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ベトナム法の養育費―金額・支払期間・未払いと日越間の請求・執行(AI作成)

第1 ベトナム法の養育費を検討する順序

ベトナム婚姻家族法は,養育費を含む扶養を「cấp dưỡng」と表現し,扶養義務者が,別居する未成年者又は働く能力と自活できる財産がない成年者等の必要不可欠な需要を満たすため,金銭その他の財産を給付することと定義している。
離婚後の子に対する養育費も,この扶養制度の一部として定められている。

ベトナム人の親が関係するだけで,常にベトナム法が適用されるわけではない。
日本とベトナムにまたがる事件では,金額を計算する前に,準拠法,裁判管轄,既存の合意・裁判及び相手方財産の所在地を分けて確認する必要がある。

最初に確認する事項確認する内容混同してはならない事項
準拠法どの国の法が養育費請求に適用されるか親又は子の国籍だけでは決まらない
手続国どの国の裁判所その他の機関を利用できるか準拠法と裁判管轄は別である
既存文書合意書,調停調書,審判,判決等の有無と効力離婚の成立と養育費の給付は別に確認する
回収先義務者の住所,勤務先,預金,不動産等がどの国にあるか日本の執行手続はベトナムの財産に直接及ばない

第2 離婚後に誰が養育費を負担するか

ベトナム婚姻家族法82条2項は,離婚後に子を直接養育しない親が子を扶養する義務を負うと定める。
同条3項は,子を直接養育しない親に面会・世話をする権利と義務も認めている。

同法110条は,子と同居しない親又は同居していても扶養義務に違反する親が,未成年の子及び働く能力がなく自活できる財産もない成年の子を扶養する義務を定める。
離婚したかどうかだけでなく,親子関係,子を直接養育する者,子の年齢・能力・財産及び既存の合意又は裁判を確認する。

同法107条は,扶養義務を他の義務で置き換え,又は他人へ移転することができないと定める。
離婚時の財産分与,一括金又は他の債務と養育費を調整するときは,何が養育費の履行に当たるかを合意書に明記する必要がある。

第3 ベトナム法の養育費はいくらか

ベトナム婚姻家族法116条1項は,扶養義務者と扶養を受ける者又はその後見人が,義務者の現実の収入・能力と,扶養を受ける者の必要不可欠な需要を基礎に金額を合意すると定める。
合意できない場合は,裁判所へ判断を求めることができる。

同条は,全国一律の月額,最低額又は収入に対する固定割合を定めていない。
インターネット上の「相場」だけから金額を決めず,父母双方の収入・資産・他の扶養負担,子の生活費・住居費・教育費・医療費その他の具体的需要を資料で示す必要がある。

義務者の「能力」は,給与明細の金額だけで判断できるとは限らない。
事業収入,銀行取引,財産,職業,生活実態及び他の扶養義務を確認し,子の需要についても通常費用と臨時の教育・医療費を分けて整理する。

第4 支払方法と金額の変更

ベトナム婚姻家族法117条は,扶養を月払,四半期払,半年払,年払又は一括払で行うことができると定める。
当事者が国をまたいで生活する場合は,支払額だけでなく,通貨,換算日,支払日,送金先,送金手数料,送金不能時の連絡方法及び支払証明の保存方法を定める必要がある。

一括払いは常に有利とは限らない。
対象期間,算定の前提,為替・物価の変動,進学・医療等による追加費用及び将来の事情変更をどのように扱うかを明確にする。

同法116条2項は,合理的な理由があるときは扶養額を変更できるとし,当事者が合意できない場合は裁判所へ判断を求めることができると定める。
同法117条は,義務者が経済的困難に陥って履行できないときの方法変更又は一時停止についても,合意できなければ裁判所へ判断を求める仕組みを置いている。

第5 ベトナム法の養育費は何歳までか

「ベトナム法の養育費は一律に18歳まで」とだけ説明するのは正確ではない。
婚姻家族法110条は,未成年の子に加え,成年の子でも,働く能力がなく,自活できる財産がない場合を扶養の対象としている。

同法118条は,扶養を受ける者が成年となり,働く能力又は自活できる財産を有する場合,養子縁組が成立した場合,扶養義務者がその者を直接養育する場合,義務者又は受給者が死亡した場合等を扶養義務の終了原因として掲げる。
子の年齢だけでなく,労働能力,財産,養子縁組,直接養育への変更及び既存文書の内容を確認する必要がある。

当事者が終期を合意するときは,「成年に達する月」などの抽象的な表現だけでなく,具体的な日,進学中の扱い,障害等により自活できない場合及び終期前後に発生する教育・医療費をどのように扱うかを定める。

第6 ベトナムで未払い養育費を請求する場合

婚姻家族法119条1項は,扶養を受ける者,その親又は後見人が,任意に扶養義務を履行しない者に対し,裁判所へ履行を求めることができると定める。
同条2項は,近親者,家族又は子を担当する国家管理機関及び女性連合にも,所定の申立権を認めている。

