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オーストラリア法の養育費はいくら?計算方法・何歳まで・不払い・日本からの請求(AI作成)

第1 結論―固定の月額ではなく,双方の所得・監護割合等で決まる

オーストラリアの養育費(child support)には,「子1人なら毎月一律いくら」という固定相場はない。
Services Australiaは,父母双方のadjusted taxable incomeから自己扶養額等を差し引き,双方の所得割合,各親の監護割合,子の人数及び年齢から年間額を査定する。
そのため,支払親の収入が同じでも,相手方の収入,子と過ごす日数,子の年齢及び他に扶養する子の有無等によって金額は変わる。

日本の「手取り25万円」だけを豪ドルへ換算しても,オーストラリア法の養育費は計算できない。
通常の行政査定は子が18歳になると終了するが,子が全日制の中等教育を続ける場合には,17歳のうちに申請して18歳になる学年の終了日まで延長できる場合がある。

日本とオーストラリアに父母又は子が分かれて住む事件では,豪州法上の査定額だけでなく,誰がどこで申請できるか,どの国に相手方の給与・預金等があるか,日本又は豪州の判断を他国で利用できるかを分けて確認する必要がある。
本記事は,令和8年10月16日現在の豪州連邦法,西オーストラリア州法及びServices Australiaの公開資料に基づき,行政査定の基本を説明する。
Services Australiaの行政査定は豪州のchild support schemeとして扱われる一方,成年子の裁判所命令等では西オーストラリア州法を含む適用法・裁判所の確認が必要であり,親子関係自体の争い及び個別の国際裁判管轄・外国裁判承認も具体的事案ごとに別途検討する必要がある。

第2 オーストラリア法の養育費制度

1 行政査定が中心となる

Child Support (Assessment) Act 1989は,父母が子を扶養する義務を負うことを前提に,Services AustraliaのRegistrarによる行政査定の仕組みを定めている。
行政査定を利用できる場面では,裁判所が日本の養育費算定表に相当する表を使って毎月額を決めるのではなく,法定の計算式によって年間額が算出される。
Services Australiaは,別居している父母及び一定の非親監護者に対し,査定,支払管理及び回収のサービスを提供する。

2 親責任・居住時間と養育費は同じ問題ではない

親が子について重要事項を共同で決めること,子が各親と過ごす時間及び養育費は別の問題である。
子と過ごす時間は養育費の計算要素になるが,共同決定をする命令があることだけで養育費が半額又はゼロになるわけではない。
反対に,養育費を支払っていることだけで,特定の居住日程又は親子交流が当然に認められるわけでもない。

第3 養育費を計算する8段階

Services Australiaの基本式は,父母間の一つのchild support caseで非親監護者がいない場合,おおむね次の8段階である。

1 各親のchild support incomeを出す

adjusted taxable incomeから,自己扶養額及び一定の扶養控除額等を差し引く。
令和8年に始まるchild support periodの自己扶養額は,各親につき年3万1046豪ドルである。
adjusted taxable incomeには課税所得だけでなく,一定の海外所得,報告対象のフリンジベネフィット,退職年金への追加拠出等が含まれ得るため,日本の給与明細の手取り額とは一致しない。

2 父母のchild support incomeを合算する

第1段階で得た双方の金額を足し,combined child support incomeを出す。

3 各親の所得割合を出す

各親のchild support incomeをcombined child support incomeで割り,income percentageを出す。

4 各親の監護割合を出す

1年間に子を監護する日数等からpercentage of careを定める。

5 監護割合を費用割合に換算する

監護割合は,子の費用を直接負担している割合であるcost percentageへ換算される。
令和8年の表は次のとおりである。

監護割合年間の宿泊数の目安費用割合
0~13%0~51泊0%
14~34%52~127泊24%
35~47%128~175泊25%に35%超の監護1ポイントごとに2ポイントを加える
48~52%176~189泊50%
53~65%190~237泊51%に53%超の監護1ポイントごとに2ポイントを加える
66~86%238~313泊76%
87~100%314~365泊100%

6 child support percentageを出す

所得割合から費用割合を引く。
結果がプラスの親は,所得に応じた負担のうち監護によって直接負担していない部分があるため,通常は支払う側になる。
結果がマイナスの親は,所得割合よりも大きな費用を監護によって直接負担しているため,通常は受け取る側になる。

