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裁判所ウェブサイトのリニューアル・運用保守契約―受注者と業務内容の変遷(AI作成)

第1 契約書から分かること

裁判所ウェブサイトに関する契約は,サイト本体の構築・移行,既存サイトの運用保守,チャットボットの検証・構築等に分かれている。
同じ時期に異なる受注者との契約が存在しても,担当業務や契約期間が異なれば矛盾しない。
本記事は,運用支援報告書等の資料集に掲載している6点の契約資料から,受注者,業務範囲,契約期間及び読み違えやすい点を整理するものである。

1 リニューアルの公開日と契約締結日

裁判所のリニューアル案内は,ウェブサイトの統合,手続・書式への導線の整理及びチャットボットの導入を説明している。
これらの公開されたサービスと,構築等を発注した契約の締結日とは区別する必要がある。
資料集で「令和7年9月24日の裁判所ウェブサイトのリニューアルに関する請負契約書」として掲載しているPDFは,複数の契約書・仕様書をまとめた269頁の合冊である。
合冊の最初の構築・移行契約は令和6年4月1日付であり,合冊名の日付を全ての契約の締結日と読むことはできない。

2 契約の比較でそろえる条件

以下の表は,個々の契約書に記載された金額と期間である。
会社名は契約書に表示された当時の名称による。
期間の異なる運用保守と,構築を含む契約の金額をそのまま比較して,単価の増減や費用対効果を判断することはできない。

契約・受注者契約期間契約金額(税込み)
平成31年のリニューアル・運用保守/エヌ・ティ・ティ・データ平成31年4月1日~令和2年3月31日107,995,800円
令和7年3月開始の運用保守/NTTデータ令和7年3月3日~3月31日4,348,300円
令和6年の構築・システム移行/ビッグツリーテクノロジー&コンサルティング令和6年4月1日~令和7年3月31日90,420,000円

表の3件は,各PDFの最初の契約書に基づく。
平成31年契約の終期は原文で「平成32年3月31日」と表記されており,表では令和2年に置き換えた。
これらを合計してリニューアル全体の総事業費とすることはできない。

第2 平成31年のリニューアル・運用保守契約

1 受注者と契約期間

平成31年4月1日付の契約書は,最高裁判所と株式会社エヌ・ティ・ティ・データとの契約である。
契約書第1条は,名称を「裁判所ウェブサイト等のリニューアル及び運用保守等」とし,契約期間と金額を定めている(PDF1枚目)。

2 開発と運用保守を分けて読む

仕様書の調達範囲には,システム構築,アクセシビリティ対応,セキュリティ対策,サイト構造設計,デザイン,移行,マニュアル作成,操作研修及び動作テスト等が掲げられている。
これに加えて,システムの保守・運用,障害対応,コンテンツメンテナンス,ヘルプデスク及びアクセシビリティ試験等が運用保守業務として列挙されている(PDF13~14枚目,仕様書3~4頁)。
したがって,この契約の金額を,既に完成したサイトの保守だけの年額として読むことはできない。

仕様書は,開発業務を平成32年3月2日まで,運用保守業務を同月3日から31日までとする作業期間を示している。
また,総委託期間について平成37年3月2日までを想定する記載があるが,これは当該契約書の終期を令和7年まで延ばすものではない。
契約書の期間,仕様書上の作業期間及び将来の想定期間を区別する必要がある。

第3 令和7年3月3日開始の運用保守契約

令和7年3月3日業務開始分の契約書は,最高裁判所と株式会社NTTデータとの契約である。
最初の契約書は,契約期間を令和7年3月3日から同月31日までとし,納入期限を同月31日とする(PDF1~2枚目)。
この資料から確認できるのは,この期間・業務に関する契約であり,令和7年度以降の全ての運用保守をNTTデータが担当したことまで示すものではない。

仕様書の表紙には,令和6年度の業務以外は参考記載である旨がある(PDF11枚目)。
仕様書に将来の作業や期間が記載されていても,その全部がこの短期間の契約に含まれると読むことはできない。

第4 新サイトの構築・システム移行

1 ビッグツリーテクノロジー&コンサルティングとの契約

リニューアル関係契約の合冊資料の最初の契約は,最高裁判所と株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティングとの「裁判所ウェブサイト等の構築およびシステム移行等」である。
令和6年4月1日付で,契約期間・納入期限はいずれも令和7年3月31日までとされている(PDF1~2枚目)。
合冊には,令和6年9月6日付の変更契約書も含まれている。
変更契約の契約条項は,原契約の仕様書本文及び別紙第3を変更する旨を定めている(PDF56~58枚目)。
変更後の内容を調べる際には,原契約の仕様書だけでなく,変更契約で差し替えられた仕様書も読む必要がある。

2 仕様書が掲げる手続案内の改善

変更契約に添付された仕様書は,手続案内ページの構成・階層の見直し,各地家裁の手続案内・書式の整理,FAQの充実,サイト内検索の改善及びチャットボットによる案内等を掲げている(PDF61~62枚目,仕様書1~2頁)。
これらは発注内容・目的を示す資料である。
各機能が実際にどのような状態で公開され,その後どう運用されたかは,公開サイト,検査・納入資料及び運用報告等で別に確認する必要がある。

