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令和2年度司法試験国際関係法(公法系)第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した24項目と5段階の重み付け(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

本問は,国際河川に影響するダム計画を素材に,環境保全義務,条約の終了・運用停止と対抗措置,国際司法裁判所の管轄を問う。
管理責任と環境影響評価を区別し,条約法と対抗措置を併せて検討し,裁判条項の二つの要件を両国の立場から論証することが中心となる。

項目内容
対象令和2年司法試験・国際関係法(公法系)第2問
問題文法務省問題PDF実頁37~38。第3の1にリンクを掲げる。
基準時令和2年8月12日の試験実施時
出題の趣旨実読済み。合冊PDF実頁40の第2問見出しから42の次科目見出し直前まで。
採点実感実読済み。合冊PDF実頁41の科目総論・第2問概要及び42の第2問から43の関連末尾まで。
評価項目24項目,重み5は7項目,重み合計87。法務省の配点ではない。
主要判例ウルグアイ川製紙工場事件本案判決(2010年)。
答案分量改行を除く2480字。
試験後の法答案には試験後の法令・判例を用いない。
確認日令和8年10月18日

B国は環境保全・事前評価及び委員会への報告・許可の義務違反を主張できる。
A国は電力条約廃棄の根拠と対抗措置の要件を争い,管轄段階では両国が条約紛争の存在及び交渉による解決不能をそれぞれの立場から論じる。
重み5の事項は番号1・4・17・19・20・21・22である。
全評価項目は第4,答案は第5,出典と確認範囲は第7に置く。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準

1 評価項目の示し方

評価項目は,公式資料から,一つの行で一つの判断対象を確認できるよう本記事が独自に抽出したものである。
法務省の公式採点基準,項目別配点又は合格可能性の推計ではない。
条件付きの補強・許容分岐は,全答案への追加必須事項としない。
条約法だけを論じて対抗措置を落とす負例と,対抗措置だけを論じて条約法を落とす負例は,いずれも番号17の裏返しなので,同番号の正しい検討にまとめた。
根拠列の頁はPDF実頁であり,「記載なし」は関連範囲を実読した上で個別の記載がないことを示す。

2 5段階の重み付けの基準

重み判断基準
5採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの
4出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項(高く評価した・多数の答案の不足を指摘した)
3どちらか一方が明示する中核の理由付け
2一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
1一方が控えめに触れるだけの事項

重みと「必須・高評価・負例・許容分岐」という区分は別である。
各段階への件数割当てはせず,本問の資料の記載から判断する。

第3 本問の概要

1 問題文と事実関係

公式問題PDF:https://www.moj.go.jp/content/001326059.pdf

上流A国と下流B国の間に,ナーガ川流域の環境保全,年次報告,新規計画の特別報告・全会一致の許可及び交渉不調後のICJ付託を定める1975年条約がある。
A国は主要支流ギリ川のダム・発電所計画を認可したが,必要な環境影響評価の不実施を指摘する環境団体の批判があった。
稼働後にB国で水量が40%減少し水質も悪化したため,B国はA国の必要電力の約50%を供給してきた別の電力条約を廃棄し,供給を完全に停止した。
両国は選択条項受諾宣言を行っていない。

2 設問が求めること

設問立場・対象指定・射程到達点
1B国からA国の認可を争う慣習法と1975年条約を区別する違反となる義務と具体的事情を示す
2A国からB国の廃棄・供給停止を争う条約法と対抗措置を混同しない正当化要件の欠如を理由付ける
3B国のICJ付託とA国の抗弁1975年条約19条の範囲・前置要件B国の根拠・申立てとA国の二つの抗弁を論じる

