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令和2年司法試験国際関係法(私法系)第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した36項目と5段階の重み付け(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

令和2年司法試験の国際関係法(私法系)第1問を対象とする。
法務省の出題の趣旨と採点実感から抽出した公開36項目を,1~5の5段階で重み付けし,模範解答を示す。
評価項目と重みは独自分析であり,公式採点基準・配点・予測得点ではない。

基準時は試験実施日の令和2年8月12日である。
以下の答案は離婚方法を実質の問題とし,調停の代行を否定して合意に相当する審判の類推適用を採る。
公式資料は理由付きの別構成も許容しており,本答案の結論だけを必須とするものではない。

検討対象本答案の結論
設問1甲国法を適用し,調停による代行を否定する。合意に相当する審判の類推適用により,甲国法上の要件を満たす場合に離婚できる。
設問2小問1離婚,附帯処分としての財産分与,慰謝料請求のいずれにも日本の国際裁判管轄がある。
設問2小問2離婚・清算的財産分与・離婚自体の慰謝料は乙国法,不貞自体の慰謝料は日本法とする。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準

1 評価項目の示し方

必須・高評価・負例・許容分岐の区分は,重みとは別に表示する。
条件付きの項目は,その構成を採用した答案だけに適用する。
表の頁はPDFの物理頁であり,「記載なし」は本問及び関連総論を実読した範囲内の判断である。
公式記述を具体的な答案要件へ言い換えた箇所には,解釈が含まれる。

行動地だけで準拠法を決める負例は番号35,改正前の枠組みだけで管轄を決める負例は番号14,調停に裁判官が関与しないとする負例は番号4,人事訴訟法17条を国際管轄の直接根拠とする負例は番号23の裏返しなので,独立の項目にせず各番号にまとめた。
その他の独立した負例は設問別表の中で重みを付けて示す。

2 5段階の重み付けの基準

重み判断基準
5採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの
4出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項
3どちらか一方が明示する中核の理由付け
2一方が軽く触れる補強,又は典型的な誤りとして指摘する事項
1一方が控えめに触れるだけの事項

第3 本問の概要

1 問題文と事実関係

設問1では,日本を共通常居所地とする甲国籍夫婦XYが離婚と財産分与に合意している。
甲国法は裁判離婚のみを認め,裁判官が合意の真意性・自由・思慮及び子又は配偶者の利益を審査する制度である。
夫婦は訴訟を避け,日本の裁判所で調停離婚したいと希望する。

設問2は別事例であり,XYはともに乙国人で,日本で婚姻生活を送っていた。
Yは日本でAと不貞関係を持ち,婚姻が破綻して別居した後,乙国へ帰国した。
Xは現在も日本に住所を有し,Yの乙国住所を知っている。
調停不成立後,Xは日本でYに離婚,清算的財産分与及び二種類の苦痛を含む慰謝料を請求する。

問題原文(国際関係法・私法系第1問,PDF実頁40):https://www.moj.go.jp/content/001326059.pdf

2 設問が求めること

設問1は調停離婚の可否を問い,否定する場合には訴訟以外の日本の裁判所の手続を示すことを求める。
調停事件自体の国際裁判管轄は検討しない。
設問2小問1では各請求の国際裁判管轄を,小問2では全請求の管轄があるとの仮定の下で各準拠法を決める。
財産分与は清算的要素に限り,慰謝料は離婚自体の苦痛と不貞自体の苦痛を区別して検討する。