7 子の費用を出す

combined child support income,子の人数及び子が12歳以下か13歳以上かに応じて,Costs of Children tableから年間の子の費用を出す。
令和8年に始まるchild support periodについて,子1人・12歳以下・合算所得が4万6570豪ドルから9万3137豪ドルまでの場合は,7917豪ドルに,4万6569豪ドルを超える部分の15%を加える。
同じ所得帯でも子が13歳以上なら,1万711豪ドルに,4万6569豪ドルを超える部分の22%を加える。

8 年間支払額を出す

プラスとなったchild support percentageに子の費用を掛け,原則的な年間支払額を出す。
複数のchild support case,非親監護者,低所得者の固定額・最低額,関連扶養児童,特別事情又は当事者間の合意がある場合は,この単純な基本式だけでは決まらない。

第4 オーストラリアの養育費はいくらか

1 子1人当たりの固定月額はない

オーストラリアの養育費は,父母双方の所得と監護割合を比較して決まるため,「1人当たり毎月○豪ドル」と一律には答えられない。
金額を概算するには,少なくとも双方のadjusted taxable income,子の人数・年齢,各親の年間監護日数,他の扶養児童及び既存のchild support caseが必要である。

2 令和8年の単純計算例

父Aのadjusted taxable incomeを年8万豪ドル,母Bのadjusted taxable incomeを年5万豪ドル,子を12歳以下の1人とし,他の扶養控除等がない単純例を考える。
各親から令和8年の自己扶養額3万1046豪ドルを引くと,Aのchild support incomeは4万8954豪ドル,Bは1万8954豪ドルであり,合計は6万7908豪ドルとなる。
Aの所得割合は約72.09%である。

Aの監護割合が20%であれば,費用割合は24%であり,child support percentageは約48.09%となる。
子の費用は,7917豪ドルに6万7908豪ドルと4万6569豪ドルの差額の15%を加え,年1万1117.85豪ドルとなる。
したがって,この単純例のAの支払額は年約5346.43豪ドル,月平均約445.54豪ドルとなる。

これは制度を説明するための概算例であり,Services Australiaの正式査定では,期間の日割り,丸め,所得資料,関連扶養児童,複数事件,最低額その他の事情によって異なる結果となり得る。

3 手取り25万円ならいくらか

日本の手取り月額が25万円という情報だけでは,豪州の養育費を算定できない。
日本の年収又は所得を豪ドルへ換算するだけでなく,豪州法上のadjusted taxable incomeとして何を含めるか,相手方の所得,自己扶養額,監護割合,子の年齢・人数及び適用される国際案件用の式を確認する必要がある。
日本の養育費算定表による月額と豪州のadministrative assessmentは別制度であり,金額を直接比較して有利な方を自由に選べるわけではない。

第5 共同養育なら養育費はゼロになるか

共同養育又は監護時間が半分ずつであっても,養育費が当然にゼロになるわけではない。
前記の例でAとBが子を50%ずつ監護すると,Aの費用割合は50%であるが,所得割合は約72.09%であるため,child support percentageは約22.09%残る。
同じ子の費用を用いた単純計算では,Aの支払額は年約2455.79豪ドル,月平均約204.65豪ドルとなる。

監護が等しくても所得に差があれば,所得割合と費用割合の差を調整するための支払いが生じ得る。
反対に,監護割合の変更は金額だけでなくFamily Tax Benefit等にも影響し得るため,実際の養育状況と届出を一致させる必要がある。

第6 養育費は何歳までか

1 行政査定は通常18歳までである

Services Australiaのchild support assessmentは,通常,子が18歳になると終了する。
新たな行政査定の申請対象となる子も,原則として18歳未満で,夫婦又は事実婚の一員でないこと等が必要である。

2 全日制中等教育中は学年末まで延長できる場合がある

子が18歳になる年に全日制の中等教育を受けている場合,受取側の親は,原則として子が17歳のうちに,査定又は一定の合意をその学年の終了日まで延長するよう申請できる。
学年の終了日は,授業の最終日又は試験期間の最終日の遅い方で判断される。
18歳になった後の申請は,期限前に申請できなかった例外的事情がある場合に限られるため,進学予定がある事件では17歳の段階で確認する必要がある。