第4 評価項目と重み

1 設問1

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
1【必須】慣習国際法上の義務と1975年条約上の義務を区別する。541頁・設問1(該当規範・主張の説明)42頁・設問1(同論点への言及・留意点)
2【必須】自国の管轄・管理下の活動に関する領域使用の管理責任を説明する。441頁・設問1(該当規範・主張の説明)42頁・設問1(同論点への言及・留意点)
3【高評価】領域使用の管理責任を支える先例又は宣言の役割を示す。 適用条件:先例による補強を行う場合341頁・設問1(該当規範・主張の説明)42頁・設問1(同論点への言及・留意点)
4【必須】環境影響評価を行う慣習国際法上の義務を説明する。541頁・設問1(該当規範・主張の説明)42頁・設問1(同論点への言及・留意点)
5【必須】定評ある団体の批判を踏まえ,認可時に評価実施を確認すべきだったと論じる。341頁・設問1(該当規範・主張の説明)記載なし
6【必須】管理責任と環境影響評価義務がそれぞれ個別の慣習法規則であることを示す。3記載なし42頁・設問1(同論点への言及・留意点)
7【高評価】原則を一般論として展開する場合,国家管轄外の区域の環境も対象に含める。 適用条件:一般論の外延まで展開する場合。本問限定の他国環境という記載を誤りにしない241頁・設問1(該当規範・主張の説明)42頁・設問1(同論点への言及・留意点)
8【必須】水量・水質への影響から1975年条約4条の流域環境保全義務違反を構成する。341頁・設問1(該当規範・主張の説明)記載なし
9【必須】支流ギリ川の計画がナーガ川に影響することから12条の対象となるとB国の立場で論じる。341頁・設問1(該当規範・主張の説明)記載なし
10【必須】12条の特別報告書提出義務違反を主張する。341頁・設問1(該当規範・主張の説明)記載なし
11【必須】12条の委員会許可を得る義務への違反を主張する。341頁・設問1(該当規範・主張の説明)記載なし
12【許容分岐】代替構成として相隣関係又は上流国の下流国への義務を用いるなら事実に適切に当てはめる。 適用条件:当該代替構成を採用した場合のみ。管理責任・評価義務を論じた答案へ追加必須としない2記載なし42頁・設問1(同論点への言及・留意点)

2 設問2

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
13【必須】条約法条約54条の条約所定の終了又は当事国の同意に基づく終了の要件を本件へ当てはめる。341頁・設問2(該当規範・主張の説明)記載なし
14【必須】56条の黙示の廃棄権等の要件を検討し,一方的な即時廃棄を争う。341頁・設問2(該当規範・主張の説明)記載なし
15【必須】60条による終了・運用停止について同一条約の重大違反という要件の欠如を指摘する。341頁・設問2(該当規範・主張の説明)記載なし
16【必須】62条の事情の根本的変化の要件と事実を対応させ,廃棄・運用停止を正当化できないと主張する。341頁・設問2(該当規範・主張の説明)記載なし
17【必須】条約法上の終了・停止と国家責任法上の対抗措置の両方から検討する。541頁・設問2(該当規範・主張の説明)42頁・設問2(同論点への言及・留意点)
18【必須】A国は先行する自国の国際違法行為が存在せず,対抗措置の前提を欠くと主張できることを示す。342頁・設問2(該当規範・主張の説明)記載なし
19【必須】浄水施設の必要とA国の約50%の電力依存を比較し,全面停止の均衡性を争う。542頁・設問2(該当規範・主張の説明)記載なし

3 設問3

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
20【必須】1975年条約19条の裁判条項をICJ管轄の根拠として特定する。542頁・設問3(該当規範・主張の説明)43頁・設問3(同論点への言及・留意点)
21【必須】B国は4・12条の解釈・適用について両国の意見が不一致であることから条約紛争の存在を論証する。542頁・設問3(該当規範・主張の説明)43頁・設問3(同論点への言及・留意点)
22【必須】B国はA国の当初からの条約適用否定を理由に交渉による解決可能性がなかったと主張する。542頁・設問3(該当規範・主張の説明)43頁・設問3(同論点への言及・留意点)
23【必須】A国は計画が条約の適用対象外で条約紛争が存在しないと抗弁し得ることを示す。442頁・設問3(該当規範・主張の説明)43頁・設問3(同論点への言及・留意点)
24【必須】A国は交渉が行われていないため19条の前置要件を欠くと抗弁し得ることを示す。442頁・設問3(該当規範・主張の説明)43頁・設問3(同論点への言及・留意点)

