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ニュージーランド法の養育費―IRDによる計算・支払期間・未払いと日本からの請求(AI作成)

ニュージーランド法の養育費は,一律の月額で決まるものではない。
父母等が直接決める私的合意,Inland Revenue(IRD)に登録する任意合意,IRDの算定式による決定及び裁判所の命令を区別し,算定式では双方の所得,子の年齢,監護割合及び他の扶養対象者等を考慮する。
日本とニュージーランドをまたぐ事件では,ニュージーランドの算定制度だけでなく,日本の国際裁判管轄,準拠法,外国判断の承認及び財産所在地での執行を別々に確認する必要がある。

第1 結論―金額,手続及び国際回収を分けて考える

ニュージーランドのchild supportは,主としてChild Support Act 1991に基づき,税務行政機関であるIRDが算定,徴収及び送金を担う制度である。
Family Courtが関与する場面もあるが,すべての養育費が最初から裁判所で決まるわけではない。

「ニュージーランドの養育費はいくらか」という質問には,固定額ではなく,どの制度を利用するか,父母双方の所得,子の年齢,監護割合,他の扶養対象者及び適用年度を確認しなければ答えられない。
公表されている最低年額も,通常の平均額又はすべての家庭に適用される標準額ではない。

国境を越える事件では,①誰が誰に何を請求するか,②どの国で新しい判断を得るか,③どの国の法を適用するか,④既存の合意・IRD assessment・裁判所命令が相手国でどのような効力を持つか,⑤給与・預金・不動産がどの国にあるかを順に分ける。
条約が使えない場合でも請求が直ちに不可能になるわけではないが,一方の国で得た文書だけで他方の国の財産を直ちに差し押さえられるわけでもない。

第2 ニュージーランドで養育費を決める四つの方法

第1は,父母等が金額,支払日及び支払方法を直接決めるprivate agreementである。
柔軟に設計できる反面,IRDが金額を計算し,又は通常の制度として徴収するものではないため,書面化,変更方法及び未払い時の対応を合意しておく必要がある。

第2は,合意した金額をIRDに登録するvoluntary agreementである。
IRDは登録された合意に従って徴収・送金するが,金額自体を算定式で決める制度ではない。
既存のformula assessmentから任意合意へ移るときは,法定の最低額その他の登録要件を確認する。

第3は,IRDのformula assessmentである。
申請後,IRDが父母双方の所得,生活費控除,監護割合及び子の養育費用等を用いて各支払親の年額を計算し,通常は毎年の養育費年度ごとに再計算する。

第4は,Family Courtの命令である。
IRDの決定に対する不服,通常の算定式では公正な結果にならない事情又は海外居住者が関わる場面等では,行政上の見直しと裁判所手続のどちらが利用できるかを確認する。
裁判所命令についてIRDが徴収・送金を扱う場合もあるため,命令を得る手続と支払を回収する仕組みを分けて確認する。

第3 IRDの算定式を利用できる人と子の要件

formula assessmentを利用できるかは,子の年齢,市民権・通常居住,申請者と子との関係,監護割合及び支払親の居住国等によって決まる。
IRDの案内では,受領側のcarerは原則として子を少なくとも35%監護している必要があり,これは通常1年間に128泊以上に相当する。

子は原則として18歳未満で,婚姻しておらず,経済的に自立しておらず,一定の給付を本人名義で受けていないこと等が求められる。
18歳に達した後も学校に在籍する場合の取扱いがあるため,誕生日だけで終了日を決めない。

支払親がニュージーランドにいない場合でも,オーストラリア又は協定国との制度,あるいは協定国以外に関するIRDの適格要件により申請できる余地がある。
日本居住者が関わるときは,「海外居住だから対象外」又は「ニュージーランドに子がいるから必ずIRDが扱う」と即断せず,子,carer及び支払親ごとの要件を申請時点で確認する。

私的合意は当事者間の契約であるため,formula assessmentと同じ適格要件がそのまま適用されるとは限らない。
どの制度を使うかによって,IRDが金額を決めるのか,徴収だけを行うのか,当事者だけで履行を管理するのかが変わる。

