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税務署の説明は書面でもらえるか―行政指導・事前通知・調査終了時の違い(AI作成)

第1 書面の有無は手続ごとに判断する

税務署から申告内容の確認や修正申告を求められたとき,「説明をすべて書面でもらえる」「税務署の説明はすべて口頭でよい」のどちらも正確ではない。
行政指導,実地調査の事前通知,調査結果の説明及び修正申告の勧奨では,書面に関する根拠と対象が異なる。

本記事は,令和8年10月25日に確認した国税通則法,行政手続法及び国税庁の公表資料に基づき,国税の申告内容の確認と調査に関する基本的な区別を整理する。
地方税,酒類の免許等及び査察手続は対象としない。

場面書面に関する基本的な扱い確認する内容
国税の申告内容の見直しを求める行政指導行政手続法35条3項の書面交付規定は,国税通則法74条の14第2項により適用されない行政指導の趣旨・内容・責任者と,調査との区別
実地調査の事前通知国税庁FAQ問12では原則として電話による口頭通知。希望すれば通知内容の書面が交付される扱いではない通知日時,開始日時,対象税目・期間等
調査の結果,更正決定等をすべきと認められない場合実地調査について,国税通則法74条の11第1項が所定の相手方への書面通知を定めるその時点で更正決定等をすべきと認められない税目・期間
更正決定等をすべきと認める調査結果の説明同条2項は額と理由を含む内容の説明を定める。FAQ問24では原則として口頭で説明する運用非違項目,額,理由及び質問への回答
その説明に際して行う修正申告等の勧奨同条3項は申告後の不服申立てと更正の請求に関する説明及びその旨の書面交付を求める法的効果の説明と,その書面の交付

第2 行政指導の書面交付には国税の特則がある

1 一般の行政指導と国税の行政指導

行政手続法35条3項は,口頭の行政指導について,相手方が同条1項・2項の事項を記載した書面を求めたときは,行政上特別の支障がない限り交付しなければならないと定める。
同条4項には,その場で完了する行為を求める場合等の適用除外もある。

しかし,国税通則法74条の14第2項は,納税義務の適正な実現を図るための所定の行政指導について,行政手続法35条3項と36条を適用しないとしている。
一般の行政指導に関する書面交付の規定だけを根拠に,税務署へ書面の交付義務があると結論付けることはできない。

2 説明自体が不要になるわけではない

この特則は,行政指導の規定をすべて適用しないというものではない。
行政手続法35条1項が定める趣旨・内容・責任者の明示は,国税通則法のこの適用除外の対象ではない。
行政手続法32条の任意の協力を前提とする原則や,従わなかったことを理由とする不利益取扱いの禁止も,書面交付の適用除外とは分けて読む必要がある。

国税庁の事務運営指針第2章1も,対面・電話・書面等の方法を問わず,調査と行政指導のいずれとして行うかを明示するとしている。
連絡方法だけで区別せず,担当者がどの手続として,何を求めているかを確認する。

第3 事前通知と調査結果の説明

1 事前通知は原則として電話で行う運用

国税通則法74条の9は,所定の実地調査における質問検査等に先立つ通知を定める。
国税庁FAQ問12によれば,通知方法は法令上定められておらず,原則として電話により口頭で行う。
電話での通知が困難と認められる場合には,当局の判断で書面によることもあるが,納税者の希望に応じて通知事項の書面を交付する運用ではない。

通知を受けた側では,日時,担当者,調査の開始日時・場所,目的,対象税目・期間及び対象資料等を記録し,聞き取れなかった事項を確認するのがよい。
これは通知内容を把握するための実務上の提案であり,国税通則法65条6項の調査通知と74条の9の事前通知を同一視する趣旨ではない。

2 非違の内容と法的効果の書面を分ける

国税通則法74条の11第2項は,更正決定等をすべきと認める場合に,その額と理由を含む調査結果の内容を説明すると定める。
FAQ問24では,原則として口頭で行い,必要に応じて項目や金額を整理した参考資料を示すなどの運用が説明されている。
希望すれば調査結果の説明全文が書面化される制度ではない。

これに対し,同条3項の勧奨の場面では,その調査結果に関して申告書を提出した場合,不服申立てはできないが更正の請求はできる旨を説明し,その旨の書面を交付しなければならない。
同項は「その旨を記載した書面を交付しなければならない」と定める。
ここで交付する書面の対象は申告の法的効果であり,同条2項の調査結果の説明全文とは異なる。

3 更正決定等をすべきと認められない旨の通知

同条1項は,実地調査の結果,更正決定等をすべきと認められない場合に,質問検査等の相手方となった所定の納税義務者へ,その時点でその旨を書面により通知すると定める。
この規定を,調査の種類や結果を問わず,すべての調査について同じ書面を交付する規定と読んではならない。

第4 回答・判断に必要な記録をそろえる

1 受け取った書面と自分の記録を分ける

面談記録には,受けた説明,交付書面の名称と受領日,提示された参考資料,未回答の質問及び納税者側の見解を分けて残す。
自分が作った議事メモを,税務署が認めた事実又は交付した文書と同じものとして扱わない。

例えば,「非違の理由は口頭で説明されたが,法的効果の説明書面はまだ受け取っていない」という場合と,「法的効果の書面はあるが,非違額の計算根拠が分からない」という場合では,確認すべき事項が異なる。
前者は交付状況を,後者は計算と理由を具体的に確認する。

2 修正申告の判断と質問検査への対応を区別する

FAQ問25は,修正申告の勧奨に応じるかは納税者の任意の判断としている。
応じない場合には調査結果に基づく更正等を行うが,応じなかったことを理由に,応じた場合より基本的に不利に扱うものではないと説明する。

他方,勧奨への対応と,質問検査等の適法な求めへの対応は別の問題である。
書面の交付をめぐる確認だけから,すべての質問や資料提示を拒めると判断してはならない。
税理士・弁護士は,どの手続のどの要件が問題なのかを分け,申告する場合の効果,争点及び必要な資料を依頼者に説明する。

第5 関連記事

税務調査への回答書と税務意見書の作り方は,記録した事実と法的な評価を文書へまとめる方法を扱う。

修正申告と加算税は,行政指導,調査通知及び更正予知の区別を扱う。

確定申告期の税務署の事務運営は,大阪国税局長の令和5年分に関する指示と照会文書等を扱う。

第6 出典及び確認範囲

国税通則法65条6項,74条の9,74条の11及び74条の14,行政手続法32条・35条・36条の関係部分を確認した。
本記事では,税率・加算税額・更正の請求期限の個別計算は扱っていない。

国税通則法

行政手続法

国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」の問12,問24~問26を参照した。
法令の義務と,FAQが説明する通知・説明の運用を区別している。

税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)

国税庁「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)」の第2章1・2・4を参照した。
記録の項目及び二つの記録例は,本記事の実務上の提案であり,法定様式ではない。

調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について