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Claude Codeの定時実行(スケジュールタスク)を法律事務所で使う前に―ローカルとクラウドの違い,スリープ中の取りこぼし,権限設定及び守秘義務(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

1 対象とする機能と基準日

(1) 対象とする機能

本記事は,Anthropic社のClaude Codeが備える定時実行の機能(画面上の英語表記はScheduled tasks)について,法律事務所で使う前に確かめるべき事項を整理するものである。
対象は,Claudeのデスクトップアプリで自分のパソコン上に登録する定時実行(以下「ローカルの定時実行」という。)と,Anthropic社のクラウドで実行される定時実行(以前の名称はルーティン。以下「クラウドの定時実行」という。)である。

(2) 基準日と変更の可能性

記載は,令和8年10月23日に確認したClaude Codeの公式ドキュメントの要約である。
クラウドの定時実行は研究段階の提供(research preview)とされ,動作,上限及びAPIが変わりうると明記されているから,使う時点で公式ドキュメントを確認し直す必要がある。

2 結論

本記事の結論は,次の4点である。
①依頼者の情報を扱う定時実行は,ローカルの定時実行に限り,クラウドの定時実行には公開情報だけを扱う作業を割り当てることを基本形とする。
②ローカルの定時実行は,パソコンが眠っている間の予定を実行しないから,期日・期限の管理を定時実行だけに任せない。
③権限はタスクごとに設定し,外部への送信,公開,お金の移動及び削除は定時実行に実行させず,下書きと確認の材料の作成にとどめる。
④実行結果の届け先と,端末に残る実行の記録及び指示のファイルを,事件記録と同じ管理の対象として扱う。

第2 定時実行の三つの方式

1 公式ドキュメントが示す比較

(1) 三つの方式の比較表

Claude Codeの公式ドキュメントは,定期的な作業又は1回限りの作業を予約する方法として,クラウドの定時実行,ローカルの定時実行及び開いているセッションの中で繰り返す/loopの三つを挙げ,次のとおり比較している(本記事で訳出・要約したもの)。

項目クラウドローカル(デスクトップ)/loop
実行する場所Anthropic社が管理するクラウド(既定)自分のパソコン自分のパソコン
パソコンの電源切れていてもよい入っている必要がある入っている必要がある
開いたセッション不要不要必要
再起動後継続する継続する再開時に復元される(例外あり)
手元のファイル使えない(毎回新しく複製する)使える使える
権限の確認なし(自律的に実行する)タスクごとに設定するセッションの設定に従う
最短の間隔1時間入力欄では1時間(Claudeに頼めば1分)1分

(2) 本記事で扱う範囲

/loopは,開いているセッションの中で短い間隔の確認を繰り返す用途のものであり,セッションを閉じれば止まる。
以下では,事務所の毎日の作業に組み込む場面で問題になるクラウドの定時実行とローカルの定時実行を扱う。

2 クラウドの定時実行

クラウドの定時実行は,指示文,GitHubのリポジトリ及び外部サービスとの接続(コネクタ)をまとめて保存し,Anthropic社が管理するクラウドで自動的に実行する機能である。
起動の条件として,日時による予定のほか,API呼出し及びGitHubの出来事を設定でき,ノートパソコンを閉じていても動く。
公式ドキュメントによれば,Pro,Max,Team及びEnterpriseの各プランで利用できる。

(1) 確認なしで最後まで実行する

公式ドキュメントは,クラウドの定時実行が完全なクラウドセッションとして自律的に実行され,利用者は権限モードを選ばず,セッションはシェルのコマンド,スキル及び含めたコネクタを承認のために止まることなく使うと説明している。
作成時には接続済みのコネクタがすべて既定で含まれ,含めたコネクタの道具は書込みを含めて実行中に許可なく使えるとされており,公式ドキュメントは,作業に不要なコネクタを外すよう求めている。
また,コネクタを通じた操作は利用者本人の名義で行われ,Slackへの投稿等も利用者が連携したアカウントで行われる。

