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令和8年社会福祉法等改正―身寄りのない高齢者支援,有料老人ホーム登録及びケアマネ更新制廃止(AI作成)

第1 改正法の成立と施行時期

1 令和8年法律第51号の全体像

社会福祉法等の一部を改正する法律は,第221回国会で成立し,令和8年6月25日に令和8年法律第51号として公布された。
改正事項は,地域共生社会の実現,介護サービス提供体制の確保,福祉人材確保及び支援基盤強化などに及ぶ。
本稿では,弁護士実務と関係が深い,身寄りのない高齢者等への支援,有料老人ホームの登録,人口減少地域の特例及び介護支援専門員の更新制廃止を扱う。

2 施行日は一つではないこと

改正法の原則的な施行日は令和9年4月1日であるが,公布日施行,公布後1年6か月以内,2年以内又は3年以内に政令で定める日から施行される事項がある。
介護支援専門員の更新制廃止は公布後1年6か月以内,身寄りのない高齢者等への支援事業及び有料老人ホームの登録制度は公布後2年以内,登録施設介護支援は公布後3年以内の政令日施行である。
したがって,相談時には成立済みかどうかだけでなく,対象規定が既に施行されたか,政省令及び自治体条例が整備されたかを確認する必要がある。

第2 身寄りのない高齢者等への支援

1 第二種社会福祉事業としての位置付け

改正法は,頼れる身寄りがいない高齢者等に対する日常生活支援,入院・入所の手続支援及び死後事務支援を,利用者のうち一定割合以上に無料又は低額で提供する事業を第二種社会福祉事業に位置付ける。
家族が担ってきた手続を支援する事業に社会福祉法上の枠組みを与える点に意義があるが,無料又は低額とする割合その他の細目は政省令の確認が必要である。
有償で広く提供される高齢者等終身サポート事業の全部が当然にこの事業へ含まれるわけではない。

2 支援事業と個別の代理権等は別問題であること

支援事業が第二種社会福祉事業となっても,支援者に本人の包括的な代理権,医療行為への同意権又は死後の遺産処分権が当然に生じるわけではない。
実際の業務では,事業の届出等とは別に,委任契約,任意後見契約,死後事務委任契約,遺言及び法定後見のうち何が根拠となるかを確認する必要がある。
本人の判断能力,契約の発効時期,死亡による終了,利益相反,預託金の管理及び相続人への報告も別々に検討すべきである。

3 地域権利擁護相談支援センター

改正法は,成年後見制度や地域における権利擁護事業の適切な利用を支援する中核機関として,市町村が地域権利擁護相談支援センターを設置できる制度を設ける。
センターは相談,情報提供,関係機関との連絡調整等を担うが,それ自体が個別事件の任意後見人又は法定後見人となる制度ではない。
相談者には,センターへの相談と,家庭裁判所への申立て,契約作成又は訴訟手続を区別して説明する必要がある。

第3 有料老人ホームの登録制度

1 入居者保護の必要性が高い施設が対象となること

改正法は,中重度の要介護者等を入居させるなど,特に入居者保護の必要性が高い有料老人ホームについて,都道府県等への登録制度を導入する。
対象となる入居者の状態,設備・運営基準及び登録手続の細目は,政省令及び条例の確認が必要である。
都道府県知事は登録有料老人ホーム登録簿を一般の閲覧に供することとされるため,制度施行後は契約前の確認資料が一つ増える。

2 登録と個別の契約紛争は区別すること

登録施設には,事業者間の独立性・透明性,契約締結前の説明,報告徴収・立入検査及び改善命令等の規律が整備される。
もっとも,登録の有無だけで,入居契約の解除,入院後の再入所,前払金の返還額又は返還金の帰属が決まるわけではない。
相談時には,登録簿に加え,入居契約書,重要事項説明書,料金表,前払金の償却表,解除通知,医師の意見及び施設とのやり取りを確認すべきである。

