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田中一哉弁護士の裁判官マップの口コミ1万5347件を分析―星評価・投稿集中・同文反復(AI作成)

第1 全件を集計して分かったこと

田中一哉弁護士が管理する「裁判官マップ」の口コミは,裁判官の仕事ぶりを知るために,どこまで参考になるのだろうか。
本稿では,2026年10月30日に取得した公開口コミ1万5347件を対象に,星評価,投稿先への集中,同文反復,本文に現れる語句を集計した。

主な結果は,星1〜2の投稿が74.01%を占めること,投稿件数の上位10ページに全体の41.39%が集中すること,完全同文の反復グループに属する投稿が3.71%あることである。
ただし,これらは口コミサイトに投稿された内容の分布であり,裁判官の能力,裁判の正しさ,投稿の真偽を測った数値ではない。

星評価が低いことと,その口コミの指摘が正しいことは別である。
同時に,低評価であることだけを理由として,具体的な経験に基づく指摘まで退けることもできない。
数値と口コミ本文の読み方を分けて考える必要がある。

なお,本稿でいう「裁判官マップ」は田中弁護士が管理する外部サービスを指し,山中弁護士ブログの庁別・期別分布マップとは別のものである。
運営者の目的や公表方針は,裁判官マップの「このサイトについて」で確認できる。

第2 「全件」の範囲と集計方法

1 公開一覧768ページ,1万5347件が対象である

対象は,取得時点で最近の口コミ一覧に公開表示されていた768ページの1万5347件である。
本文,星評価,投稿先ページを機械的に抽出し,投稿IDの重複がないこと,取得件数が表示総数と一致すること,各ページの件数が整合することを確認した。
取得は途中で間隔を空けて再開しており,再開時と終了時の先頭ページについても,投稿IDが一致していた。

ここでいう全件は,削除済み・非表示の投稿まで含む歴史的な全投稿ではない。
また,複数ページを順に取得した結果であり,データベース全体を一瞬で固定した同時点のスナップショットでもない。
サイトの現在の表示件数が本稿と異なっていても,それだけで集計上の誤りを意味するものではない。

2 集計単位は「投稿」であり,「投稿者」ではない

1万5347件という数は,独立した投稿IDの件数である。
1万5347人が投稿したという意味ではなく,同じ人が複数回投稿したかどうかも,この集計からは確認できない。

投稿先の区別は,裁判官ページの識別子であるslugを単位とした。
口コミのある投稿先は1410ページだったが,別slugが同じ人物を指す可能性などの名寄せまで検証した人数ではない。
以下の「上位10ページ」なども,このページ単位の集計である。

第3 星1が71.84%,星5が20.61%を占める

1 星別の件数と割合

星評価投稿数全投稿に占める割合
星111,026件71.84%
星2333件2.17%
星3465件3.03%
星4360件2.35%
星53,163件20.61%
合計15,347件100.00%

星1が7割を超え,次に多いのが星5である。
星1〜2を合わせると1万1359件,74.01%となり,星4〜5は3523件,22.96%となる。
投稿件数で加重した平均は,約1.977であった。

この分布から,公開口コミの星評価が低い側に偏っていることは分かる。
しかし,それだけで「裁判官の約4分の3に問題がある」「裁判利用者の約4分の3が不満を持っている」と読むことはできない。
投稿しなかった人の意見,投稿者数,経験した事件の数や内容が分母に入っていないからである。

2 星の高さだけでも内容は判定できない

星5の投稿であっても,何を評価したのかが本文から分からない場合には,具体的な判断材料は限られる。
逆に,星1の投稿でも,いつ,どのような対応を受け,どこに問題を感じたのかが具体的に記されていれば,確認すべき論点を見つける手掛かりにはなり得る。

もっとも,具体的に書かれていることと,裏付けがあることも同じではない。
星の数,記述の具体性,記述内容を確かめる資料の有無は,それぞれ分けて読む必要がある。

第4 上位10ページへの集中は41.39%である

1 少数の投稿先が全体に大きく影響している

投稿件数の多いページの範囲その範囲への投稿数全投稿に占める割合
上位1ページ2,023件13.18%
上位5ページ4,490件29.26%
上位10ページ6,352件41.39%
上位20ページ8,322件54.23%

投稿件数は,1410ページに均等に分布していない。
最多の1ページだけで全体の13.18%,上位20ページで半数以上を占める。
したがって,サイト全体の平均星や本文の語句の出現率を読む際には,投稿が集中したページの影響を考慮する必要がある。

