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外交的保護とは|国籍継続・国内救済完了・国が行使できない場合(AI作成)

第1 外交的保護の意味

外交的保護とは,国が,自国民に対する他国の国際違法行為について,自国の権利として責任を追及する制度である。国際法委員会(ILC)の外交的保護条文案1条は,外交的行動その他の平和的解決手段によって他国の責任を援用することと整理している。

個人の被害を出発点とするが,国が国際請求を取り上げた段階では,単なる代理訴訟ではない。答案では,①国際違法行為,②国籍国,③国籍継続,④国内救済完了,⑤例外,⑥国の裁量という順で検討すると整理しやすい。

第2 誰の国が保護を行使できるか

条文案3条1項によれば,自然人について外交的保護を行使できるのは,原則としてその者の国籍国である。加害国と被害者の居住地が異なるだけでは足りず,国籍を確認する必要がある。

同条2項以下には無国籍者・難民などの特則があるが,通常の国籍を持つ自然人の事例では,まず3条及び5条による国籍国を特定する。

第3 国籍継続の原則

条文案5条は,被害発生時から国際請求の公式な提示時まで,原則として継続して国籍国であった国に外交的保護を認める。これは,請求を有利な国へ移すための国籍変更を抑える機能を持つ。

もっとも,同条2項は,被害発生後の国籍変更が被害と無関係な理由で行われ,旧国籍を失い,新国籍を取得した場合に一定の例外を認める。したがって,「被害時と請求時の国籍が違うから常に不可」と機械的に結論付けない。

第4 国内救済完了の原則

条文案14条は,国際請求を行う前に,原則として利用可能な国内救済を尽くすことを求める。受入国の裁判所その他の機関に違法を是正する機会を先に与える趣旨である。

ここでいう国内救済は,形式上存在する手続をすべて試すという意味ではない。通常の司法的又は行政的救済のうち,現実に利用でき,救済を与える可能性のあるものが中心となる。

第5 国内救済を尽くさなくてよい場合

条文案15条は,国内救済完了原則の主な例外を掲げる。例えば,実効的な救済を得る合理的可能性がない場合,不当に長い遅延がある場合,被害者と加害国との間に関連する結び付きがなかった場合,又は加害国が要件を放棄した場合である。

外国人に手続の利用資格がなく,国内法上そもそも申立てが許されない事例では,存在しない救済を尽くすことはできない。条文案15条(a)の「合理的に利用可能な国内救済がない,又は実効的救済を与える合理的可能性がない」場合として検討するのが中心となる。

第6 国に行使義務があるわけではない

条文案2条は,国が外交的保護を行使する「権利」を有すると定める。被害者が要件を満たせば,国が必ず請求を取り上げなければならないという一般的な国際法上の義務まで定めたものではない。

条文案19条は適切な考慮などの推奨実行を示すが,2条の権利性とは区別される。答案でも,「行使できる」と「行使しなければならない」を分ける必要がある。

第7 ノッテボーム事件を一般化し過ぎない

ICJノッテボーム事件第二段階判決(1955年4月6日)は,リヒテンシュタインへの帰化の経緯や,グアテマラとの長期の生活関係を踏まえ,同国に対する外交的保護の請求を不受理とした。

しかし,同判決から,すべての外交的保護事件で「真正な結合」が国籍に追加される独立の一般要件であると直ちに断定するのは慎重であるべきである。通常の出生国籍又は長期継続する国籍の事例では,ILC条文案3条・5条を軸に検討し,ノッテボーム事件の特殊な帰化事情と区別する。

第8 事例への当てはめ方

例えば,B国民Xの財産をC国が国際法に違反して没収し,C国の救済手続が外国人には利用できない事例では,次の順序で論じる。

  1. C国の国際違法行為が前提とされていることを確認する。
  2. Xが被害時から請求提示時までB国籍を継続しているかを確認する。
  3. C国の国内救済が外国人に閉ざされているなら,国内救済完了原則の例外を検討する。
  4. 要件を満たせば,B国は外交的保護を行使できるが,一般国際法上当然に行使義務を負うわけではないと結論付ける。

第9 関連記事

平和条約による請求権放棄と外交的保護権の関係は,平和条約の請求権放棄とは何か―三つの説・最高裁判例・政府見解(AIリライト)で整理している。

第10 出典

① ILC, Draft Articles on Diplomatic Protection with commentaries, 2006(1条~5条,14条,15条,19条)。
② Nottebohm (Liechtenstein v. Guatemala), Second Phase, Judgment of 6 April 1955。
③ ILC, Diplomatic protection―Texts, instruments and final reports。