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公文書管理法の概要(AIリライト)

第1 公文書管理法の位置付け

1 目的

公文書等の管理に関する法律(平成21年法律第66号)(以下「公文書管理法」という。)は,公文書等を健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源と位置付け,適正な管理,保存及び利用を通じて,国及び独立行政法人等の説明責任を全うすることを目的とする(同法1条)。
したがって,同法は単なる文書の整理・保管のルールではなく,行政活動の検証可能性を確保する法律である。

2 「公文書等」の範囲

公文書管理法にいう「公文書等」は,行政文書,法人文書及び特定歴史公文書等を包む概念である(同法2条8項)。
行政文書は,行政機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書で,組織的に用いるものとして当該行政機関が保有するものをいい,図画及び電磁的記録も含まれる(同条4項)。
法人文書は独立行政法人等の役職員が職務上作成又は取得し,組織的に用いるものとして当該法人が保有するものである(同条5項)。

第2 行政文書のライフサイクル

1 作成及び整理

行政機関の職員は,経緯も含めた意思決定の過程及び事務事業の実績を合理的に跡付け,又は検証できるように文書を作成しなければならない(公文書管理法4条)。
作成又は取得した行政文書には,分類,名称,保存期間及び保存期間満了時の措置を設定し,相互に密接な関連を有する文書を行政文書ファイルにまとめる(同法5条)。

2 保存及び管理簿

行政機関の長は,行政文書ファイル等を保存期間満了日まで適切に保存し,集中管理の推進に努める(公文書管理法6条)。
また,政令で定める一部の短期間文書等を除き,分類,名称,保存期間,満了時の措置及び保存場所等を行政文書ファイル管理簿に記載し,一般の閲覧に供しなければならない(同法7条)。

3 移管又は廃棄

保存期間が満了した行政文書ファイル等は,あらかじめ定めた措置に従って国立公文書館等へ移管し,又は廃棄する(公文書管理法8条)。
廃棄には内閣総理大臣の同意が必要であり,保存期間中の削除,紛失又は誤廃棄と,保存期間満了後の適法な廃棄とは区別する必要がある。

行政機関の長は毎年度の管理状況を内閣総理大臣に報告し,内閣総理大臣は必要に応じて資料提出要求,実地調査及び改善勧告を行うことができる(公文書管理法9条及び31条)。
各行政機関の行政文書管理規則は,公文書管理委員会の調査審議を経た内閣総理大臣の同意を得て制定される(同法10条,28条ないし30条)。

第3 法人文書と特定歴史公文書等

独立行政法人等は,法人文書について作成,整理,保存,移管又は廃棄のルールを定め,管理状況を公表する(公文書管理法11条ないし13条)。

国立公文書館等へ移管された特定歴史公文書等は,原則として永久保存される(公文書管理法15条1項)。
国立公文書館等の長が,歴史資料として重要でなくなったと認める特定歴史公文書等を廃棄するためには,内閣総理大臣の同意が必要である(同法25条)。
内閣総理大臣はその同意をしようとするときは,公文書管理委員会に諮問しなければならない(同法29条2号)。

「国立公文書館等」は,東京の国立公文書館,宮内公文書館及び外交史料館だけを指すものではない。
公文書管理法2条3項に基づき指定された大学等の文書館も含まれるため,実際の移管先は作成機関と指定状況に応じて確認する必要がある。

第4 情報公開制度との関係

行政機関が保有中の行政文書については,行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく開示請求の対象となる。
これに対し,移管後の特定歴史公文書等は,公文書管理法16条以下の利用請求の対象となる。
前者は現用文書の開示制度,後者は歴史資料として移管された記録の利用制度であり,根拠法と判断枠組みを区別する必要がある。

第5 国会・裁判所・地方公共団体の文書

国会及び裁判所の文書には,行政文書に関する公文書管理法第2章のルールがそのまま適用されるわけではない。
もっとも,「公文書等に立法機関及び司法機関の文書は一切含まれない」という整理は正確ではない。
公文書管理法14条は,行政機関以外の国の機関が,内閣総理大臣と協議して,歴史公文書等を国立公文書館に移管できる経路を設けており,移管後は特定歴史公文書等となる。

同法附則13条2項は,国会及び裁判所の文書の管理の在り方について,同法の趣旨と両機関の地位及び権能等を踏まえた検討を予定している。
地方公共団体には,文書を適正に管理するために必要な施策を策定し,実施する努力義務が課されている(同法34条)。

第6 業務システムのデータと保存期間

内閣府大臣官房公文書管理課長の令和7年2月14日付け通知「業務システムと公文書管理のルールについて」は,行政機関が業務システムを利用して作成又は取得したデータも,行政文書の要件を満たす限り公文書管理の対象となることを明確化している。
システム内で保存するか,対象データを出力して保存するかは,システムの仕様及び各行政機関の管理方法によるが,所在,保存期間及び満了時の措置を管理できなければならない。

保存期間を1年未満とすることができる文書であっても,保存期間中は適切な管理が必要である。
重要又は異例な事項に関する情報を含み,意思決定過程又は事務事業の実績の合理的な跡付け・検証に必要な文書は,形式的に短期間文書として処理できない。

公文書等の管理に関する法律施行令9条1項は,監査・検査の対象文書,係属中の訴訟又は不服申立てで必要となる文書及び開示請求の対象文書について,所定の日まで保存期間を延長することを定めている。
行政機関情報公開法4条の開示請求があった文書は,開示又は不開示の決定日の翌日から起算して1年が経過する日まで保存する必要がある。
これは,すべてのチャットや行政文書を作成時から一律に1年間保存するという意味ではない。

第7 今後の施行予定

e-Gov法令検索の公文書管理法には,令和8年10月1日及び令和9年4月1日の未施行改正が表示されている。
前者は新たな日本学術会議制度に伴う別表等の整備,後者は外国人技能実習機構から外国人育成就労機構への名称変更等に伴う改正である。
公文書の作成,整理,保存,移管又は廃棄という制度の基本構造を変更するものではないが,具体的な対象法人の確認では施行日に応じた条文を参照すべきである。

第8 関連記事

① 公文書管理に関する経緯,公文書館に関連する法律及び国立公文書館
② 司法行政文書に関する文書管理
③ 司法行政文書の国立公文書館への移管
④ Teamsチャットは行政文書か-情報公開請求後の保存・削除,eDiscovery及び監査ログ(AI作成)

出典

① e-Gov法令検索「公文書等の管理に関する法律」
② e-Gov法令検索「公文書等の管理に関する法律施行令」
③ 内閣府「公文書管理制度」
④ 内閣府「業務システムと公文書管理のルールについて」
⑤ 内閣府「公文書等の管理等の状況」
⑥ 国立公文書館「よくあるご質問」