第4 評価項目と重み

1 設問1

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
1離婚方法を実質・手続・方式のどの問題と性質決定するかを示し,選んだ分類の理由を述べる。[必須](全答案)542頁:法律関係の性質決定が問題となる44頁:結論とその理由の両方
2実質説を採る場合,通則法27条本文・25条により共通本国法たる甲国法を離婚準拠法とする。[必須](実質説を採る場合)342頁:離婚準拠法たる甲国法記載なし
3甲国法の離婚手続を日本の調停で代行できるかという実体と手続の適応問題を立てる。[必須](実質説を採る場合)542頁:実体と手続の適応問題44頁:実体と手続の適応問題
4調停には裁判官が関与し,調停委員会又は裁判官によって行われるという日本の調停の構造を踏まえる。[必須](調停代行の可否を論じる場合) 裏返しの注意:調停は裁判官の関与なく行われると誤認しない。442頁:日本の調停手続の性質を踏まえて44頁:調停が裁判官の関与なく行われる
5調停での代行を肯定する場合,不相当な合意は成立させない272条1項や268条1項の効力を甲国法の司法関与と対応させる。[許容分岐](調停代行肯定説を採る場合)342頁:代行を認める立場44頁:合意が相当でないと認める場合には
6甲国法の合意尊重と真意・自由・思慮及び子又は配偶者の利益保護を日本の司法関与と比較し,代行の可否を理由付ける。[必須](代行の可否を問う全答案)442頁:甲国法の内容と日本の調停手続の性質を踏まえて44頁:前述の甲国法の裁判手続を代行
7調停代行を否定する場合,審判が裁判の一種であることを踏まえ,訴訟だけに進まず審判による代行を示す。[必須](調停代行を否定する場合)542頁:審判によることができる45頁:審判について言及することになるはず
8審判代行を採る場合,277条の合意に相当する審判と284条の調停に代わる審判を比較して採用理由を示す。[高評価](審判代行を採る場合)443頁:家事法第277条45頁:いずれによるかについて検討することが望ましい
9手続説を採る場合,離婚形成を裁判所に委ねる必要性は離婚準拠法,その手続の選択は法廷地法という役割分担を示す。[許容分岐](手続説を採る場合)443頁:実体の準拠法を全く適用しないわけではなく44頁:離婚準拠法と法廷地法の役割分担
10方式説を採る場合,通則法34条の適用理由を示し,多数説である実質説を説明した上で自説を基礎付ける。[許容分岐](方式説を採る場合)443頁:多数説についても記述した上で44頁:単に「方法」=「方式」
11検討を求められていない調停事件の国際裁判管轄へ答案の分量を割かない。[負例](全答案)2記載なし45頁:調停の国際裁判管轄権について論じている答案
12日本のどの手続で甲国法を代行するかという問題を,異常な結果のない公序の問題へ置き換えない。[負例](全答案)2記載なし45頁:異常な結果の発生は問題にはならない
13手続選択の説明と実体準拠法を混同し,甲国法を指定しながら日本民法770条で離婚原因を判断しない。[負例](全答案)3記載なし45頁:離婚原因等の実体の問題についても同条による

