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令和2年司法試験国際関係法(私法系)第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した27項目と5段階の重み付け(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

令和2年司法試験の国際関係法(私法系)第2問について,法務省の出題の趣旨と採点実感の関連範囲を照合し,模範解答と評価項目を示す。
本稿の27項目と重みは公式資料から独自に抽出したものであり,法務省の公式採点基準・配点ではない。

設問1は日本登録特許権を財産所在地管轄へ結び付けた上で特別の事情を検討し,設問2は黙示の準拠法変更を検討する。
設問3は日本の抵触法を介したウィーン売買条約の適用と,見本より強度が低い物品の契約不適合を扱う。

項目内容
対象令和2年司法試験・国際関係法(私法系)第2問(配点50点)
法状態の基準令和2年8月12日の試験実施日
資料の確認令和8年10月18日・公式2資料の本問関連範囲を実読して較正済み
評価項目N=27,重み5は8項目,重み合計W=102
答案字数改行を除き2102字(見出し・句読点を含む),2500字以内
答案の性格公式解答ではなく,理由付けと事実評価を備える一つの答案例

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準

1 評価項目の読み方

番号は記事全体の通し番号である。
「必須・高評価・負例・許容分岐」という区分と,1〜5の重みは別の判断であり,重み5でも条件付きの検討を全答案へ無条件に要求するものではない。
公式資料に明記された内容と,本稿が答案例として具体化した解釈・結論は区別する。
出典欄の「記載なし」は,本問の関連範囲を実読した上で,その個別事項に対応する記載がないという意味である。

2 5段階の重み

重み5は採点実感が評価の分かれ目とした事項又は答案の骨格そのもの,4は出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項(高く評価した・多数の答案の不足を指摘した),3はどちらか一方が明示する中核の理由付け,2は一方が軽い表現で触れる補強又は典型的な誤り,1は一方が控えめに触れるだけの事項とする。
件数を各段階へ割り当てる方式ではなく,項目ごとに公式の取り上げ方から判断した。

重み5は番号3・5・11・13・19・21・26・27である。
国内差押可能財産という管轄原因,著しく低い価額の判断基準,契約の性質決定と準拠法変更,条約への抵触法上の経路,最密接関係地法の原則,損害賠償の入口,見本品質への適合という骨格を重視している。

第3 本問の概要

1 問題文と事実関係

日本にのみ営業所を置くXと甲国にのみ営業所を置くYが,素材G200トンを代金1億円で売買した。
甲国のK港で引き渡し,Yが受領から7営業日以内に甲国のX名義口座へ代金を振り込む約定である。
裁判管轄・仲裁の合意はない。

Gは通常の工場でMの製造に使えるが,Yの先端工場では最低限の強度が必要である。
YはXから提供された見本で試験製造に成功した後に契約したが,納品Gは見本より強度が低く,Yの工場で使用できなかった。
Yは代替品を1億6000万円で購入し,6000万円の損害賠償を求めて代金全額の支払を拒む。
甲国はウィーン売買条約の非締約国である。

2 設問が求めること

設問1は,Xが日本で代金1億円を請求する場合の国際裁判管轄を問う。
Yは甲国での財産のほか,日本で登録された評価額5000万円の特許権を持つ。

設問2は,Yが日本で契約違反による損害賠償を請求し,契約には甲国法の選択条項がある一方,双方が日本民法に基づいて主張する場合に,日本民法を適用できるかを問う。
この設問ではウィーン売買条約を考慮しない。

設問3は明示・黙示の準拠法選択がない場合を前提とする。
小問1は条約1条による適用の可否を問うが,2〜6条の検討を除外する。
小問2は売主の義務違反と損害賠償の可否を問い,38〜40条及び74〜77条を除外する。
Yが特殊な使用目的をXへ一切伝えていないという指定を守り,損害額計算へ広げない。
各設問は独立した前提に立つ。