ただし,この集中度だけから,特定の報道やSNSの拡散が原因だと確定することはできない。
原因を論じるには,投稿時期,関連する出来事,情報の流入経路など,集中度とは別の資料が必要になる。

2 上位10ページを除いても,星1〜2は75.31%である

投稿件数の上位10ページを除いた8995件についても集計した。
その結果,星1〜2は75.31%,平均星は約1.926となった。

この比較では,低評価の多さが,投稿件数上位10ページだけを取り除けば消えるという結果にはならなかった。
一方,除外後の投稿も,自発的に投稿された口コミの集合であることに変わりはない。
上位ページを除いたからといって,裁判官全体や裁判利用者全体を代表する標本になるわけではない。

3 投稿単位の平均と,ページを均等に扱った平均は異なる

各投稿先ページの平均星を求め,1410ページを同じ重みで平均すると,約2.234となった。
全投稿を同じ重みで数えた平均の約1.977とは異なる。

前者は「投稿のある各ページを均等に扱うとどうなるか」,後者は「公開された各投稿を均等に扱うとどうなるか」という別の問いへの答えである。
どちらも裁判官の能力の平均点を示すものではなく,何を単位として重みを付けた数値なのかを確認することが重要である。

第5 完全同文の反復グループに属する投稿は3.71%ある

1 569件,214グループで完全一致を確認した

本文の文字列が完全に一致する投稿を調べると,複数の投稿がある文面は214グループあり,これらに属する投稿は569件,3.71%だった。
本節の完全一致は,言い換えや,異なる空白・表記まで同じ意味とみなした分類ではない。

「反復グループに属する569件」と,「各文面を1件だけ残した場合の超過分355件」は異なる数字である。
前者は各グループの最初の1件も含むため,すべてを「余分な投稿」と呼ぶことは適切でない。

異なる投稿先ページに同じ文面が現れるグループは125あり,そこに属する投稿は327件だった。
この点も,本文の一致を数えた結果であり,投稿者を識別した結果ではない。
以上の数には,本文が空白文字だけの投稿の2グループ10件も含まれている。

2 同じ文面があることから分かること,分からないこと

同じ文面が複数あるという事実からは,同じ人による連投,複数の人による引用,定型的な表現の一致などを区別できない。
また,文面が違うことを理由として,すべてが別の人による独立した経験だと認定することもできない。

反復の集計は,口コミ件数を独立した人数や経験数と取り違えないための材料になる。
本稿の集計は投稿者を識別しておらず,投稿の水増し,組織的な攻撃,特定の人物の関与の有無について何かを示すものではない。

第6 本文ではどのような語句が現れるのか

1 判決・量刑などの語句は42.21%に現れた

本文については,指定した語句のいずれかを含む投稿を,1投稿につき各分類1件として数えた。
語句の照合では,全角英数字などをUnicode NFKCで正規化し,英字の大文字・小文字を区別しなかった。
一つの投稿が複数の分類に該当することがある。

語句の分類辞書に含めた語句の例該当投稿数全投稿に占める割合
裁判結果・刑事処分判決,量刑,無罪,有罪,保釈など6,478件42.21%
訴訟進行・期日訴訟指揮,審理,期日,遅延など741件4.83%
応対・態度話を聞,高圧,丁寧,態度など932件6.07%
証拠・記録証拠,記録,書面,事実認定など1,745件11.37%
説明・理由理由,説明,論理,根拠,矛盾など1,335件8.70%
和解・調停和解,調停,示談394件2.57%
親子・家事事件離婚,親権,面会,養育など1,107件7.21%
辞任・辞職等辞め,辞任,辞職,罷免,退職など439件2.86%
否定・攻撃的表現の候補語無能,最低,最悪などの指定語769件5.01%
AIへの言及AI,人工知能,ChatGPTなど230件1.50%

判決や量刑など,裁判結果・刑事処分に関する指定語を含む投稿が多いことは確認できる。
ただし,表の割合を,その話題を主題とする口コミの正確な構成比として読むことはできない。
分類ごとに語句の範囲が異なり,指定語を使わず同じ問題を論じている投稿も拾えないからである。

2 語句一致率は「誹謗中傷率」ではない

機械的な語句の集計では,肯定・否定,引用,皮肉,文脈を区別していない。
例えば,指定語に含まれる「最低」が数量の下限を述べるために使われた場合でも,語句としては一致する。
辞任や退職に関する語句も,辞職を求める表現とは限らず,AIへの言及もAIで作成した投稿だという自己申告とは限らない。

