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契約書の収入印紙は必要か―業務委託・請負・変更契約・電子契約の判断(AI作成)

契約書の収入印紙の要否は,契約書の名称ではなく,紙面が証明する契約の内容によって判断する。
「業務委託だから不要」「契約期間が長いから4000円」「電子契約の変更だから不要」と一律に考えることはできない。
この記事では,紙で作成する業務委託・請負契約を中心に,委任との区別,第2号・第7号文書の所属,変更契約,写し及び電子契約を,国税庁の資料に沿って説明する。

第1 契約書の印紙税を判断する順序

1 紙の文書として何を証明しているか

最初に,電子データだけで作成するのか,紙で契約の成立や内容を証明する文書を作成するのかを確認する。
紙の場合は,記載内容が印紙税法別表第一のどの課税事項に当たるか,非課税規定があるか,どの金額を記載金額とするか,という順に検討する。
契約の名称を変えるだけで,課税文書が不課税になるわけではない。

国税庁No.7118は,単なる申込みを証明する申込書等は通常課税対象とならない一方,承諾事実などを証明する文書は契約書になる場合があると説明している。
注文書,注文請書,覚書及び別紙も,契約の成立や変更を証明するための役割を確認する必要がある。

2 課税対象と必要税額は別の段階で確認する

課税文書の種類が決まる前に,「金額が少ないから印紙不要」と判断しない。
領収書の5万円未満という非課税基準は,契約書一般の基準ではない。
また,一つの文書に複数の課税事項がある場合には,最終的にどの号に所属するかを決めてから,税額及び非課税規定を確認する。

第2 業務委託・請負・委任を区別する

1 仕事の完成を約しているか

請負に関する契約書は,第2号文書に当たる。
国税庁No.7102は,請負を,仕事の完成と,これに対する報酬の支払を約する契約と説明している。
建設工事だけでなく,警備,機械保守,清掃など,無形の結果を目的とする役務の提供にも請負が含まれる。
したがって,役務の提供であることだけを理由に,委任・準委任として不課税とすることはできない。

確認する条項判断の着眼点
業務・成果物の定義一定の仕事の完成を義務としているか,事務の処理を委ねているか。
検収・修補・責任完成を確認し,未完成や不適合への対応を求める内容か。条項の一部分だけで決めない。
報酬・成功報酬報酬の名称よりも,どの義務の履行に対して支払うのかを確認する。
継続取引・個別発注一つの仕事の契約か,複数取引の共通条件を定める基本契約か。

この表は契約を読む際の着眼点であり,いずれかの条項があるだけで課税・不課税が決まるという意味ではない。

2 成果報酬があっても,直ちに請負にはならない

印紙税法基本通達の第2号文書の1は,民法648条の2の,委任事務の履行によって得られる成果に対して報酬を支払う契約は,請負に該当しないと説明している。
成功報酬という言葉や成果物の存在だけで,請負と判断することはできない。
委任・準委任としての事務処理を定めるだけで,他の課税事項を含まない文書であれば,その委任自体を理由に第2号文書として課税されるものではない。
弁護士の委任契約,法律顧問契約及び受取書については,収入印紙と弁護士業務で説明している。

第3 第2号文書の税額と記載金額

1 請負契約の本則税額

第2号文書に所属する契約書の代表的な本則税額は次のとおりである。
建設工事の軽減措置や,複数の号に該当する文書の非課税規定の例外は,別途確認する必要がある。

記載された契約金額本則の印紙税額
1万円未満原則として非課税
1万円以上100万円以下200円
100万円を超え200万円以下400円
200万円を超え300万円以下1000円
300万円を超え500万円以下2000円
500万円を超え1000万円以下1万円
1000万円を超え5000万円以下2万円
契約金額の記載がない200円

高額の契約や,他の号の課税事項を併せて記した契約は,国税庁の令和8年6月の印紙税額一覧表・第2号欄も確認する。
第2号と第3号から第17号の文書に該当し,第2号に所属が決定されたものは,契約金額が1万円未満であっても,この金額基準による非課税にはならない。
一定の建設工事の請負契約書には,令和9年3月31日までに作成されるものについて軽減措置があるため,一般の業務委託と同じ税額表だけで処理しない。

2 月額・単価・消費税の記載

総額を書いていない場合も,紙面の単価と数量,月額と契約期間などから金額を計算できれば,その算出額が記載金額となる。
例えば,月額10万円で確定した契約期間が1年間なら,120万円と計算できる。
「金額の記載がない」と「総額を直接書いていない」は同じではない。
国税庁No.7122及び第7号文書との所属の決定に関する質疑応答を参照する。

消費税の課税事業者が作成する第2号文書では,消費税額等を区分記載するなどして明らかにすると,その額を記載金額に含めない取扱いがある。
税込総額しか記していない場合や免税事業者の場合まで,同じように税抜金額に置き換えることはできない。
具体的な記載例は国税庁No.7124で確認する。