第4 評価項目と重み

1 設問1・国際裁判管轄

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
1【必須】外国法人Yに日本の主たる事務所・営業所がなく,民訴法3条の2による管轄がないことを示す。(両者由来)3PDF実頁43・設問1:外国法人・日本に主たる営業所なしPDF実頁47・設問1:同じ出発点を確認
2【必須】代金支払請求を財産権上の訴えであり金銭支払請求であると認定する。(両者由来)4PDF実頁44・設問1:3号の二つの訴え要件を認定PDF実頁47・設問1:財産権上の訴え等の丁寧な認定を評価
3【必須】日本で登録されたYの特許権を日本国内の差押可能財産として3条の3第3号に結び付ける。(両者由来)5PDF実頁44・設問1:日本登録特許権を国内差押可能財産と認定PDF実頁47・設問1:この管轄原因を落とした答案を指摘
4【高評価】差押可能財産所在地管轄を認める趣旨を説明し,3号の解釈へ結び付ける。(両者由来)4PDF実頁44・設問1:3号の趣旨等に基づく解釈を要求PDF実頁47・設問1:3号自体の趣旨を踏まえた基準提示が少数と指摘
5【高評価】価額が著しく低いという括弧書きについて,趣旨に基づく判断基準を提示し,価額の印象だけで結論を出さない。(両者由来)5PDF実頁44・設問1:括弧書きの要件解釈を要求PDF実頁47・設問1:判断基準提示の有無を明確に区別
6【必須】5000万円という評価額を採用した価額基準に当てはめ,3号括弧書きの適否を判断する。(両者由来)4PDF実頁44・設問1:価額の要件への当てはめPDF実頁47・設問1:5000万円の該当性を問題化
7【必須】3号による管轄を肯定する場合,3条の9の特別の事情を別に検討する必要性を示す。(両者由来)4PDF実頁44・設問1:肯定後の特別事情審査を要求PDF実頁47・設問1:財産所在だけで衡平等が保証されないと説明
8【許容分岐】事案・応訴負担・証拠の所在等を踏まえて特別の事情を評価し,日本で審理するかの結論を示す。(両者由来)3PDF実頁44・設問1:特別事情と最終結論を要求PDF実頁47・設問1:3条の9に触れた答案が多いと記載
9【負例】代金請求を特許権の登録・有効性の訴えと混同して3条の5第3項から専属管轄を導かない。(採点実感由来)2関連範囲にこの負例の記載なしPDF実頁47・設問1:3条の5第3項等からの肯定を誤例として指摘
10【負例】財産所在地管轄の検討を欠いて,成立しない多数の管轄原因の列挙で代用しない。(採点実感由来)2関連範囲に列挙過多の指摘なしPDF実頁47・設問1:財産所在を落とした不成立原因の列挙を評価しない;48頁5⑵で主原因中心を推奨

2 設問2・準拠法の変更

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
11【必須】契約違反の損害賠償を法律行為の効力と性質決定し,不法行為の連結規定へ移さない。(両者由来)5PDF実頁44・設問2:性質決定を要求PDF実頁47・設問2:不法行為とする誤りを指摘
12【必須】通則法7条により契約時の甲国法選択から,原則として甲国法が準拠法となると判断する。(両者由来)4PDF実頁44・設問2:7条の選択から甲国法PDF実頁47・設問2:性質決定・7条以下の決定を確認
13【必須】訴訟での日本民法に基づく主張を,通則法9条の準拠法変更の問題として構成する。(両者由来)5PDF実頁44・設問2:9条による変更の問題PDF実頁47・設問2:多くの答案が9条に言及
14【必須】準拠法変更は明示の合意に限るか,黙示でも足りるかを検討する。(両者由来)4PDF実頁44・設問2:明示と黙示の論点を指定PDF実頁47・設問2:この点を検討しない答案を指摘
15【必須】当事者自治など9条の趣旨から,採用する変更合意の解釈を理由付ける。(出題の趣旨由来)3PDF実頁44・設問2:9条の趣旨等による法解釈明示・黙示の検討はあるが当事者自治という具体的理由の指定なし
16【許容分岐】双方の日本民法による主張を採用した変更合意基準に評価し,日本民法を適用できるか結論を示す。(両者由来)3PDF実頁44・設問2:訴訟上の行為から結論を導くPDF実頁47・設問2:準拠法変更の問題設定を確認