請求前には,親子関係,直接養育者,既存の合意又は裁判,毎回の支払期,支払済額,未払額,義務者の住所・勤務先及び財産を整理する。
既にベトナムの裁判所の判断等がある場合も,それが確定又は執行可能な文書か,給付額と対象期間が特定されているかを原文で確認する。

裁判所が扶養義務を認めることと,現実に回収できることは同じではない。
ベトナム国内での具体的な強制執行は,執行可能な文書,申立期間,管轄機関,債務者の識別情報及び差押え可能な財産について,最新のベトナム民事執行法制と現地実務を確認する必要がある。

第7 ベトナムで外国要素のある扶養を扱う場合

婚姻家族法129条1項は,外国要素のある扶養義務について,扶養請求者が居住する国の法律によると定め,扶養請求者がベトナムに居住地を有しない場合にはその国籍国法を適用するとの文言を置く。
同条2項は,扶養請求者の居住国の機関が,その書面による請求を処理する権限を有すると定める。

この規定は,ベトナムの機関が外国要素のある扶養事件を処理するときの規定である。
日本の裁判所が準拠法を決めるときに,ベトナム婚姻家族法129条を日本の抵触法規則の代わりに用いるものではない。

同法124条は,外国機関が作成・交付・証明した婚姻家族関係の文書について,条約又は相互主義による免除がない限り,領事認証を求めている。
実際の提出では,文書の種類,原本・謄本,ベトナム語訳,公証,認証及び提出先の最新運用を確認する。

第8 日本の裁判所で準拠法を決める場合

日本の裁判所で親子間の扶養義務を判断する場合は,扶養義務の準拠法に関する法律2条を確認する。
同条は,まず扶養権利者の常居所地法によるものとし,その法律によれば扶養を受けることができない場合は当事者の共通本国法,それでも扶養を受けることができない場合は日本法へ進む仕組みを定める。

例えば,養育費を請求する子が日本に常居所を有する場合は,親がベトナム国籍であるという理由だけで直ちにベトナム法を適用するのではなく,まず日本法が検討対象となる。
反対に,子がベトナムに常居所を有する場合は,まずベトナム法を確認することになる。

常居所は住民票又は在留資格だけで機械的に決めるものではない。
子の生活の本拠,居住期間,家族・学校・医療との結び付き,転居の経緯及び将来予定を具体的に確認する。

第9 ベトナムの判断を日本で使う場合

ベトナムの裁判所が養育費の支払を命じても,日本で当然に強制執行できるわけではない。
まず,文書の作成主体,裁判の確定性,債権者・債務者,給付額,対象期間,送達及び相手方の手続保障を確認する。

家事事件手続法79条の2は,外国裁判所の家事事件についての確定した裁判等について,性質に反しない限り民事訴訟法118条を準用する。
承認され得ることと,日本国内の給与・預金等から強制回収できることも別であり,民事執行法24条による執行判決その他の手続を確認する必要がある。

離婚という身分関係の部分と,養育費という金銭給付の部分を分けて検討する。
ベトナムの離婚判決が日本で扱われたという事実だけから,養育費部分も直ちに執行できるとは判断しない。

第10 日本の判断をベトナムで使う場合

日本の調停調書,審判又は判決を取得しても,ベトナムにある給与,預金又は不動産へ日本の執行手続を直接及ぼすことはできない。
ベトナム婚姻家族法125条は,執行を求める外国裁判所の婚姻家族関係の判決・決定の承認を,ベトナム民事訴訟法に従って処理すると定める。

ベトナム民事訴訟法の公式属性ページでは,同法が近時の改正により一部失効していることが示されている。
したがって,申立て時には,その時点の統合条文,外国裁判の承認・執行の対象,条約又は相互主義,拒絶事由,管轄裁判所,申立期間及び必要書類を確認する。

日本のどの文書がベトナム法上の承認・執行の対象になるかは,文書名だけでは決まらない。
確定証明,送達証明,ベトナム語訳,認証,未払額計算,相手方の住所及び財産所在地を準備し,具体的事件ではベトナム法の専門家に最新実務を照会する。

第11 2007年ハーグ扶養条約を利用できるか

2007年ハーグ扶養条約の締約状況表は,令和8年9月16日更新の表に日本及びベトナムを締約当事者として掲載していない。
そのため,日越間の養育費請求について,同条約の中央当局を通じた回収ルートを当然に利用できるものとして手続を組み立てることはできない。

条約を利用できないことは,日越間で養育費を請求できないことを意味しない。
新たな本案手続,外国判断の承認・執行,義務者がいる国の手続及び財産所在地国の執行手続を,事件ごとに検討する。

第12 親権・監護・面会交流と養育費の関係

親権・監護,面会交流及び養育費は関連するが,同じ権利義務ではない。
ベトナム婚姻家族法82条も,子を直接養育しない親の扶養義務と,面会・世話をする権利義務を別の項で定めている。

