外国送達


目次
1 総論
2 領事送達,中央当局送達,指定当局送達,管轄裁判所送達及び公示送達
3 個別の国ごとの所要期間等
4 国際裁判管轄に関するメモ書き
5 執行判決に関するメモ書き
6 関連記事その他

1 総論
(1) 外国在住者に対する訴状等の送達方法については,最高裁判所作成の資料である「送達嘱託手続に関する関係書類の送付経路図」で始まる資料を参照してください。
   民訴条約は,1954年3月1日に作成された,民事訴訟手続に関する条約(昭和45年6月5日条約第6号)のことであり,送達条約は,1965年11月15日にハーグで作成された,民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約(昭和45年6月5日条約第7号)のことです。
(2) 最高裁判所作成の資料である「アメリカ合衆国・大韓民国・ブラジル連邦共和国・シンガポール共和国への送達嘱託フローチャート」を見れば,送達嘱託の流れがわかります。
(3) 外国在住者に対して強制執行をしたい場合,少なくとも,訴状等の送達,判決書の送達及び差押命令の送達が必要となりますから,3回は送達する必要がある気がします。
   そのため,民事訴訟法3条の3に基づき,日本に国際裁判管轄がある場合であっても,送達にかかる時間を考えた場合,差押財産が存在する海外の裁判所に直接,訴訟提起した方がいいのかもしれません。
(4) 最高裁判所作成の資料である,「送達嘱託記載例」を掲載しています。
(5) 国名呼称につき,日経スタイルHPの「グルジアはジョージアが正しい?国名呼称の不思議」が参考になります。
(6) 法務省IT化に伴う国際送達及び国際証拠調べ検討会「IT化に伴う国際送達及び国際証拠調べ検討会に関する取りまとめ」(令和3年4月)12頁には以下の記載があります。
    送達は,裁判上の書類のうち,名宛人への到達によって訴
訟上重要な効果が生ずる書類について採られる送付方式であるため,これが国家管轄権の行使としての性質を有する行為であることは否定することができないものと思われる(システム送達による国際送達が外国における執行管轄権の行使に当たらないとする考え方も,送達行為自体が,我が国内にお
ける執行管轄権の行使を含め,一定の国家管轄権の行使に当たることは前提としている。)。
(7) 私は,外国送達に関する業務は一切取り扱っていませんから,この記事に関するご相談には一切お答えできない。


