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相続財産清算人の費用・予納金・報酬―誰が払い,いくらかかり,いつ返るか(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

相続財産清算人の選任を申し立てるときに必要となる費用は,①収入印紙,②連絡用の郵便切手,③官報公告料,④戸籍等の取得費その他の準備費用,⑤裁判所が命じる予納金に分けて考える必要がある。
選任後には,これらとは別に,相続財産を調査・管理・換価するための費用と,相続財産清算人の報酬が問題となる。

申立人は,少なくとも申立時の実費と,裁判所が納付を求めた予納金をいったん準備するのが通常である。
ただし,予納金の要否・額は遺産の内容や管轄裁判所の運用によって異なり,相続財産から清算費用を支払える状態になれば全部又は一部が返還されることがある。
「予納金は必ず戻る」「全国どこでも一律に同額である」とは限らない。

令和8年10月16日時点の法令,全国の裁判所ウェブサイト及び大阪家庭裁判所の令和8年1月5日版資料を確認して作成した。
具体的な金額と納付方法は改定されるため,申立ての直前に管轄家庭裁判所へ確認する必要がある。

第2 費用の全体像

区分主な内容申立時の負担最終的な扱い
申立手数料収入印紙800円原則として申立人が用意する当然に返還される費用ではない
連絡用郵便料裁判所からの送付に使う郵便切手等原則として申立人が用意する額・組合せは裁判所ごとに確認する
官報公告料相続財産清算人の選任等を公告する費用申立時に納付する裁判所ウェブサイトの現行案内では5582円である
資料取得等の費用戸籍・住民票・登記事項証明書・残高証明書等資料を取得する者がいったん支払う必要性,立替者及び領収資料を残す
予納金清算人報酬や管理費用の原資を確保するため裁判所が定める金銭裁判所から求められた申立人が納付する相続財産から原資を確保できれば返還されることがある
選任後の管理・換価費用固定資産税,地代,保険料,調査・測量・売却費用等清算人が相続財産から支出するのが基本である支払時期,必要性及び優先関係を個別に確認する
清算人の報酬職務内容,期間,財産額等を踏まえて家庭裁判所が定める相続財産又は予納金が原資となる清算人が報酬付与を申し立て,裁判所が決定する

第3 申立時に必要となる費用

1 収入印紙,郵便料及び官報公告料

裁判所ウェブサイトの「相続財産清算人の選任」によれば,申立手数料は収入印紙800円であり,これに連絡用の郵便切手と官報公告料5582円が加わる。
郵便切手の額と内訳は,各家庭裁判所が定めるため,全国共通の金額として記載することはできない。

大阪家庭裁判所の令和8年1月5日版手引きは,大阪家庭裁判所本庁へ申し立てる場合の郵便切手の例を示しているが,他の家庭裁判所や支部へそのまま当てはめることはできない。
郵便料や公告料は改定されることがあるので,申立書を提出する直前に最新の案内を確認すべきである。

2 戸籍,登記及び財産資料の取得費用

申立てでは,被相続人の出生から死亡までの戸籍,被相続人の父母の戸籍,相続人候補者の戸籍,不動産登記事項証明書,固定資産評価証明書,預貯金・有価証券の資料,債権・債務の資料等が必要になることがある。
事案によっては,戸籍の収集範囲が広くなり,郵送請求の定額小為替代や専門家への依頼費用も生じる。

これらは官報公告料や予納金とは別の費用である。
誰が,何の目的で,いくら支払ったかを領収書とともに記録し,将来,相続財産からの償還を求めるのかも整理しておく必要がある。

3 申立人がいったん支払う意味

相続財産清算人がまだ選任されていない段階では,相続財産を代表して支払う者がいない。
そのため,申立人が申立実費や予納金をいったん負担することになる。

もっとも,申立人が支払った金銭がすべて当然に相続財産から返還されるわけではない。
支出の必要性,相続財産の有無・換価可能性,裁判所や選任後の清算人の判断,債権の順位等が関係するので,「立替えたから必ず全額戻る」とは考えない方がよい。