3 設問3小問1・条約の適用

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
17【必須】日本と甲国に営業所を有する当事者間の物品売買であることを条約1条1項の対象に当てはめる。(出題の趣旨由来)3PDF実頁44・設問3小問1:営業所の異国性・物品売買を認定1条への言及のみで個別対象認定の評価は記載なし
18【必須】甲国が非締約国であるため,条約1条1項(a)による適用を否定する。(出題の趣旨由来)3PDF実頁44・設問3小問1:(a)排除(b)への言及はあるが(a)排除への個別評価は記載なし
19【必須】条約1条1項(b)の国際私法を介する適用経路を示す。(両者由来)5PDF実頁44・設問3小問1:抵触法経由の条約適用PDF実頁47・設問3小問1:多くの答案が(b)を検討
20【必須】条約1条の国際私法を法廷地の抵触法と捉え,日本の通則法によって契約準拠法を判断する。(両者由来)3PDF実頁44・設問3小問1:国際私法は法廷地のものと説明PDF実頁47・設問3小問1:日本の通則法で判断したと記載
21【必須】無選択契約は通則法8条1項の最密接関係地法を原則とし,2項だけで準拠法を決めない。(両者由来)5PDF実頁44・設問3小問1:8条1項からの決定過程PDF実頁47・設問3小問1:48頁冒頭:1項を落とし2項のみ論じる答案を指摘
22【高評価】特徴的給付による2項の推定は最密接関係地法の判断基準を明確にするためであると説明する。(両者由来)4PDF実頁44・設問3小問1:推定規定の趣旨を要求PDF実頁47・設問3小問1:47~48頁:1項の原則と判断基準明確化のための2項という関係
23【必須】特徴的給付の意味を示し,売主の物品給付からXの日本営業所を連結点とする。(出題の趣旨由来)3PDF実頁44・設問3小問1:特徴的給付の意味と本件適用8条の丁寧さは論じるがこの事実評価自体への個別記載なし
24【必須】甲国の引渡地・代金支払地などから日本法の推定を覆す事情の有無を検討する。(出題の趣旨由来)3PDF実頁44・設問3小問1:推定覆滅を検討推定の具体的覆滅事情への記載なし
25【必須】日本法が契約準拠法となり,日本が締約国であることを介して条約適用の結論へ到達する。(両者由来)3PDF実頁44・設問3小問1:44~45頁:日本法と締約国性から適用PDF実頁47・設問3小問1:条約適用と通則法の接続を確認

4 設問3小問2・契約不適合と救済

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
26【必須】売主の契約・条約上の義務不履行を,条約45条1項(b)の買主の損害賠償請求に接続する。(両者由来)5PDF実頁45・設問3小問2:45条1項(b)の救済入口PDF実頁48・設問3小問2:必要な条文を示した答案を確認
27【必須】見本と納品Gの強度の差から,条約35条,特に2項(c)の品質基準に違反すると認定する。(両者由来)5PDF実頁45・設問3小問2:35条,特に2項(c)を示して説明PDF実頁48・設問3小問2:必要な条文を示した答案を確認

5 分布と一般的な指摘

重みを付けた項目の分布は次のとおりである。
負例2項目もNとWには含めるが,積極的な記載の充足率を計算する際には,負例を守っただけで加点する扱いはしない。

重み件数重み×件数
100
224
31030
4728
5840
合計27102

N=0+2+10+7+8=27,W=0+4+30+28+40=102である。
これは学習用の集計であり,本問50点の配点へ機械換算する趣旨ではない。

採点実感の科目総論・末尾注記は,条文と要件を示し,事実へ当てはめて結論を出すこと,解釈に必要な範囲で制度趣旨を述べることを重視している。
一般的な答案作法は独立の加重点へ混ぜていない。
不成立の管轄原因を多数並べるより,本問で成立し得る原因を中心に筋道を示すことが重要である。

第5 模範解答

1 前提と表記

以下は試験実施日当時の法状態と問題文の指定に従った答案例である。
民事訴訟法を「民訴法」,法の適用に関する通則法を「通則法」,国際物品売買契約に関する国際連合条約を「ウィーン売買条約」又は「条約」と記す。
答案の番号1・2・3・4は,それぞれ設問1・設問2・設問3小問1・設問3小問2に対応する。

2 模範解答(枠内)

1 設問1
(1)本件はXのYに対する売買代金1億円の支払請求であり,法廷地の民事訴訟法により国際裁判管轄を判断する。
Yの営業所は甲国にしかなく,3条の2第3項による日本の管轄はない。
代金も甲国のX名義口座への振込みと定められており,3条の3第1号の債務履行地による日本の管轄はない。

(2)もっとも,本件は財産権上の訴えであって金銭支払を求めるものであり,差押可能なYの財産が日本国内にあれば,その価額が著しく低い場合を除き,日本の管轄が認められる(3条の3第3号)。
この管轄は,財産所在地で判決を執行し,債権者の権利実現の実効性を確保するためのものである。
Yの日本登録特許権は,移転・差押えの対象となる財産権である。
権利の移転に登録を要する財産権は,執行管轄上,登録の地にあるとされる(民事執行法167条1項・2項,特許法98条1項1号)から,日本国内の差押可能財産に当たる。