2 領事送達,中央当局送達,指定当局送達,管轄裁判所送達及び公示送達
(1) 領事送達
ア 領事送達の根拠は以下の3種類です。
① 領事条約
   日本は,アメリカ合衆国及び英国と領事条約を締結していますところ,領事条約では,領事官は,派遣国の裁判所のために,裁判上の文書を送達することができる旨が定められています(日米領事条約17条1項(e)号(i),日英領事条約25条)。
   そのため,アメリカ合衆国又は英国に在住する者に対しては,日本人であると外国人であるとを問わず,また,送達すべき文書が民事又は商事に関する文書であるか否かを問わず,当該国に駐在する日本の領事館に嘱託して送達をすることができます。
② 民訴条約及び送達条約
・   民訴条約及び送達条約では,各締約国は外国にいる者に対する直接の送達を自国の外交官又は領事官(以下「在外領事等」といいます。)に行わせる権能を有する旨を定めています(民訴条約6条1項3号,送達条約8条1項)。
   そのため,これらの条約の締結国に在住する者に対しては,当該国に駐在する日本の在外領事等に嘱託して送達をすることができます。
   ただし,その国が,嘱託国の国民以外の者に対する領事送達を拒否しているときは,日本人に対してだけ領事送達をすることができます(民訴条約6条2項,送達条約8条2項)。
・ 民訴条約又は送達条約に基づき送達することができる文書は,民事又は商事に関する文書に限られています(民訴条約1条1項,送達条約1条1項)。
③ 個別の応諾
・   国家間において条約等の合意がなくても,相手国が,我が国の在外領事等によるその国に在住する者に対する送達を応諾する場合には,当該国に在住する者に対し,当該国に駐在する我が国の在外領事等に嘱託して送達をすることができます。
   この場合,受送達者は日本人に限られることが多いです。
・ 領事送達は,強制によらないものに限られます(送達条約8条1項ただし書)から,受領拒否のおそれがある場合は利用できません。
(2) 中央当局送達
ア   中央当局送達は,送達条約により認められた送達方法であり,受送達者が在住する国が送達条約の締約国である場合に行うことができます。
   中央当局は,送達の要請を受理し,かつ,処理する責任を負う当局のことであり,各締約国によって指定されています。
イ 送達することができる文書は民事又は商事に関する文書に限られます(送達条約1条1項)。
ウ ルートの選択の目安につき,中央当局送達は,受送達者が日本人であると外国人であるとを問わず実施することができ,また,任意交付の方法による場合を除き,受送達者が受領を拒んでも送達の効力が認められる場合があります。
   しかし,領事送達に比べ時間がかかることも多く,また,送達方法として任意交付以外の方法を希望した場合には受送達者が日本語を解するときでも一般に訳文の添付が求められます。
   そのため,中央当局送達は,外国人に対し領事送達の方法によることができない場合,または受送達者が受領を拒む恐れがある場合に利用することが考えられます。
(3) 指定当局送達
ア 指定当局送達は,民訴条約による送達の原則的形態でありますものの,民訴条約及び送達条約の両条約締約国については送達条約が優先し,中央当局送達によることができません(送達条約22条)。
   そのため,指定当局送達は,送達条約に加入していない国に在住する受送達者に対して行うこととなります。
イ 送達することができる文書は民事又は商事に関する文書に限られます(民訴条約1条1項)。
ウ ルートの選択の目安については,中央当局送達と同じです。
(4) 管轄裁判所送達
ア 管轄裁判所送達の根拠は以下の2種類です。
① 二国間共助取決め
   日本が受送達者の在住する国との間で司法共助の取決めを締結している場合,その取決めに基づき当該国の裁判所に嘱託して送達することができます。
② 個別の応諾
   二国間共助取決めがなくても,受送達者が在住する国が応諾する場合,当該国の裁判所に嘱託して送達することができます。
イ ブラジルは,領事送達を拒否しているうえ,民訴条約や送達条約にも加入っしていないので,ブラジルに在住する者に対して送達を行う方法は,二国間共助の取決め等に本地て,管轄裁判所送達を行うこととなります。
(5) 公示送達
ア 民事訴訟法110条は,一定の要件の下に,外国に在住する者に対して公示送達を行うことを認めています。
イ   受訴裁判所において,民事訴訟法110条1項4号の「外国の管轄官庁に嘱託を発した日」を確認したい場合の取扱いは以下のとおりです。
・ 外国の管轄官庁に嘱託を発した日について,最高裁判所民事局長等が外務省等に送達嘱託の手続をした日と解する場合,最高裁判所の国際司法共助事務の担当係に電話をして,最高裁判所が外務省等に発出した日付を確認し,確認した結果について,電話聴取書に残す等の方法が考えられます。
・ 外務省→在外日本国大使館→外国の外務省へと送付される場合(管轄裁判所送達の場合等)について,外国の管轄官庁に嘱託を発した日を,実際に在外日本国大使館から外国の外務省(管轄官庁)に送付した日と解する場合,外務省にその日付を確認するため,最高裁判所の国際司法共助事務の担当係に連絡します。
   外務省から問い合わせ等があるので,公示送達を実施した場合,最高裁判所の国際司法共助事務の担当係あてに電話等で連絡しておきます。
・ ブラジル連邦共和国のように送達実施までの通常の方法で約14か月かかる国に対しては,その点の配慮を行う必要があります。
ウ 民事訴訟手続に関する条約等の実施に伴う民事訴訟手続の特例等に関する法律(昭和45年6月5日法律第115号)28条は,「外国においてすべき送達条約第十五条第一項の文書の送達については、同条第二項(a)、(b)及び(c)に掲げる要件が満たされたときに限り、民事訴訟法第百十条の規定により公示送達をすることができる。」と定めています。
エ 台湾や北朝鮮等国交のない国に在住する者に対して文書を送達する場合,公示送達によらざるを得ません。
   なお,外国に在住する者に対して公示送達を行った場合,民事訴訟規則46条2項後段により,公示送達があったことを受送達者に通知することができます(通知は,日本語による文書を普通郵便で送付することなどが考えられます。)。
オ 外国においてすべき送達についてした公示送達は,掲示を始めた日から6週間を経過することによって,その効力を生じます(民事訴訟法112条2項)。
カ 民事訴訟法118条2号は,敗訴の被告が公示送達その他これに類する送達を受けただけの場合,外国裁判所の確定判決の効力を否定しています。