4 重みの分布

重み1=0項目,重み2=2項目,重み3=12項目,重み4=3項目,重み5=7項目。
N=0+2+12+3+7=24,W=1×0+2×2+3×12+4×3+5×7=87である。
重み5の番号1は二つの法源の区別,4は環境影響評価,17は条約法と対抗措置の併用,19は均衡性,20は裁判条項,21は条約紛争の存在,22は交渉による解決不能という主ルートの骨格である。

第5 模範解答

1 答案の前提と表記

試験実施時を基準とし,設問1はB国,設問2はA国,設問3は両国の主張を分ける。
以下の答案の字数は改行を除くUnicode文字数であり,答案外の解説・評価表を含めない。
ウルグアイ川製紙工場事件は,同事件の原判決で確認した注意義務・環境影響評価の役割を参照する。

2 答案

第1 設問1

1 国家は,自国の管轄・管理下の活動によって他国又は国家管轄外の区域の環境に重大な損害が生じないよう,相当の注意を尽くす慣習国際法上の義務を負う。
重大な越境影響のおそれのある事業については,実施前の環境影響評価も要求される。
ウルグアイ川パルプ工場事件判決も,この評価義務を一般国際法上の要請として認めた。
管理責任と評価義務は個別の慣習法規則である。

本計画は国際河川の主要な支流にダムを設けるもので,下流の水量・水質への重大な影響が予想される。
定評ある環境団体が申請時から評価の不実施を指摘しており,B国は,A国が危険を調査・評価させないまま認可した点で義務に違反すると主張できる。
甲社が私人であっても,ここで問うのはA国自身の認可・監督上の注意義務である。
稼働後の水量40%減少や浄水施設の必要は影響の重大性を裏付けるが,結果発生だけで無過失責任が成立するわけではなく,認可時の危険と対応を問題とする。

2 条約解釈は,文脈及び趣旨・目的に照らした用語の通常の意味に従い,誠実に行う。
1975年条約についても,条約法条約31条に表現された慣習的解釈規則を用いる。

A国は,ギリ川が合流前にはナーガ川と別の川であることを根拠に12条の適用を否定する。
しかし,同条は「ナーガ川の利用に関する」計画を対象とする。
主要支流のダムが下流の水量・水質を大きく左右する以上,流域の環境保全を定める4条及び条約の目的に照らし,本計画も対象となるとB国は主張できる。

5・11条の年次報告は継続的な利用状況の把握であり,新規計画に対する12条の特別報告と許可を代替しない。
簡潔な言及だけでなく,影響評価を含む情報を提出して全会一致の許可を得るべきである。
A国の認可はこれに先行し,後の委員会機能停止も一方的実施を正当化しない。
4条の環境保全義務からも,十分な評価・予防を欠く認可を争える。

第2 設問2

1 有効な電力供給条約は誠実に履行すべきである。
条約法条約54条による条約所定の終了又は当事国の同意を示す事情はない。
廃棄条項がない場合,56条は廃棄を認める当事国の意思又は条約の性質から黙示される廃棄権を要する。
本件にそれらは示されず,安定供給という目的も一方的な即時廃棄を支持しない。
仮に廃棄権が認められても12か月以上前の通告が必要であり,即時の全面停止は導けない。
A国の河川条約違反を挙げても,条約法条約60条1項が二国間条約の終了原因とするのは当該条約の重大な違反である。
別個の河川条約の違反から,対価支払と電力供給を定める条約の終了は導けない。

2 B国がダム稼働を事情の根本的変更と主張する場合,62条に従い,予見されなかった事情が同意の不可欠の基礎であり,残存義務の範囲を抜本的に変えることを要する。
発電量は必要電力の20%にとどまり,輸入需要が消滅したわけではない。
附属書に毎年の供給量協議が設けられているから,変動は協議で調整でき,安定供給義務を全面的に消滅させる変更ではないとA国は主張できる。

3 A国は,そもそも自国の認可は慣習法にも河川条約にも違反せず,対抗措置の前提となる先行違法行為がないと主張できる。
さらに,違反があるとしても,河川条約違反に対する対抗措置は,別条約上の義務の不履行であっても直ちに排除されない。
しかし,その目的は責任国に義務を履行させることにあり,一時的で,できる限り履行再開が可能なものでなければならない。
条約の恒久的廃棄をこれによって正当化することはできない。

