メインコンテンツへスキップ
       

産業競争力強化法とは―目的・主要制度・認定のメリット及び令和8年改正をわかりやすく解説(AI作成)

第1 産業競争力強化法とは

1 産業競争力強化法の位置付け

産業競争力強化法(平成25年法律第98号)は,経済社会情勢の変化に対応して我が国の産業競争力を強化するため,規制改革,事業の新陳代謝,投資,事業再編,事業再生,創業及び中小企業支援などの制度を一つの法律にまとめたものである。

同法は特定の業種だけを規制する法律ではなく,事業者による新たな取組を促進し,国が計画認定,規制の特例,税制,金融その他の支援措置を組み合わせるための横断的な政策法である。

令和8年10月15日現在,同法には令和8年法律第29号による改正の一部を含む複数の改正が反映されており,e-Gov法令検索では未施行部分があることも表示されているため,具体的な制度を利用するときは基準日と施行状態を確認する必要がある。

2 法律の目的

産業競争力強化法1条は,産業競争力の強化に関する基本理念並びに国及び事業者の責務を定めることに加え,規制改革,産業活動における新陳代謝の活性化,株式会社産業革新投資機構による支援及び中小企業の活力の再生を円滑化する措置を講じ,国民生活の向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的としている。

経済産業省は,制定時の問題意識を「過剰規制」,「過小投資」及び「過当競争」という日本経済の三つの歪みの是正として説明している。

この三つは法律上の認定要件そのものではなく,複数の制度を束ねる政策目的を理解するための整理である。

3 成立,公布及び当初施行の日付

産業競争力強化法案は平成25年10月15日に国会へ提出され,同年12月4日に成立し,同月11日に平成25年法律第98号として公布された。

同法の主要部分は平成26年1月20日に施行された。

その後,経済社会情勢や産業政策の変化に応じて改正が重ねられているため,制定時の制度説明だけで現在の制度全体を把握することはできない。

第2 主要な制度の全体像

1 規制改革に関する制度

新しい商品,サービス又は事業方法を計画する事業者にとって,既存の規制が適用されるか分からないことや,既存の規制を前提にすると実証自体が難しいことがある。

産業競争力強化法は,この問題に対応するため,具体的な事業計画について現行規制の解釈及び適用の有無を事前に確認するグレーゾーン解消制度,期間や参加者などを限定した実証を行う規制のサンドボックス制度,並びに事業者から提案された規制の特例措置を整備して利用する新事業特例制度を設けている。

グレーゾーン解消制度は適法性を一般的に保証する制度ではなく,照会された事業計画と事実関係を前提に規制所管大臣の見解を得る制度である。

申請方法,回答の公表及び三制度の違いは,グレーゾーン解消制度とはで詳しく整理している。

2 投資及び事業適応に関する制度

事業適応は,デジタル化,エネルギー利用による環境負荷の低減,国際経済事情の急激な変化又は事業費の上昇などの経済社会情勢の変化に対応し,生産性の向上又は新たな需要の開拓を目指して行う事業の変更である。

事業者が事業適応計画を作成し,法令及び実施指針に定められた要件を満たして主務大臣の認定を受けた場合,計画の類型に応じた税制又は金融上の支援の対象となり得る。

令和8年改正では,特定生産性向上設備等に関する制度のほか,国際経済事情激変事業適応及び事業費上昇事業適応が追加された。

改正内容と施行日の違いは,令和8年改正産業競争力強化法で整理している。

3 事業再編及び事業再生に関する制度

産業競争力強化法は,事業再編計画などの認定制度を通じて,会社分割,事業譲渡その他の組織再編や,収益性の低い事業から成長分野への経営資源の移動を促進する仕組みを設けている。

また,事業再生の円滑化,中小企業の再生支援及び経営資源の有効活用に関する制度も含まれる。

どの認定制度を用いるかによって,申請先,認定基準,計画期間及び支援措置が異なる。

4 創業,中堅企業,スタートアップ及び中小企業に関する制度

同法には,市区町村が民間の創業支援事業者と連携して作成する創業支援等事業計画,中堅企業及びスタートアップへの支援,リスクマネーの供給,技術等情報の適正な管理に関する制度なども置かれている。