3 個別の国ごとの所要期間等
(1)   最高裁判所作成の以下の資料を見れば,それぞれの国における送達方法がわかります。領事送達,中央当局送達及び管轄裁判所送達の3種類になっています。
① アメリカ合衆国
→ 領事送達の期間は3か月,中央当局送達の期間は5か月,管轄裁判所送達は先例なし。
② 英国
→ 領事送達の期間は3か月,中央当局送達の期間は4か月,管轄裁判所送達は先例なし。
③ オーストラリア連邦
→ 領事送達の期間は4か月,中央当局送達は先例なし,管轄裁判所送達は9か月
④ カナダ
→ 領事送達は4か月,中央当局送達は5か月,管轄裁判所送達は7か月
⑤ シンガポール共和国
→ 領事送達は4か月,管轄裁判所送達は4か月
⑥ 大韓民国
→ 領事送達は4か月,中央当局送達は4か月,管轄裁判所送達は6か月
⑦ 中華人民共和国(香港,マカオを含む。)
→ 中国(香港,マカオを除く)の場合,領事送達は4か月,中央当局送達は6か月,管轄裁判所送達は4か月
香港の場合,領事送達は4か月,中央当局送達は5か月,管轄裁判所送達は先例なし。
   マカオの場合,領事送達は3か月,中央当局送達及び管轄裁判所送達は先例なし。
⑧ ドイツ連邦共和国
→ 領事送達は4か月,中央当局送達は4か月,管轄裁判所送達は8か月
⑨ ニュージーランド
→ 領事送達は4か月,管轄裁判所送達は9か月
⑩ フィリピン共和国
→ 領事送達は3か月,管轄裁判所送達は7か月
⑪ ブラジル連邦共和国
→ 管轄裁判所送達は14か月
⑫ フランス共和国
→ 領事送達は4か月,中央当局送達は7か月,管轄裁判所相殺は6か月
⑬ ロシア連邦
→ 領事送達は5か月,中央当局送達は13か月,管轄裁判所送達は先例なし。
(2) 期間については,過去の例において最高裁判所が外務省に通知した日から最高裁判所が嘱託庁に送達結果を通知するまでの平均所要期間が記載されているものの,同一国に対し,同一ルートで嘱託しても期間にかなりの差が出ることがあるそうです。
   また,嘱託庁(多分,受訴裁判所のことと思います。)と最高裁判所との間のやり取りでも時間がかかる気がします。

4 国際裁判管轄に関するメモ書き
(1) 民事訴訟の国際裁判管轄
ア 民事訴訟の国際裁判管轄に関する民事訴訟法の改正法は平成24年4月1日に施行されましたところ,首相官邸HPの「我が国における国際裁判管轄及び準拠法に関する一般的な規律について」には以下の記載があります。
    国際的な要素を有する民事裁判事件について,どのような場合に日本の裁判所が管轄権を有するかという問題が,国際裁判管轄の有無の問題である。
    国際裁判管轄に関する民事訴訟法の主な規律の概要は次のとおり。
(1) 民事訴訟法第3条の2によれば,日本の裁判所は,被告の住所が日本国内にあるときは,管轄権を有するとされている。
(2) 民事訴訟法第3条の3第8号によれば,不法行為に関する訴えは,不法行為があった地が日本国内にあるときは,(被告の住所が日本国内になくても),原則として,日本の裁判所に提起することができるとされている。
イ 最高裁平成9年11月11日判決は「日本法人がドイツに居住する日本人に対して契約上の金銭債務の履行を求める訴訟につき日本の国際裁判管轄が否定された事例」でありますところ,一般論として以下の判示をしています。
