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特定少年とは―18歳・19歳の少年事件,逆送・保護処分・実名報道(AI作成)

第1 特定少年は18歳・19歳の少年である

特定少年とは,少年法上の「18歳以上の少年」をいう。少年法の少年は20歳未満であるため,特定少年に当たるのは18歳・19歳の者である。民法上は成年であっても,少年法の対象から一律に外れるわけではない。
令和4年4月1日に施行された改正では,少年事件を家庭裁判所に送り,調査の上で処分を判断する枠組みを維持しながら,特定少年について逆送,保護処分,刑事手続,推知報道等の特例を設けた。
本記事は,令和8年10月11日に確認した少年法と公式資料に基づき,17歳以下と異なる主要な取扱いを整理する。呼出しや調査官面接を含む一般的な流れは,少年事件の流れと保護者の対応を参照されたい。

1 民法の成年年齢との違い

契約等について民法上の成年となる年齢と,少年事件の対象年齢とは,別の法律による区分である。「18歳だから最初から成人と同じ刑事裁判になる」「親の関与がすべてなくなる」という理解はいずれも適切ではない。
少年法2条の保護者には,法律上監護教育の義務を負う者のほか,少年を現に監護する者も含まれる。18歳・19歳でも,実際に監護する家族が関係者として関与する場合がある。ただし,不服申立てなどには特定少年についての特例がある。

2 年齢を判断する時点を分ける

確認する問題主に確認する年齢・時点
特定少年としての保護処分審判・処分の時点で18歳・19歳か
拡大された原則逆送の対象罪を犯した時に18歳・19歳か。故意の犯罪で被害者が死亡した場合は16歳以上という別の基準もある
推知報道禁止の適用除外18歳・19歳の時に犯した罪か,その罪について公訴が提起されたか

例えば,17歳の時の行為について18歳で保護処分を受ける場合には,保護処分に特定少年の規定が問題となる。一方,その行為について,行為時に特定少年であったことを要件とする原則逆送の拡大や報道の適用除外が,18歳になっただけで適用されるわけではない。
行為時,家裁で判断する時,起訴時,報道時の年齢を一つにまとめないことが重要である。審理中に20歳になる場合には,年齢超過による検察官送致の規定も問題となる。

第2 17歳以下との主な違い

項目特定少年の主な取扱い
家庭裁判所への送致犯罪の嫌疑がある事件を家裁に送る基本的な枠組みは維持される
ぐ犯将来罪を犯すおそれがあることを理由とするぐ犯の規定は適用されない
逆送原則逆送の対象事件が拡大され,罰金以下の罪も刑事処分が相当なら逆送の対象となり得る
保護処分6か月の保護観察,2年の保護観察,少年院送致。犯情の軽重を考慮した限度がある
刑事手続・刑少年の刑事事件に関する一部の特例が適用されない
推知報道特定少年の時に犯した罪について起訴された場合に適用除外となる。ただし略式手続の請求がある場合を除く

「特定少年」と「犯罪少年」は同じ分類ではない。前者は年齢に着目した特例の対象であり,後者は罪を犯した少年を指す。特定少年であることだけで,逆送や少年院送致が決まるわけではない。

第3 逆送と原則逆送の対象

1 逆送は家裁から検察官に送る決定である

逆送は,家庭裁判所が,保護処分ではなく刑事処分を相当と認めて事件を検察官へ送致することである。特定少年については,少年法62条1項により,罰金以下の刑に当たる罪も逆送の対象となり得る。
逆送そのものは,有罪判決や刑罰の言渡しではない。逆送後には検察官による手続を経て,起訴された場合に刑事裁判等が行われる。家裁段階の付添人と逆送後の弁護人の担当・費用を確認する必要がある。役割,選任の時期,費用と援助制度は,少年事件の弁護士・付添人を参照されたい。

2 拡大された原則逆送と例外

特定少年に係る原則逆送対象事件は,少年法62条2項の次の二つである。
①故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪で,罪を犯した時に16歳以上の少年に係る事件。
②死刑,無期又は短期1年以上の拘禁刑に当たる罪で,罪を犯した時に特定少年に係る事件。ただし①に該当する事件を除く。
ここでいう短期とは,法定刑の下限である。個別事件で予想される刑や,実際に言い渡された刑が1年以上かという意味ではない。罪名だけでなく,行為時に適用される法令と法定刑を確認する必要がある。
原則逆送には例外がある。家庭裁判所が,動機,態様,結果,犯行後の状況,性格,年齢,行状,環境その他の事情を調査し,刑事処分以外の措置を相当と認めるときには,逆送しないことができる。したがって,「対象罪なら必ず刑事裁判」という説明は正確ではない。