3 成年子の裁判所命令は別である

Family Law Act 1975の66L条は,18歳以上の子について,教育を完了するため又は障害のために必要な場合に,裁判所がchild maintenance orderを出せる余地を定めている。
西オーストラリア州では,同州Family Court Act 1997の123条が,教育を完了するため又は心身の障害のために必要な場合について,同様に成年子の扶養命令を定めている。
したがって,通常の行政査定の学年末延長と成年子についての裁判所命令を区別し,事件の法域と適用法を確認して申立先及び根拠条文を特定する必要がある。

第7 父母の合意と行政査定

1 行政査定と合意を区別する

父母はServices Australiaの査定を受けるほか,法律上の要件を満たすchild support agreementを作ることができる。
binding child support agreementは,書面を双方が署名し,双方がそれぞれ独立の法律助言を受けることを要する。
合意額は行政査定額と同じである必要はないが,将来の事情変更があっても容易に終了できない場合があるため,支払額だけでなく終期,学校費・医療費等の扱い,支払方法及び終了事由を確認する必要がある。

2 特別事情による査定変更

算定式の結果が,特別な教育費,医療上の必要,高額な親子交流費用,父母の実際の財産・収入又は子の資産等を反映せず不公平となる場合には,所定の手続でchange of assessmentを申し立てられることがある。
単に算定結果に不満であるだけでは足りず,所定の理由と裏付け資料が必要である。
申立資料の一部は相手方へ提供されるため,DVその他の安全上の問題がある場合は,住所・連絡先等の取扱いを申請前にServices Australiaへ相談する必要がある。

第8 養育費を払わない場合の回収

1 私的回収とServices Australiaによる回収

当事者が支払いを直接管理するPrivate Collectと,Services Australiaが徴収して受取側へ移すChild Support Collectは区別される。
Private Collectで未払いが生じた後にChild Support Collectへ変更しても,過去の全期間が自動的に回収対象となるとは限らないため,滞納月,支払期日,入金額及び合意・査定の内容を早期に整理する必要がある。

2 豪州内の回収措置

Services Australiaは,登録された滞納について,政府給付からの控除,税還付の充当,給与又は銀行口座からの控除,他の組織を通じた徴収,調査及び法的措置を用いることがある。
滞納があり,適切な支払取決めにも応じない支払親が豪州から出国しようとする場合,Departure Prohibition Orderにより出国を止めることもあり,この措置には裁判所命令を要しないと説明されている。
これらは豪州当局が豪州内で用いる回収手段であり,日本にある給与又は預金へ自動的に及ぶものではない。

第9 日本に住んでいても請求できるか

1 日本は豪州の相互取扱国一覧にない

Services Australiaは,養育費の相互取扱いをする国をreciprocating jurisdictionsとして列挙している。
令和8年10月16日現在,日本は同一覧にも,Australian assessmentを受け入れられないexcluded jurisdictionsの一覧にも掲載されておらず,同ページの定義上はnon-reciprocating jurisdictionに当たる。
したがって,日本と豪州の間で,豪州の行政査定又は裁判所命令が相互取扱国と同じ行政ルートにより当然に送付・回収されるとはいえない。

2 日本居住でも豪州側が扱える場合がある

受取側が日本に住んでいても,子が豪州市民で,支払親が豪州に住む場合等には,豪州の行政査定を申請し,登録後に豪州内の支払親からServices Australiaが回収できる可能性がある。
Services Australiaは,豪州国外のnon-reciprocating jurisdictionに住む者向けの申請フォームを用意しており,申請可否は,子の国籍・通常居住地,父母の居住地,どちらが支払親となる見込みか,既存の合意・査定・裁判及び対象財産の所在地によって変わる。

3 支払親が日本にいる場合は別の工程が必要である

支払親の給与・預金等が日本にしかない場合,豪州の査定又は回収手段だけで日本の財産を差し押さえることはできない。
日本の裁判所で新たに請求するか,豪州の裁判又は合意を日本でどのように扱えるか,日本で執行できる債務名義を確保できるかを検討する必要がある。
この場合,適用法,国際裁判管轄,外国裁判の承認及び強制執行を一つの問題としてまとめず,順に確認する。