判例リンクの変更と旧形式URLの読み替えについては,裁判例のURLに関する記事を参照されたい。

3 キャップジェミニとの契約(令和7年度以降)

最高裁判所は,令和7年4月1日付及び令和8年4月10日付で,キャップジェミニ株式会社との間で「裁判所ウェブサイト等の構築およびシステム移行等」に関する契約を締結している。
業務の名称は,令和6年4月1日付のビッグツリーテクノロジー&コンサルティングとの契約と同じである。
令和7年4月1日付の契約書は,予定総額を52,536,000円とし,その内訳を開発及び移行費用36,960,000円と運用保守費用(予定総額)15,576,000円としている(後記⑤のPDF2枚目)。
その仕様書は,作業期間を令和7年4月1日から令和8年3月31日までとし,総作業期間として令和6年度の契約締結日から令和12年9月30日までを想定している(同PDF17枚目)。

令和8年4月10日付の契約書は,契約金額を別表によるものとしている。
別表は,契約期間を令和8年4月1日から同月11日までとした上で,本予算成立後は令和9年3月31日まで延長するものとし,固定費の予定総額を,同月11日までの分と同月12日以降の分を合わせて32,881,200円としている(後記⑥のPDF56枚目)。
変動費は別紙によるとされているから,この金額は固定費の額であり,変動費を含む年度の支払額を示すものではない。

同じ契約書のPDF57枚目の別紙は,変動費(コンテンツ作成及び動画関係作業費用)の予定額の合計を330,000円としている。
固定費の予定総額32,881,200円と合わせると,年度予定額は33,211,200円となるが,これも予定額であり,実際の支払額を示すものではない。
最高裁判所の随意契約に係る情報の公表資料のPDF54枚目もこの契約の契約金額を33,211,200円と記載する一方,契約を締結した日を令和8年4月1日としており,契約書の令和8年4月10日という日付とは記載が異なる。

令和8年6月30日付の「裁判所ウェブサイトの一部機能改修業務」の契約書は,契約金額を6,050,000円としている(後記⑦のPDF2枚目)。
仕様書は,検察審査会の議決要旨を掲載するための機能の追加と,裁判例検索機能を判例集・裁判集のデジタル化に対応させることを目的とし,作業期間を契約締結日から令和8年10月30日までとしている(同PDF9枚目)。
既存の本番環境へのリリースを求めるシステム改修であり,新規開発ではないとされている(同頁)。

この6,050,000円の契約は,議決要旨の掲載機能の追加と裁判例検索機能の改修を合わせた契約であり,どちらか一方だけの費用と説明することはできない。
個別の内容は,検察審査会の議決要旨のウェブ掲載―法改正と令和8年の機能改修契約及び判例集・裁判集のデジタル化と裁判例検索―令和8年の改修契約から分かることを参照されたい。

第5 チャットボットの契約を区別する

1 チャットプラスとの調査支援・構築等

合冊には,チャットプラス株式会社との「AIチャットボット導入に向けた調査支援及び次期裁判所ウェブサイトへの構築並びに運用保守」に関する契約書が含まれている。
令和6年9月2日付の契約はPDF143~150枚目,令和7年4月1日付の契約はPDF170枚目以降にある。
同じ調達件名でも,年度ごとの契約を区別する必要がある。

令和6年度契約の仕様書は,令和6年度以外の記載を参考とし,本契約の業務に含めない旨を明記している(PDF152枚目)。
令和7年度契約の仕様書にも,令和7年度以外の記載は参考であり,本契約の業務に含めない旨がある(PDF180枚目)。
将来の構築・運用計画を,特定年度に全て発注・実施された業務と混同してはならない。

2 スカラコミュニケーションズとの検証環境提供

合冊の後半には,株式会社スカラコミュニケーションズとの「裁判所ウェブサイトのAIチャットボットの検証環境提供及び調査支援」に関する契約書も含まれている。
令和6年1月4日付の契約はPDF220~221枚目,同年4月1日付の契約はPDF245~246枚目にある。
したがって,合冊全体を「サイト本体の受注者2社の契約」として扱うのは適切ではなく,検証段階の契約も含む資料として読む必要がある。

3 契約名のAIと現在の回答方式

契約名に「AI」とあることだけで,現在公開されているチャットボットの回答本文を生成AIが作成しているとは判断できない。
検証環境の提供,製品の調査支援,サイトへの構築及び運用保守は,それぞれ確認すべき範囲が異なる。
手続案内と法律相談の境界,令和8年8月の研究会取りまとめが説明する方式及び本人への支援については,裁判所の手続案内チャットボットと生成AIを参照されたい。