2 設問2小問1

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
14離婚を人事訴訟と位置付け,施行済み改正後の人事訴訟法を民事訴訟法の国際管轄規定に優先させる。[必須](全答案) 裏返しの注意:試験時に施行されている人事訴訟法等の改正を無視して,改正前判例の一般枠組みだけで管轄を判断しない。543頁:人事に関する訴え45頁:改正前の判例の枠組み
15離婚請求について人事訴訟法3条の2第6号を特定して管轄を判断する。[必須](全答案)543頁:本件に当てはまるのは第6号45頁:この管轄原因のみで
163条の2第6号の『日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方からの訴え』にXの日本住所とXからの提訴を当てはめる。[必須](全答案)443頁:同規定の要件への丁寧な当てはめ45頁:日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方から
173条の2第6号の最後の共通住所が日本国内にあったことへ夫婦の過去の共同生活・別居経緯を当てはめる。[必須](全答案)443頁:最後の共通住所45頁:設問中のどの事実関係が,条文上のどの要件
18第1~5号の不該当や第6号の趣旨を補強として書く場合,必要な主要原因に絞り簡潔に理由を示す。[高評価](補強論述を採る場合)2記載なし45頁:その趣旨まで的確に記述しているものには加点
19第6号で管轄が認められるのに,必要のない第7号の検討を追加しない。[負例](全答案)2記載なし45頁:同条第7号に触れることは不要
20財産分与は本来審判事項であり,離婚訴訟では32条1項の附帯処分として裁判されることを示す。[必須](全答案)443頁:これはもともと審判事項45頁:財産分与が元々審判事項である
21財産分与の国際管轄について人事訴訟法3条の4第2項から家事事件手続法3条の12へ接続する。[必須](全答案)543頁:人訴法第3条の4第2項の存在を45頁:これを適用できているものは少数
22家事事件手続法3条の12第3号へXの日本住所と夫婦の最後の共通住所日本を当てはめて分与管轄を認める。[必須](全答案)443頁:本件に該当するのは第3号45頁:同項の存在意義
23慰謝料の国際管轄の直接根拠を,人事訴訟法17条でなく3条の3に求める。[必須](全答案) 裏返しの注意:人事訴訟法17条を慰謝料の国際裁判管轄の直接根拠としない。543頁:人訴法第3条の3の存在46頁:慰謝料請求については人訴法第3条の3
24離婚請求との一訴併合,離婚請求の原因事実により生じた損害,離婚の管轄という3条の3本文の要件を事実に対応させる。[必須](全答案)443頁:同規定の要件への丁寧な46頁:同条の当てはめ
253条の3の括弧書きが要件を追加することを踏まえ,賠償請求が人事訴訟当事者XからYへのものであることを確認する。[高評価](全答案)443頁:同規定の要件への丁寧な46頁:人事訴訟の当事者間での請求であるとの要件を追加
26慰謝料は訴訟上一本の請求であるため,不貞の賠償部分だけを民事訴訟法へ分けて管轄判断しない。[負例](全答案)3記載なし46頁:慰謝料請求という一本の請求
27人事訴訟法3条の5に触れる場合,特別の事情に当たり得る事実が与件にないことを具体的事情に即して示す。[高評価](同条の却下を検討する場合)2記載なし46頁:特別の事情

3 設問2小問2

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
28離婚について通則法27条本文から25条を準用し,共通本国乙国法を指定する。[必須](全答案)443頁:同一本国法たる乙国法による46頁:離婚準拠法についてはよくできていた
29財産分与の請求を清算的要素に限定し,扶養問題へ性質決定しない。[必須](全答案)443頁:清算的要素のみ46頁:清算的要素のみが問題となっていることを明示
30清算分与を27条の離婚又は26条の夫婦財産制と性質決定し,離婚当事者間の清算に即した理由を述べる。[必須](全答案)543頁:いずれの説による場合もその理由46頁:離婚当事者間の関係に当てはまる理由
31清算分与で27条説を採る場合,婚姻中の財産帰属は前提として26条,離婚時の当事者間給付は27条という役割分担を説明する。[高評価](27条説を採る場合)443頁:夫婦財産制の準拠法と離婚準拠法の役割分担46頁:その前提問題として同法第26条による
3226条説を採る場合,第三者保護だけでなく夫婦財産制の清算機能又は夫婦財産契約など離婚当事者間に即した理由を示す。[高評価](26条説を採用する場合)443頁:26条説46頁:夫婦財産制が現実の意味を持つ局面
33慰謝料を一括して離婚,一括して不法行為又は離婚慰謝料と個別不法行為慰謝料に分ける立場から,一貫した性質決定をする。[必須](全答案)343頁:慰謝料請求については一括して離婚記載なし
34分割説を採る場合,離婚自体による苦痛と不貞自体による苦痛の対象を分け,各性質決定に対応する準拠法を示す。[許容分岐](分割説を採る場合)343頁:離婚自体による慰謝料と個別的不法行為による慰謝料を区別する説記載なし
35不法行為と性質決定する賠償は17条の結果発生地を基準とし,侵害された婚姻生活が営まれた日本を結果地として法を指定する。[必須](全部又は一部を不法行為と性質決定する場合) 裏返しの注意:17条本文を行動地主義と誤読し,不貞行為地だけで準拠法を決めない。443頁:不法行為と性質決定する場合46頁:侵害の対象となった婚姻生活の営まれていた地
36不法行為と性質決定する場合,夫婦という特別の関係を踏まえ20条によるより密接な関係又は附従的連結の可否を検討する。[必須](全部又は一部を不法行為と性質決定する場合)343頁:夫婦という特別の関係によって結ばれた者記載なし

