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固定資産評価証明書を所有者以外が取得できる場合-請求できる人,資格及び必要書類(AI作成)

第1 所有者以外でも取得できる場合がある

1 結論と記事の対象

固定資産評価証明書は,不動産の所在地や評価額等を証明する書類であり,登記事項証明書のように誰でも自由に取得できる資料ではない。
しかし,所有者本人の委任がなくても,法律上の資格又は申立ての目的に基づいて取得できる人がいる。

令和8年9月27日現在,所有者以外による取得は,①対価を支払う借地人・借家人等の直接請求,②法令で定める管財人等又は一定の裁判手続を始める人の直接請求,③相続人・法定代理人・財産管理人等による所有者側の地位又は権限に基づく請求,④委任を受けた代理人又は限定目的の特別書式による請求に分けると理解しやすい。
同じ「所有者以外」であっても,請求の根拠,取得できる不動産の範囲及び必要書類は同じではない。

本記事は,固定資産課税台帳に記載された価格等の証明書のうち,一般に「固定資産評価証明書」と呼ばれるものを中心に扱う。
評価証明書,公課証明書及び名寄帳の違いは,固定資産評価証明書と名寄帳の違い-相続・登記・訴訟での使い分け(AI作成)で説明している。

2 「取得できる人」の四つの意味

第一は,所有者の同意や委任を必要とせず,自分の法律上の資格で直接請求できる人である。
対価を支払う土地・家屋の使用収益権者,総務省令で定める処分権者及び一定の裁判手続を始める人がこれに当たる。

第二は,相続,成年後見,財産管理その他の法的地位により,所有者側の権利又は管理権限を示して請求する人である。
第三は,所有者又は納税義務者から委任を受けた代理人であり,親族,宅地建物取引業者又は専門職であるという肩書だけでは足りない。

第四は,訴額の算定,税務代理又は登記官の交付依頼等の限定された目的について,自治体が指定する書式と資料を用いる人である。
弁護士,司法書士又は税理士であること自体が,不動産一般を調査する権限になるわけではない。

第2 地方税法上の交付制度

1 本人に関する証明と第三者への証明は根拠が異なる

地方税法20条の10は,地方税に関する証明書を請求者本人に関するものに限って交付する制度を定めている。
これに対し,同法382条の3は,同条の政令で定める人が請求したときに,その人に関係する固定資産について,政令で定める登録事項の証明書を交付する制度を置いている。

したがって,「所有者本人でない」という理由だけで一律に交付を拒まれるわけではない。
他方,請求者が対象不動産と無関係であれば,不動産の所在地を知っているだけで取得することはできない。

2 評価証明書と課税台帳の閲覧は別の制度である

地方税法382条の2は固定資産課税台帳の閲覧を,同法382条の3は登録事項の証明書の交付を定めている。
両制度には共通する請求者区分があるものの,必要な情報が証明書であるのか,台帳の閲覧で足りるのかを申請前に区別する必要がある。

自治体によって,評価証明書の名称,記載事項,手数料,郵送・電子申請の可否及び請求権を確認する書類が異なる。
以下で示す法令上の請求資格と,個々の自治体が定める申請方法を分けて確認する必要がある。

第3 対価を支払う借地人・借家人等

1 土地の使用又は収益を目的とする権利を有する人

地方税法施行令52条の15は,土地について賃借権その他の使用又は収益を目的とする権利を有し,その権利について対価を支払う人に,対象土地の登録事項証明書を請求する資格を認めている。
典型例は借地人である。

東京都主税局の賃借人・地上権者等に関する案内は,賃借権のほか,地上権,地役権,永小作権,入会権,採石権及び鉱業権等を例示している。
もっとも,これらの名称の権利があるだけで足りるのではなく,対価が支払われ,その権利の対象が請求する土地であることを資料で示す必要がある。

無償の使用貸借又は事実上の占有は,この直接請求の根拠にはならない。
取得できるのも権利の対象土地に限られ,所有者が同じ市町村内に持つ他の不動産まで調べる資格ではない。