3 行政上の予定と法定の施行日を混同しないこと

厚生労働省の施行予定資料は,登録制度の開始を令和9年12月,既存施設の経過措置の終期を令和10年12月とする予定を示している。
これは調査基準日現在の行政上の予定であり,実際の施行日及び経過措置は公布された政令その他の最終資料で確認する必要がある。
登録施設介護支援は,登録制度とは別に公布後3年以内の政令日施行であることにも注意を要する。

第4 人口減少地域における介護サービスの特例

1 特定地域サービス等の創設

改正法は,中山間・人口減少地域で,地域の実情に応じた人員配置基準又は包括的な評価を選択できる特定地域サービスを創設する。
また,サービス提供主体が少ない場合に,市町村が介護保険財源を活用して居宅介護サービス等を実施できる特定地域居宅サービス等事業を設ける。
制度の利用には,地域指定,条例,事業計画及び個別の指定内容を確認する必要がある。

2 対象地域の基準は最終資料で確認すること

厚生労働省資料には人口密度,高齢化率及び訪問時間等を用いる基準例が示されているが,調査基準日現在,最終的な省令基準ではない。
事業者の人員配置又は報酬に関する助言では,検討資料を現行ルールとして扱わず,施行後の省令,告示,条例及び指定通知を確認すべきである。

第5 介護支援専門員の更新制廃止と研修

1 資格更新の廃止と研修の廃止は同じではないこと

改正法は,介護支援専門員証の有効期間及び更新の仕組みを廃止する。
他方,資質の確保・向上のための研修制度は組み替えて維持されるため,更新制の廃止を「以後は研修を受けなくてよい」と説明することはできない。
研修の対象,時期,受講管理及び費用負担は,施行までに整備される政省令,告示及び都道府県の案内を確認する必要がある。

2 経過措置を含めて確認すること

更新制廃止は公布後1年6か月以内の政令日施行であり,調査基準日現在の制度が直ちに失効したわけではない。
介護支援専門員証の有効期間,更新研修の申込み,研修受講中の取扱い又は施行日前後の経過措置については,免許を管理する都道府県の最新案内を確認すべきである。

第6 弁護士実務での確認順序

1 制度の状態と基準日を固定すること

最初に,相談対象日を固定し,成立法,施行済み規定,未施行規定,委任政省令,自治体条例及び行政上の予定を分ける。
成立法の説明資料だけで現在の権利義務を断定せず,反対に未施行であることだけを理由に契約準備又は証拠保全を先送りしない。

2 主体,契約及び証拠を分けること

次に,支援の主体が自治体,社会福祉法人,民間事業者,後見人又は親族のいずれかを特定する。
その上で,事業規制,個別契約上の権限,医療上の意思決定及び死後の遺産処理を分け,契約書,重要事項説明書,預託金台帳,請求書,面談記録及び自治体への届出・登録資料を確保する。
登録又は届出があることは個別契約の適法・有効を自動的に意味せず,個別契約上の権限があることも事業規制への適合を自動的に意味しない。

第7 関連記事

1 身寄りのない高齢者等への支援

独身の高齢者に任意後見契約が必要な理由―申立人の不在,受任者の選び方及び令和8年改正は,任意後見契約の役割と限界を整理している。
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死後事務委任契約の効力,内容及び作成時の注意点は,死亡後の事務と契約上の権限を扱っている。

2 有料老人ホームの契約

有料老人ホームの前払金―返還額,死亡時の相続及び施設への確認方法は,返還計算,返還金の帰属及び資料取得を整理している。
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第8 出典

1 法令・国会資料

厚生労働省「第221回国会(令和8年常会)提出法律案」
衆議院「議案審議経過情報」
e-Gov法令検索「社会福祉法」

2 厚生労働省資料

厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の概要」
厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律について」
厚生労働省「有料老人ホーム制度の見直しに係る今後のスケジュール(予定)」