4 重みの分布

重み1重み2重み3重み4重み5合計
05716836項目/重み合計135

N=n1+n2+n3+n4+n5=36。
W=n1+2n2+3n3+4n4+5n5=135。
この総数は許容分岐も含む公開表の規模であり,一つの答案が全行を同時に充足すべきことを意味しない。
総数・重み合計から試験の難易度や公式得点を推測しない。

重み5は番号1・3・7・14・15・21・23・30の8項目である。
番号3は実質説,番号7は調停代行を否定する場合という適用条件を持つ。
番号30は清算分与の性質決定とその理由を求め,27条説だけを強制しない。

第5 模範解答

1 答案の前提と表記

試験当時の法令を用い,問題文に示された甲国法の内容を前提とする。
以下の枠内答案は改行を除いて2141字であり,2500字以内である。
条文の内容と,本件への性質決定・類推適用・法選択の解釈を区別する。

2 答案

1 設問1

(1)離婚方法は,離婚を合意だけで認めるか司法判断を要するかという離婚制度の基本に関わるため,離婚の実質の問題と性質決定する。
法の適用に関する通則法(以下「通則法」という。
)27条本文・25条により,共通本国法である甲国法が適用される。
日本常居所だけで日本法を適用することはできない。

(2)甲国法が要求する裁判手続を日本の調停で代行できるかという,実体と手続の適応が問題となる。

日本の調停も裁判官が関与し,裁判官と家事調停委員からなる調停委員会又は裁判官のみで行われる(家事事件手続法247条・248条)。
合意が相当でない場合は調停を成立させずに終了でき(同法272条1項),成立した調停調書には確定判決と同一の効力がある(同法268条1項)。
これらの司法的関与を重視すれば,甲国法の手続の代行を肯定する余地はある。

しかし,甲国法は,裁判官が合意の真意性,自由及び思慮に心証を得て,子又は配偶者の利益も審査した上で,認可と離婚の言渡しを行う。
日本の調停は合意の調書記載で成立し,裁判官自身によるこのような積極的審査と離婚形成の判断を不可欠の要件とするものではない。
そこで,本件では調停による代行を否定する。

(3)もっとも,審判も裁判の一種であり(同法73条),訴訟によらず審判で代行できる。

同法284条は,調停が成立しない場合に,双方のため衡平に,一切の事情を考慮して職権で必要な審判をする制度であり,適法な異議があれば効力を失う(同法286条5項)。
これに対し,277条の合意に相当する審判は,審判を受ける合意と原因事実を争わないことを前提に,必要な事実を調査して合意の正当性を審査する。

本件は離婚と財産分与の合意があり,甲国法もその合意を司法的に審査して尊重するため,後者の制度がより適合する。
277条は離婚を除くが,日本法上合意だけで離婚できることを前提とした除外であり,外国法上裁判を要する離婚には同条を類推適用する。

XYが審判を受けることに合意し原因を争わず,家裁が甲国法②③に即した調査をして合意を正当と認めれば,合意に相当する審判により離婚を形成できる。
審判の効力は同法281条による。
甲国法上の実体要件を,日本民法上の離婚原因へ置き換えてはならない。

2 設問2小問1

(1)離婚は人事に関する訴えであり(人事訴訟法2条1号),国際管轄も民事訴訟法に優先する人事訴訟法の規定による(同法1条・29条1項)。

同法3条の2第6号は,日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方からの訴えで,最後の共通住所が日本にあった場合を定める。
Xは現在も日本に住所を有する夫婦の一方として提訴し,夫婦は日本で同居した後に別居し,Yが帰国したので,最後の共通住所も日本にあった。
したがって管轄がある。

