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弁護士EAPとは―費用・相談内容・顧問弁護士との違い(AI作成)

第1 弁護士EAPの意味と利用前に確認すること

1 従業員の法律相談を支える福利厚生

弁護士EAPは,企業が従業員向けの支援として導入し,従業員が私生活上の法律問題などを弁護士に相談できるようにする仕組みである。
EAPはEmployee Assistance Programの略で,従業員支援プログラムを意味する。
本記事では,そのうち弁護士による法律相談を中心とするサービスを扱う。

一般社団法人弁護士EAP協会は,導入企業の従業員・関係者が,職場外のプライベートな悩みについて,無料又は一般的な料金よりも低額で弁護士の法務カウンセリングを受けられることを,代表的なサービスの一つとして例示している。
利用できる関係者の範囲,相談時間,対象外の相談は,導入先の契約・利用規程により確認する必要がある。

2 費用,秘密の扱い,利益相反を一緒に確認する

導入を検討する企業は,金額に加えて,相談できる人,相談の範囲,会社に伝わる情報,勤務先と利害が対立する場合の窓口を確認したい。
利用する従業員も,無料という案内だけで,家族の利用や交渉・訴訟まで含まれると考えず,利用条件を確かめる。

本記事の確認基準日は令和8年11月3日である。
個別事務所の提供条件と,法令・弁護士の職務規程による制約を区別し,後述する確認項目は制度設計・利用のための実務上の提案として示す。

第2 相談できる内容と利用対象者

1 離婚,相続,借金などの私生活上の問題

弁護士によるEAPの相談対象は提供者ごとに定められており,例えば日本橋法律特許事務所の案内では,相続,離婚,借金,住まいや近隣のトラブル,交通事故などが挙げられている。
ただし,どの事務所でも同じ問題を同じ条件で扱うわけではない。
利用する制度の対象分野と,担当弁護士がその相談に対応できるかを,予約時に確認する。

相談では,事実関係を整理し,法律上の問題点や対応の選択肢を確認する。
その後の相手方との交渉,書面作成,調停・訴訟の代理まで依頼するかは,相談枠とは分けて決める。

2 家族,役員,退職者等の利用は制度ごとに確認する

従業員本人に加えて配偶者や両親,子などを対象とする提供例がある一方,対象者の範囲は一律ではない。
本人との関係,雇用区分,入退社時の取扱い,役員や家族の利用条件を,契約書と利用案内で確認する。

家族も利用できる制度であっても,離婚や相続などで家族間の利害が対立する場合,同じ弁護士が双方のために対応することは,弁護士職務基本規程27条・28条により制限される。
日本橋法律特許事務所の提供例では,このような場合は従業員の相談を優先し,家族の相談は受けないとしている。
利用資格の有無と,個別の事件を受けられるかという利益相反の判断は別の問題である。

第3 顧問弁護士,心理相談,内部通報窓口との違い

1 誰のために何を相談する窓口かを区別する

制度名だけで担当者の立場は決まらない。
会社の顧問業務と従業員個人の法律相談を同じ事務所へ依頼する場合も,依頼者,対象業務,報告先をそれぞれ確認する。

比較する窓口主に確認する役割利用前に確認すること
会社の顧問弁護士会社の契約・人事等に関する法的助言従業員個人の相談も契約に含むか
弁護士EAPの法律相談対象者の個人的な法律問題等への助言相談対象,個人の依頼範囲,会社との利害関係
心理相談・カウンセリング心理面の相談への対応法律相談との分担,相互紹介時の情報共有
内部通報・ハラスメント相談窓口通報・相談の受付や会社の調査等への接続個人への助言と会社への伝達の範囲

この表は窓口の役割を比較するための整理であり,すべての契約や窓口がこの分担どおりであるという意味ではない。
心理面の相談と法律相談が必要な場合は,連携先へ何を伝えるかも本人に分かる形で決める。

2 会社の相談窓口と個人の相談をつなぐ

顧問契約の相談対象や個別依頼との違いは,中小企業はいつ弁護士に相談すべきか―相談のタイミング,費用,税理士との連携及び準備資料を参照されたい。
公益通報の社外窓口の立場と業務範囲は,公益通報の外部窓口を顧問弁護士が担当する場合の問題点と制度設計で説明している。