第4 継続的取引の基本契約書は一律4000円ではない

1 第7号文書の要件

第7号文書に所属する継続的取引の基本となる契約書の税額は,1通4000円である。
しかし,契約期間が長いだけ,継続して業務を委託するだけで,第7号文書に当たるわけではない。
国税庁No.7104は,営業者間の売買・請負等の複数取引について一定の共通条件を定めるものや,特定の代理・媒介等を継続して委託するものなど,対象を具体的に説明している。
契約期間が3か月以内で,かつ,更新の定めがないものは,第7号文書から除かれる。
ただし,第7号に該当しなくても,第1号・第2号等に当たれば,その号として課税される場合がある。

2 第2号と第7号の両方に該当する場合

請負の基本契約などで,第2号と第7号の課税事項をともに記した文書は,所属の決定が必要となる。
国税庁の質疑応答は,両方に該当する場合,記載金額があれば第2号,なければ第7号に所属すると説明している。
月額だけを記し契約期間を定めない場合と,月額と確定した契約期間から総額を算出できる場合とでは,所属が変わり得る。
表題が「基本契約書」であることを理由に,一律4000円とすることは避ける。

第5 変更契約書・覚書の判断

1 金額以外の変更にも課税の問題がある

変更契約書は,変更する内容が,文書の種類ごとの「重要な事項」に当たるかを確認する。
国税庁No.7127は,請負代金の支払方法を変更する覚書も,第2号文書の重要な事項を変更するものとして扱う例を示している。
金額を変更していないことだけを理由に,印紙不要と判断できない。
また,原契約と変更契約の所属する号が常に同じになるわけではなく,どの号の重要な事項を変更したかを確認する。

2 紙の原契約を増額・減額する場合

変更前の金額を記載した契約書が作成されていることが,原契約の名称・番号・日付等から明らかであり,変更契約書に増加金額を記す場合には,増加額が記載金額となる取扱いがある。
同じ前提で減額する場合は,記載金額のない文書として扱う。
第2号文書に所属する場合,記載金額がないという理由だけで非課税となるわけではなく,原則200円となる。
原契約が明らかでない場合や,変更後の金額だけを記す場合は別の取扱いになるため,国税庁No.7123の区分に沿って確認する。
自動更新後の期間について単価を変える場合も,単純に当初契約からの差額だけを基準としない。

3 電子契約を紙で変更する場合

当初契約が電子契約でも,後から作成する紙の変更契約書は,紙の課税文書として別途判断する。
国税庁の電子契約の変更金額に関する質疑応答では,原契約の契約日・表題を引用し,変更前金額と増加額を紙面に記した請負契約の事例について,変更後の合計金額が記載金額となるとしている。
例えば,この事例の前提で,電子の原契約200万円と増加額100万円を紙の変更契約書に記すなら,基準となるのは合計300万円であり,増加額100万円だけではない。
この例を,内容や記載方法が異なる全ての変更契約にそのまま当てはめることはできない。

第6 2通作成・写し・電子データの扱い

1 「写し」と書けば印紙不要になるわけではない

当事者がそれぞれ保有する紙の契約書を2通作り,各通が契約成立を証明する目的の課税文書であれば,各通に印紙税が課される。
「写し」「副本」と表示しても,相手方の署名・押印や原本との同一性を証する記載等があれば,課税対象となる場合がある。
一方,単にコピーしただけで,そのような署名・押印・証明のないものは,単なる写しとして扱われる。
国税庁No.7120に沿って,保有者と署名・押印をした者も確認する。

2 電磁的記録と別に作った紙を区別する

国税庁の電子メール送信に関する質疑応答は,電磁的記録自体は課税文書に含まれないと説明している。
また,No.7120は,ファックスや電子メールで送信され,送付先で出力された文書は,写しと同様で課税対象とならないと説明している。
ただし,別途紙に署名・押印等をして契約成立を証明する文書を作成した場合まで,電子契約の印刷物というだけで不課税とすることはできない。
電子データを送ったこと,紙原本を交付したこと,紙を単に保存用に出力したことを区別する必要がある。

第7 誰が納め,どのように処理するか

印紙税法3条は,課税文書の作成者を納税義務者とし,2人以上で共同作成した場合には連帯して納税義務を負うと定めている。
契約で費用の負担者を決めることと,国に対する納税義務は区別して考える。
原則として必要額の収入印紙を貼り付け,文書と印紙にかけて消印する方法によって納める(国税庁No.7129)。

判断が難しいときは,原契約,変更契約,別紙,注文書・請書,作成した通数,署名・押印及び交付方法を整理して確認する。
課税文書でないものに誤って印紙を貼った場合などの還付は,国税庁No.7130で確認できる。
印紙税の課税関係を確認することと,契約の効力,責任分担及び紛争への備えを検討することは,それぞれ必要な作業である。