(2)財産分与は本来審判事項であるが,離婚訴訟では同法32条1項の附帯処分として裁判される。
その国際管轄は同法3条の4第2項による。
離婚の管轄がある上,Xの日本住所と夫婦の最後の共通住所が日本であることから家事事件手続法3条の12第3号も満たし,財産分与の管轄も認められる。

(3)慰謝料は人事訴訟法3条の3による。
離婚請求の管轄があり,同請求と一の訴えでされた損害賠償請求で,離婚原因の不貞・婚姻破綻から生じた苦痛への賠償である。
括弧書きの要件も,離婚訴訟当事者Xから他方当事者Yへの請求なので充足する。

二種類の苦痛を含んでいても,訴訟上は一本の慰謝料請求である。
準拠法の性質決定と異なり,不貞自体の苦痛部分だけを民事訴訟法によって別に管轄判断することはできず,全体に管轄がある。

(4)Yの応訴負担を考慮しても,婚姻生活・不貞・破綻の経緯が日本と密接に結び付く。
人事訴訟法3条の5の特別の事情は与件から認められない。

3 設問2小問2

(1)離婚は通則法27条本文・25条により,共通本国法である乙国法による。

(2)財産分与は清算的要素だけが問題であり,扶養の問題ではない。
婚姻中の財産帰属の確定は夫婦財産制として26条によるが,その帰属を前提に離婚時に当事者間でいかなる清算給付をするかは,離婚に伴う財産的効果として27条によると解する。
したがって25条の共通本国乙国法が適用される。

清算は夫婦財産制が現実の意味を持つ局面であり,夫婦財産契約で清算を定めることもあるとして26条説を採っても,本件では25条を介して乙国法となる。

(3)慰謝料は離婚自体の苦痛と個別不法行為の苦痛を分ける。
前者は離婚に不可分の財産的効果として27条・25条による乙国法による。

後者は婚姻解消がなくても独立する不法行為債権として17条による。
同条は行動地ではなく結果発生地を原則とし,侵害された婚姻生活が営まれていた日本が結果地となる。
行動地も日本なので,ただし書は問題とならない。

もっとも,夫婦という特別の関係から,婚姻関係の準拠法へ20条によって附従的に連結する余地がある。
しかし本件は不貞自体の侵害を切り出して問題とし,行為・結果及び当時の共通常居所がいずれも日本にある。
共通本国法が乙国法であることだけで,日本より明らかに密接な関係が乙国にあるとはいえないから,この部分には日本法を適用する。

以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説

設問1は,甲国法の司法的審査を日本の手続でどの程度代行できるかが中心である。
日本の調停にも裁判官が関与し,不相当な合意を成立させない仕組みがあるため,「裁判官が関与しない」という理由で否定することはできない。
本答案はその関与を認めた上で,甲国法が求める積極的審査・離婚形成との密度差から否定する。
肯定説を採る場合は番号5の仕組みを甲国法に対応させて理由付ける。

番号8では,合意に相当する審判と調停に代わる審判の制度目的・要件を比較する。
本答案は合意尊重型の甲国法に前者が適合すると考えるが,277条の離婚除外を類推で越える論拠が必要である。
手続説を採る番号9では離婚形成と手続選択の役割分担,方式説を採る番号10では実質説と異なる構成を選ぶ理由を示す。

番号21は,財産分与が本来審判事項であることを踏まえた人訴3条の4第2項から家事3条の12への接続である。
番号23~26では一本の訴訟上の慰謝料請求として管轄を判断する。
準拠法の性質決定を分けることから,管轄まで分割してはならない。
番号18の他原因の検討と番号27の特別事情却下は補強であり,不要な列挙を必須化しない。

