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宗右衛門町モータープールの裁判・競売―公表資料で読む賃貸借・越境・土地評価(AI作成)

第1 本件競売と公表資料の基準時

本件は,大阪地方裁判所第14民事部の令和8年(ヌ)第123号として売却に付された,大阪市中央区宗右衛門町19番1の土地に関する競売である。
以下では,本件の期間入札の公告及び三点セット(物件明細書・現況調査報告書・評価書)のPDFの記載を,物件,賃貸借,隣接地との関係及び評価計算に分けて整理する。
頁数は,全27頁のPDFの先頭から数えた実頁である。

文書・調査日付実頁
執行官による物件・占有確認令和8年6月29日13頁
執行官・評価人による現地調査令和8年7月9日13頁・16頁
評価書の評価日令和8年7月13日16頁
現況調査報告書の提出日欄の押印令和8年7月27日7頁
物件明細書令和8年9月3日5頁
期間入札公告令和8年10月6日2頁

PDFのファイル名の「R081016」は,資料中の現地調査日や評価日とは異なる。
本件の占有・物理的状況を読む基準は,主として令和8年6月から7月の調査である。

第2 売却対象土地と画地条件

1 宗右衛門町19番1,2549.48㎡の土地1筆

物件目録上の売却対象は,大阪市中央区宗右衛門町19番1,地目宅地,地積2549.48㎡の土地1筆である。
現況調査報告書上の住居表示は宗右衛門町6-23付近,現況はコインパーキングとされている。(4頁・9頁・11頁・19頁)

物件目録に建物は掲げられておらず,現況調査報告書でも目的外建物は「ない」とされている。
他方,対象地には駐車場のゲート・精算機,自動販売機及びコインロッカーが存在する。
取得後の利用を検討する際は,土地の取得対象と,駐車場設備の所有・撤去・営業承継に関する事項を区分して整理することになる。(9頁・11頁・19頁)

2 南西角地の接道・法規制

評価書は,対象地を,飲食店を中心とする中小規模の小売店舗等が建ち並ぶ,大阪市中心部の商業地域に位置付けている。
集客性・繁華性は高いと評価する一方,付近の道路の幅員・系統・連続性は概ね普通としている。(19頁)

項目評価書の記載
交通大阪メトロ御堂筋線「なんば」駅の北東方約440m(道路距離)
形状やや不整形
間口・奥行南側間口約47.5m,西辺奥行約55.5m
南側道路幅員約7.8mの舗装市道
西側道路幅員約6.0mの舗装市道
道路種別南側・西側とも建築基準法42条1項1号道路
接道・高低差角地。各道路に概ね等高に接面
隣接地東側は店舗ビル等,北側はホテル
供給処理施設上水道,ガス配管,下水道あり

法規制欄には,市街化区域,商業地域,建ぺい率80%,容積率500%,防火地域と記載されている。
その他の規制として,駐車場整備地区,宗右衛門町地区地区計画,宅地造成等工事規制区域及び都市再生緊急整備地域が挙げられている。(19頁)

この欄は,道路幅員等による個別的規制を考慮しない一般的規制の整理である。
建築計画の検討では,指定容積率500%という数値と,地区計画その他の個別条件を対応させる必要がある。

第3 駐車場賃貸借と買受人に対する対抗関係

1 占有者と売上連動賃料

現況調査報告書は,日本駐車場メンテナンス株式会社を占有者とし,占有範囲を全部,占有状況を駐車場,占有権原を賃借権としている。
同社の陳述及び提示された賃貸借契約書の要旨として,次の条件が記録されている。(10頁)

項目記載内容
契約日・占有開始時期令和5年3月22日
当初の契約期間令和5年3月22日から令和7年3月21日までの2年間
更新の種類自動更新
調査時点の契約期間令和8年3月22日から令和9年3月21日までの1年間
貸主・借主貸主は所有者,借主は占有者
賃料毎月の売上に基づく変動制。売上の85%
支払時期毎月20日限り,前月分を支払う
敷金・保証金なし

関係人の陳述欄には,契約更新は契約書どおりであり,これまで更新しない旨の意思表示を受けたことはないとの説明も収録されている。(12頁)

賃料が固定額ではなく駐車場売上の85%に連動する点は,営業継続を想定した収支検討の重要な条件となる。
本資料に掲載されているのは契約条件であり,実際の月間売上や賃料入金実績は掲載されていない。