第4 IRDの算定式では養育費をどのように計算するか

formula assessmentでは,まず各親のchild support incomeを算出する。
課税所得等から自己の生活費に相当するliving allowanceを控除し,他のdependent child又はqualifying childがいる場合の控除を反映する。

次に,父母のchild support incomeを合算し,各親の所得割合を求める。
これとは別に,年間の監護割合から各親のcost percentageを求め,所得割合から費用割合を差し引いた結果が正である親を支払側として計算する。

子の養育費用は,合算所得,子の人数及び年齢によって変わる。
同じ所得でも,子が12歳以下か13歳以上か,対象となる子が何人かによって費用表の値が異なるため,日本の裁判所が公表する養育費算定表の金額をそのまま当てはめない。

IRDが公表する令和8年4月1日から令和9年3月31日までの最低年額は1,211ニュージーランドドルである。
これは一定の場合に適用される最低率であり,ニュージーランド全体の平均養育費,一人当たりの標準額又は最低生活費を意味しない。
日本円換算額は為替で変動するため,個別相談では適用年度のNZドル額と換算日を記録する。

算定結果は通常,毎年4月1日から翌年3月31日までの養育費年度ごとに更新される。
申請時には,IRDの算定式の説明と当該年度の率を確認し,前年の数値を継続使用しない。

第5 共同監護なら養育費はゼロになるか

監護時間が半分ずつであっても,養育費が必ずゼロになるわけではない。
formula assessmentは監護割合による費用負担だけでなく,父母双方の所得割合を考慮するため,50対50の監護でも所得差により支払が生じることがある。

反対に,子をより多く監護している親の所得が高い場合には,その親が支払側になることもある。
「受領側の親」「支払側の親」という名称を固定せず,毎年の所得と監護割合を基に算定結果を確認する。

監護割合について争いがある場合,実際の宿泊日数,学校休暇,送迎記録,合意書及び監護命令をそろえる。
監護割合は養育費計算上の費用割合に関わるが,親権又は重要事項についての法的な決定権と同じ概念ではない。

第6 所得又は家族状況が変わった場合

formula assessmentは過去の所得情報を基礎とすることがあるため,当年の所得が大きく減る見込みがあるときはincome estimateを利用できるかを確認する。
IRDは,見積所得が基準所得より少なくとも15%低いこと等の要件を案内しているが,期限,利用できる期間及び年度末の精算を確認せずに低い所得だけを申告しない。

監護割合,住所,婚姻・同居関係,他の扶養対象者又は子の就学状況が変わった場合にも算定や適格性が変わり得る。
変更を知った時点でIRDへの届出期限を確認し,過去に遡ってすべて修正されるとは考えない。

算定式が特別な事情を十分に反映しない場合,administrative reviewを申し立てられることがある。
通常以上の教育費,子の特別な必要,収入・財産・稼得能力又は当事者間の経済的取決め等が問題となるが,単に算定額に不満があるだけで変更されるものではない。
不服申立ては理由,期限及び提出資料が異なるため,IRDの決定書を全文確認する。

第7 支払日と支払終期

IRDが徴収する場合,支払親は通常,各月20日までに前月分をIRDへ支払い,IRDは受領した金額を通常23日に受領者へ送金する。
銀行休業日,控除方法及び未払いの有無によって実際の入金日は変わるため,命令又はassessmentに記載された期間とIRDの取引履歴を照合する。

養育費は原則として適格な子が18歳未満である間について発生する。
子が18歳に達した時点で学校に在籍し,その他の要件を満たす場合は,その年の12月31日まで継続することがある。

就学の終了,婚姻,経済的自立,一定の給付受給又は居住状況の変更によって,18歳より前又は異なる時点で適格性が終了することがある。
日本の成年年齢が18歳であることだけから,ニュージーランド制度上の終期を決めない。

私的合意又は裁判所命令では,支払終期がformula assessmentと異なることがある。
文書の終期条項と適用法上の変更・終了要件を読み,大学教育中の支払又は特別費用をchild support本体と区別する。