したがって,5.01%という数値を「誹謗中傷の割合」,1.50%を「AI生成口コミの割合」と呼ぶことはできない。
語句の出現を数えることと,文章の意味や法的評価を判定することは,別の分析である。

3 URL形式の文字列を含む投稿は1.88%だった

本文にhttp://又はhttps://という文字列を含む投稿は,英字の大文字・小文字を区別せずに数えて288件,1.88%だった。
これはURL形式の文字列の有無を調べたものであり,リンクが有効か,その資料が投稿内容を裏付けるかまでは判定していない。

URLがない投稿でも,直接経験した出来事を述べている可能性はある。
反対に,URLが付いていても,本文の主張がその資料から導けるとは限らない。
リンクの有無だけを,口コミの真偽を判定する基準にはできない。

第7 全件調査でも,口コミの真偽や代表性は確保されない

1 全件性があるのは,公開口コミという集合の内部である

本稿は,取得時に公開表示されていた口コミについて全件を集計した。
しかし,そのことは,日本の裁判全体を偏りなく調べたことを意味しない。
投稿しなかった人や,削除・非表示となった投稿は,集計の対象に入っていない。

誰が,何をきっかけに,どのような経験に基づいて投稿したのかも,星評価の分布だけでは分からない。
低評価が多いことから,投稿者の大半が敗訴した当事者だと断定することもできない。

2 具体的な経験の共有と,事実認定は区別する

投稿ガイドラインは,事実に基づいた具体的・建設的な投稿を推奨し,事実と意見を区別するよう求めている。
また,利用規約では,投稿内容の正確性等を運営者が保証しない旨が示されている。

こうした方針を踏まえると,口コミは,問題となり得る出来事や評価の観点を知る入口として読むのが適切である。
判決への賛否,手続の進め方に関する経験,当事者への応対,記録の検討に関する指摘を分け,その記述が何を根拠としているかを見る必要がある。

裁判の内容を判断するには,判決書その他の確認できる資料と,口コミが述べる事実・意見との対応を検討することになる。
口コミの数が多いことも,表現が断定的であることも,それ自体で裏付けの代わりにはならない。

第8 民間の口コミと正式な人事評価制度は異なる

裁判官については,民間の口コミとは別に,最高裁判所規則に基づく公式の人事評価制度がある。
裁判官の人事評価に関する規則1条は,判事,判事補及び簡易裁判所判事について,人事評価を毎年行うと定めている。
同規則3条2項には,裁判所外部からの情報にも配慮する旨の規定がある。

民間サイトに表示される星評価は,この正式な人事評価そのものではない。
また,この規則だけから,民間の口コミが公式評価に自動的に反映されるという結論を導くこともできない。

制度の詳しい説明は,裁判官人事評価情報の提供方法と人事評価制度を参照されたい。
再任時の情報提供については,裁判官再任評価情報の提供方法及び指名諮問委員会の審議で別に説明している。

第9 口コミは,星の平均よりも「何を述べた投稿か」を確認して読む

今回の全件集計では,低い星評価が多いこと,少数の投稿先に件数が集中していること,同文反復が一定数存在することが確認できた。
同時に,これらの数値から,個々の裁判官の能力,投稿者の人数,口コミの真偽や違法性まで判断することはできない。

口コミを参考にする際には,対象者と時期,述べられた出来事,投稿者の意見,確認できる資料を切り分ける必要がある。
星の数だけで裁判官を評価せず,具体的な記述から確認すべき論点を拾い,資料に照らして判断することが,このデータを読む際の基本となる。

第10 集計条件・出典

本稿は,2026年10月30日に取得した公開口コミ1万5347件を対象に集計した。
全投稿に占める割合は1万5347件を分母とし,上位10ページを除いた割合は8995件を分母とした。
ページ平均の平均は,口コミのある1410ページを同じ重みで算出した。
割合は原則として小数第2位に丸め,平均星は小数第3位まで表示した。
全投稿を対象にした機械集計であり,全投稿の意味を一件ずつ人手で分類した調査ではない。

① 裁判官マップ・最近の口コミ一覧:本文,星評価,投稿先,公開投稿IDの集計対象。
② 裁判官マップ・このサイトについて:運営者,目的,公表方針。
③ 裁判官マップ・投稿ガイドライン:推奨される投稿,禁止事項,事実と意見の区別。表示上の最終更新日は2026年2月5日。
④ 裁判官マップ・利用規約:匿名投稿サービス,投稿の取扱い,免責。表示上の最終更新日は2026年2月6日。
⑤ 最高裁判所・裁判官の人事評価に関する規則:1条,3条2項。