第4 予納金

1 予納金の目的

相続財産に現金がない,財産の所在や価値が不明である,又は換価まで相当の期間を要する場合でも,清算人は財産調査,郵便物の管理,不動産の保全,債権者対応及び裁判所への報告を行う必要がある。
予納金は,このような職務に必要となる費用や清算人報酬の原資をあらかじめ確保するために納める金銭である。

裁判所ウェブサイトも,相続財産から清算人の職務に必要な費用や報酬を支払うことが見込めない場合には,申立人に予納金の納付を求めることがあると案内している。

2 予納金の額は全国一律ではない

予納金は法律で一律額が決められているものではなく,遺産の種類・額,管理の難易度,調査や換価の見込み,清算人の候補者,管轄裁判所の運用等によって異なる。
不動産があっても,売却困難,境界不明,残置物や倒壊危険がある,固定資産税や管理費の滞納があるといった事情により,現金化できるとは限らない。

大阪家庭裁判所の令和8年1月5日版手引きは,予納金の目安を約100万円と案内している。
これは大阪家庭裁判所の資料における目安であり,全国の裁判所で常に100万円となることを意味しない。
事件ごとの納付額は,選任直前に裁判所が定めるとされている。

3 予納金が返還される場合

選任後に預貯金が判明したり,不動産等を換価したりして,相続財産から管理費用と報酬の原資を確保できたときは,予納金の全部又は一部が返還されることがある。
これに対し,相続財産が見つからない,換価できない,又は調査・管理・報酬に予納金を要した場合には,全額が返還されないことがある。

大阪家庭裁判所の手引きも,清算人の管理下で費用・報酬を賄える相続財産が形成された場合には予納金が返還される一方,財産が形成されなければ全部が返還されないことがあると説明している。
したがって,返還時期や返還額を申立前に確定することはできない。

4 予納金を用意できない場合

予納金を用意できないからといって,法的な問題が消えるわけではない。
まず,清算人の選任によって何を実現したいのか,対象財産の概算額と換価可能性,ほかに利用できる手続があるかを整理し,管轄家庭裁判所又は弁護士へ相談する必要がある。

債権回収,特別縁故者への分与,不動産の処分,登記,訴訟の相手方の確保など,申立目的によって費用対効果と代替手段が異なる。
予納金の減額や免除が当然に認められる制度があるとの前提で進めるべきではない。

第5 清算人報酬と選任後の費用

1 清算人報酬は家庭裁判所が定める

相続財産清算人の報酬は,当事者間の契約だけで自由に確定するものではなく,清算人からの報酬付与の申立てを受けた家庭裁判所が,職務の内容・期間,財産の種類・額,処理の難易度その他の事情を踏まえて定める。
予納金の額と最終的な報酬額は同じとは限らない。

清算人は,管理財産がなくなる前に報酬付与を申し立てる必要がある。
報酬決定を待たずに残余財産をすべて引き渡し,又は支出してしまうと,報酬の原資がなくなるおそれがある。

2 選任後の管理・換価費用

選任後には,固定資産税,地代,マンション管理費,保険料,公共料金,鍵交換,残置物保管,調査,鑑定,測量,登記及び売却等の費用が生じ得る。
これらは予納金や報酬とは別に,その支出が相続財産の保存・管理・清算に必要かを検討する費用である。

相続財産に関する費用の考え方は,相続財産に関する費用(民法885条)で詳しく説明している。
請求書の名宛人だけで決めず,死亡前の債務,死亡後の管理費用及び申立人等の固有費用を区別し,支払時期と優先関係も確認する必要がある。

3 申立費用の償還は自動ではない

申立人が支払った実費を相続財産から償還できるかは,支出の内容,必要性,裏付け資料,相続財産の状況及び他の債権との関係による。
選任後の清算人は,申立人の説明だけでなく,領収書,振込記録,取得した資料及び支出目的を確認する。