第6 運用報告書と関連記事

令和9年度概算要求における保守業務の説明

令和9年度概算要求書の説明資料の印刷68・69頁(PDF70・71頁)には,裁判所ウェブサイトの保守に関する説明と積算が掲載されている。
最高裁判所の監督の下で掲載情報の編集・更新を行うこと,セキュリティパッチへの対応,軽微な不具合の修正,アクセシビリティに関する試験等が説明されている。
公開時のリニューアルだけでなく,公開後の情報更新や安全性・利用しやすさを保つ業務が対象となっていることが分かる。

同資料の所要額は37,139千円,すなわち3713万9000円であり,積算単価は3713万8200円である。
単価と千円単位の所要額欄は表記の単位が異なるため,両者を同じ数値として扱わない。
これは令和9年度の概算要求段階の記載であり,その年度の実際の契約額,契約相手又は支払実績を確定するものではない。

アクセシビリティについても,契約上の要求と,実際に公表された試験の対象範囲を分ける必要がある。
裁判所のウェブアクセシビリティ方針は,JIS X 8341-3:2016の適合レベルAAへの準拠を目標としつつ,PDFファイル等のHTML形式以外のページを目標の対象外としている。
令和7年のウェブアクセシビリティ検証結果によれば,試験の対象は,サイトを代表するページと無作為に選んだページを合わせた40ページであり,サイト上の全ページや全PDFについて同じ試験結果が得られたという意味ではない。

月ごとのアクセス状況を調べる場合は,裁判所ウェブサイトの運用支援報告書・アクセスレポート一覧を参照されたい。
月次報告書の作成者と,サイト構築又はチャットボットの受注者が常に同一であるとは限らない。
アクセスの増減から,個々の契約の履行状況や費用対効果を直接判断することもできない。

裁判所の広報事務の歴史的な分担については,最高裁判所事務総局広報課の事務分掌が参考になる。
同記事が整理する平成26年時点の分担を,現在の組織・担当の証明とすることはできない。

国会の例として,参議院が令和8年5月に一般競争入札を経て結んだホームページのデザインリニューアル業務の契約は,参議院の原案を基にしたデザイン案とテンプレートの作成に業務を絞り,CMSを使わず,全ページへの展開とアップロードを職員が行う内容である。
業務の範囲が大きく異なるため,契約金額だけを裁判所ウェブサイトの契約と比べることはできない。
契約書と仕様書の内容は,参議院ホームページの令和8年デザインリニューアル契約―入札,業務範囲,著作権条項と収入印紙で説明している。

本記事で整理した契約は,掲載した資料に含まれるものに限られる。
令和7年度及び令和8年度のキャップジェミニ株式会社との契約は第4の3で整理したが,契約を全て網羅した一覧ではなく,変更契約及び検査・支払については,該当する資料を追加して確認する必要がある。

第7 出典と参照箇所

① 裁判所ウェブサイト等のリニューアル及び運用保守等に関する契約書(平成31年4月1日付):PDF1枚目の契約条項,PDF13~14枚目の仕様書の調達範囲・作業期間。
② 裁判所ウェブサイト等の運用保守等(令和7年3月3日業務開始分)に関する契約書:PDF1~2枚目の契約書,PDF11枚目の仕様書表紙。
③ 令和7年9月のリニューアル関係契約書合冊:PDF1~2枚目,56~58枚目,61~62枚目,143・150・152枚目,170・180枚目,220~221枚目及び245~246枚目。
④ 裁判所「裁判所ウェブサイトをリニューアルしました」:公開サイトの統合,手続・書式案内の整理及びチャットボット導入の説明。
⑤ 裁判所ウェブサイト等の構築及びシステム移行等に関する最高裁とキャップジェミニ株式会社との契約書(令和7年4月1日付):PDF2枚目の契約条項,PDF17枚目の仕様書の作業期間。
⑥ 裁判所ウェブサイト等の構築及びシステム移行等に関する最高裁とキャップジェミニ株式会社との契約書(令和8年4月10日付):PDF2枚目の契約条項,PDF56枚目の別表(契約期間及び契約金額),PDF57枚目の別紙(変動費)。
⑦ 裁判所ウェブサイトの一部機能改修業務に関する最高裁とキャップジェミニ株式会社との契約書(令和8年6月30日付):PDF2枚目の契約条項,PDF9枚目の仕様書の目的・作業期間。
⑧ 最高裁判所「公共調達の適正化について(平成18年8月25日付財計第2017号)に基づく随意契約に係る情報の公表」:PDF54枚目(令和8年4月1日の欄のキャップジェミニ株式会社との契約)。
⑨ 裁判所「裁判所ウェブアクセシビリティ方針」:目標とする適合レベルと例外事項。
⑩ 裁判所「ウェブアクセシビリティ検証結果2025」:試験対象の選択方法と40ページ。

PDFの頁数は,合冊を含め,ファイルの先頭から数えた枚数である。
墨塗り箇所については,製品名や設定等を推測して補っていない。
令和8年10月7日に取得した資料に基づく。
⑤~⑦の契約書は,最高裁判所が令和8年9月24日付で開示したものである。