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陸上風力発電設備の固定資産税特例―地域脱炭素化促進事業の認定,FIT・FIP認定と取得時期(AI作成)

陸上風力発電設備の固定資産税特例を検討するときは,地域脱炭素化促進事業計画の認定だけで判断せず,発電設備の認定,計画への記載,取得期間及び課税する自治体の条例を確認する必要がある。本記事は令和8年10月10日現在の制度を扱い,事業者,弁護士及び税理士が同じ設備と日付を確認するための手順を示す。

第1 計画認定と固定資産税の特例は別に確認する

地域脱炭素化促進事業計画の認定は,温対法に基づく事業計画の認定である。関係機関との協議・同意を経た場合に許認可の特例を利用できるが,そのことと税務上の課税標準の特例を受けられることは別の判断である。

地方税法附則15条24項3号イ(2)は,対象となる風力設備について,認定地域脱炭素化促進事業計画に「整備する旨が記載された設備」と定める。単に促進区域内にあることや,事業者が別の設備について認定を受けていることだけでは足りない。地方税法(令和8年10月1日施行版)の附則15条24項を確認する。

事業計画に記載された設備の所在地,種類,規模と,取得して償却資産申告に載せる設備を照合することが出発点となる。弁護士が確認した計画認定の資料と,税理士が確認する資産台帳を設備単位でつなぐことが実務上の要点である。

第2 対象となる陸上風力設備の確認順序

1 再エネ特措法の認定発電設備であるか

同項2号及び3号イの「特定風力発電設備」は,風力を電気に変換する設備のうち,再エネ特措法上の認定発電設備に限られる。環境省の制度資料もFIT・FIP認定を要件として示している。温対法の認定通知だけでなく,発電事業計画の認定通知,設備ID及び変更認定の内容を照合する。環境省の固定資産税特例資料の1頁を参照する。

2 どの計画の設備として記載されているか

陸上風力の対象として,温対法の認定地域脱炭素化促進事業計画に記載された設備のほか,農山漁村再エネ法の認定設備整備計画に記載された設備がある(地方税法附則15条24項3号イ(3))。本記事は前者を中心に扱う。両方の計画の認定が常に必要という意味ではない。

認定後に所在地,設備構成,出力又は事業者を変更した場合には,現在有効な認定計画と実物の一致を確認する。認定があったという過去の事実だけで判断せず,変更認定や届出を含む資料をそろえる。

3 取得時期が特例の期間内にあるか

対象は,令和8年4月1日から令和11年3月31日までの間に新たに取得された設備である。契約締結日,代金支払日,納入日,検収日及び事業供用日を一覧にし,取得時期の判断を裏付ける契約書・請求書・検収資料を残す。これらの日付が異なる場合は,契約の日付だけで適用期間内と決めない。

令和8年3月31日以前に取得した設備へ,新しい制度の条件をそのまま当てはめることもできない。取得した時期の法令と経過措置を別に確認する。

第3 軽減される割合と期間

1 3分の2は課税標準に乗じる割合である

地方税法附則15条24項3号は,3分の2を参酌し,2分の1以上6分の5以下の範囲で市町村の条例が割合を定める仕組みである。したがって,全国一律に3分の2と断定せず,設備を課税する自治体の条例を確認する。同法389条の適用を受ける資産については,同号の括弧書が3分の2と定めている。

「3分の2」は通常の課税標準となるべき価格に乗じる割合であり,税額の3分の2が減るという意味ではない。条例の割合が3分の2で,他の条件が同じという計算例では,価格3,000万円に対して課税標準は2,000万円になる。実際の税額は税率その他の条件も確認して計算する。

償却資産の通常の課税標準について,地方税法349条の2は「賦課期日における当該償却資産の価格で償却資産課税台帳に登録されたもの」と定める。購入代金へ機械的に特例割合を掛けた金額を,毎年の申告・課税額と同一視しない。

2 取得期間と3年度分の適用期間を区別する

特例は,その設備に新たに固定資産税が課されることとなった年度から3年度分に限られる。取得期間の終期と,個々の設備について特例を受ける最後の年度は別の問題である。

例えば,令和8年中に取得し,令和9年度から新たに課税される設備で他の要件も満たす場合,対象となるのは令和9・10・11年度の3年度分である。認定日から3年間,契約日から3年間又は永久の免税という説明にしない。

第4 申告前にそろえる資料

1 認定関係の資料

① 温対法の認定通知書と認定計画の設備記載部分
② 認定条件,変更認定通知書及び変更届出の記録
③ FIT・FIPに係る認定通知書,設備ID及び変更内容
④ 所在地,出力及び設備構成を確認できる図面・仕様書

2 資産と日付の資料

① 設備ごとの契約書,請求書,納入・検収資料及び資産台帳
② 取得時期と,最初に固定資産税が課される年度を整理した一覧
③ 償却資産申告の対象に含める資産と,特例の対象として申告する資産の対応表
④ 課税する自治体の条例,申告案内,特例適用の申請書・添付書類一覧

岩出市の案内は,陸上風力について,認定計画に従って取得した設備を対象として掲げ,経済産業省の認定通知書の写しを必要書類に挙げている。加東市の案内もFIT・FIP認定を受けた設備を対象とする。これは各自治体の案内の例であり,他の自治体の提出書類や提出期限まで同じとするものではない。

認定通知書の写しだけで全ての適用要件を証明できるか,追加資料が必要かを課税担当部署に確認する。認定担当部署との相談記録を,税務担当部署による適用判断の代わりにしない。

第5 工事開始の条件と税務の条件を工程に組み込む

大規模な発電事業で配慮書手続の特例を使う場合,早期の計画認定と,評価書確定通知後の変更認定で一括手続を利用する段階を分ける必要がある。環境省の令和7年3月マニュアル別冊の本文45~46頁は,この運用を示している。早期の認定だけで林地開発等の許可がそろったとして工事を始めない。

弁護士と税理士が共同して確認する工程表には,計画認定・変更認定,残る許認可,発電事業計画の認定,設備の取得,最初の課税年度及び償却資産申告を別の欄で記載する。契約では,必要な認定が得られない場合や設備構成が変更された場合の代金,解除及び資料提供の扱いを検討する。

税務上の特例が見込めることは,工事の適法性や着工可能日を保証しない。他方,工事の許認可がそろったことだけで税務特例の適用も確定するわけではない。制度ごとの要件を満たす資料と担当部署の確認を工程に反映する。

第6 出典と確認範囲

① 地方税法(令和8年10月1日施行版):349条の2,附則15条24項の取得期間,認定発電設備の限定,3号イ(2)・(3),条例の割合及び3年度分の適用を原文で確認した。
② 再エネ特措法(令和8年5月21日施行版):2条5項中の認定発電設備の定義を確認した。
③ 環境省・再生可能エネルギー発電設備の固定資産税特例:現行制度を示す1頁。2頁は令和7年度末までの制度の参考資料なので,現行の陸上風力の説明と混ぜていない。
④ 環境省・地域脱炭素化促進事業マニュアル別冊(令和7年3月):PDF49~50頁(本文45~46頁)。
⑤ 岩出市・固定資産税の軽減措置(令和8年6月22日更新)及び加東市・わがまち特例(令和8年4月1日更新):陸上風力の対象と手続案内。

法令・所管省庁資料の内容と,本記事が提案する資料照合・工程管理の手順は区別している。個別設備の取得時期,特例の対象資産の範囲,課税自治体の条例及び適用可否は,その設備の資料に基づいて判断する必要がある。

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