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裁判所の所持品検査に関する情報公開―検査方法・免除者・契約書の不開示(AI作成)

第1 所持品検査について何が開示されるか

裁判所の所持品検査に関する文書は,すべてが開示されるわけでも,すべてが不開示となるわけでもない。
来庁者向けに公開されている案内と,具体的な検査方法・検査除外者・警備体制を記載した文書を区別する必要がある。
本記事では,情報公開・個人情報保護審査委員会の公表答申を中心に,どの文書のどの部分について判断されたのかを整理する。

ここで扱うのは,裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱に基づく開示申出と苦情申出の事例である。
答申に行政機関情報公開法5条の規定が現れるのは,その不開示情報に相当するかが検討されているためであり,行政機関に対する同法上の開示請求・審査請求と手続を混同すべきではない。
また,答申は判決ではなく,理由説明書はそれ自体が委員会の最終判断を示す文書でもない。

入庁時の持込禁止物,検査への協力及び配慮の申出については,裁判所の所持品検査―持ち込み禁止物・検査の流れ・拒否した場合の扱い(AI作成)を参照されたい。

第2 大阪高裁の検査案内に関する不開示答申

令和元年度(情)答申第18号(令和元年12月20日)は,大阪高等・地方・簡易裁判所庁舎の入庁検査について,近畿弁護士会連合会及び大阪弁護士会に通知した平成29年12月12日付文書の一部不開示を妥当とした。
対象はこの特定の通知文書であり,あらゆる裁判所のあらゆる検査案内を不開示とする判断ではない。

委員会は,文書の見分により,不開示部分が入庁検査の実施時間帯や方法,所持品検査の使用機器及び検査除外者に関する事項であると認めた。
その上で,公にすると検査の妨害等を企てられ,危険物の持込み等により裁判所利用者等の生命・身体に危険が及ぶおそれがあり,適正な警備事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとして,行政機関情報公開法5条6号の不開示情報に相当すると判断した。
この判断は公表答申書4頁~5頁に記載されている。

同答申の1頁~2頁には苦情申出人の主張が,2頁~3頁には最高裁判所事務総長の説明が記載されている。
これらを引用する場合は,誰の主張・説明なのかを示し,委員会自身の判断と区別する必要がある。

第3 他庁や団体が公表した情報がある場合

この事例で苦情申出人は,入口の観察で分かること,他の地方裁判所の委員会議事概要や概算要求書等に機器が記載されていること,対象文書が黒塗りのない状態で特定団体のホームページに掲載されていることなどを主張した。
委員会は,観察によって得られる情報からは本件庁舎の運用が推測されるにとどまり,他庁等の公表情報からも,規模や構造等が異なる本件庁舎の運用が明らかになるとはいえないとした。

団体のホームページへの掲載についても,委員会は,仮に掲載されていてもその団体自身の判断によるもので,裁判所が組織として公にしたものではないことを踏まえ,情報の流通拡大がなお警備事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれにつながるという最高裁判所事務総長の説明を不合理とはいえないとした。
したがって,「どこかで閲覧できる」という事情だけで,本件での不開示事由が当然に消えると判断されたわけではない。
これは本件文書についての判断であり,第三者が公表した情報は常に不開示になるという一般命題でもない。

平成31年3月12日付理由説明書及び令和元年10月4日付補充理由説明書は,この審議において最高裁判所事務総長が提出した説明資料である。
補充理由説明書には,それまで安全が脅かされる事態が発生していないからといって,今後も発生のおそれがないとはいえないとの説明がある。
この記載は事務総長の説明として扱い,正式答申における委員会の判断は4頁~5頁に戻って確認する必要がある。

第4 民間警備業者との契約書の一部不開示

平成30年度(情)答申第1号(平成30年6月15日)は,札幌高裁が所持品検査の実施に関して民間業者と締結した平成29年4月3日付契約書の一部不開示を妥当とした。
平成30年度(情)答申第2号(平成30年7月20日)は,大阪高裁が入庁検査の実施に関して民間業者と締結した契約書の一部不開示を妥当とした。

両答申とも,委員会は対象文書を見分し,不開示部分に警備業務の具体的内容や警備体制が記載されていることを認めた。
その記載を公にすると警備レベルの低下を招き,警備事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるという説明を不合理とはいえないとし,行政機関情報公開法5条6号の不開示情報に相当すると判断している。
該当箇所はいずれも公表答申書2頁の「委員会の判断の理由」である。

ここでの結論は,警備契約書という名称の文書全体を一律に非公開としたものではない。
契約書の一部開示を前提に,特定の不開示部分の内容と警備事務への支障が検討されている点が重要である。
他の契約の金額,契約期間又は仕様の開示範囲を調べる場合も,この答申だけで結論を出さず,対象とする記載を具体的に確認する必要がある。

第5 全国集計と各庁の公開案内の違い

令和元年度(最情)答申第73号は,令和2年1月24日の答申である。
件名は下級裁判所の所持品検査の実施状況を取りまとめた文書に関するものであるが,委員会が見分した文書は,全国の家庭裁判所における金属探知機を利用した警備の実施状況の一覧表及び詳細版であった。
不開示部分には,各庁の実施件数,実施庁名,実施年月日等の具体的な実施状況が記載されていた。

