メインコンテンツへスキップ
       

修習給付金の確定申告のやり方―e-Taxの入力・支払者・源泉徴収票・必要書類(AI作成)

第1 修習給付金を申告する前に確認すること

1 基本給付金と住居給付金は雑所得として扱う

修習給付金のうち,基本給付金及び住居給付金は,司法研修所の案内では雑所得として確定申告の対象となる。
給与ではなく,所得税の源泉徴収も行われないため,給与所得の源泉徴収票を使う入力とは分けて考える必要がある。
本記事では,申告に使う資料をそろえ,国税庁の確定申告書等作成コーナーへ入力し,送信・納付を確認するまでの順序を説明する。

課税根拠,裁判例及び修習専念資金の取扱いは,修習給付金の税務上の取扱い―司法研修所の案内,裁判例及び確定申告(AIリライト)で扱っている。
修習終了年に給与や弁護士報酬もある場合の申告要否と全体の整理は,司法修習終了翌年の確定申告―修習給付金・給与・弁護士報酬(AIリライト)を参照されたい。

2 申告対象であることと申告義務があることを分ける

給付金が雑所得に当たるというだけで,全員について所得税の申告義務が同じになるわけではない。
給付金以外の所得,所得控除,税額控除及び給与の源泉徴収・年末調整の状況を含め,その年分の申告要否を判定する必要がある。
給付金だけを受け取る場合も,給与所得者の20万円以下の申告不要制度をそのまま使うことはできない。

給与について年末調整を受けていても,修習給付金等の所得がある場合は別に判定する。
医療費控除等のため所得税の確定申告をする場合は,20万円以下の雑所得も申告に含める必要がある。
所得税の申告が不要でも住民税の申告が必要となる場合があるため,住所地の自治体の案内を確認する。

3 申告年分と入力画面の版を合わせる

所得税は,原則として1月1日から12月31日までの暦年ごとに申告する。
修習開始年と修習終了年を一つの申告にまとめず,それぞれの年分に属する収入を分ける。
本記事の入力欄の説明は,令和8年10月13日に確認した国税庁の令和7年分の入力説明・画面例に基づく。
他の年分を申告する場合は当該年分を選び,画面の表示名,控除額及び申告期限はその年分の公式案内に従う。

第2 申告前にそろえる資料

1 給付金案内と通帳を使って金額を確かめる

第79期の修習給付金案内19頁(PDF23枚目)は,修習給付金について個別の支払通知書等を発行せず,支給日等一覧表や預貯金通帳等を利用するよう案内している。
書面が送られてこないことを理由に申告準備を止めず,当期の案内,受給に関する記録及び通帳の入金明細をそろえる。

金額の集計では,給付期間,支給予定日,実際の入金日,給付金の種類及び金額を対応させると確認しやすい。
住居給付金の支給の遅れ,複数回分の一括入金又は日割りがある場合は,一定の月額を機械的に12倍した数字で申告しない。
この集計方法は資料を照合するためのものであり,税務上の収入年分を入金日だけで決定するものではない。

2 給与の源泉徴収票は給付金の資料と分ける

修習給付金は給与ではなく源泉徴収もないため,給付金を給与所得の入力欄へ入れない。
同じ年に修習開始前の勤務先又は修習終了後の勤務先から給与を受けた場合は,その給与についての源泉徴収票を集め,給与所得として別に入力する。
前職の給与が再就職先の源泉徴収票に含まれている場合は,同じ給与を二重に入力しないよう確認する。

3 国保・年金等は所得控除の資料をそろえる

国民健康保険料及び国民年金保険料等は,修習給付金の必要経費にする支出ではなく,社会保険料控除の検討対象となる。
その年に実際に支払った額,支払った人及び年末調整への反映を確認し,給与の源泉徴収票と別の控除入力で二重計上しない。
生計を一にする家族が支払った場合は,当然に司法修習生本人の控除にすることはできない。

国民年金の控除証明書,国保の納付額が分かる資料,生命保険料等の控除証明書も準備する。
添付・提示・入力による添付省略の要否は資料と提出方法によって異なるため,全ての資料を一律に郵送する扱いにはしない。
社会保険料控除の資料の取扱いは,申告対象年分の国税庁「社会保険料控除」で確認する。