2 家屋の使用又は収益を目的とする権利を有する人

対価を支払って家屋を使用又は収益する人は,対象家屋とその敷地である土地について請求できる。
借家人が家屋だけでなく敷地の証明書も請求できるのは,地方税法施行令52条の15の表第2号がその範囲を明示しているためである。

転借人については,転貸借の対象,現在の契約関係及び対価の支払を確認するため,転貸借契約書に加えて所有者までの契約関係を示す書類を求める自治体がある。
必要書類は,対象自治体の案内で確認する必要がある。

3 契約書と対価の支払資料

申請時には,対象不動産,貸主と借主,契約期間及び賃料等が分かる賃貸借契約書が基本資料となる。
契約書だけでは現在の対価の支払を確認できない場合,領収書,通帳その他の支払資料を求める自治体がある。

契約が終了しているときにどの年度の証明書を交付するかは,自治体の取扱いと提出資料による。
過年度の証明書が必要な場合は,その年度に権利が存続していたことと,当該年度の証明書を発行できるかを先に確認するのが安全である。

第4 処分権者と裁判手続の申立人

1 総務省令で定める処分権者

地方税法施行令52条の15の表第3号と地方税法施行規則12条の4・12条の5によれば,直接請求できる処分権者は,次の9号である。
①所有者
②破産管財人及び保全管理人
③会社更生手続の保全管理人及び管財人
④預金保険法上の金融整理管財人及び所定の場合の預金保険機構
⑤農水産業協同組合貯金保険法上の管理人
⑥保険業法上の保険管理人
⑦金融機能の再生のための緊急措置に関する法律上の金融整理管財人
⑧民事再生法上の管財人及び保全管理人
⑨外国倒産処理手続の承認援助に関する法律上の承認管財人及び保全管理人

この列挙は,管財人等の肩書があればあらゆる不動産を調べられるという意味ではない。
請求できるのは,その人が処分権を有する対象固定資産であり,選任書等により資格と対象を示す必要がある。

2 法令が対象とする裁判手続

地方税法施行令52条の15の表第4号は,民事訴訟費用等に関する法律別表のうち,指定された申立てをしようとする人を対象としている。
令和8年9月27日現在の対象は,次のとおりである。

①訴えの提起
②控訴の提起
③上告の提起又は上告受理の申立て
④請求について判断をしなかった判決に対する控訴,上告又は上告受理の申立て
⑤請求の変更
⑥反訴の提起
⑦民事訴訟法47条1項若しくは52条1項又は民事再生法138条1項若しくは2項による参加の申出
⑧支払督促の申立て
⑨民事保全法による保全命令の申立て
⑩借地借家法41条の事件の申立て又は申立人としての参加
⑪前号の申立ての変更
⑫民事調停又は労働審判手続の申立て
⑬前号の申立ての変更

単に将来訴訟になる可能性があるだけでは足りず,どの手続を申し立てるために,どの不動産の価格が必要であるかを示す必要がある。
訴状,申立書,物件目録その他の自治体が指定する資料を準備し,取得できるのはその申立ての対象固定資産に限られる。

3 競売の申立人が必要とする証明書

不動産競売又は強制管理の申立てでは,評価証明書ではなく,税額等を記載した公課証明書が必要となる場合がある。
京都市の固定資産評価証明に関する案内も,訴え又は所定の申立てに用いる評価証明書と,不動産競売等に用いる公課証明書を分けている。

したがって,抵当権者又は一般債権者であることだけから,評価証明書について一般的な取得資格が生じるわけではない。
裁判所へ提出する書類の名称と用途を確認し,評価証明書,公課証明書又は別の資料のいずれが必要かを先に確定する必要がある。

第5 相続,年途中の取得及び財産管理

1 1月2日以降に所有者となった人

固定資産課税台帳は賦課期日である1月1日現在を基準として作られるため,年の途中で売買,競売又は公売により所有権を取得した人は,当該年度の台帳上の名義人と一致しないことがある。
この人は私法上の「所有者以外」ではないが,台帳上の納税義務者以外の取得者として,対象不動産について申請することになる。

自治体は,登記事項証明書,売買契約書及び代金支払資料,競売の代金納付を確認できる書類又は公売の売却決定通知書等を案内している。
売却許可決定を得ただけで代金納付前の段階では,現在の所有者であることを示す資料として足りないことがある。

