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会社の帳簿・会計データが押収されたら―還付・複写の申入れと申告・税務調査への対応(AI作成)

第1 何を確保する必要があるかを分ける

会社の帳簿やパソコンが押収され,申告や税務調査の準備に支障が出たときは,紙の原本,記録媒体及び必要な会計データを分けて整理する。
原本の返還を求めること,媒体を返してもらうこと,必要なデータを複写することは,同じ手続・同じ要件とは限らない。
本記事は令和8年10月14日に確認した刑事訴訟法,証拠品事務規程及び国税庁の資料を基に,会社・弁護士・税理士の確認順序を示す。

対象は刑事捜査に伴う押収等であり,税務調査での帳簿書類の預かりと同一の手続として説明するものではない。
刑事事件への対応と,申告期限・税務調査への対応を並行して管理する必要がある。

第2 物とデータの所在を一覧にする

会社は,交付された目録,提出書類及び実際の業務への影響を,対象物ごとに整理する。
押収物の符号と会社の管理番号を対応させ,警察から検察へ送致・移送された場合も,現在の担当・保管先を確認する。

対象確認する資料確保したい内容
紙の帳簿・伝票押収品目録,対象年度,原本・控えの別原本の還付又は必要部分の複写の相談
会社のパソコン・媒体機器番号,所有者,使用者,押収の根拠媒体自体と必要なデータを分けた申入れ
提供命令で移転された記録命令の名宛人,提供方法,対象期間・範囲取得方法に対応した複写等の要件確認
会社に残るデータ・控え保存先,取得日時,対象範囲,欠けた期間原資料との対応,税理士に渡せる範囲

最後の列は確認・相談する事項であり,各方法が当然に認められることを示すものではない。
会社に残る別の控えを使用する場合も,原本と同じ範囲・同じ版かを確認する。

第3 還付・仮還付とデータの複写を検討する

1 紙の原本や会社所有の媒体

刑事訴訟法123条1項は,留置の必要がない押収物について,事件の終結を待たずに還付することを定める。
同条2項には,所有者,所持者,保管者又は差出人の請求による仮還付があり,捜査機関の押収には222条1項の準用を確認する。
原物を保持する必要,鑑定・解析の状況,代替資料で足りる範囲と,会社の具体的な業務上の支障を整理する。

仮還付を受ける場合は,再提出できる状態を維持する方法を確認する。
原本の廃棄,媒体の初期化又はデータの上書きが許されるとは扱わず,保管場所,使用方法及び変更が必要なときの連絡先を決める。
検察庁の取扱いでは,本還付へ切り替わったことを示す通知も別に確認する。

2 記録を移転した媒体や提供命令によるデータ

123条3項は,所定の方法で記録を移転した上で差し押さえた媒体等について,留置の必要がなく,差押え又は提供命令を受けた者と媒体の所有者等が異なる場合の媒体交付又は複写を定める。
物理的な媒体の一般的な差押えに,この要件を確かめずそのまま当てはめることはできない。

123条の2第1項は,所定の提供命令によって移転させた記録について,命令を受けた者に保管させない理由がなくなった場合の複写を定める。
222条1項の準用と命令・提供の具体的方法を確認し,誰がどの規定に基づき何を求めるかを示す。
現行証拠品事務規程60条・61条の2も,事件終結前の媒体交付や複写の取扱いを定めている。

会社が全ての記録の複写を無条件に受けられる制度ではない。
必要な勘定,取引先,対象期間,ファイル形式等を具体化し,法定の交付・複写の請求と事実上の相談を区別する。

第4 税理士が必要とする資料を具体化する

税理士は,対象税目,事業年度,申告・回答等の期限,既に会社に残る資料及び不足資料を一覧にする。
「会計データ全部」だけでなく,仕訳,元帳,請求書,棚卸表,申告書等のうち,どの事項の計算・説明に必要なのかを示すと,弁護士が申入れの範囲を整理しやすい。

例えば,未説明の在庫差については,帳簿上の数量,実地棚卸し,工程使用量,押収・返還の数量を別欄にして対応させることが考えられる。
後から作った集計表を原資料と同一視せず,元のファイル,取得日時,抽出条件,対象期間及び訂正の経過を残す。
この資料表は連携のための提案であり,税務当局の公式統一書式ではない。

第5 税務上の保存要件を別に確認する

国税庁は法人の帳簿書類の保存期間と,電子帳簿等の保存制度を説明している。
消費税の仕入税額控除についても,帳簿・請求書等の保存を原則とし,特例を個別に定めている。
押収物の返還やデータの複写が認められたことだけから,税務上の保存要件も満たしたと判断することはできない。

保存要件の充足や特例の適用を判断するときは,押収の経緯,目録,保存していた状況,控え・元データの有無,取引先から再取得できる資料及び税目ごとの法令・取扱いを確認する必要がある。
紙の写し,スキャナ保存,電子取引データ及び会計システムの出力を一律に同じ保存方法と扱わない。

押収があったことから,申告期限の延長,保存義務の免除又は仕入税額控除の適用が自動的に認められるという説明はできない。
税務上の期限・提出方法・不足資料への対応は,税理士が担当税務署等へ確認し,刑事手続の申入れの結果を待つだけにしない。

第6 会社・弁護士・税理士の役割と申入れ

会社は目録と残存資料を保全し,弁護士は取得方法・権利・処分主体に対応した申入れを整理し,税理士は申告・調査に必要な資料と期限を明らかにする。
三者で,必要資料,対象期間,用途,確保方法,担当者,連絡日及び回答を共通の表で管理する。

申入れでは,①事件・対象物の符号,②会社の立場,③求める還付・仮還付・複写の内容,④証拠保全に支障がないと考える理由,⑤必要データと期限,⑥保管・再提出の計画を示す。
申入書の控えと到達資料,担当者の回答を残し,未回答,事実上の相談,正式な拒否を区別する。
拒否を争う場合には,処分主体・対象・申立適格に応じた不服申立てを検討する。

第7 関連記事と根拠資料

記録媒体の差押えの適法性は,USBメモリを内容確認せず差し押さえられるかを参照されたい。
手続と記載例は,押収物の還付・仮還付を拒まれたとき,被害会社の課税問題は,従業員の窃盗・横領で被害を受けた会社の税務で説明している。

刑事訴訟法123条,123条の2,222条1項及び430条:https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131
法務省「証拠品事務規程」60条~62条(令和8年3月23日改正,同年5月21日施行):https://www.moj.go.jp/content/000110750.pdf
国税庁「帳簿書類等の保存期間」(令和8年4月1日現在法令等):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5930.htm
国税庁「仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」(同日現在法令等):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6496.htm

本記事の資料整理・担当分担は,法定要件と申告実務を混同しないための提案であり,複写の許可や特定の税務処理を保証するものではない。