供給停止についても,違法行為の重大性及び侵害された権利を考慮し,被った損害と均衡しなければならない。
B国の飲用水被害や施設費負担は深刻であるが,A国は必要電力の約50%をB国に依存し,新発電所の20%を加えても全面停止は大きな不足を生む。
A国は,生活・経済への影響と措置の範囲から不均衡と主張できる。
50%と水量40%という異なる比率の大小だけで判断するものではない。

さらに,対抗措置前の履行請求,通知及び交渉の申出等も必要である。
これらを経た事実は示されず,権利保全の緊急措置による例外の根拠も明らかでないとして,A国は要件充足を争える。
廃棄が無効で対抗措置としても正当化されなければ,供給停止は条約違反である。

第3 設問3

1 両国に選択条項受諾宣言はない。
B国は,規程36条1項にいう条約に特に定める事項として,1975年条約19条の裁判条項を根拠に付託する。

B国の4・12条違反の主張に対し,A国は支流ギリ川の活動には条約が適用されないと主張しており,特定条文の解釈・適用について意見の不一致がある。
したがって,条約上の紛争が存在するとB国は主張できる。

B国は,本計画が12条の対象であること,特別報告・許可及び4条の保全義務に違反したことの確認,違反の停止と必要な手続の履践,因果関係が認められる浄水施設費用等の損害賠償を申し立てることができる。
いずれも河川条約の解釈・適用に関する紛争として構成する。

2 A国は,本計画は条約の適用対象外であり,条約の解釈・適用に関する紛争自体がないと抗弁できる。
ただし,条約の適用範囲の不一致自体が条約紛争を構成し得るから,実体上の適用否定だけで管轄が消えるわけではない。
慣習法違反だけの独立請求や別の電力条約の紛争は,19条の事項的範囲外となる。
他方,慣習法を4条の解釈に参照することと,慣習法違反そのものを独立に裁判することは別であり,前者というだけで管轄を否定できない。

また,19条は両国間交渉によって解決できないことを条件とする。
A国は,委員会内の意見対立や機能停止は政府間交渉の実施・不調を当然に意味せず,前置条件を満たさないと主張できる。
他方,B国は,A国が当初から条約の適用自体を否定していたため,交渉による解決の可能性がなかったと主張できる。
A国はなお,交渉が行われておらず,意見対立と交渉による解決不能は別であると争える。
交渉の記載がないことを補充せず,解決可能性を具体的に論証する必要がある。

以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説

(1) 答案と評価項目の対応

番号評価対象答案又は解説の対応
1慣習国際法上の義務と1975年条約上の義務を区別する。設問1の「第1 設問1」
2自国の管轄・管理下の活動に関する領域使用の管理責任を説明する。設問1の「相当の注意を尽くす」
3領域使用の管理責任を支える先例又は宣言の役割を示す。本解説(2)の法源補強
4環境影響評価を行う慣習国際法上の義務を説明する。設問1の「実施前の環境影響評価」
7原則を一般論として展開する場合,国家管轄外の区域の環境も対象に含める。設問1の「国家管轄外の区域の環境」
12代替構成として相隣関係又は上流国の下流国への義務を用いるなら事実に適切に当てはめる。本解説(5)の許容分岐
17条約法上の終了・停止と国家責任法上の対抗措置の両方から検討する。設問2の「第2 設問2」
19浄水施設の必要とA国の約50%の電力依存を比較し,全面停止の均衡性を争う。設問2の「必要電力の約50%」
201975年条約19条の裁判条項をICJ管轄の根拠として特定する。設問3の「1975年条約19条の裁判条項」
21B国は4・12条の解釈・適用について両国の意見が不一致であることから条約紛争の存在を論証する。設問3の「意見の不一致がある」
22B国はA国の当初からの条約適用否定を理由に交渉による解決可能性がなかったと主張する。設問3の「交渉による解決の可能性がなかった」
23A国は計画が条約の適用対象外で条約紛争が存在しないと抗弁し得ることを示す。設問3の「条約の解釈・適用に関する紛争自体がない」
24A国は交渉が行われていないため19条の前置要件を欠くと抗弁し得ることを示す。設問3の「政府間交渉の実施・不調」