    どのような場合に我が国の国際裁判管轄を肯定すべきかについては、国際的に承認された一般的な準則が存在せず、国際的慣習法の成熟も十分ではないため、当事者間の公平や裁判の適正・迅速の理念により条理に従って決定するのが相当である(最高裁昭和五五年(オ)第一三〇号同五六年一〇月一六日第二小法廷判決・民集三五巻七号一二二四頁最高裁平成五年(オ)第七六四号同八年六月二四日第二小法廷判決・民集五〇巻七号一四五一頁参照)。そして、我が国の民訴法の規定する裁判籍のいずれかが我が国内にあるときは、原則として、我が国の裁判所に提起された訴訟事件につき、被告を我が国の裁判権に服させるのが相当であるが、我が国で裁判を行うことが当事者間の公平、裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情があると認められる場合には、我が国の国際裁判管轄を否定すべきである。
ウ 最高裁平成28年3月10日判決は,米国法人がウェブサイトに掲載した記事による名誉等の毀損を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求訴訟について,民訴法3条の9にいう「特別の事情」があるとされた事例です。
(2) 人事訴訟事件及び家事事件の国際裁判管轄
ア 人事訴訟事件の国際裁判管轄に関する人事訴訟法の改正法,及び家事事件の国際裁判管轄に関する家事事件手続法の改正法は平成31年4月1日から施行されています。
イ 馬場・澤田法律事務所HPの「人事訴訟事件及び家事事件の国際裁判管轄」が非常に参考になります。
(3) 国際的訴訟競合
ア 「一問一答 平成23年民事訴訟法改正-国際裁判管轄法制の整備」177頁には以下の記載があります。
    同部会(山中注:法制審議会国際裁判管轄法制部会)における審議の結果、最終的には、①判決の矛盾抵触を避けるため、外国の裁判所の審理状況を見守るのが適切な場合には、期日の間隔を調整するなどして柔軟に対応すれば足りるのではないか、②中止の要件の判断基準があいまいになり得る上、不服申立手段を設けないのであれば、現在の実務の運用と変わりがなく、あえて規定を設ける必要がないのではないかなどの点が考慮され、特段の規定は設けないこととされ、改正法においても国際的訴訟競合についての規定は設けられませんでした。
イ 38期の小野瀬厚法務省民事局長は,平成30年4月6日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
    委員御指摘のとおり、ある財産権上の訴えが外国の裁判所にも提起され、また日本の裁判所にも提起されまして、それぞれの裁判所が独立に審理、判決するということになりますと、外国の裁判所と日本の裁判所で内容が矛盾する判決がされるおそれがあるなどの問題が生じます。
    これを避けるために、一定の場合に、後から訴えが提起された日本の裁判所の訴訟手続を中止するなどの、こういった規律を設けるべきか否かが問題となり得ますが、我が国の民事訴訟法にはこういった国際的訴訟競合に関する明文の規定はございません。
    このため、同一の事項に関する訴訟が日本の裁判所と外国の裁判所に二重に提起された場合には、日本の裁判所がその事件の審理を進めるか、外国の裁判所の審理状況を見守るかといった点について、現状では、個別具体的な事案において、裁判所の訴訟指揮に委ねられているという状況でございます。
(4) 外国等に対する我が国の民事裁判権
ア 外国国家は,主権的行為以外の私法的ないし業務管理的な行為については,我が国による民事裁判権の行使が当該外国国家の主権を侵害するおそれがあるなど特段の事情がない限り,我が国の民事裁判権に服することを免除されません(最高裁平成18年7月21日判決)。
イ 平成22年4月1日,外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律が施行されました。
ウ 参議院HPに「主権免除についての国内法の整備~外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案~」が載っています。
(5) その他