第10 養育費と子育て支援制度の違い

オーストラリアには,別居親間のchild supportとは別に,子育て世帯に対する政府給付がある。
Parenting Paymentは,幼い子の主たる監護者に対する所得保障であり,所得・資産,子の年齢,主たる監護者及び居住に関する要件がある。
Family Tax Benefitは,子を育てる費用を助ける二部構成の給付であり,子の年齢,監護割合及び所得等の要件がある。
child supportの受取額はFamily Tax Benefit Part Aの額に影響し得るため,養育費と政府給付を別々の収入として単純に足し合わせることはできない。

第11 申請・相談前の確認事項

オーストラリアの養育費を検討するときは,次の資料と事実を整理するとよい。

1 子,父母及び監護者の国籍,住所,通常居住地及び移動時期。
2 出生証明書,戸籍,親子関係又は養子関係を示す資料。
3 父母双方の直近の課税所得,adjusted taxable incomeに関係する給付・海外所得・退職年金拠出等。
4 子の年齢,在学状況及び全日制中等教育の学年終了日。
5 各親が子を監護する年間日数,宿泊日数及び実際の養育状況。
6 他に扶養する子及び別のchild support caseの有無。
7 行政査定,child support agreement,裁判所命令及び変更決定の全文。
8 支払済額,未払月,支払期日,送金記録及び一部弁済の充当状況。
9 相手方の勤務先,金融機関その他の財産が所在する国。
10 DV,住所秘匿,連絡制限又は安全上の措置が必要か。

第12 よくある質問

1 オーストラリアの養育費は1人当たり毎月いくらですか

固定月額はなく,父母双方の所得,監護割合,子の年齢・人数等から年間額を査定するため,双方の資料が必要である。

2 手取り25万円ならいくらですか

日本の手取り月額だけでは計算できず,豪州法上のadjusted taxable income,相手方所得,監護割合及び子の事情を確認する必要がある。

3 共同養育なら養育費はゼロですか

監護割合が50%ずつでも,所得割合に差があれば養育費が発生し得る。

4 オーストラリアの養育費は何歳までですか

通常は18歳までであるが,全日制中等教育中に18歳となる場合は,期限前の申請によりその学年末まで延長できる場合がある。

5 養育費を払わないとどうなりますか

豪州内では,Services Australiaが給与・銀行口座・税還付等から徴収し,法的措置又は出国禁止命令を用いることがある。

6 日本に住んでいても請求できますか

子が豪州市民で支払親が豪州に住む場合等には豪州査定を利用できる可能性があるが,日本は豪州の相互取扱国一覧にないため,父母・子の居住地,国籍及び財産所在地ごとに経路を確認する必要がある。

7 オーストラリアに子育て支援制度はありますか

Parenting Payment及びFamily Tax Benefit等があるが,別居親間のchild supportとは別制度であり,それぞれ所得・資産,居住,子の年齢又は監護割合等の要件がある。

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第14 出典・調査範囲

1 豪州連邦法及び西オーストラリア州法

①Child Support (Assessment) Act 1989(令和8年7月1日現在のCompilation No.71)

②Family Law Act 1975(令和7年6月10日現在のCompilation No.101),66L条

③Western Australia, Family Court Act 1997,123条(PDF166頁)

2 豪州政府資料

①Services Australia「Basic child support formula」

②Services Australia「The child support assessment formula」

③Services Australia「How your income affects your child support」

④Services Australia「Child support when your child turns 18」

⑤Services Australia「How we recover child support debts」

⑥Services Australia「Reciprocating jurisdictions and residency」

⑦Services Australia「Receiving child support when you live outside Australia」

⑧Services Australia「Application for child support assessment – Non-parent carer and outside Australia」

⑨Services Australia「Parenting Payment」

⑩Services Australia「Family Tax Benefit」

⑪Services Australia「日本語」

3 調査上の留保

本記事は公開された法令及び行政資料の一般的説明であり,個別事件について豪州又は日本の裁判所がどの法を適用し,どの判断を承認・執行するかを断定するものではない。
自己扶養額,子の費用表,固定額・最低額その他の数値は毎年更新されるため,申請時点のServices Australiaの資料で再確認する必要がある。
外国法の日本語説明は原文の要約・仮訳であり,公定訳ではない。