面会交流が実施されないことを理由に,養育費を当然に相殺又は停止できるとは扱わない。
自己判断で支払を止めず,面会交流の実施,扶養額・支払方法の変更及び子の利益を,それぞれの制度に従って解決する必要がある。

第13 相談時にそろえる資料

① 子,直接養育する親及び支払義務者の氏名,生年月日,国籍,重国籍,住所,居所及び常居所の変遷を示す資料をそろえる。
② 出生証明書,戸籍,婚姻・離婚資料,親子関係,親権及び監護に関する合意又は裁判をそろえる。
③ 養育費の合意書,調停調書,審判,判決その他の文書の原本又は正式な謄本,確定・発効及び送達を示す資料をそろえる。
④ 父母双方の給与,事業収入,財産,他の扶養負担及び生活状況を示す資料をそろえる。
⑤ 子の生活費,住居費,教育費,医療費,障害・特別支出及び変更理由を示す資料をそろえる。
⑥ 支払開始日,各回の支払期,通貨,支払済額,未払額,送金記録及び変更合意を一つの表にする。
⑦ 義務者の勤務先,銀行口座,不動産その他の財産の国・地域を確認する。
⑧ 提出先ごとに翻訳,公証,領事認証及び原本提出の要否を確認する。

同じ未払分について日本とベトナムで手続を進める場合は,二重回収を避けるため,請求額,入金及び各手続の進行を一元管理する。
相談時には,「日本で新たに請求する」「ベトナムの判断を日本で使う」「日本の判断をベトナムで使う」のどの経路を検討しているかを明記する。

第14 ベトナム法の養育費に関するよくある質問

1 ベトナム法の養育費はいくらですか

全国一律の金額又は収入に対する固定割合ではない。
義務者の現実の収入・能力と,子の必要不可欠な需要を基礎に合意し,合意できなければ裁判所が判断する。

2 離婚後も養育費を支払う義務がありますか

子を直接養育しない親には扶養義務がある。
離婚したことによって親子関係又は子に対する扶養義務が当然に消滅するものではない。

3 養育費は18歳で必ず終わりますか

一律に18歳で終了するとは限らない。
未成年の子に加え,成年後も働く能力がなく自活できる財産がない子が対象となる場合があり,終了原因は婚姻家族法118条と具体的事情から確認する。

4 養育費を一括で支払えますか

婚姻家族法117条は一括払いを認めている。
国際案件では,対象期間,通貨,換算日,送金手数料,将来の教育・医療費及び事情変更時の扱いを合意書に明記する必要がある。

5 相手がベトナムへ帰国した場合,日本から請求できますか

請求の可能性はあるが,準拠法,裁判管轄,送達,取得済み文書の種類,承認・執行要件及び財産所在地を具体的に確認する必要がある。
日本の判断があっても,ベトナムの財産へ日本の差押え手続を直接及ぼすことはできない。

6 ベトナム人の親であればベトナム法が適用されますか

国籍だけでは決まらない。
日本の裁判所では,扶養権利者である子の常居所地法を第一順位とする日本の抵触法規則に従って準拠法を決める。

第15 関連記事と主要資料

日越間を含む国際養育費の管轄,準拠法及び外国裁判の承認・執行の全体像は,国際養育費の請求と回収を参照されたい。
準拠法の段階的な決め方は,国際扶養の準拠法で整理している。
国際離婚における離婚,財産分与,慰謝料及び子に関する事項の切分けは,国際離婚の手続選択と日本の国際裁判管轄・準拠法を参照されたい。
日本国内の財産からの回収方法は,養育費を払わない場合の回収方法を参照されたい。

本記事は,令和8年10月16日現在の次のベトナム法,日本法及び条約締約状況を基礎とする。
外国法の日本語説明は公式英訳とベトナム語の現行法令ページを基礎に要約したものであり,公定の日本語訳ではない。

① ベトナム婚姻家族法52/2014/QH13(公式英語版) https://vbpl.vn/TW/Pages/vbpqen-toanvan.aspx?ItemID=11018
② ベトナム婚姻家族法52/2014/QH13(公式ベトナム語版) https://vbpl.moj.gov.vn/botuphap/Pages/vbpq-toanvan.aspx?ItemID=36870&dvid=41
③ ベトナム民事訴訟法92/2015/QH13(公式属性ページ) https://vbpl.vn/TW/Pages/vbpq-thuoctinh.aspx?ItemID=96115&Keyword=
④ ベトナム民事訴訟法の2024年統合文書 https://vbpl.vn/TW/Pages/vbpq-thuoctinh-hopnhat.aspx?ItemID=175590&Keyword=
⑤ 扶養義務の準拠法に関する法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/361AC0000000084
⑥ 家事事件手続法 https://laws.e-gov.go.jp/law/423AC0000000052
⑦ 民事訴訟法 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109
⑧ 民事執行法 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004
⑨ HCCH「2007年ハーグ扶養条約の締約状況表」 https://www.hcch.net/en/instruments/conventions/status-table/?cid=131