清算分与では番号31の26条による婚姻中の財産帰属と27条による離婚時給付を区別する。
番号32の26条説も,当事者間の清算機能に即した理由があれば許容される。
番号34~36は本答案の慰謝料分割説に対応し,不貞の結果地を婚姻生活の侵害地として捉え,婚姻関係への20条の附従的連結も検討する。
一括して離婚又は不法行為と捉える構成や乙国法への附従的連結を,結論差だけで排除しない。

4 評価項目と答案・解説の対応

番号重み適用条件対応箇所
15全答案枠内:離婚制度の基本に関わるため
23実質説を採る場合枠内:共通本国法である甲国法
35実質説を採る場合枠内:実体と手続の適応
44調停代行の可否を論じる場合枠内:調停委員会又は裁判官のみ
53調停代行肯定説を採る場合枠内:合意が相当でない場合は
64代行の可否を問う全答案枠内:積極的審査と離婚形成の判断
75調停代行を否定する場合枠内:審判も裁判の一種
84審判代行を採る場合枠内:同法284条
94手続説を採る場合枠外:離婚方法の別構成
104方式説を採る場合枠外:離婚方法の別構成
145全答案枠内:民事訴訟法に優先する
155全答案枠内:同法3条の2第6号
164全答案枠内:Xは現在も日本に住所
174全答案枠内:最後の共通住所も日本
182補強論述を採る場合枠外:管轄の補強範囲
204全答案枠内:財産分与は本来審判事項
215全答案枠内:同法3条の4第2項
224全答案枠内:家事事件手続法3条の12第3号
235全答案枠内:慰謝料は人事訴訟法3条の3
244全答案枠内:同請求と一の訴え
254全答案枠内:括弧書きの要件も
272同条の却下を検討する場合枠内:特別の事情は与件から
284全答案枠内:共通本国法である乙国法
294全答案枠内:扶養の問題ではない
305全答案枠内:離婚時に当事者間でいかなる清算給付
31427条説を採る場合枠内:その帰属を前提に
32426条説を採用する場合枠内:夫婦財産制が現実の意味を持つ局面
343分割説を採る場合枠内:前者は離婚に不可分
354全部又は一部を不法行為と性質決定する場合枠内:侵害された婚姻生活が営まれていた日本
363全部又は一部を不法行為と性質決定する場合枠内:附従的に連結

重み3以下の番号11~13・19は設問外事項と構成矛盾の回避,番号26は慰謝料管轄を分断しない説明,番号33~34・36は慰謝料の性質決定と附従連結に対応する。
すべての内部評価単位について答案又は枠外解説との対応を保持し,許容分岐を本文へ累積的に要求しない。

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第7 出典及び確認状態

1 公式資料

法務省・令和2年司法試験問題(私法系第1問はPDF40頁):https://www.moj.go.jp/content/001326059.pdf
法務省・出題の趣旨(PDF42~43頁の第1問):https://www.moj.go.jp/content/001339369.pdf
法務省・採点実感(PDF44~47頁の第1問・関連総論及び48頁の関連総論):https://www.moj.go.jp/content/001344499.pdf

2 法令と基準時

e-Gov・人事訴訟法(当時版):https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/415AC0000000109_20190401_430AC0000000020
e-Gov・家事事件手続法(当時版):https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/423AC0000000052_20200401_501AC0000000034
e-Gov・法の適用に関する通則法(当時版):https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/418AC0000000078_20070101_000000000000000

本答案は令和2年8月12日を基準とし,後発の改正・判例を当時の答案要求へ遡及させていない。
裁判離婚の代行に関する原判決・学説原典は確認していないため,公式資料の学説・実務への言及と原典の実読を区別する。

3 資料の確認状態

令和8年10月18日に,出題の趣旨と採点実感の本問及び関連総論を実読し,評価項目と答案を照合した。
問題・法令条文は確認済み事実,公式の評価・学説紹介は資料の記述,本答案の性質決定・類推・法選択は解釈として示した。
許容される別説を含め,公式が一つの結論を指定していない箇所を確定的な公式見解とは表示していない。