2 相続人,受遺者及び遺言執行者

所有者が死亡した場合,相続人は,所有者の死亡と自分の相続関係を戸籍又は法定相続情報一覧図等で示して申請する。
相続放棄をした人,将来相続人になる可能性があるだけの親族又は相続関係を示せない人が,親族という理由だけで請求できるわけではない。

受遺者又は遺言執行者についても,遺言書,家庭裁判所の選任書その他の資料により,対象不動産と権限の範囲を示す必要がある。
相続財産調査の全体像は,被相続人の財産を調べる方法-相続人が被相続人の死亡後に行う財産・債務調査(AI作成)を参照されたい。

3 財産管理人等

相続財産清算人,不在者財産管理人並びに所有者不明土地管理人及び所有者不明建物管理人は,地方税法施行規則12条の4が列挙する9号と同じ枠で説明することはできない。
もっとも,京都市は,家庭裁判所の選任審判書等により管理権限を確認する請求者として,これらの管理人を案内している。

この取扱いは,管理人という名称だけに基づく請求ではなく,所有者側の財産管理権限と対象財産を資料で確認するものである。
具体的な管理人について請求できる証明書の種類と範囲は,選任書類を示して申請先へ確認する必要がある。

第6 代理人,法定代理人及び法人関係者

1 委任を受けた代理人

所有者又は請求資格を有する人から評価証明書の取得を委任された代理人は,委任状等を提出して申請できる。
代理人は親族に限られず,弁護士,司法書士,税理士,宅地建物取引業者その他の人も含まれるが,通常の代理申請では具体的な委任の存在が根拠となる。

媒介契約書を委任資料として用いる場合,評価証明書等の取得を委任する旨が契約書に記載され,契約期間内であること等を求める自治体がある。
復代理人が申請するときは,本人から代理人,代理人から復代理人へと権限がつながることを示す必要がある。

2 同居親族

同一世帯の親族について委任状を省略する自治体がある一方,親族にも原則として委任状を求める自治体がある。
京都市は市内の同一世帯親族について一定の場合に委任状の省略を案内しているが,東京都主税局の評価証明FAQは,同居親族についても代理権を確認する資料が必要であると案内している。

配偶者,子又は同居人であることだけを,全国共通の請求資格又は委任状省略事由として扱うことはできない。
申請先自治体の最新の案内を確認する必要がある。

3 成年後見人等と法人関係者

成年後見人は後見登記事項証明書又は審判書等により法定代理権を示して申請する。
保佐人,補助人又は任意後見人は,評価証明書の取得が代理権の範囲に含まれ,任意後見については契約が発効していることを示す資料が必要となる。

法人所有の不動産について,代表者は代表資格を,従業員は法人から申請権限を与えられていることを示す。
自治体によって,登記事項証明書,法人代表者印のある申請書又は委任状,社員証等の組合せが異なる。

第7 専門職及び登記関係の限定ルート

1 弁護士・司法書士の統一様式

弁護士又は司法書士は,訴訟物の価額又は民事保全手続の担保額等を算定するため,自治体が受け付ける統一様式を利用できる場合がある。
この方法では所有者の委任状を求めない自治体があるが,利用目的,提出先及び対象不動産が所定の範囲に限られる。

統一様式は,戸籍謄本等を請求する際の職務上請求用紙とは別の書式である。
弁護士等の職務上請求用紙の制度は,弁護士の職務上請求用紙の購入・保管・紛失対応-用紙管理,返還及び懲戒リスク(AI作成)で説明している。

2 税理士の税務代理権限証書

相続税申告等の税務代理を受任した税理士について,税理士法30条の税務代理権限証書,税理士証票及び相続関係を示す資料等により申請を受け付ける自治体がある。
税理士資格だけによる請求ではなく,具体的な税務代理と対象不動産との関係を示す方法である。

3 登記官の交付依頼書

登記手続のため,登記官が発行した固定資産評価証明書交付依頼書等を持参する取扱いがある。
対象となる登記,非課税物件又は近傍地の取扱い,利用できる申請方法は自治体によって異なるため,法務局の依頼書に記載された目的と申請先の案内を確認する必要がある。

