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Wayback Machineは裁判の証拠になるか―過去のウェブページの保存日時・信用性と提出時の確認事項(AI作成)

第1 過去のページと立証したい事実

Wayback Machineに保存されたウェブページは,過去の掲載内容を調べる手掛かりとなり,日本の裁判でも具体的な記録の信用性を検討した例がある。
ただし,保存画面が存在することと,争点となる事実が証明されることは分けて考える必要がある。
本記事では,知財高裁令和元年10月24日判決とInternet Archiveの公式案内を基に,記録を確認する際の注意点を整理する。

例えば,過去の商品説明を確認したい場合,現在のページの印刷だけでは,購入時にどの説明が掲載されていたかは分からない。
他方,過去の保存画面を見つけても,購入者が実際にその画面を見たことや,その記載どおりの契約が成立したことまで当然に分かるわけではない。
まず,「いつ,どのURLに,どの内容が掲載されていたか」と,「誰がその内容を認識し,どのような行為をしたか」を分けて証拠を整理することが有用である。

第2 日本の裁判例が検討した保存日時と信用性

知財高裁令和元年10月24日判決(平成30年(行ケ)第10178号,特許取消決定取消請求事件)は,ゲームのキャンペーンを紹介するページについて,特許出願前に公衆に利用可能となっていたかを検討した。
判決は,Wayback MachineのURL中の数字部分等から,平成25年4月27日10時37分28秒(UTC),日本標準時では同日19時37分28秒に収集・保存されたと認定している(判決45頁~47頁)。

原告は,別の保存画面(日本経済新聞電子版)では,URL中の日付と画面上の日付が食い違い,表示された日経平均株価も当日・翌日の値と一致しないこと,画像のURLのみが保存される場合には後から画像が差し替わる可能性があること,利用規約が記録内容の正確性を保証していないこと等を挙げ,記録の信用性を争った。
これに対して裁判所は,UTCと日本標準時の差を説明し,リンク先の数値には別時点の収集内容が表示されることがあると検討した。
その上で,一般論として保存記録の内容が改変されることがあり得るとしても,当該キャンペーンの記載については,保存時の内容が改変されたことを疑わせる具体的な事情は認められないとして,原告の主張を退けた(判決47頁~49頁)。

この判決から読み取れるのは,記録の仕組みと当該証拠の内容を具体的に検討したということである。
あらゆる保存画面の正確性を保証した判決,又は一般の契約・名誉毀損事件における立証の成否を一律に決めた判決として紹介するのは適切でない。

第3 保存日時・掲載日・閲覧日時を区別する

記録を整理する際には,①元ページに記された公開日・更新日,②アーカイブの収集・保存日時,③自分が記録を閲覧・出力した日時を別々に記載することを勧める。
保存日時は,それ自体が元ページの最初の公開日時を意味するものではない。
また,UTCの日時を日本時間として読めば,日付まで取り違える場合がある。

ページ本体と,画像や外部へのリンク先は,常に同じ時点の内容として一体保存されるとは限らない。
公式案内は,不完全な保存サイトでリンクをたどると近い日付の保存ページへ移動し,保存がない場合には現在のウェブへ移動することがあると説明している。
重要な画像やリンク先については,そのURLと保存日時も個別に確認したい。

第4 証拠として残すときの確認事項

以下は,記録の出所と確認過程を説明しやすくするための実務上の整理案である。
すべての事件に一律に要求される提出要件を列挙したものではない。

①元ページのURLと,保存日時を含むアーカイブの完全URLを両方残す。

②画面の本文だけでなく,ページの題名,表示された日時,必要な前後関係も保存し,切り抜いた箇所だけで意味が変わらないようにする。

③取得者,閲覧・出力日時,取得方法を記録し,PDFや画面画像等の取得時ファイルを保持する。
注釈やマスキングを加える場合は,取得時のファイルとは別の作業用コピーを作ることが望ましい。

④画像や外部リンクが立証の中心になる場合は,ページ本体と同じ時点の内容かを確認し,確認できない部分を区別する。

⑤注文確認メール,契約書,送受信記録,当時の配布資料など,独立した記録があれば突き合わせる。
同じ保存画面を引用した複数の解説記事を集めても,独立した証拠が増えたとは限らない。

⑥証拠説明書等では,記録がどの事実を示すためのものかを具体化する。
過去の掲載内容を示す資料なのか,当事者の認識や契約内容まで示す資料なのかを混同しないことが大切である。

取得後の同一性を確認するため,ファイルのハッシュ値を記録する方法もある。
ただし,ハッシュ値の一致から分かるのは比較対象のファイルの同一性であり,元ページの掲載内容が真実であったことや,取得前に改変がなかったことまで証明されるわけではない。

第5 見つからない場合と公的機関の資料

Internet Archiveの公式案内によれば,すべてのサイトが保存されるわけではなく,画像の欠落やJavaScriptに関する問題もある。
保存結果を見つけられないことだけを理由に,そのページや記載が過去に存在しなかったと判断することは避けたい。

国や自治体等の過去の資料については,国立国会図書館のインターネット資料収集保存事業(WARP)も調査先となる。
国立国会図書館は,国立国会図書館法に基づく公的機関のウェブサイトの収集と,同法の対象外のサイト(公益法人,私立大学,政党等)を発信者の許諾に基づいて収集することを説明しており,収集した資料のすべてがインターネット上で公開されるわけではない。
また,WARPの公式案内も,技術的にすべてのファイルを完全に収集できるわけではないとしている。

現在の公式サイト,WARP,Wayback Machine,発行機関が別に保存する刊行物等を照合することで,資料の所在を確かめやすくなる。
保存版を出典にする場合は,現行版の説明と区別し,元の発行主体,資料名,版・日付,保存日時及び参照先を示すことが有用である。

第6 著作権と事件外の公開

過去のページを閲覧できること,訴訟資料として利用すること,その画面をブログやSNSへ転載することは,利用目的も行為も異なる。
アーカイブに保存されているという一事だけで,掲載内容を自由に再公開できると考えてはならない。
著作権,利用規約,プライバシー等については,利用する資料と方法に応じた確認が必要である。

裁判手続のための利用と事件外への共有の区別については,訴訟資料に著作物を利用する場合の著作権で整理している。

第7 よくある質問

1 保存日時とページ内の日付が違えば偽物なのか

その違いだけでは判断できない。
UTCと日本時間の差,元ページが示す日付の意味,別時点のリンク先の表示等を確認する必要がある。
前記判決も,個々の不一致の理由を検討している。

2 画面を印刷すれば十分なのか

何を証明したいかによる。
印刷時にURLや保存日時が落ちていないか,必要な前後関係や画像が含まれるか,別の資料との対応を説明できるかを確認したい。

3 Internet Archiveから証明書類を得られるか

公式ヘルプは,法的手続で利用する記録について,宣誓供述書の請求手続を案内している。
その取得が日本の裁判で常に必要である,又は取得すれば立証に成功するという意味ではなく,個別の手続と立証方針に応じて検討する事項である。

第8 関連記事と出典

関連記事:AIが参照しやすい司法情報アーカイブとしての山中弁護士ブログ,robots.txtで生成AI学習・AI要約を拒否できるか。

①知財高裁令和元年10月24日判決・平成30年(行ケ)第10178号(特に45頁~49頁)。

②Internet Archive公式ヘルプ・Using the Wayback Machine(保存の限界,リンク先への遷移,法的手続用の記録)。

③国立国会図書館・インターネット資料(ウェブサイト)の収集,WARP・よくあるご質問。

資料確認日:令和8年11月3日。