(2) 保存した指示は実行中の承認にならない

公式ドキュメントは,起動時にセッションへ渡される保存済みの指示は,その時点の利用者の入力ではなく,実行中の行為への承認又は同意として働かないと説明している。
また,実行の一覧に表示される緑色の状態は,セッションが基盤の異常なく始まって終わったことを示すにとどまり,指示した作業が成功したことを意味しないから,実行の記録を開いて実際の作業内容を確かめるよう求めている。

(3) 公式の解説動画

Anthropic社は,クラウドの定時実行(当時の名称はルーティン)の起動条件の決め方,作業に必要な情報の与え方及び実行中の軌道修正を説明する英語の講演動画を,令和8年5月20日に公式チャンネルで公開している。
動画の公開後に機能の名称が改められているので,現在の画面の表記は公式ドキュメントで確かめる必要がある。

3 ローカルの定時実行

(1) 実行の条件と作り方

ローカルの定時実行は,自分のパソコン上で動き,手元のファイルと道具を直接使える。
他方,デスクトップアプリが起動しており,かつ,パソコンが起きている間しか実行されない。
公式ドキュメントによれば,Claude Desktopの版1.1.5368以降で利用でき,Codeタブの「Scheduled」から新しいタスクを作り,詳細設定の「Only on this computer」を有効にすると,パソコン上で動くタスクになる。

(2) 予定の指定方法

予定は,毎時,毎日,平日のみ,毎週の各既定値から選び,作成後の編集画面では手動実行のみ(Manual)とcron式による指定(Custom)も選べる。
cron式はパソコンの現地時刻で解釈され,曜日と月は数字で書き,日曜日は0とされる。
入力欄では1時間より短い間隔を指定できないが,セッションの中でClaudeに頼めば,より短い間隔や1回限りの予定も設定できる。

第3 ローカルの定時実行の動き方

1 予定時刻と取りこぼし

(1) パソコンが眠っている間の予定は実行されない

アプリは,起動している間,予定を1分ごとに確かめ,予定時刻になると,手動で開いているセッションとは別に新しいセッションを始める。
通信の集中を避けるため,各タスクには予定時刻から数分の遅れがあり,同じタスクは毎回同じだけ遅れる。
予定時刻にパソコンが眠っていれば,その回は実行されない。
設定の「Keep computer awake」を有効にすれば待機中のスリープを防げるが,ノートパソコンの蓋を閉じれば眠る。

(2) 追いかけ実行は最も新しい1回だけ

アプリの起動時又はパソコンの復帰時に,各タスクについて過去7日間の取りこぼしが調べられ,取りこぼしがあれば,最も新しい予定時刻の分だけが1回実行され,それより古い分は捨てられる。
公式ドキュメントは,6日間取りこぼした毎日のタスクも復帰時に1回だけ実行されること,及び午前9時の予定がパソコンの眠っていた日には午後11時に実行されうることを示し,時刻が重要な作業では,対象を当日の分に限る等の歯止めを指示文に書くよう勧めている。
法律事務所では,期日・期限の知らせを定時実行だけに任せると,パソコンが眠っていた日の知らせが抜け,又は遅れて届くおそれがあると考えられる。

2 権限の確認で止まる場合

ローカルの定時実行の権限モードはタスクごとに設定し,利用者フォルダの.claudeフォルダにある設定ファイル(settings.json)の許可ルールも適用される。
手動で承認するモード(Manual)では,許可されていない道具を使おうとすると,承認されるまでその回は止まる。
公式ドキュメントは,作成直後に「Run now」で一度実行し,確認が出た道具に「always allow」を選べば,以後のその作業は同じ道具を自動で承認すること,及びその許可はタスクの詳細画面で確認・取消しができることを説明している。
MCPの道具のうち毎回の確認を求める設定(requiresUserInteraction)のものは,always allowを選べないので,その道具を使う回は毎回止まる。