第4 費用は基本料金と含まれる業務を組にして確認する

1 人数課金,最低料金,追加費用を確認する

提供事務所の料金表を見るときは,対象人数に応じた課金や最低年間料金など,契約の組み方を確認する必要がある。
例えば日本橋法律特許事務所の公表ページでは,対象となる役員・従業員の人数に応じた料金,最低年間料金及び家族の利用範囲が示され,基本相談枠や追加相談の取扱いは導入時に案内するとされている。
これは同事務所の提供例であり,弁護士EAP全体の統一料金や市場平均を示すものではない。

企業が見積りを比較するときは,月額・年額だけでなく,①人数を数える基準,②最低料金,③初期費用・消費税・実費,④相談回数・時間,⑤対象分野,⑥超過相談の費用を同じ条件にそろえる。
追加業務を本人が依頼する場合は,企業の契約料金に含まれる範囲と本人負担の範囲を分けて説明してもらう。

2 無料相談と事件の受任を区別する

無料で相談できると案内されていても,交渉や訴訟の代理まで無料とは限らない。
追加の作業を頼む前に,受任の諾否,作業範囲,費用の算定方法と支払者を確認する。

弁護士職務基本規程29条1項は,弁護士は,事件を受任するに当たり,依頼者から得た情報に基づき,事件の見通し,処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について,適切な説明をしなければならないと定めている。
相談の後に別の業務へ進むときも,EAPの利用資格があるというだけで,その業務の依頼や費用負担まで確定したと扱わない。

第5 相談したことや相談内容は会社に伝わるか

1 会社の費用負担と秘密の扱いは別に確認する

会社が制度の費用を負担しているという理由だけで,相談者が弁護士に話した内容を当然に会社へ報告することにはならない。
弁護士法23条は,職務上知り得た秘密を保持する権利と義務を定め,法律に別段の定めがある場合を除外している。
弁護士職務基本規程23条も,正当な理由なく,依頼者について職務上知り得た秘密を他に漏らし,又は利用することを禁じている。

もっとも,守秘義務があるという説明と,予約・本人確認・請求・利用状況の報告にどの情報を用いるかという運用は分けて確認したい。
相談内容の報告,利用者名の共有,会社の承認を受ける予約手順の有無について,利用前に案内を読む。

2 相談内容,利用の事実,統計を分ける

導入時には,個別の相談内容,相談した人の氏名,分野別の相談件数,請求に必要な情報を分け,それぞれを誰がどの目的で取り扱うかを決めることが考えられる。
件数だけの報告でも,小規模な部署や少人数の対象では,周辺事情との組合せから利用者や相談事項が推測されることがある。
本記事では,部署別・時期別の細分化を避けることや,少数の件数をまとめることを,特定リスクを減らすための設計上の確認項目として提案する。

本人の同意を得て会社や他の専門家へ情報を伝える場合には,伝える項目,伝達先,利用目的,時期を具体化する。
同意の書面があることだけで,すべての情報共有や受任が適法になると判断せず,秘密保持等の制約を別に確認する。

第6 勤務先との紛争と利益相反

1 対象外の相談と受任できない事件を確認する

弁護士EAP協会は,企業と従業員の利益が対立し得る問題について,法務カウンセリングの対象外となるのが一般的であると説明している。
勤務先に対する未払賃金請求や解雇をめぐる争いなどを相談したい場合は,そのEAP窓口が受け付けるかを,詳しい資料を送る前に確認する。

弁護士法25条及び弁護士職務基本規程27条・28条には,職務を行い得ない事件の規律がある。
顧問など継続的な法律事務の提供の関係,相手方から協議を受け又は依頼を承諾したことの有無,依頼者間の利益の対立及び規定ごとに異なる同意の要件を踏まえて,個別に判断する必要がある。
会社の顧問弁護士であることだけからすべての相談の可否を一律に決めたり,本人の同意だけで必ず受けられると考えたりしない。

2 別の相談先への案内を用意する

企業が制度を導入するときは,利益が対立する相談の受付方法と,その窓口が担当できない場合の案内をあらかじめ決めることが考えられる。
利用する従業員は,その窓口で担当できない旨の説明を受けたときは,勤務先と利害関係のない弁護士等に相談する方法を確認したい。

