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知的財産訴訟の和解条項―製造停止・在庫廃棄・不争約束・実施許諾(AI作成)

第1 知財和解では対象権利・対象製品・対象行為を特定する

特許権、商標権、意匠権又は著作権をめぐる和解では、最初に対象権利、対象製品又は標章、対象行為、地域及び期間を特定します。「被告製品」「本件特許」といった略称は、別紙の製品目録、図面、型番、登録番号及び請求項と結び付けます。

東京地方裁判所知的財産権部は、知的財産権訴訟の和解条項例を公表しています。そこには、侵害又は非侵害の確認、製造販売の停止、在庫の廃棄、金銭支払、権利不行使、不争約束、実施許諾、秘密保持などの例があります。

公表例は、事件に適した条項を選ぶための参考資料です。例文を一括して転記するのではなく、訴訟物、対象製品、権利の残存期間、関連会社及び将来製品に合わせて組み立てる必要があります。

第2 侵害・非侵害・責任不承認の確認条項

1 侵害を認める条項

侵害を認める場合は、どの権利のどの範囲について、どの製品又は行為が侵害すると確認するのかを特定します。将来の別製品まで含むのか、過去の行為だけかも明確にします。

2 非侵害を確認する条項

設計変更後の製品について非侵害を確認する場合は、その仕様を別紙又は図面で固定します。製品名だけでは、将来の仕様変更や部品変更を含むかが争われるおそれがあります。

3 責任を認めないまま解決する条項

当事者が侵害又は損害額について見解を維持したまま、紛争解決のために金銭を支払うことがあります。その場合は、責任の承認ではないことと、どの請求を清算するのかを両立させます。

第3 製造販売停止と在庫・設備の処理

1 停止する行為を列挙する

製造、使用、譲渡、貸渡し、輸出、輸入、譲渡等の申出、広告又はウェブ掲載のどこまで停止するかを、適用される知的財産法と事実関係に即して定めます。販売店、代理店、委託先又は海外関連会社への指示を含めるかも検討します。

2 在庫・半製品・金型・データ

完成品だけでなく、半製品、部品、包装、ラベル、金型、治具、設計データ及び広告素材の取扱いを決めます。廃棄、改造、権利者への引渡し又は第三者への転用のどれを認めるかを区別します。

3 廃棄又は処理の確認方法

廃棄期限、方法、費用負担、写真、廃棄証明書、数量表又は第三者証明の提出を定めます。抽象的な「廃棄する」という条項だけでは、履行確認が困難です。

4 猶予期間と既存契約

即時停止が困難な場合は、売り切り期間、納入済み製品の保守、回収、既存顧客への対応を定めます。猶予中に認める数量、販売先、価格又は報告義務を具体化します。

第4 損害賠償金・解決金・実施料

金銭条項では、損害賠償金、解決金、過去実施料又は将来の実施料のどれとして支払うかを整理します。名称だけで税務上又は会計上の取扱いが決まるとは限らないため、必要に応じて専門家に確認します。

支払額、期限、振込先、手数料、分割払い、期限の利益喪失及び遅延損害金を定めます。複数の権利又は国を含む場合は、金額の配分と対象期間を記録します。

売上連動の実施料を定めるときは、対象売上、控除項目、料率、最低保証、報告期間、帳簿閲覧又は監査、通貨及び為替換算を定めます。

第5 権利不行使・不争約束・実施許諾

1 権利不行使の範囲

権利者が特定の製品又は行為について権利を行使しないと約束する場合は、対象権利、対象者、製品、地域、期間及び条件を定めます。関連会社、顧客、販売店及び承継人まで含むかを明確にします。

2 不争約束

権利の有効性を争わない条項を置く場合は、対象権利、対象手続、期間及び例外を特定します。この条項の効力や競争法上の評価は、契約全体と個別事情によって検討を要するため、公表例があるという理由だけで一律に採用すべきではありません。

3 実施許諾

実施許諾を含める場合は、独占・非独占、通常実施権等の法的性質、対象権利、製品、行為、地域、期間、再許諾、譲渡、改良技術、対価及び終了後の処理を定めます。

権利の無効、放棄、期間満了又は第三者への移転があった場合の取扱いも確認します。

第6 関連訴訟・審判・税関手続の処理

同じ紛争について、侵害訴訟、差止仮処分、無効審判、取消審判、審決取消訴訟、税関の輸入差止手続又は海外訴訟が並行していることがあります。

各手続について、取下げ、放棄、同意、費用負担及び実行期限を個別に定めます。訴えの取下げに相手方の同意が必要な場合、誰がどの書面をいつ提出するかも決めます。

特許庁その他の行政機関の判断を当事者の合意だけで消すことはできません。第三者の申立て又は公益に関わる手続も、当事者間の清算条項だけで終了するとは限りません。

第7 秘密保持・公表・第三者への対応

秘密保持条項では、和解の存在、条項内容、交渉資料、技術情報及び営業情報を分けます。裁判所、官公署、監査法人、税理士、弁護士、保険会社、金融機関又は法令上開示が必要な相手への例外を定めます。

上場会社の適時開示、製品回収、顧客説明、プレスリリース又はウェブ掲載が必要な場合は、公表の時期、文言及び事前協議を定めます。秘密保持を理由に法令上必要な開示まで禁止する条項は避けます。

第三者から照会を受けた場合の回答方針や、相手方の名称・商標を広告に使わないことを定める場合は、対象媒体と例外を明確にします。

第8 違反時の確認と履行確保

製造販売停止や廃棄義務は、違反の把握方法を定めて初めて実効性が高まります。定期報告、在庫表、販売記録、ウェブ画面、第三者証明又は限定的な監査を検討します。

違約金又は損害賠償額の予定を定める場合は、対象となる違反、算定単位、上限、実損害との関係及び差止請求との関係を明確にします。過大又は不明確な条項は、後の紛争を増やすおそれがあります。

和解調書で強制執行できる条項と、違反後に別訴で立証が必要な条項を区別します。履行不能な抽象条項を並べるより、確認可能な行為と期限に分解します。

第9 条項案のチェックリスト

1 権利番号、権利者、存続期間及び対象請求項等

2 対象製品、型番、図面、標章、著作物及び対象行為

3 過去の責任、将来の差止め及び設計変更品の扱い

4 在庫、半製品、金型、データ、広告及び販売店への対応

5 金銭の性質、金額、期限、実施料及び報告・監査

6 権利不行使、不争約束、実施許諾及び承継人

7 関連訴訟、審判、仮処分、税関手続及び海外手続

8 秘密保持、公表、法令上の開示及び第三者照会

9 不履行時の確認、違約金、差止め及び清算範囲

第10 根拠資料と関連記事

裁判所の公式実務資料として、東京地方裁判所知的財産権部「知的財産権訴訟における和解条項例」を参照しました。同資料は条項例であり、個別事件についての判決又は法令ではありません。

一般的な条項の組立ては、民事訴訟における和解案・和解条項案を参照してください。知財保証との関係は、特許非侵害保証条項と知的財産権侵害の責任転嫁も関連します。

本記事は公表された条項例を論点別に再構成したものです。対象権利の有効性、侵害論、競争法、税務又は海外法の個別判断を示すものではありません。