3 指示のファイルと実行の記録

(1) 指示のファイルはタスクを削除しても残る

指示文は,利用者フォルダの.claudeフォルダの中のscheduled-tasksフォルダに,タスクごとのSKILL.mdとして保存され,書き換えると次の回から反映される。
予定,作業フォルダ,モデル及び有効・停止の状態は,このファイルには含まれない。
タスクを削除しても,実行したセッションはアーカイブされるだけで削除されず,SKILL.mdを収めたフォルダも端末に残る。
また,既定では作業フォルダをそのままの状態(保存前の変更を含む)で使い,Gitのリポジトリであれば,回ごとに独立した作業ツリーを使う設定(Worktree)も選べる。

(2) 実行の記録は期間の制限なく残りうる

Claude Codeは,端末の会話記録を既定で30日を過ぎると削除する。
もっとも,公式ドキュメントによれば,デスクトップアプリ又はCoworkで開始し,又は直近に続けたセッションの記録は,既定では期間を問わず保存され,別の設定項目(desktopSessionCleanupPeriodDays)で保存期間を設けることができる(Claude Codeの版2.1.248以降)。
ローカルの定時実行の各回もデスクトップアプリが開始するセッションであるから,同じ扱いを受けると考えられる。
実行の記録には,読み込ませたメールや文書の内容がそのまま残りうるから,事件記録と同じく端末の暗号化とアクセス制御で保護し,事件終了時に残っているかを確かめる対象に含めることが考えられる。

第4 法律事務所で使うときの線引き

1 守秘義務と実行場所

(1) 関係する条文

弁護士法23条は,「弁護士又は弁護士であつた者は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う。但し、法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」と定める。
弁護士職務基本規程23条は,「弁護士は、正当な理由なく、依頼者について職務上知り得た秘密を他に漏らし、又は利用してはならない。」と定める。
同規程18条は,「弁護士は、事件記録を保管し、又は廃棄するに際しては、秘密及びプライバシーに関する情報が漏れないように注意しなければならない。」と定める。

(2) ローカルとクラウドで変わる点

ローカルの定時実行でも,読み込んだ内容は回答を生成するためにAnthropic社へ送信されるから,この点は対話で使う場合と変わらない。
学習設定や保持期間を確かめた上でClaude Codeを使うことの評価は,学習オフ設定のClaudeコード及びGoogle AI Ultraの利用は弁護士の守秘義務等に違反しないという個人的意見で述べたとおりであり,定時実行であることだけで結論が変わるものではない。

他方,クラウドの定時実行では,リポジトリがAnthropic社の管理する隔離された仮想マシンに複製され,同社がセッションの記録を保存し,その記録はアカウントの種類に応じた保持・利用の方針に従う。
加えて,前記第2の2のとおり,含めたコネクタを確認なしに使う。
そこで本記事では,依頼者の情報を扱う定時実行はローカルの定時実行に限り,クラウドの定時実行には,公開された判例・法令・官報の確認のような公開情報だけを扱う作業を割り当てることを基本形とする。

2 期日・期限の管理

(1) 定時実行を期限管理の正本にしない

前記第3の1のとおり,ローカルの定時実行は,パソコンが眠っていた回を実行せず,追いかけて実行するのも最も新しい1回だけである。
期日・期限は事件管理の台帳等を正本とし,定時実行は,その台帳を読んで近い期限を知らせる補助に用いることが考えられる。
事件管理システムとAIの役割の分け方は,法律事務所のAI・事件管理システム連携で整理している。

(2) 日数と件数はプログラムで数える

期限までの日数や未処理の件数は,AIに文章の中で数えさせず,プログラムで計算した値を知らせに載せる方が,数え違いを避けやすい。
その理由は,AIに「判断」と「文章作成」を分けて任せるで述べている。