相談先を変更する際も,従前の相談内容を自動的に転送せず,送付範囲と本人の意向を確認する。
秘密保持と利益相反の規律の全体は,弁護士職務基本規程とは―現行条文・条文別索引・主要論点から確認できる。

第7 導入企業と利用者の確認手順

1 導入企業が確認する順序

まず,従業員のどのような困りごとに対応する制度か,対象者と対象分野を定める。
次に,費用と相談枠,担当弁護士への連絡方法,会社に報告する情報,利益相反時の別窓口を契約・利用規程・従業員向け案内でそろえる。

案内には,利用できる人,相談できる事項,利用者の負担,予約先,秘密の扱い,勤務先との対立案件の取扱いを具体的に記載する。
会社の担当者が相談内容を取りまとめて送る方式を採用する場合は,直接相談できる方式との違いや,共有される情報を明確にする。

導入後は,個別の相談内容の収集を目的とせず,案内が届いているか,予約しやすいか,利用条件に誤解がないかを確認する。
離職率や生産性等の変化を評価する場合も,他の施策や職場環境の変化を考慮し,EAPだけの効果と直ちに結び付けない。

2 利用者が相談前後に確認する事項

相談前には,自分が利用対象か,問題が相談対象か,費用や時間の上限,会社に伝わる情報を確認する。
相手方と期限のある書類の有無を伝え,詳しい経緯や資料をどの方法で送るかを窓口に尋ねる。

相談後は,次に行う作業,誰が担当するか,期限,追加費用を確認する。
予約や相談をしたことと,弁護士が提出・交渉・期限管理を引き受けたことを同一視しない。

第8 よくある質問

1 弁護士EAPは従業員なら誰でも利用できるか

勤務先が導入する制度の対象者であることを確認する必要がある。
家族,役員,雇用区分,退職後の利用等は契約・利用規程により異なり,利用対象者でも利益相反などで対応できない事件がある。

2 顧問弁護士がいれば弁護士EAPは不要か

既存の顧問契約が従業員個人の相談を含むか,利用方法や報告範囲が明確かにより,追加の制度を設ける必要性は変わる。
すでに必要な相談機会が確保されているかを確認し,名称だけで導入の要否を決めない。

3 費用はいくらで,誰が支払うか

基本料金,人数の数え方,最低料金,相談枠及び追加業務の費用を提供事務所へ確認する。
企業が基本料金を負担する制度でも,枠外の相談や事件の依頼について本人負担が生じるかを別に確かめる。

4 会社に知られず相談できるか

相談内容が当然に会社へ報告される仕組みではないが,利用者名,予約情報,利用件数,請求情報等の扱いは利用案内で確認したい。
どの情報も会社へ一切伝わらないとは考えず,秘密保持の規律と具体的な運用を分けて確認する。

5 会社への請求やハラスメントも相談できるか

会社と利益が対立する案件を対象外とするEAPがある。
個人の法律相談としての対応,会社の通報窓口としての受付,利益相反による受任制限を分け,担当できない場合は別の相談先を確認する。

6 EAPを導入すれば離職が減るか

従業員の相談機会を確保することと,離職率の低下などの成果が必ず生じることは別である。
導入目的に合う内容,利用のしやすさ,周知状況を確認し,効果を保証する説明に依存しない。

第9 出典・関連記事と説明の範囲

制度の概要,対象者・相談時間の個別設計,顧問弁護士との違い及び利益が対立する相談の一般的な取扱いは,一般社団法人弁護士EAP協会のサービス説明を参照した。
利用資格や費用がすべての提供事務所で同じであるという意味ではない。

個別の提供条件の例は,日本橋法律特許事務所の弁護士によるEAPの料金を参照した。
本記事は特定事務所への依頼を勧める比較広告や,山中弁護士によるサービス提供条件の案内ではない。

秘密保持と職務を行い得ない事件の規律は,弁護士法23条・25条及び日弁連公表の弁護士職務基本規程23条・27条・28条・29条を参照した。
報告項目の分離,少数件数の扱い,別窓口の用意及び導入後の確認方法は,これらの規律や提供例を踏まえた本記事の実務上の提案であり,法令が一律の様式・運用を定めているという説明ではない。