第4 特定少年の保護処分

1 三つの保護処分

少年法64条は,特定少年の保護処分を,①6か月の保護観察,②2年の保護観察,③少年院送致とする。処分は犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内で行われる。罰金以下の刑に当たる罪では,保護処分として行うことができるのは6か月の保護観察に限られる。
非行事実が認められない場合等の不処分や,審判不開始という決定までなくなったわけではない。すべての特定少年に三つのいずれかの保護処分が必ず科されるという意味ではない。

2 保護観察と遵守事項違反

保護観察は,施設に収容せず,社会内で指導監督と補導援護を行う処分である。6か月と2年の保護観察では,期間だけでなく,遵守事項違反時の仕組みも異なる。
2年の保護観察では,法律に定める遵守事項違反の場合に,家庭裁判所の決定により少年院に収容できる仕組みがある。家庭裁判所は保護観察の決定時に,その場合に収容できる期間を1年以下の範囲内で定める。違反があれば直ちに自動収容されるという制度ではない。
制度全体と遵守事項の説明は,保護観察制度を参照されたい。

3 少年院への収容期間

特定少年を保護処分として少年院に送致するときには,家庭裁判所が,犯情の軽重を考慮して3年以下の範囲内で収容期間を定める。すべての事件で3年間収容されるという意味ではない。
保護観察や少年院送致は,刑事裁判で科される刑罰とは異なる。もっとも,生活への影響が小さいという意味ではないため,決定の内容とその後の対応を確認する必要がある。

第5 実名報道はいつから問題となるか

1 逮捕や逆送だけで禁止が外れるわけではない

少年法61条は,氏名,年齢,職業,住居,容貌等により事件本人を推知できる記事や写真を新聞紙その他の出版物に掲載することを禁止する。名前だけを伏せればよいという規定ではない。
同法68条は,特定少年の時に犯した罪について公訴が提起された場合に,同法61条を適用しないとする。ただし,略式命令の請求がされた場合はこの適用除外から除かれる。略式命令の請求後に,刑事訴訟法の規定により通常の手続で審判することとなった場合には,このただし書の例外が設けられている。
したがって,18歳・19歳で逮捕された時,家庭裁判所へ送られた時,逆送が決まった時に,直ちに報道禁止が外れるわけではない。行為時の年齢と公訴提起の状況を確認する必要がある。

2 適用除外は報道義務や記録公開を意味しない

少年法61条の適用除外は,実名等を必ず報道すべきことを定めるものではない。少年審判の非公開性が失われるわけでもなく,家裁の記録を一般に公開する制度でもない。
被害者,家族,学校関係者等のプライバシー,名誉,弁護士の守秘義務など,別の問題も残る。報道機関から取材を受ける場面での確認事項は,少年事件で弁護士が取材を受けるときの確認事項で説明している。

第6 刑事裁判と不服申立ての注意

少年法67条は,特定少年について,少年の刑事事件の特例の一部を適用しないと定める。例えば,特定少年に刑を言い渡す場合には少年法52条の不定期刑の規定は適用されない。特定少年の時に犯した罪について刑に処せられた者には,資格制限に関する同法60条の特例も適用されない。
ただし,「特定少年には少年法の特例がすべて適用されない」という意味ではない。行為時,捜査時,裁判時等の年齢によって規定の適用を分けて確認する必要がある。
また,少年法65条4項の読替えにより,特定少年の付添人は,選任者である保護者の意思ではなく,特定少年本人の明示した意思に反して観護措置への異議や保護処分への抗告をすることができない。親であることだけで成年者の法定代理人になるわけでもない。本人・付添人の申立てと保護者の関与を区別して,決定書と告知日を弁護士に伝えることが重要である。

第7 関連記事及び出典

少年事件の流れと保護者の対応
保護観察制度―対象者,期間,遵守事項及び社会復帰支援
少年事件の司法統計の読み方

根拠資料は,少年法2条,19条,62条,64条から68条,法務省「少年法改正Q&A」,裁判所「少年事件Q&A」である。法務省の改正説明は制度導入時の資料であり,刑の名称等は確認日時点の条文によっている。確認日は令和8年10月11日である。