第8 未払いになった場合のIRDの対応

IRDが徴収する養育費を期限までに支払わない場合,未払額に加算金が生じる。
IRDの現行案内では,原則として納期限の翌日に未払額の2%,その28日後にさらに8%のinitial penaltyが加わり,その後も一定のincremental penaltyが発生し得る。

初めて支払義務者となった者には,一定の要件で最初の60日間に関する救済が案内されている。
資金難が見込まれるときは,放置して加算金が増える前にIRDへ連絡し,分割支払又は事情に応じた選択肢を確認する。

IRDは,給与・賃金,給付,ACCの支払,銀行口座,税還付その他支払親に支払われる金銭から徴収することがある。
給与等からの控除が税引後額の40%に達する場合もあり,必要に応じて裁判所手続その他の回収措置が用いられる。

一方,受領者へ支払われるのは,原則としてIRDが実際に受領した金額である。
IRDが徴収を担当することと,ニュージーランド政府がすべての未払養育費を常に立て替えることを混同しない。

未払いの公式説明はIRDのOverdue child support paymentsで確認する。
日本国内の債務名義と財産を利用する場合の一般的な手続は,養育費を払わない場合の回収方法を参照されたい。

第9 一方の親が海外に住む場合

ニュージーランドとオーストラリアの間には,養育費のassessment及び徴収を連携させる制度がある。
その他の国については,IRDの協定国一覧と,協定国以外に関する案内を確認する。

ニュージーランドは,2007年ハーグ養育費条約を令和3年7月23日に批准し,同年11月1日に同国について発効した。
IRDは同条約上のニュージーランド中央当局である。

しかし,令和8年9月16日更新のHCCH締約国表に日本は掲載されておらず,IRDの協定国一覧にも日本は掲載されていない。
したがって,日・ニュージーランド間で同条約の中央当局ルートを当然に利用できるとは扱わない。

条約又は行政協力の対象外であることは,私的合意,新たな裁判,外国判断の承認又は財産所在地国での執行がすべて不可能であることを意味しない。
反対に,IRDのassessment又は一方の国の裁判所命令が存在するだけで,他方の国の給与・預金を自動的に差し押さえられることも意味しない。

第10 日本とニュージーランドの間で請求・回収する場合

まず,既存文書を分類する。
private agreement,voluntary agreement,IRDのformula assessment,Family Courtの命令,日本の公正証書,調停調書,審判又は判決では,作成主体,確定性,給付を命じる部分及び執行方法が異なる。

日本で新たに養育費又は扶養料を請求する場合,国際裁判管轄と準拠法を分ける。
家事事件手続法3条の10は扶養義務に関する審判事件の国際裁判管轄を定め,扶養義務の準拠法に関する法律2条は原則として扶養権利者の常居所地法を第一順位とする。

子がニュージーランド国籍であるというだけで,常にニュージーランド法を適用するわけではない。
扶養権利者の常居所地法によって扶養を受けられない場合に共通本国法,さらに日本法へ進む段階的連結を確認し,権利行使者については同法6条も検討する。
詳しくは国際扶養の準拠法を参照されたい。

ニュージーランドの判断を日本で利用する場合,家事事件手続法79条の2及び民事訴訟法118条により,外国の確定裁判等の承認要件を確認する。
IRDの行政上のassessmentが「外国裁判所の家事事件についての確定した裁判」又はこれに準ずる公的機関の判断に当たるかは,文書の性質,確定性,送達・防御の機会,公序及び相互の保証を含めて個別に検討する必要があり,一律に承認可能又は不可能とはいえない。

日本で承認され得ることと,日本国内で直ちに差押えができることも別である。
給付部分,執行判決の要否及び管轄は民事執行法24条等により確認する。

日本の調停調書,審判又は判決をニュージーランドで利用する場合も,その文書だけで現地の財産を直ちに差し押さえられるとは限らない。
ニュージーランド側で利用できる承認・登録・新規申立ての手続,Child Support Act 1991又はFamily Proceedings Act 1980との関係,確定証明,送達記録,翻訳及び現地代理人の要否を,文書の種類ごとに確認する。