創業支援等事業計画の認定を受けた市区町村において所定の支援を受けた創業者には,会社設立時の登録免許税の軽減や信用保証に関する支援が用意されることがある。

ただし,支援を受けられる主体,地域,時期及び手続は個別制度ごとに確認する必要がある。

第3 認定を受けるメリットと注意点

1 認定の効果は制度ごとに異なる

「産業競争力強化法の認定」は一種類ではなく,事業適応計画,事業再編計画,創業支援等事業計画その他の制度ごとに別の認定が存在する。

したがって,認定を受ければ当然に補助金が交付される,又はあらゆる税負担が軽減されるというものではない。

まず,自社が実施しようとする事業と利用したい支援措置を特定し,それに対応する計画類型を選ぶ必要がある。

2 想定される支援措置

認定計画に対応する支援措置には,税制上の特例,日本政策金融公庫等を通じた金融支援,中小企業基盤整備機構による債務保証,会社法又は許認可手続に関する特例などがある。

支援措置の利用には,産業競争力強化法上の認定とは別に,租税特別措置法,施行令,施行規則,告示又は金融機関の審査に基づく要件を満たす必要がある場合がある。

計画の認定と最終的な税務上又は金融上の効果を分けて確認することが重要である。

3 申請前に確認すべき事項

申請前には,少なくとも,対象事業,投資内容,実施場所,計画期間,生産性又は需要開拓の目標,取締役会等における意思決定,資金調達方法及び利用を希望する支援措置を整理する必要がある。

申請先は計画を所管する省庁又は地方支分部局となることがあるため,経済産業省だけを前提にせず,制度ごとの申請窓口を確認する必要がある。

公表された様式だけで判断が難しい場合には,正式申請の前に所管部署へ相談することが実務上有用である。

第4 令和8年改正の要点

1 令和8年法律第29号

令和8年法律第29号の正式名称は,「経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律」である。

同法案は令和8年3月6日に国会へ提出され,同年5月29日に成立し,同年6月5日に公布された。

改正規定には公布日施行の部分,令和8年7月31日施行の部分及び公布日から6か月以内の政令指定日に施行される部分があるため,「改正法の施行日」を一日だけで説明するのは正確ではない。

2 国内成長投資に関する制度

改正法は,事業の将来における高い生産性の確保に特に資する設備を「特定生産性向上設備等」として位置付け,所定の確認及び計画認定と税制上の支援を結び付ける制度を整備した。

経済産業省の法案説明では,投資利益率,投資規模その他の要件を満たす大規模な国内投資を対象とする制度として説明されている。

実際の適用では,最終的に施行された省令,告示,認定要領及び租税特別措置法上の要件を照合する必要がある。

3 経済環境の変化に対応する計画認定

改正法は,予見し難い国際経済事情の急激な変化に対応する国際経済事情激変事業適応と,事業に要する費用の上昇に対応する事業費上昇事業適応を追加した。

認定計画に従って実施する設備投資について,日本政策金融公庫のツーステップローンや中小企業基盤整備機構の債務保証などの金融支援が設けられた。

また,人口減少や少子高齢化に伴う生活維持に必要な物品又は役務の需要減少等に対応する事業変更について,生活維持物品役務需要減等事業適応計画の認定制度が新設された。

第5 よくある質問

1 産業競争力強化法の所管省庁はどこか

法律全体の政策説明や多くの制度の案内は経済産業省が行っている。

ただし,具体的な計画の対象事業や規制を所管する省庁が主務大臣となることがあり,グレーゾーン解消制度の回答も規制所管省庁から示される。

2 産業競争力強化法施行令及び施行規則は何を定めているか

法律は制度の基本構造を定め,施行令,施行規則,主務省令及び告示は,対象設備,計画の記載事項,申請様式,認定基準その他の具体的事項を定める。

申請実務では,法律だけでなく,利用する制度に対応する現行の政省令,告示,実施指針及び申請要領を一体として確認する必要がある。

3 産業技術力強化法との違いは何か

産業競争力強化法は,規制改革,投資,事業再編,創業及び事業再生などを横断的に扱う法律である。

これに対し,産業技術力強化法は,産業技術力の強化に関する基本理念,国や事業者等の責務,研究開発体制及び研究成果の事業化などを中心とする別の法律である。

名称は似ているが,根拠法令,対象制度及び申請手続は異なる。

4 中小企業や創業者にも関係するか

産業競争力強化法には大規模な投資や事業再編の制度だけでなく,創業支援等事業計画,中小企業の再生,信用保証及び金融支援に関する制度も含まれる。

もっとも,中小企業向け支援には中小企業等経営強化法その他の別法に基づくものも多いため,制度名と根拠法を混同しないことが必要である。

第6 出典

1 e-Gov法令検索「産業競争力強化法」

2 日本法令索引「産業競争力強化法」

3 経済産業省「産業競争力強化法」

4 中小企業庁「創業支援等事業計画について」

5 参議院「経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」