2 照会回答書の令和2年の日付と令和5年の契約

占有者は,照会回答書に占有開始時期を「令和2年4月25日」と記載したことについて,従前の所有者との契約に基づく日を記載したものと説明している。
その上で,現在の占有は提出した契約書に記載された日から開始したものと考えている旨を述べている。(12頁)

したがって,令和2年4月25日と令和5年3月22日は,それぞれの契約に関する説明を伴う日付である。
対抗関係の検討では,旧契約,提出された契約,所有権移転及び執行関係の時系列を対応させることになる。

3 物件明細書と評価書の対応

令和8年9月3日付物件明細書は,売却により成立する法定地上権及び買受人が負担することとなる他人の権利を,いずれも「なし」としている。
占有状況等に関する特記事項では,駐車場として使用されているが,使用者の占有権原は買受人に対抗できないとしている。(5頁)

評価書も,買受人が引き受ける占有権は存在しないとの判断の下,占有減価を不要としている。
本件では,現況調査報告書が賃貸借と現実の使用を記録し,物件明細書が買受人との関係を整理し,評価書が占有減価不要という価格判断につなげている。(5頁・10頁・21頁)

取得後の実務では,営業を継続させる場合の新たな契約条件と,明渡しを受ける場合の設備撤去・営業終了の工程を検討することになる。
なお,物件明細書自体に関係者間の権利関係を最終確定する効力があるという趣旨ではない。(5頁)

第4 東側部分の立入り制限と隣接建物の越境

1 仮囲いの理由と従前の利用

現況調査報告書は,対象地の東側部分について,仮囲いの塀があるため立入りできない状態と記録している。
占有者の担当者は,その部分も従前は対象地と一体的に駐車場として利用していたが,東側隣地上の建物から落下物が生じる可能性があるため,仮囲いを設けて立入りできないようにしていると説明している。(11頁・12頁)

評価書にも,東側部分は仮囲いのため立入りできなかった旨が記載されている。
登記地積2549.48㎡と,調査時点で駐車場として実際に利用できた範囲は,区別して把握すべき事項となる。(19頁)

2 土地概略図に示された越境

現況調査報告書及び評価書の土地概略図には,東側隣接地上の建物の壁面及び上屋が越境している旨が表示されている。
同じ図には,東側のフェンス,南側の駐車場ゲート,自動販売機及び北側のコインロッカー等の位置も示されている。(14頁・27頁)

土地概略図上,越境の表示は,フェンスの東側に区画された部分の東端に付されている。
もっとも,占有者が仮囲いの理由として述べているのは東側隣地上の建物からの落下物の可能性であり,資料上,仮囲いと越境との関係は説明されていないから,両者は区別して把握する必要がある。
取得後の土地利用に向けた主要な検討事項は,越境部分の位置・範囲,既存合意の有無,落下物対策の実施主体及び東側部分の利用回復条件となる。

評価計算表には,この問題について独立した減価項目は掲げられていない。
後記の競売市場修正率0.70は,越境解消費用や隣接建物への対策費用を個別に積算した数値として示されているものではない。(20頁・21頁)

第5 評価額46億3077万円の算定過程

1 地価公示標準地からの規準

評価書は,地価公示標準地「大阪中央5-25」の価格を規準として,対象地域の標準画地価格を算出している。
比較に用いた標準地の内容は,次のとおりである。(20頁・22頁)

項目内容
所在大阪市中央区心斎橋筋1丁目35番3外
住居表示心斎橋筋1-4-29
価格時点令和8年1月1日
公示価格1㎡当たり327万円
地積867㎡
交通大阪メトロ御堂筋線心斎橋駅の南東方約60m(道路距離)
接道北側幅員約7.8mの市道に接する中間画地
用途等商業地域,建ぺい率80%,容積率500%,防火地域

評価書の規準計算は,次の構成である。

327万円/㎡ × 時点修正108/100 × 標準化補正100/99 × 地域格差100/143 ≒ 249万5000円/㎡

地域格差の内訳では,接近条件1.06,環境条件1.35等を用い,相乗積を1.43としている。
標準地の公示価格に対象地の地積を直接乗じた評価ではなく,価格時点及び地域・画地条件の補正を経た計算である。(20頁)

2 個別格差補正後の基礎となる価格

対象地の個別格差では,不整形による補正0.99と角地による補正1.05等を用い,相乗積を1.04としている。
地積には登記数量を採用している。(20頁)

249万5000円/㎡ × 個別格差1.04 × 2549.48㎡ = 66億1539万1000円〔千円未満四捨五入〕

この段階の価格が,評価書における「基礎となる価格」である。
評価書はこれを更地価格として求めており,計算表には駐車場賃料を基礎とする収益還元法の試算は掲げられていない。(20頁・21頁)