この方法も,依頼書を持参した人に一般的な照会権を与える制度ではない。
交付依頼書で特定された登記目的及び対象不動産の範囲に限られる。

第8 その立場だけでは取得できない人

1 親族,利用者及び購入希望者

配偶者,子,兄弟姉妹その他の親族であるだけの人,同居しているだけの人又は将来相続する可能性があるだけの人には,全国共通の直接請求権はない。
無償で不動産を使用している人,売買契約前の購入希望者及び固定資産税を事実上負担しただけの人も,別の権利,委任又は法的地位を示す必要がある。

賃貸借契約が終了した人が現在年度の証明書を請求するときは,現在も対価を支払う使用収益権を有するという直接請求の要件を満たさないことがある。
過年度分が必要であれば,契約の存続期間と自治体の発行可能年度を確認する必要がある。

2 債権者,不動産関係者及び専門職

抵当権者,一般債権者,隣地所有者,マンション管理組合又は管理会社であるという立場だけでは,評価証明書を一般的に請求できない。
競売申立て,訴訟申立て,委任その他の個別の根拠があれば,その根拠に応じた証明書を対象不動産について請求することになる。

宅地建物取引業者,弁護士,司法書士又は税理士であるという資格だけでも足りない。
通常委任,訴訟等の限定目的,税務代理又は登記官の交付依頼等のどの経路を用いるのかを明確にする必要がある。

第9 取得できる範囲と申請前の確認

1 対象不動産の範囲

借地人は権利の対象土地,借家人は権利の対象家屋及びその敷地,処分権者は処分権の対象固定資産,裁判手続の申立人は申立ての対象固定資産について請求できる。
一つの不動産について請求資格があっても,所有者が同じ自治体内に持つ全不動産又は名寄帳まで取得できるとは限らない。

また,地方税法382条の3ただし書及び382条の4は,住所を明らかにすることにより生命又は身体に危害を及ぼすおそれがある場合等について,住所を伏せ,又は代替事項を記載する仕組みを置いている。
請求資格がある場合でも,第三者の情報が常にそのまま開示されるわけではない。

2 申請前にそろえる情報と資料

申請前には,①必要な書類が評価証明書,公課証明書,課税証明書又は名寄帳のどれであるか,②対象不動産の所在自治体,③必要年度と1月1日現在の名義人,④請求資格又は代理権の根拠,⑤対象不動産と権限を結び付ける資料,⑥本人確認書類,⑦窓口・郵送・電子申請の別,⑧手数料を確認する。
取得目的だけでなく,どの不動産のどの年度の証明が必要であるかを特定しておくと,必要書類を判断しやすい。

電子申請で利用できる資料や請求者区分が,窓口又は郵送申請より狭い自治体がある。
委任状,統一様式,登記官の交付依頼書又は契約書を使う場合は,原本の要否と利用できる申請方法を確認する必要がある。

3 自治体へ確認するときの伝え方

自治体へ問い合わせる際は,「所有者以外でも取れるか」という抽象的な質問だけでなく,請求者の立場,取得目的,対象不動産,必要年度及び手元の権限資料を伝える。
法令上の資格が同じでも,本人確認,原本提出,契約終了後の過年度分,同居親族及び電子申請の取扱いに差があるためである。

対象不動産又は権限を示す資料がなく,評価額を知りたいという関心だけの場合は,評価証明書の請求を進める根拠がない。
その段階では,所有者から委任を得るか,必要な裁判手続その他の法的根拠が具体化した後に再検討することになる。

第10 出典・参考資料

1 法令

地方税法(20条の10,382条の2から382条の4まで)
地方税法施行令(52条の15)
地方税法施行規則(12条の4・12条の5)
民事訴訟費用等に関する法律(別表第一・別表第二)

2 所管自治体の解説・申請案内

東京都主税局「評価証明を申請できる方」
東京都主税局「賃借人・地上権者等」
東京都主税局「固定資産に関する証明等のよくあるお問合せ」
京都市「固定資産評価証明」
水戸市「固定資産関係証明書等の種類・交付申請」

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