ア 法務省HPに「国際裁判管轄に関する調査・研究報告書」(平成20年4月の社団法人商事法務研究会の文書)が載っています。
イ 経済産業省HPに「国境を越える電子商取引の法的問題に関する検討会報告書」(平成22年9月)が載っています。
ウ 法務省HPに「人事訴訟事件等についての国際裁判管轄に関する外国法制等の調査研究報告書」(平成24年1月の株式会社商事法務の文書)が載っていて,商事法務研究会HPに「人事訴訟事件等についての国際裁判管轄法制研究会報告書」(平成26年3月の公益社団法人商事法務研究会の文書)が載っています。

5 執行判決に関するメモ書き
(1) 民事訴訟法118条1号(法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。)に関する最高裁判例
・ 最高裁平成26年4月24日判決の判示内容
     執行判決を得るためには,民訴法118条各号に掲げる要件を具備する必要があるところ,同条1号所定の「法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること」とは,我が国の国際民訴法の原則からみて,当該外国裁判所の属する国(以下「判決国」という。)がその事件について国際裁判管轄を有すると積極的に認められることをいう(以下,この場合における国際裁判管轄を「間接管轄」という。)。
(中略)
     人事に関する訴え以外の訴えにおける間接管轄の有無については,基本的に我が国の民訴法の定める国際裁判管轄に関する規定に準拠しつつ,個々の事案における具体的事情に即して,外国裁判所の判決を我が国が承認するのが適当か否かという観点から,条理に照らして判断すべきものと解するのが相当である。
(2) 民事訴訟法118条3号(判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。)に関する最高裁判例
ア 最高裁平成10年4月28日判決の判示内容
     訴訟費用の負担についてどのように定めるかは、各国の法制度の問題であって、実際に生じた費用の範囲内でその負担を定めるのであれば、弁護士費用を含めてその全額をいずれか一方の当事者に負担させることとしても、民訴法一一八条三号所定の「公の秩序」に反するものではないというべきである。
イ 最高裁平成31年1月18日判決の判示内容
     外国裁判所の判決(以下「外国判決」という。)が民訴法118条により我が国においてその効力を認められるためには,判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないことが要件とされているところ,外国判決に係る訴訟手続が我が国の採用していない制度に基づくものを含むからといって,その一事をもって直ちに上記要件を満たさないということはできないが,それが我が国の法秩序の基本原則ないし基本理念と相いれないものと認められる場合には,その外国判決に係る訴訟手続は,同条3号にいう公の秩序に反するというべきである(最高裁平成5年(オ)第1762号同9年7月11日第二小法廷判決・民集51巻6号2573頁参照)。
ウ 最高裁令和3年5月25日判決の判示内容
    民訴法118条3号の要件を具備しない懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分(以下「懲罰的損害賠償部分」という。)が含まれる外国裁判所の判決に係る債権について弁済がされた場合,その弁済が上記外国裁判所の強制執行手続においてされたものであっても,これが懲罰的損害賠償部分に係る債権に充当されたものとして上記判決についての執行判決をすることはできないというべきである。
(3) 養育費関係
ア 法務省HPの「養育費の算定方法・算定基準に関する諸外国の例」には,日本,米国(ニューヨーク州),英国(イングランド及びウェールズ),ドイツ,フランス及び韓国の事例が載っていますし,法務省HPの「父母の離婚後の子の養育に関する海外法制について」にはG20を含む海外24か国の法制度や運用状況が書いてあります。
イ 2018年発行の国際私法年報20号には「特集 国際扶養に関する諸問題」として以下の論文が載っています。
・ 扶養義務の準拠法に関する法律再考
・ 扶養義務に関する審判事件の国際裁判管轄
・ 外国扶養裁判承認執行制度の現状と課題
・ 国際扶養をめぐる実務的諸問題
ウ 東京高裁平成27年5月20日判決(判例秘書掲載)は,日本人男女間の子の養育費についてアメリカ合衆国カリフォルニア州の裁判所が言い渡した判決について日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないとして執行判決が認められた事例であって,被告は1500万円近くの収入を継続的に得ている以上,月額3416米ドル(1ドル120円の場合,円ベースの年額は491万9040円)の養育費は我が国における公の秩序又は善良の風俗(民事執行法24条5項・民事訴訟法118条3号)に反しないと判断しました。
(4) その他
・ 家事事件手続法79条の2(外国裁判所の家事事件についての確定した裁判の効力)は,「外国裁判所の家事事件についての確定した裁判(これに準ずる公的機関の判断を含む。)については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第百十八条の規定を準用する。」と定めています。
・ 国際法学会HPの「エキスパート・コメント」「外国判決の承認執行制度」及び「人事訴訟法等の改正による国際裁判管轄規定等の新設について」が載っています。

6 関連記事その他
(1) 民事訴訟関係書類の送達事務は,受訴裁判所の裁判所書記官の固有の職務権限に属し,裁判所書記官は,原則として,その担当事件における送達事務を民訴法の規定に従い独立して行う権限を有します(最高裁平成10年9月10日判決)。
(2)ア 外務省HPに「外国の裁判所が日本に裁判文書の送達及び証拠調べを要請する方法」が載っています。
イ 自由と正義2016年5月号13頁以下に「当事者や証拠が外国に存在する場合の送達及び証拠調べ」が載っています。
ウ リーガルモールビズ「日本政府、ハーグ送達条約による郵送送達に拒否宣言―日本企業が注意する必要のある点」(2019年8月8日付)が載っています。
エ 判例タイムズ1514号(2024年1月号)に「外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約(ニューヨーク条約)裁判官向けガイドについて」が載っています。
(3) 相続放棄をしていない相続人の住所が韓国にあることが判明するとともに,EMS(国際スピード郵便)による手紙が届く状態である点で公示送達を利用できない場合,担保不動産競売開始決定等について外国送達が必要になるかもしれない(弁護士ドットコムの「公示送達について教えてください」のベストアンサー参照)ものの,日本の弁護士を代理人に選任してもらえれば,その弁護士に送達できることになりますし,送達場所を届け出ればそこに送達してもらえます(送達の特例に関する民事執行法16条参照)。
(4) 国立国会図書館HPの「調査と情報」「英独仏の離婚制度」(2022年3月28日付の調査と情報1186号)が載っています。
(5)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 民事事件に関する国際司法共助手続マニュアル(令和2年6月に開示された,最高裁判所民事局作成の文書)
・ 民事訴訟手続に関する条約等による文書の送達,証拠調べ等及び執行認許の請求の嘱託並びに訴訟上の救助請求書の送付について(平成3年4月10日付)
・ 在外公館の証明事務のマニュアル
イ 以下の記事も参照してください
・ 送達に関するメモ書き
・ 諸外国の司法制度
・ 在日韓国・朝鮮人の相続人調査
・ 判事補の海外留学状況


広告
スポンサーリンク