第3 入力する金額と入力しない金額を分ける

1 収入の種類ごとに分ける

一つの口座に入金されていても,給付金,給与,貸与元本及び弁護士報酬は同じ所得ではない。
次の区分で資料を整理してから,各所得の入力へ進む。

金員の種類整理の出発点入力前の確認
基本給付金・住居給付金雑所得として申告対象当年分の収入金額を給付期間・支給記録と照合する
移転給付金第79期案内では申告対象外基本・住居給付金の収入へ混ぜない
修習専念資金の貸与元本返還義務のある借入金元本を給付金の収入へ足さない
勤務先からの給与給与所得源泉徴収票によって別に入力する
個人名義の弁護士報酬実態に応じた所得区分給与や修習給付金と分けて帳簿等を照合する

移転給付金を案内上の申告対象外として扱うことと,その法的理由を非課税所得と説明することは別である。
また,修習専念資金の無利息貸与による経済的利益は貸与元本とは別の論点である。
貸与を受けた場合の個別の課税関係は,前掲の税務上の取扱いの記事と税務署の案内を確認する。

2 入金日だけで収入年分を決めない

国税庁「収入金額とその計算」は,原則として,実際に受け取った日だけでなく収入すべき権利が確定した金額によって収入を計算すると説明している。
修習給付金についても,年をまたぐ支給,一括支給又は返納がある場合は,案内と支給記録を照合し,どの年分の収入へ入れるかを確認する必要がある。
この一般的な説明だけから,全ての給付について給付期間の末日又は振込日を一律の計上日と断定することはできない。

第4 確定申告書等作成コーナーの入力欄

1 雑所得の入力へ進む

国税庁の確定申告書等作成コーナーで対象年分・提出方法を選び,申告する所得の選択及び収入・所得の入力へ進む。
確認した画面例では,公的年金等以外の雑所得の入力欄は「雑所得(業務・その他)」である。
修習給付金は公的年金でも,営利を目的とする継続的な副業の対価でもないため,基本給付金・住居給付金はその他の雑所得として整理する。
「業務に該当しますか」と尋ねられる画面では,給付金を受けるための修習を副業として入力しない。

この区分は,司法研修所の雑所得という案内と,国税庁「雑所得」が示す業務・その他の区分から整理したものである。
給付金以外に原稿料,講演料等がある場合は,その収入の性質を別に判定する。

2 種目は給付金だと分かる名称にする

国税庁の入力説明では,種目の候補に該当するものがない場合,「その他」を選ぶことで任意の名称を入力できる。
修習給付金の名称が候補に表示されない場合は,「その他」を選び,「修習給付金」など収入の内容が分かる名称を記入する方法が考えられる。
これは国税庁が修習給付金専用の種目名を指定しているという意味ではない。

基本給付金と住居給付金は,後から内訳を照合できるよう,集計表には別々に記録しておく。
入力画面で別行に分ける場合も,その合計が集計表の当年分の収入と一致することを確認する。

3 収入金額・必要経費・源泉徴収税額を混同しない

基本給付金・住居給付金の収入金額には,当年分として確認した給付額を入力する。
第79期案内18頁(PDF22枚目)は,これらについて控除できる必要経費はなく,源泉徴収も行わないと説明している。
そのため,修習の交通費や書籍代を必要経費欄へ入れたり,後で納める見込税額を源泉徴収税額欄へ入れたりしない。

入力欄確認する内容避ける入力
収入金額当年分として確認した給付額他年分・移転給付金・貸与元本を混ぜること
必要経費基本・住居給付金では0円として整理する通所交通費,書籍代,家賃,国保・年金を差し引くこと
源泉徴収税額基本・住居給付金では0円として整理する所得税の見込納付額又は他の給与の源泉税を入れること

0円を入力するか空欄のまま進めるかは,当該画面の入力案内と必須欄の表示に従う。
国保・年金等の社会保険料控除は,所得控除の入力で扱う。
交通費等の必要経費の詳しい理由は,修習給付金の必要経費――平成30年当時の見解とその後の裁決・裁判例(AI作成)を参照されたい。

4 支払者欄は申告者や振込銀行を書く欄ではない

国税庁は,「支払者の氏名・名称」には支払者の名称等を,「所得の生ずる場所」には支払者の住所・所在地等を入力する例を示している。
司法修習生本人の住所や,受取口座の銀行名をこの欄へ機械的に写すものではない。
修習給付金については,当期の案内等の支給関係の資料と照合して支払者の名称・所在地を確認する。