(3)3条の3第3号の括弧書きは,僅少な財産だけを根拠に被告を外国での応訴に服させる不合理を防ぐ趣旨である。
そこで,権利実現の実効性から見て執行に実益が乏しい程度の僅少な価額をいうと解し,訴額との単純な割合だけでは判断しない。
本件の5000万円は,相当額の回収を可能にする価額であり,請求額1億円に満たないとしても著しく低いとはいえない。
したがって,同号による管轄が認められる。

(4)ただし,財産の存在だけで当事者間の衡平や適正・迅速な審理が確保されるとは限らず,3条の9の特別の事情を検討する。
本件では受領・検査・使用工場・代替購入が甲国にあり,証拠収集やYの応訴負担は甲国での審理に有利に働く。
一方,日本の売主Xによる見本の提供や出荷時の品質も争点となり得る上,国内には相当額の執行対象財産がある。
甲国で履行されたことのみから審理の著しい支障を認めることはできず,これらを総合して,本件では特別の事情による却下はせず,日本の裁判所の管轄を認める。

2 設問2
(1)契約違反の損害賠償は法律行為の効力の問題であり,法の適用に関する通則法7条以下により準拠法を決定する。
契約時には甲国法が選択されているから,7条により原則として甲国法が適用される。
裁判所は準拠法を職権で判断するので,双方の日本民法に基づく主張の一致に法律上当然に拘束されるわけではない。

(2)しかし,9条は当事者による準拠法の変更を認める。
当事者が契約関係を自ら規律できるという当事者自治の趣旨は契約後にも妥当し,法を選び直す意思が合致すれば,訴訟中の黙示の変更も認められる。
本件で双方が日本民法を前提に主張を行ったことは,適用法を日本法へ変更する意思の合致を推認させる。
当初の甲国法条項を含む事情に照らして,単なる共通の法律上の誤認でなく,この黙示の合意を認定できれば,第三者の権利を害する事情もないから,日本民法を適用して判断できる。
合意を認定できない場合は甲国法による。

3 設問3小問1
(1)本件は,日本と甲国に営業所を有する当事者間の物品売買契約である。
甲国は非締約国であり,ウィーン売買条約1条1項(a)の双方締約国という要件は満たさない。
しかし,同項(b)は,国際私法により締約国法の適用が導かれる場合にも条約を適用する。
ここでいう国際私法は法廷地の国際私法であり,日本の通則法によって判断する。

(2)明示・黙示の法選択がないため,通則法8条1項により契約当時の最密接関係地法が準拠法となる。
同条2項は,その判断基準を明確にするため,特徴的給付を行う当事者の事業所所在地法を最密接関係地法と推定する。
特徴的給付とは,諸契約に共通する金銭支払ではなく,当該契約の類型を特徴付ける給付である。
売買では売主Xの物品給付であり,Xの関係事業所は日本にしかないから,日本法が推定される。
甲国が引渡地・代金支払地であることも考慮するが,これだけでは日本法の推定を覆すに足りない。
したがって,契約準拠法は日本法となり,日本が締約国であることから,条約1条1項(b)により条約を適用する。

4 設問3小問2
(1)売主が契約又は条約上の義務を履行しないとき,買主は条約45条1項(b)に基づき損害賠償を請求できる。
売主は契約所定の品質に適合する物品を引き渡す義務を負う(35条1項)。
別段の合意がない限り,同条2項の適合性基準も満たさなければならない。

(2)納品Gも通常の工場ではMの製造に使えるので,Yの先端工場で使えないことだけでは同項(a)の通常目的への不適合とはいえない。
また,同項(b)は契約締結時に売主に知らされた特定目的への適合を求めるが,Yは特殊な用途を一切伝えていないから,同号による不適合ともいえない。

(3)しかし,同項(c)は,売主が見本として示した物品と同じ品質を求める。
XはYの求めで見本を提供し,Yはこれを使った試験製造に成功して契約した。
納品Gは見本より強度が不足しており,同号により契約不適合となる。
この見本品質への適合義務は,特定目的をXが知らないことによって免れない。
よって,Xには義務不履行があり,Yの損害賠償請求が認められる。
以上

3 解説と評価項目との対応

設問1の「著しく低い」は,5000万円という数字の印象だけで処理せず,財産所在地管轄の趣旨から基準を導く必要がある。
答案例は回収の実効性と被告の応訴負担を踏まえた基準を採る。
この具体的基準と管轄肯定の結論は本稿の構成であり,公式資料が唯一の文言・結論として指定したものではない。

