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通院交通費明細書の書き方―自家用車,勤務先からの通院,定期券及び領収書(AI作成)

第1 通院交通費明細書で伝えること

通院交通費明細書は,受診日,通院先,移動経路,交通手段及び費用を整理する書類である。
領収書だけでは分からない通院との対応関係を示し,領収書が通常発行されない移動も記録する役割がある。
まず提出先の保険会社から渡された現行の様式を使い,記入要領と担当者の案内を確認する。

自賠責保険の支払基準では,通院交通費等は必要かつ妥当な実費が対象とされる。
用紙に記入できる費用が,すべてそのまま認定されるという意味ではない。
自賠責の支払基準,任意保険の約款・支払方法及び裁判で判断される損害額は区別する必要がある。
出典:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jibaiseki/common/data/kijyun.pdf(PDF実頁1頁「通院費,転院費,入院費又は退院費」)

第2 日付,経路及び片道距離の書き方

1 受診日と移動を対応させる

受診日ごとに,医療機関名,実際の出発地と到着地,交通手段を記録する。
同じ日に複数の医療機関へ行った場合や,往路と復路で交通手段が違う場合は,実際の移動が分かるように分けて書く。
記入欄が足りないときは,別紙の使用方法を担当者に確認する。

診療明細や領収書の日付と照合するが,受診日だけから往復回数を推測して埋めてはならない。
送迎者の往復,付き添い,薬局への立寄りなど,通常の自分の通院と異なる移動は,誰が何のために移動したかを添える。
費用が認められるかは,その必要性と負担の実態も含めて確認する。

2 勤務先から通院した日は実際の経路を書く

勤務先から病院へ行き,その後に自宅へ帰った日は,毎回「自宅から病院までの往復」として記入しない。
勤務先,病院,自宅の位置と実際の移動順序を示し,通常の通勤経路や通勤費との関係も説明する。
ソニー損保の様式には,自宅以外の出発地として勤務先等を記入する欄がある。

以下は説明用の架空例である。

実際の移動整理する事項
勤務先→病院→自宅通常の通勤経路と今回の経路,各区間の距離・運賃,定期券の有無
自宅→病院→自宅往復した事実と,様式が求める片道距離・往復回数
自宅→病院は家族の車,病院→自宅は電車往復で異なる交通手段と,各区間の負担者・費用

この表は記録方法の例であり,通常の通勤費に相当する部分まで一律に請求できることを示すものではない。
損害保険料率算出機構の明細書も,通勤経路,通勤費支給,定期券及び通院経路を確認する構成になっている。
出典:https://www.giroj.or.jp/cali_survey/pdf/Booklet2_009.pdf(通院交通費明細書及び記入例)

3 片道距離を往復距離と取り違えない

「片道距離」の欄に往復距離を記入すると,計算時にさらに2倍されるなどの誤りにつながる。
片道距離,実際の往復回数及び単価を別々に確認する。
地図で調べた距離を使う場合は経路も保存し,迂回が必要だったときは事情を記録する。

第3 交通手段ごとに確認すること

1 自家用車と1km当たりの単価

ソニー損保の案内では,自家用車による通院について1km当たり15円で計算する方法が示されている。
これは同社の案内に基づく取扱いであり,法律で全保険会社・全請求について一律に定められた単価と説明することはできない。
提出先の様式と,その請求で用いる計算方法を確認する。

片道4kmを実際に5往復し,1km当たり15円で計算するという架空例なら,4km×2×5回×15円=600円となる。
距離,往復回数又は単価のいずれかが違えば,金額も変わる。

2 電車・バスと定期券

電車・バスは,乗車区間と運賃を記録する。
定期券で利用できた区間と,定期券の範囲外で追加負担した区間を分ける。
定期券があることを伏せて,全区間の通常運賃を当然に実費として記入しない。

ソニー損保の案内では,電車・バスの領収書の提出は不要とされている。
領収書の提出省略と,日付・経路・費用の記載が不要になることは別である。

3 タクシー,駐車場及び高速道路

タクシー等を利用したときは領収書を保存し,受診日と対応させる。
利用理由も,けがの状態,公共交通機関の利用の困難さ,病院の場所等に即して記録しておくと説明しやすい。
支出した事実だけで,その全額の必要性・相当性まで決まるわけではない。

ソニー損保の案内では,タクシー代,駐車場代及び高速道路料金等について領収書の原本提出が求められている。
提出前に写しを残し,どの明細行の証拠か分かるようにする。
出典:https://www.sonysonpo.co.jp/auto/guide/agde032.html
公開様式:https://www.sonysonpo.co.jp/share/pdf/auto/tsuinkoutsuhimeisaisyo.pdf

第4 交通費がない日,家族の送迎及び重複請求

1 徒歩・自転車でも提出要否は会社ごとに確認する

交通費が発生していない場合の明細書の提出要否は,保険会社の案内が同じとは限らない。
ソニー損保は,費用が発生していない場合や請求しない場合について,担当者への連絡により明細書の提出が不要となる旨を案内している。
一方,アクサダイレクトの公開様式は,徒歩・自転車等で交通費が発生しない場合でも記入・提出を求めている。
他社の案内を根拠に,手元の提出依頼を放置しないことが大切である。
出典:https://www.axa-direct.co.jp/auto/contractor/guide_document/pdf/tsuinkotsuhi.pdf

2 家族・知人の送迎は負担の実態を整理する

家族や知人の車で送迎してもらったときは,運転者,実際の経路,費用の負担者及び支払の有無を記録する。
自分の通院費,送迎のために生じた追加の移動及び付き添い費用を混同しない。
損害保険料率算出機構の様式には,送迎者との関係や生計関係等を確認する欄もある。
お礼を渡したという理由だけで,任意の金額がすべて通院交通費になるとは限らない。

3 別の保険会社への提出歴と支払歴を残す

複数の保険会社に資料を提出するときは,提出しただけの費用と,既に支払を受けた費用を分ける。
同じ費用について,どの会社へ,いつ,いくら請求し,いくら受け取ったかを一覧にしておく。
同じ事故に関する請求であっても,実費を補う給付と約款による定額給付の扱いは同一ではない。
人身傷害保険との調整は,人身傷害保険の補償範囲と請求順序も参照されたい。

第5 提出前の照合

提出前には,受診日と日付が対応しているか,片道距離と往復回数を取り違えていないか,勤務先発や定期券の事情を書いたか,領収書を添付したか,既払分を区別したかを確認する。
不明な欄を推測で埋めるより,事情を短く添えて担当者に確認する方が,後の訂正を減らしやすい。
受領した様式,提出版の写し,領収書の控え及び担当者との回答記録は,一緒に保管する。

通院のための遅刻・早退や有給休暇を整理するときは,給与所得者の休業損害を参照されたい。