に通った日がある場合は,施術費の賠償を認める問題と,慰謝料算定の対象日数・期間にどう反映するかという問題を分ける。
病院と整骨院を同じ日に受診したからといって,その1日が当然に2日分になるものではない。
医師の診療と施術の関係については,整骨院・接骨院と交通事故の施術費で説明している。

第4 後遺障害が残った場合の慰謝料

1 入通院慰謝料に後遺障害慰謝料を分けて加える

むち打ちの治療後にも症状が残った場合は,症状固定,事故との因果関係及び後遺障害の内容を検討する。
後遺障害が認められるときは,入通院慰謝料と後遺障害慰謝料を別項目として算定する。

等級を前提とした比較自賠責の慰謝料等赤い本の後遺障害慰謝料
第14級32万円110万円
第12級94万円290万円

自賠責欄は金融庁掲載の支払基準,赤い本欄は2026年版上巻223頁による。
本表は,当該等級に該当することを前提とした金額比較であり,むち打ちなら第14級又は第12級になるという説明ではない。
画像があるかないかという一点だけで,等級認定の結論を決めることもできない。

2 6か月通院し第14級が認められた場合の計算例

他覚所見のないむち打ち症で入院がなく,6か月の通院期間全体を別表Ⅱの基礎とし,第14級の後遺障害慰謝料も赤い本の目安で算定すると仮定する。
この場合,入通院慰謝料89万円+後遺障害慰謝料110万円=199万円となる。

199万円は,この仮定における二つの慰謝料項目の合計である。
治療費,通院交通費,休業損害又は後遺障害逸失利益を含む示談総額でも,既払金等を調整した最終振込額でもない。
また,6か月通院したことだけで第14級が認められるわけではない。

日弁連交通事故相談センターの後遺障害等級認定後の相談事例も,約半年間通院し第14級9号が認定された事案について,入通院分89万円と後遺障害分110万円を区別して説明している。
同事例は令和3年9月15日作成の相談回答であり,裁判の認容額ではない。

3 症状固定と非該当への対応

症状固定は,治療による改善の見込みや経過を踏まえて検討する時点である。
「むち打ちは3か月で固定する」「6か月通院すれば後遺障害になる」といった一律の月数で処理するものではない。
症状固定後にも痛みがあることと,その治療費の全額が加害者側の負担になることも同一ではない。
保険会社から治療費の支払終了を告げられた場合は,治療費を打ち切られたときの確認と慰謝料への影響を参照されたい。

医学的な経過と固定時期については,むち打ち症の症状固定時期を参照されたい。
等級が認められなかった場合は,結果の理由と既提出資料を確認してから,後遺障害非該当への異議申立てを検討する。

第5 保険会社の提示を受けたら確認する資料

1 慰謝料の計算に必要な情報

最初に,①事故日,②傷病名と検査所見,③入院の有無と日数,④通院の開始・終了日と実通院日数,⑤症状固定の判断と日付,⑥後遺障害等級と認定理由,⑦被害者の過失割合,⑧損害項目別の既払金を確認する。
診断書,診療明細書,予約票,領収書,等級認定結果及び保険会社の損害計算書を日付順に並べると,金額の違いがどの前提から生じたかを確認しやすい。

提示書に「慰謝料」とだけ書かれている場合は,入通院分と後遺障害分の内訳を求める。
また,算定基準,対象期間・日数,増減の理由及び既払金の控除過程を確認する。
問い合わせる項目と示談書の清算条項は,保険会社から届いた交通事故の示談案の見方を参照されたい。

2 増額可能性と相談方法を判断する

赤い本の表と提示額との差があっても,その差額がすべて回収できると決まったわけではない。
算定対象期間,事故との因果関係,等級又は過失割合の争いを整理し,資料によってどの点を説明できるかを確認する。
弁護士へ依頼する場合は,増額の見込みだけでなく,報酬,実費,調査費用及び期間も比較する。

弁護士費用の負担については,弁護士費用特約の対象者・対象事故・事前承認・支払限度を確認する。
日弁連交通事故相談センターの法律相談や示談あっせんを検討する場合も,対象となる事故及び利用条件を同センターの案内で確認する。

第6 出典・参考資料

①日弁連交通事故相談センター東京支部『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』2026年版上巻218頁~220頁・223頁(原本PDF実頁232頁~234頁・237頁で確認)。
②金融庁・国土交通省自賠責保険の支払基準,第2の3,第3の2及び令和2年4月1日適用に関する附則。
③国土交通省限度額と補償内容。
④日弁連交通事故相談センター任意保険会社から提示を受けた慰謝料額についての相談(2)(令和3年10月5日)。
⑤同センター任意保険会社から提示を受けた慰謝料額についての相談(後遺障害の等級認定後)(令和3年9月15日)。
⑥同センター当センターの刊行物について及び示談あっせん・審査。
⑦日本損害保険協会損害保険Q&A・問42。

本記事の金額表は赤い本2026年版による目安であり,計算例は前提を置いた説明である。
ウェブ資料は令和8年10月4日に確認した。