3 競売市場修正率0.70の適用

項目採用値
基礎となる価格66億1539万1000円
占有減価1.00
市場性修正1.00
競売市場修正0.70
評価額46億3077万円

評価額は,基礎となる価格に0.70を乗じ,万円未満を四捨五入したものである。
占有減価は買受人が引き受ける占有権がないことを理由に不要とされ,市場性修正も本件では不要と判断されている。(21頁)

競売市場修正は,評価書の「評価の条件」に掲げる競売固有の要因を考慮したものと説明されている。
同欄には,売主の協力が得られないことが常態であること,買受希望者は内覧制度によるほかは物件内部を直接確認できないこと,引渡しを受けるために法定の手続をとらなければならない場合があること,目的物の種類又は品質に関する不適合に担保責任がないこと等が挙げられている。(17頁)

本件の約66億円から約46億円への差は,評価計算上,競売市場修正によって生じている。
駐車場賃貸借を理由とする3割減価や,隣接建物問題の解消費用を見積もった3割減価として表示されているものではない。

第6 土壌に関する調査内容と利用履歴

評価書の土壌汚染等の欄は,まず,法令上の特定施設に該当した履歴は確認できなかったとしている。
同欄はその主語を「対象建物」と記載しているが,本件の売却対象は土地1筆であり,現況調査報告書上,目的外建物は「ない」とされている。
閉鎖登記簿による確認では,明治時代以降,複数の個人間で所有権が移転し,令和6年に現債務者兼所有者が所有権を取得したと記載されている。(9頁・19頁)

過去の住宅地図による確認では,昭和34年以降,飲食店・娯楽施設等の敷地として使用され,昭和59年頃から駐車場としても使用されていたと推認している。
評価書は,これらの利用履歴等から土壌汚染の可能性は低いと判断し,ヒアリングでも特段の情報を得られなかったとしている。(19頁)

この判断の根拠は,登記・住宅地図・利用履歴及びヒアリングである。
評価書自身も,汚染の有無・内容について確実な情報を得るには,土壌汚染調査会社による正式な専門調査を要すると整理している。

第7 公告上の売却条件・公租公課・日程

1 売却基準価額・買受可能価額・保証額

項目公告記載の金額
売却基準価額46億3077万円
買受可能価額37億461万6000円
買受申出保証額9億2615万4000円

公告の買受可能価額は売却基準価額の8割,買受申出保証額は同2割に相当する。
入札時に用意する保証額と買受代金総額は,資金計画上,区別して把握する数値となる。(3頁)

2 固定資産税等と固定資産税評価額

公告には,令和8年度の税額として,固定資産税2507万3974円,都市計画税537万2994円が記載されている。
両者の合計は3044万6968円である。(3頁)

評価書の参考価格資料には,令和8年度の固定資産税評価額として29億8499万7000円が掲げられている。
この数値は,基礎となる価格66億1539万1000円,競売評価額46億3077万円とは区別される。(22頁)

3 公告記載の日程

手続公告記載の日程
入札期間令和8年10月21日午前9時から10月29日午後5時まで
開札期日令和8年11月5日午前9時30分
売却決定期日令和8年11月18日午前10時

以上は令和8年10月6日付公告に記載された日程であり,その後の変更,開札結果,売却許可及び代金納付の実施を示すものではない。(2頁)

第8 取得判断・債権回収との接続

取得判断では,本件を南側約7.8m・西側約6.0mの市道に接する2549.48㎡の商業地として評価するとともに,東側部分の利用制限,隣接建物の越境及び駐車場設備の処理を具体的な事業条件に落とし込むことになる。
駐車場営業の継続を想定する場合には,売上連動賃料85%という契約条件と,実際の営業収支を対応させて検討する。

価格検討では,公示価格を規準とした更地価格約66億円と,競売市場修正後の評価額約46億円を区別する。
評価書に個別積算されていない隣接建物対策,越境解消及び設備処理の費用は,取得後の事業収支の中で別途具体化すべき項目である。

債権回収の観点からみると,本資料が提供するのは,対象土地,調査時点の占有・利用状況及び競売評価の情報である。
債権者別の債権額・配当順位・配当額は示されておらず,個別の請求の成否も本資料からは判断できないため,回収見込みの検討には,登記,執行記録,債権届出・計算書及び関係する契約書を照合する必要がある。