確認した修習給付金案内には届出先の司法研修所の住所があるが,税務の支払者欄へ記入する住所として指定した説明ではない。
届出先の住所をそのまま唯一の記入例として示すことは避け,資料から記入すべき内容が分からない場合は税務署へ,対象年分と給付金の名称を示して確認する。

第5 他の所得・所得控除と提出前の確認

1 給与と社会保険料はそれぞれの入力欄で扱う

同年に受けた給与は給与所得の入力で,源泉徴収票の支払金額及び源泉徴収税額等と照合する。
修習給付金の入力へ給与の源泉税を移したり,給付金も給与として入力したりすると,所得区分と税額の計算が変わってしまう。
独立した弁護士業務の報酬もある場合は,弁護士登録初年度の確定申告-給与・弁護士報酬・源泉徴収票・必要経費(AI作成)も参照されたい。

社会保険料等を入力する前に,年末調整済みの金額と,別に控除する未反映の金額を分ける。
所得控除を差し引いた後に所得税が生じない場合でも,そのことだけで健康保険の被扶養者となれるわけではない。
税と社会保険の扶養の違いは,司法修習生に給料はあるか―修習給付金の支給額・手取り,税金,国保・年金及び扶養判定(AIリライト)で整理している。

2 計算結果と入力内容を照合する

提出前に,①対象年分,②基本・住居給付金の収入金額,③移転給付金・貸与元本の区別,④必要経費と源泉徴収税額,⑤給与等の別の所得,⑥所得控除,⑦納付額又は還付額を順に確認する。
画面の計算結果が出たことだけで,所得区分や資料の入力まで正しいと判断しない。
還付となる場合も,給付金を入力し忘れていないかを確認する必要がある。

第6 送信・納付と記録の保存

1 提出と納付を別に確認する

e-Taxで送信した後は,受信通知と提出した申告書等を保存する。
納付すべき税額がある場合は,申告データの送信だけで納付が済んだとは扱わず,選んだ納付方法による手続と期限を確認する。
書面提出を選んだ場合は,作成した申告書を印刷しただけで提出したことにはならない。

申告・納付の期限は,対象年分の国税庁の案内を確認する。
振替納税等では引落日が申告期限と異なる場合があるため,期限と納付方法を一緒に確認し,納付の記録も残す。

2 住民税の申告も確認する

所得税の確定申告をした場合,通常は同じ内容の住民税申告書を別に提出する必要はない。
所得税の申告をしない場合は,20万円以下であることや納付税額がないことだけで住民税申告も不要と判断せず,住所地の自治体の案内を確認する。
自治体によって申告が不要となる条件も異なるため,所得税の申告不要制度を住民税へそのまま移すことはできない。

第7 関連記事と出典

1 関連記事

① 司法修習終了翌年の確定申告―修習給付金・給与・弁護士報酬(AIリライト)
② 修習給付金の税務上の取扱い―司法研修所の案内,裁判例及び確定申告(AIリライト)
③ 修習給付金の必要経費――平成30年当時の見解とその後の裁決・裁判例(AI作成)
④ 司法修習生に給料はあるか―修習給付金の支給額・手取り,税金,国保・年金及び扶養判定(AIリライト)

2 公的資料

① 司法研修所事務局修習給付金案内(第79期)18頁~19頁(PDF22枚目~23枚目)。雑所得,源泉徴収,必要経費,移転給付金及び支払通知書等の取扱い。
② 国税庁雑所得の入力例。種目選択及び雑所得の入力欄の画面例。
③ 国税庁「種目」「支払者の氏名・名称」「所得の生ずる場所」はどのように入力すればいいですか。令和7年分。任意の種目名と支払者欄の説明。
④ 国税庁No.1500 雑所得,No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人,同Q&A,No.2020 確定申告。所得区分,申告要否及び提出・納付。
⑤ 国税庁No.1130 社会保険料控除,No.2200 収入金額とその計算。控除と収入年分の一般的な取扱い。
⑥ 大阪市市民税・府民税の申告について。大阪市の申告要否。別の自治体の申告条件は当該自治体で確認する。
⑦ 国税庁令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について。画面例の年分と別の年分へ申告する際の改正確認。