委員会は,これらを公にすると警備の傾向や内容を推測され,警備の妨害等を企てられるおそれがあるとして,行政機関情報公開法5条6号の不開示情報に相当するとした。
事務総長の説明では同条4号及び6号が挙げられているが,委員会の結論は6号によるものである。
この点も説明主体を区別して読む必要がある。

一方,各庁が来庁者向けに所持品検査の実施を案内していることもある。
この答申から,恒常的な入庁時検査を行う全庁舎の現在の数や,公表済みの各庁の案内まで不開示とされたという結論を導くことはできない。
公開案内から確認できる実施庁舎と開始時期は,全国の下級裁判所における所持品検査―実施庁舎,開始時期及び法的根拠(AIリライト)で別に整理している。

第6 文書の不存在と検査の法的根拠

平成30年2月13日付司法行政文書不開示通知書は,裁判所の所持品検査の根拠となる最高裁判所規程のうち,「条文中に『所持品検査』という文言を含むもの」を対象としている。
その理由は,当該文書を作成又は取得していないというものである。
これを,検査の法的根拠が一切ないという認定や,検査を違法とした判決として扱うことはできない。

文書不存在,保存期間経過による廃棄及び不開示情報該当性は,それぞれ別の問題である。
通知書に「不開示」と書かれていても,まず対象文書の特定と不開示の理由を読み,存在する文書の内容を伏せた事例なのか,文書を保有していない事例なのかを区別する必要がある。
法的根拠については,庁舎管理と傍聴人に対する法廷秩序維持を分け,関係規程及び国会答弁を確認すべきである。

第7 開示資料を調べる際の確認事項

開示を申し出る文書を検討する際は,裁判所名,庁舎,文書の種類及び対象時期を具体化し,公表済みの案内で目的を達成できるかを先に確認するのが有用である。
契約書,実施通知,議事概要及び集計資料は内容も管理主体も異なるため,題名に「所持品検査」があるというだけで同じ資料と扱うべきではない。
法的評価についての新たな回答を求めることと,既に保有されている文書の開示を求めることも区別する必要がある。

答申を参照するときは,年度と暦年,情・最情の区分,答申番号,答申日,対象文書及び判断された不開示部分を照合する。
公開済み情報の有無を争点とする場合も,どの主体が,どの時点の,どの内容を公表しているかを特定する必要がある。
本記事の事例は過去の特定文書に関するものであり,現在の各庁の免除者や検査方法を全国一律に確定する資料ではない。

第8 関連記事

不開示事由に該当するとされた下級裁判所の司法行政文書は,所持品検査以外も含む下級裁判所の不開示事例を一覧できる記事である。
最高裁判所の庁舎情報が不開示とされる理由―裁判官等への襲撃リスクと警備上の判断(AIリライト)は,最高裁庁舎の写真・平面図・入構方法を扱っている。

裁判所の所持品検査に関する国会答弁―法的根拠・常時検査・金属探知機・法廷警備(AIリライト)は,国会で説明された検査の根拠・実施状況等を扱う記事である。
裁判所の庁舎等の管理に関する規程及びその運用は,庁舎管理に関する規程・通達の参照先である。

第9 出典

令和元年度(情)答申第18号(令和元年12月20日)。対象・結論は1頁,事務総長の説明は2頁~3頁,委員会の判断は4頁~5頁。
https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/file1/1j18.pdf

平成30年度(情)答申第1号(平成30年6月15日)及び同第2号(平成30年7月20日)。対象・結論はそれぞれ1頁,委員会の判断はそれぞれ2頁。
https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/file1/30jou1.pdf
https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/file1/30jou2.pdf

令和元年度(最情)答申第73号(令和2年1月24日)。対象・結論は1頁,委員会の判断は2頁~3頁。
https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/file1/1sj73.pdf

平成31年3月12日付理由説明書及び令和元年10月4日付補充理由説明書は,最高裁判所事務総長の説明資料である。
その提出・収受は令和元年度(情)答申第18号の3頁~4頁にも記載されている。
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/03/%E5%B9%B3%E6%88%90%EF%BC%93%EF%BC%91%E5%B9%B4%EF%BC%93%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%92%E6%97%A5%E4%BB%98%E3%81%AE%E7%90%86%E7%94%B1%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8%EF%BC%88%E5%A4%A7%E9%98%AA%E9%AB%98%E8%A3%81%E3%81%AE%E5%85%A5%E5%BA%81%E6%A4%9C%E6%9F%BB%EF%BC%89.pdf
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/10/R011004-%E8%A3%9C%E5%85%85%E7%90%86%E7%94%B1%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8%EF%BC%88%E5%A4%A7%E9%98%AA%E9%AB%98%E8%A3%81%E3%81%AE%E6%89%80%E6%8C%81%E5%93%81%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%96%87%E6%9B%B8%EF%BC%89.pdf

平成30年2月13日付司法行政文書不開示通知書(最高裁秘書第510号)。条文中の文言を限定して特定した規程の不存在に関する通知である。
原資料は,裁判所の所持品検査―持ち込み禁止物・検査の流れ・拒否した場合の扱い(AI作成)の出典欄から参照できる。