3条の9について,答案例は甲国の証拠・負担と日本側の関連性を比較し,却下しない構成を採った。
甲国での審理の適切さを理由付けて却下する構成も,規範と事実評価が整合していれば,結論が異なることだけで誤りとはならない。
日本に品質資料が現に存在するという追加事実は置かず,問題文の見本提供等を評価している。

設問2は,双方が日本民法に言及しただけで裁判所が当然に拘束されるという構成を避ける。
黙示の変更合意を認定する解釈と,実際に合意を認定できるかという事実評価を分ける。
答案例は認定条件と,認定できない場合の甲国法適用を明示した。

設問3小問1では,条約1条1項(b)から法廷地の抵触法へ進み,通則法8条1項・2項を経て日本法へ戻る連鎖を示す。
同条2項は1項を置き換える独立の確定連結規則ではなく,最密接関係地法を推定する規定である。
小問2は,特定目的が伝わっていないという事実があっても,見本品質への適合義務まで消えるわけではないことが要点となる。

次表は全27項目を答案中の位置へ対応させたものである。
負例は,答案が誤った記載をしていないことを別途確認した。

番号重み答案の対応位置・要旨
131(1)・Yの営業所は甲国にしかなく
241(2)・財産権上の訴えであって金銭支払
351(2)・日本国内の差押可能財産
441(2)・債権者の権利実現の実効性
551(3)・執行に実益が乏しい程度
641(3)・5000万円は,相当額の回収
741(4)・3条の9の特別の事情
831(4)・甲国側の証拠等と日本側の関連性を総合
921(2)・特許権は執行対象として扱い,登録等の専属管轄を援用しない
1021全体・二つの出発点を簡潔に述べ,財産所在地管轄を中心に検討
1152(1)・法律行為の効力の問題
1242(1)・7条により原則として甲国法
1352(2)・9条は当事者による準拠法の変更
1442(2)・訴訟中の黙示の変更
1532(2)・当事者自治の趣旨は契約後にも妥当
1632(2)・黙示の合意を認定できれば/できない場合
1733(1)・日本と甲国に営業所
1833(1)・双方締約国という要件は満たさない
1953(1)・国際私法により締約国法の適用
2033(1)・法廷地の国際私法
2153(2)・8条1項により契約当時の最密接関係地法
2243(2)・判断基準を明確にするため
2333(2)・売主Xの物品給付/日本
2433(2)・引渡地・代金支払地/推定を覆すに足りない
2533(2)・日本が締約国/条約を適用
2654(1)・45条1項(b)
2754(3)・35条2項(c)/見本より強度が不足

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第7 出典及び確認状態

1 法務省の問題・公式資料

令和2年司法試験論文式試験問題・選択科目のPDF実頁41〜42が本問である。
令和2年司法試験論文式試験問題出題の趣旨はPDF実頁43の第2問開始から45の末尾までを確認した。
令和2年司法試験の採点実感(選択科目)はPDF実頁44の科目総論,47〜48の第2問及び関連末尾注記を確認した。
採点実感の他問題固有の記載を本問の要求へ転用していない。

令和2年司法試験の実施日程により,選択科目の実施日を令和2年8月12日とした。
本稿の基準はこの日であり,現在の制度全般を説明する記事ではない。

2 法令・条約

e-Gov法令APIの当時版・民事訴訟法で3条の2・3条の3・3条の9を確認した。
e-Gov法令APIの当時版・民事執行法の167条,特許法の98条1項1号は,日本登録特許権の所在と差押可能性の補足根拠である。
e-Gov法令APIの当時版・法の適用に関する通則法で7〜9条を確認した。

外務省掲載のウィーン売買条約の日本語正文で1条・35条・45条を確認した。
外務省の条約情報による日本についての効力発生日は平成21年8月1日である。

3 公式記載と本稿の判断の区別

公式資料が要求する検討事項は評価表の出典欄に要旨を示した。
その要旨の具体化,評価単位の分け方,重み,答案例の採用構成は本稿の判断である。
裁判例の原文を独立に確認したことを前提とする説明は置いていない。

特殊目的への不適合と見本品質への不適合は別の基準である。
本問で後者の義務違反を認めることから,告知の有無にかかわらず全ての特殊目的を保証するという一般命題を導くことはできない。

4 確認範囲と読み方

公式2資料の本問関連範囲を実読した上で較正した記事である。
公式の得点,合格可能性,又は特定の答案表現が必ず得点になることを保証するものではない。
設問の除外事項や採用構成の条件を守り,条文・規範・事実評価・結論を一体として読むことが有用である。