メインコンテンツへスキップ
       

外国欠席判決の承認と手続的公序―判決書不送達・控訴機会・ウェブ公開(AI作成)

外国の裁判所が欠席判決をした後,判決書が被告に届かないまま上訴期間が経過した場合,その判決を日本で承認・執行できるか。本記事は,訴状の送達と判決書の送達を分け,民事訴訟法118条3号の手続的公序を中心に,令和8年9月28日現在の日本法を整理する。

第1 外国判決の承認要件

民事訴訟法118条は,外国裁判所の確定判決について,①外国裁判所の裁判権,②敗訴被告への訴訟開始文書等の送達又は応訴,③判決内容及び訴訟手続が日本の公序良俗に反しないこと,④相互の保証,を要求する。外国判決に基づいて日本で強制執行するには,別に民事執行法24条の執行判決が必要である。

第2 訴状送達と判決送達は別問題

訴状・呼出状の送達は118条2号の問題であり,被告が訴訟の開始を知って防御できたかに関わる。判決書の送達又は告知は,同号が直接列挙する文書ではない。しかし,判決を知らないまま上訴期間を失い,実質的な防御機会を奪われた場合は,同条3号の「訴訟手続」が公序に反するかが問題になる。

したがって,「訴状が適法に送達されたから必ず承認される」とも,「判決書が送達されなかったから必ず承認されない」ともいえない。

第3 最高裁平成31年判決

最高裁判所第二小法廷平成31年1月18日判決は,外国法上,判決書の送達が制度上予定されていないことだけで,直ちに118条3号違反になるものではないとした。他方,判決の内容を当事者に知らせることが可能であったのに実際には知らされず,又は実質的に上訴の機会が与えられないまま上訴期間が経過した等の事情により,手続保障の観点から日本の法秩序の基本原則に反すると認められる場合には,3号違反となり得るとの判断枠組みを示した。

判断の中心は,外国法に日本と同じ送達制度があるかではなく,当事者が判決内容を知り,上訴その他の防御手段を現実に利用できたかである。

第4 ウェブ公開と現実の防御機会

判決が裁判所ウェブサイトに掲載され,世界中から技術的に閲覧できたとしても,それだけで当事者に判決内容が実際に告知されたとは限らない。掲載の有無,掲載日,検索方法,当事者への掲載通知,通常の事件管理方法,代理人の選任状況,判決の写しが誤った住所へ送られた経緯,上訴期間の起算点及び期間回復制度を総合して判断する必要がある。

反対に,被告又は代理人がウェブ掲載を現実に知り,判決内容を取得して上訴できたのに放置した場合は,手続的公序違反を基礎付けにくい。単なる「アクセス可能性」と「現実の認識・実質的な上訴機会」を区別することが重要である。

第5 立証資料と出典

承認・執行事件では,外国判決の確定証明,訴状等の送達記録,判決書の発送記録,発送先住所,ウェブ掲載日時と通知方法,上訴期間・起算点・期間回復に関する外国法資料,当事者と代理人の連絡記録を確保する必要がある。外国法の内容は条文だけでなく,実務運用を示す専門家意見書も検討する。

一次資料は,e-Gov法令検索「民事訴訟法」118条,「民事執行法」24条及び最高裁判所第二小法廷平成31年1月18日判決(平成29年(受)第2177号,民集73巻1号1頁)である。