申立てを検討する段階から,費用一覧表を作り,支払日,支払先,金額,目的,立替者,領収書の有無を記録しておくとよい。

第6 申立目的ごとの費用判断

1 相続債権を回収したい場合

被相続人に対する貸金,損害賠償その他の債権を回収するための申立てでは,相続財産の存在と回収見込みを調査し,予納金を含む申立費用と見込配当額を比較する必要がある。
不動産があるというだけでは,担保権,滞納税,管理費,売却費用等を控除した残額があるとは限らない。

2 特別縁故者への分与を求めたい場合

特別縁故者への分与は,相続財産の清算と相続人捜索の期間が満了した後に申し立てる手続である。
清算人選任の予納金のほか,分与申立ての費用,関係資料の取得費用及び相当期間の経過を見込む必要がある。

3 不動産を処分し,又は登記を進めたい場合

空き家,共有持分,管理不全土地等の処理を目的とする場合は,評価額だけでなく,現況,境界,残置物,抵当権,滞納税,解体・修繕の要否及び買手の見込みを確認する。
換価によって予納金を返還できるかは,これらを控除した手取り額による。

4 申立目的を先に固定する

相続財産清算人の選任から国庫帰属までの全体像は,相続財産清算人とは―選任から手続終了までを参照されたい。
費用の検討では,「清算人を選任したい」という表現だけでなく,選任後にどの財産について何を実現するのかを具体化することが重要である。

第7 よくある質問

1 相続財産清算人の申立てにはいくらかかりますか

全国共通の申立手数料は収入印紙800円であり,これに裁判所ごとの郵便料,官報公告料5582円,戸籍等の取得費が加わる。
さらに,相続財産から費用・報酬を賄えない見込みがあるときは,裁判所から予納金の納付を求められることがある。

2 予納金は誰が払いますか

裁判所が納付を求めた申立人が,指定された期限までに納めるのが通常である。
複数の利害関係人がいる場合の内部負担は,申立前に協議して記録しておくとよい。

3 予納金は必ず返ってきますか

必ず返還されるものではない。
選任後に相続財産から管理費用と報酬を賄える場合は全部又は一部が返還されることがあるが,財産がない,換価できない,又は予納金を職務費用等に要した場合は返還されないことがある。

4 予納金は全国一律で100万円ですか

一律ではない。
約100万円という金額は大阪家庭裁判所の令和8年1月5日版手引きにある目安であり,裁判所と事件によって異なる。

5 清算人の報酬は誰が決めますか

清算人からの申立てを受けて家庭裁判所が定める。
職務内容,期間,財産額及び処理の難易度等が考慮されるため,申立時の予納金と最終報酬は一致しないことがある。

6 遺産に現金がなくても申し立てられますか

申立て自体は可能であるが,裁判所から予納金の納付を求められる可能性が高くなる。
不動産等を将来換価できるか,その前に必要となる管理費用をどう賄うかも検討する必要がある。

第8 申立前のチェックリスト

① 申立てによって実現したい目的を一文で書いた。
② 預貯金,不動産,有価証券,動産及び債権の概算額を確認した。
③ 担保権,税金,管理費及びその他の債務を確認した。
④ 収入印紙,郵便料,官報公告料及び資料取得費を分けて見積もった。
⑤ 管轄家庭裁判所に,最新の郵便料と予納金の運用を確認した。
⑥ 予納金が返還されない場合も含めて費用対効果を検討した。
⑦ 立替費用について,日付,金額,目的,支払者及び証憑を整理した。
⑧ 不動産がある場合,換価費用と手取り見込額を試算した。

第9 出典

① e-Gov法令検索・民法(27条~29条,951条~959条)
② e-Gov法令検索・家事事件手続法(125条,203条~208条)
③ 裁判所ウェブサイト「相続財産清算人の選任」
④ 大阪家庭裁判所「相続財産清算人選任申立ての手引き」(令和8年1月5日版)
⑤ 大阪家庭裁判所「相続財産清算人の方へ」(令和8年1月5日版)