番号5~6・8~11は設問1,13~16・18は設問2の各規範と当てはめに対応する。

(2) 環境義務と条約の手続

領域使用の管理責任と環境影響評価義務は,個別の慣習国際法の規則として検討する。
出題の趣旨はトレイル熔鉱所事件,コルフ海峡事件,人間環境宣言及びリオ宣言にも言及する。
本稿では独立に実読したウルグアイ川製紙工場事件判決101項の相当注意及び204~205項の環境影響評価を用い,これらの公式資料上の先例紹介と判決原文の確認を区別する。
評価の不実施を指摘する団体の批判を直ちに確定事実とせず,A国が認可時に評価の実施を確認すべきだったという国家自身の義務へ接続する。
主要支流の利用が下流へ影響することは12条の範囲の解釈に,現実の水量・水質悪化は4条の保全義務の適用に用いる。

(3) 条約法と対抗措置

54・56・60・62条の終了・運用停止の根拠を検討した後,別の法体系として対抗措置を検討する。
A国は自国の先行違法行為を否定する主位主張と,仮に違法であっても全面供給停止は均衡しないという予備主張を併用できる。
B国の水被害が深刻であることも捨てず,電力依存との関係で論じる。
対抗措置の一時性・手続は国家責任法原文に基づく補足であり,本記事独自の必須評価項目へ増やしてはいない。

(4) 管轄の要件を両国の立場へ移す

B国の申立てでは,4・12条の適用をめぐる実際の意見対立を,条約紛争の存在に結び付ける。
A国が適用自体を否定していることは,B国の条約紛争存在の根拠にも,A国の対象外という抗弁の材料にもなる。
さらに,交渉が行われたとの記述がないことと,交渉による解決の可能性がなかったというB国の主張は区別する。
当初からの条約適用否定に基づくB国の解決不能主張と,実際の交渉欠如を指摘するA国の抗弁をそれぞれ理由付ける。

(5) 答案の弱点と扱わなかった事項

番号12の相隣関係又は上流国の義務による構成は,事実に適切に当てはめる場合に認められる代替構成である。
本答案では管理責任と環境影響評価を主ルートとし,この代替構成を全答案へ追加要求していない。
番号7の国家管轄外の環境への言及は原則を一般論として述べる場合の外延であり,本問に限って他国の環境と記す答案を誤りと扱わない。
判例原文を独立に確認していない先例の詳細,C国を不可欠第三国とする議論,認可時点で存在しない後発事実の補充は答案の根拠にしていない。
申立内容としての停止・損害賠償は条約違反に対応する請求の説明であり,管轄要件の論証の代わりにはならない。

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第7 出典及び確認状態

1 公式資料

法務省「令和2年司法試験問題」:https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00016.html
出題の趣旨:https://www.moj.go.jp/content/001339369.pdf
採点実感:https://www.moj.go.jp/content/001344499.pdf
実読範囲は第1の早見表に示したとおりで,合冊PDFの対象外問題は本問の評価根拠にしていない。

2 法令

条約法に関するウィーン条約4・26・31・32・42・54・56・60~62・65条の原文を確認した。
国連原文:https://legal.un.org/ilc/texts/instruments/english/conventions/1_1_1969.pdf
国家責任条文の対抗措置等は条約そのものではなく,慣習法の把握の資料として用いる。
ILC2001年採択文・注釈(25・49~53条):https://legal.un.org/ilc/texts/instruments/english/commentaries/9_6_2001.pdf
1975年条約と電力条約は問題が与えた架空条約の内容に従う。

3 裁判例

国際司法裁判所ウルグアイ川製紙工場事件本案判決(2010年4月20日)の公式HTML原文101・197・204~205項を確認した。
https://www.icj-cij.org/node/103232
トレイル熔鉱所事件等は公式趣旨が挙げる法源として紹介した範囲であり,それらの原判断を独立に実読したとの意味ではない。

4 確認状態

問題文,出題の趣旨及び採点実感は対象部分を実読・照合した。
評価項目の分割,重み及び模範解答は記事独自の分析である。
判例原文の確認範囲は前節に限定され,対象範囲を超える資料の存在・不存在又は最新の法状態を網羅的に保証するものではない。
答案には試験後の判例を逆輸入していない。