請求から回収までの全体像は,国際養育費の請求と回収を参照されたい。

第11 相談前に準備する資料

相談時には,次の資料を,対象期間と発行国を明記してそろえる。

分類主な資料確認する目的
当事者・子旅券,戸籍,出生証明書,住所・常居所の変遷親子関係,国籍,居住要件及び管轄
監護監護合意・命令,年間宿泊記録,学校日程carerの適格性及び監護割合
所得課税資料,給与明細,事業所得,海外所得,他の扶養対象者formula assessment又は裁判上の金額算定
既存文書private agreement,voluntary agreement,IRD assessment,裁判所命令,公正証書,調停調書,審判・判決文書の性質,確定性,変更及び承認・執行
支払IRDの取引履歴,銀行送金,未払月ごとの計算支払済額,加算金及び残額
執行先勤務先,銀行,不動産その他の財産所在地どの国でどの回収手続を採るか
国際手続送達記録,確定証明,原本,認証及び翻訳外国判断の承認・登録又は執行

未払額は一つの合計額だけでなく,各月の支払期限,通貨,支払済額及び加算金を分ける。
二つの国で手続を並行するときは,同じ期間の二重回収を避けるため,入金と執行の状況を一つの台帳で管理する。

第12 よくある質問

1 ニュージーランドの養育費はいくらですか

一律の月額では決まらない。
IRDの算定式では,父母双方の所得,生活費控除,子の年齢,監護割合及び他の扶養対象者等から年額を計算する。
令和8年度の最低年額1,211ニュージーランドドルは一般的な相場ではなく,一定の場合の最低率である。

2 共同監護なら養育費を払わなくてよいですか

監護が半分ずつでも養育費が必ずゼロになるわけではない。
formula assessmentは監護割合だけでなく所得割合も考慮するため,所得差によって支払が生じることがある。

3 養育費は何歳までですか

原則は18歳未満の適格な子である。
18歳で学校に在籍している場合は,その他の要件を満たす限り,その年の12月31日まで継続することがある。
私的合意又は裁判所命令に別の終期がある場合は,その効力を個別に確認する。

4 ニュージーランド政府から養育費をもらえますか

養育費は原則として支払親からcarerへ支払われるもので,IRDは制度に応じて算定,徴収及び送金を担う。
Working for Families又は子のための給付とは別制度であり,国がすべての未払養育費を恒常的に立て替える制度として説明しない。

5 日本からニュージーランド在住の親へ請求できますか

請求できる可能性はあるが,単一の手続で自動的に回収できるとは限らない。
日本又はニュージーランドのどちらで判断を得るか,適用法,既存文書の承認,IRD制度の適格要件及び財産所在地での執行を分けて確認する。

6 日本の養育費の決定をニュージーランドで差押えに使えますか

日本の決定だけでニュージーランドの給与又は預金を直ちに差し押さえられるとは限らない。
日本の決定の種類,確定性,送達,ニュージーランド側の承認・登録・新規申立ての手続,相手方の住所及び財産を確認する必要がある。

7 ニュージーランドはハーグ養育費条約の締約国ですか

ニュージーランドは2007年ハーグ養育費条約の締約国で,IRDが中央当局である。
ただし,令和8年9月16日更新の締約国表に日本は掲載されていないため,日・ニュージーランド間で条約の中央当局ルートを当然に利用できるとは扱わない。

第13 出典と調査範囲

ニュージーランドの制度は,令和8年10月16日現在のIRDのChild support overview,Types of child support arrangements,適格性の案内,算定式,年度別率,未払い及び海外事件の各ページ並びにNew Zealand Ministry of JusticeのChild supportを確認した。

条約関係はHCCHの締約国表及びニュージーランド中央当局情報を確認した。
日本法はe-Gov法令検索の家事事件手続法,扶養義務の準拠法に関する法律,民事訴訟法及び民事執行法を確認した。

本記事は一般的な制度の整理であり,個別事件についてIRDの適格性,外国判断の承認又は執行可能性を保証するものではない。
年度別の率,協定国,法令及び運用は変更され得るため,申請又は執行の時点で公式資料を再確認する。