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裁判所の所持品検査に関する国会答弁―法的根拠・常時検査・金属探知機・法廷警備(AIリライト)

第1 この記事で分かること

裁判所の所持品検査に関する国会答弁では,入庁時の常時検査,法廷入廷時の個別警備,ゲート式・ハンド式金属探知機の整備,裁判の公開・公平との関係,法曹関係者への事前説明及び法廷警備員の研修が取り上げられている。

本記事は,平成30年11月22日の参議院法務委員会会議録及び平成31年4月9日の参議院法務委員会会議録を基礎に,答弁の意味を論点別に整理する。

第2 平成30年11月22日の参議院法務委員会

1 裁判の公開・公平と安全確保

村田斉志最高裁判所長官代理者は,入庁時のゲート式検査のほか,事案に応じた法廷警備が行われていると説明した。
具体的な警備方策を検討する際には裁判の公平を意識し,傍聴人等への危害を防いで裁判の公開を確保するためにも法廷の安全確保が必要であるとの見解を示した。

2 法曹三者の合意と事前説明

同答弁は,安全確保は裁判所の責任であり,法曹三者との合意がなければ実施できないものではないとした。
他方で,関係者の意見を踏まえて実施の要否を検討し,一般的な入庁時検査については,弁護士会及び検察庁に事前に丁寧な説明をした上で実施に至ったと説明している。

3 入庁時検査と法廷入廷時検査

笠井之彦最高裁判所長官代理者は,庁舎内の安全確保を裁判所の重要な責務の一つと位置付けた。
金属探知機による入庁時検査のほか,各庁の実情に応じ,法廷入廷時にも外注警備員によるスポット的な検査を行うなどして体制を整えていると答弁した。

4 法廷警備員の研修

堀田眞哉最高裁判所長官代理者は,東京地裁では法廷警備員の採用時に約半年間の警備技術教育を行い,所持品検査の基本動作等をまとめたDVDを他の裁判所の研修にも提供していると説明した。
警備マニュアルの整備や警察職員を講師とする研修を行う裁判所もあると答弁した。

第3 平成31年4月9日の参議院法務委員会

1 常時検査を行うかの判断要素

笠井之彦最高裁判所長官代理者は,常時の入庁時検査を行うかは,取扱事件数,来庁者の状況など,各庁の実情に応じて判断されると答弁した。

2 金属探知機の整備状況

同答弁によれば,当時,ゲート式金属探知機は,地裁本庁50庁舎,独立庁舎を持つ家裁本庁17庁舎及び裁判員裁判を実施する支部10庁舎の合計77庁に整備されていた。
ゲート式を常時使用する庁舎数ではなく,機器が整備されていた庁数を述べたものである点に注意を要する。

その他の庁には,各庁の実情に応じてハンド式金属探知機を整備し,危険の態様・程度に応じて庁舎入口又は法廷入口で検査するとの説明もあった。

3 当事者間の加害を防ぐ措置

村田斉志最高裁判所長官代理者は,当事者間の加害のおそれがある事案では,来庁時間又は調停室を別にし,当事者同士が対面しないようにする措置が講じられていると説明した。

第4 答弁から読み取れる範囲

  • 裁判所は,庁舎及び法廷の安全確保を自らの責務と位置付けている。
  • 入庁時の常時検査と,特定の法廷・事案に応じた個別警備は区別されている。
  • 常時検査の要否は全国一律ではなく,各庁の事件数や来庁者等を踏まえて判断するとされている。
  • 裁判の公開は,警備を制限する方向だけでなく,安全に傍聴できる環境を確保する方向からも説明されている。
  • 法曹三者の合意は実施要件ではないとされる一方,一般的な入庁時検査では事前説明が行われたとされている。

これらは各答弁時点の説明であり,現在の実施庁舎及び運用は全国の下級裁判所における所持品検査―実施庁舎,開始時期及び法的根拠(AIリライト)で確認する必要がある。

第5 国会答弁資料の不存在に関する開示文書

平成31年3月20日付の司法行政文書不開示通知書は,平成30年11月22日の国会答弁に関する説明案を記載した司法行政文書を保有していないとするものである。

平成31年4月18日付の理由説明書及び令和元年10月18日付の答申書も,説明案を作成していないとの説明を不合理とはいえないとした。

これは,該当する説明案の保有が確認されなかったという文書管理上の判断であり,国会会議録に記録された答弁自体が存在しないという意味ではない。

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第7 出典