3 権限と承認の設計

(1) 作業を性質で三つに分ける

定時実行に任せる作業は,①やり直しのきく事務所内の作業(公開資料の収集,下書き,集計等),②結果を人が見てから実行に移す作業,③定時実行には実行させない作業(外部への送信,公開,お金の移動及び削除)に分けることが考えられる。
③に当たる作業は,定時実行には下書きと確認の材料を作らせるにとどめ,実行は弁護士自身が行う。
ローカルの定時実行でalways allowを付ける道具も,③に当たる操作をしないものに限る。

(2) 確認を出しすぎない

承認を求める確認が多すぎると,内容を読まずに承認する危険が生じる。
承認疲れと最小権限の考え方は,法律事務所がAIエージェントに専用PCを与えるときの安全設計で整理している。

4 届け先と記録

(1) 結果の届け先を増やさない

定時実行の結果を外部のチャットサービスへ届ける設定にすると,依頼者の情報の置き場が一つ増え,そのサービスの保存条件やアクセス権限も確かめる対象になる。
依頼者の情報を含む結果は,デスクトップアプリの実行履歴又は自分宛ての下書きにとどめることが考えられる。

(2) 事件終了時の確認

前記第3の3のとおり,タスクを削除するだけでは,指示のファイルのフォルダと実行の記録が端末に残る。
事件終了時には,その事件の情報を読み込ませたタスクについて,タスク,指示のファイル及び実行の記録の扱いを確かめ,残すものは事件記録として管理する。
AIアプリの記録が端末に残る仕組みは,AIアプリでチャットを「アーカイブ」「削除」しても端末に記録は残るかも参照されたい。

5 預り金の照合への応用

弁護士職務基本規程38条は,「弁護士は、事件に関して依頼者、相手方その他利害関係人から金員を預かったときは、自己の金員と区別し、預り金であることを明確にする方法で保管し、その状況を記録しなければならない。」と定める。
ローカルの定時実行で,預り金の記録と口座の入出金を毎朝突き合わせ,ずれがあった日だけ知らせる使い方が考えられる。
もっとも,出金・振込と依頼者への報告は弁護士自身が行い,口座の明細を読み込ませる処理は前記1と同じ線で扱う。
預り金の規律と懲戒例は,弁護士の預り金の管理と懲戒で整理している。

第5 使い始めるときの手順

①最初は,公開された判例・官報・法令改正の確認のように,公開情報だけを扱う作業で1本作り,「Run now」で実行して,結果と確認の出方を見る。
②依頼者の情報を扱うタスクは,作業フォルダ,読み込む資料及び使う道具を事件ごとに絞る。
③always allowは,外部への送信,公開及び削除をしない道具に限る。
④指示文には,対象とする期間(当日の分だけ等),予定より遅れて実行されたときの扱い及び異常がない日は報告を短くすることを書く。
⑤実行の履歴を定期的に開き,実行されなかった回の有無と,実行された回の作業内容を確かめる。
⑥期日・期限の正本は台帳に置き,定時実行は補助にとどめる。
⑦事件終了時に,タスク,指示のファイル及び実行の記録の扱いを確かめる。

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第7 出典・参考資料

1 法令・会規

①弁護士法(昭和24年法律第205号)23条(e-Gov法令検索,令和8年10月23日確認)
②弁護士職務基本規程(平成16年11月10日会規第70号)18条・23条・38条(日本弁護士連合会)

2 Anthropic社の公式資料

①Claude Code Docs「Schedule recurring tasks in Claude Code Desktop」(令和8年10月23日確認)
②Claude Code Docs「Automate work with scheduled tasks」(令和8年10月23日確認)
③Claude Code Docs「Run prompts on a schedule」(令和8年10月23日確認)
④Claude Code Docs「Data usage」(令和8年10月23日確認)
⑤Claude Code Docs「Explore the .claude directory」(令和8年10月23日確認)
⑥Claude(Anthropic社の公式YouTubeチャンネル)「Build a proactive agent workflow with Claude Code」(令和8年5月20日公開)