第1 本記事の対象と結論
1 対象と基準日
本記事は,在庫や機械などの動産を譲渡担保に取っている金融機関・取引先が,債務者の不履行の後に担保を実行する場面と,実行を受ける設定者の側の対応を,令和7年に成立した「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」(令和7年法律第56号。以下「譲渡担保法」という。)の条文で整理する。
譲渡担保法の条文は,令和8年9月29日現在のe-Gov法令検索に掲載された未施行の条文で確認した。
最高裁判例は裁判所ウェブサイトで確認した。
譲渡担保法は,附則1条により,一部の規定を除き,公布の日(令和7年6月6日)から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行される。
令和8年9月29日現在,施行日を定める政令はe-Gov法令検索では確認できなかった。
法務省のパンフレット「新しい譲渡担保法」は,同法が「令和9年12月までに施行されます」としている。
施行されるまでは,現行の判例法理によって処理される。
2 結論
①現行法では,譲渡担保の実行(私的実行)は判例法理によっており,清算義務,清算金の確定時期,受戻し及び設定者の留置権に関する最高裁判例の多くは,不動産の譲渡担保の事案である。
譲渡担保法は,動産・債権等を目的とする譲渡担保について実行の手順を条文で定めるが,不動産は同法の対象外である(2条1号イ)。
②帰属清算(担保権者が目的物を取得する方法)では,担保権者は,①目的物を被担保債権の弁済に充てること,②目的物の見積価額とその算定根拠,③被担保債権の額を設定者に通知する(60条1項)。
見積価額は「合理的な方法により算出したもの」でなければならない(同条2項)。
③被担保債権が消滅するのは,通知の日から2週間を経過した時か,担保権者が目的物の引渡し(占有改定を除く。)を受けた時のいずれか早い時である(60条1項)。
法務省のパンフレットは,設定者が事業再生のために必要な手段をとるための猶予期間を設ける趣旨であると説明している。
④処分清算(目的物を第三者に売却する方法)では,担保権者は売却の後遅滞なく同様の事項を通知する(61条)。
⑤目的物の価額が被担保債権の額を超えるときは,担保権者はその差額(清算金)を支払わなければならない(60条4項・61条5項)。
清算金の支払と目的物の引渡しは同時履行の関係に立つが,その範囲は見積価額と被担保債権の額との差額に限られる(60条5項・61条6項)。
⑥担保権者は,実行のための保全処分(75条),実行のための引渡命令(76条)及び実行後の引渡命令(78条)を裁判所に申し立てて,目的物の占有を確保できる。
⑦在庫(集合動産)の実行では,実行しようとする旨の通知が設定者に到達した後に在庫に加わった動産には担保権が及ばず,設定者は在庫を処分できなくなる(66条)。
被担保債権が消滅した日から1年以内に設定者に倒産手続の申立てがあると,担保権者が一定の額を超えて回収した部分を倒産財団に組み入れる義務が生じることがある(71条)。
第2 現行法(判例法理)での私的実行
1 清算義務と引換給付
最高裁昭和46年3月25日第一小法廷判決(昭和42年(オ)第1279号,民集25巻2号208頁)は,不動産の譲渡担保の事案である。
その裁判要旨は,債務者が弁済期に弁済しないときは,債権者は,目的不動産を換価処分するか適正に評価することによって具体化する価額から債権額を差し引き,残額を清算金として債務者に支払うことを要するとし,債権者が目的不動産の引渡し又は明渡しを求めた場合に,債務者が清算金の支払と引換えにすべき旨を主張したときは,特段の事情のある場合を除き,請求は清算金の支払と引換えにのみ認容されるべきであるとまとめている。
2 清算金の確定時期
最高裁昭和62年2月12日第一小法廷判決(昭和60年(オ)第568号,民集41巻1号67頁)は,不動産の帰属清算型の譲渡担保の事案である。
その裁判要旨は,清算金の有無及びその額は,債権者が債務者に対し清算金の支払若しくはその提供をした時若しくは目的不動産の適正評価額が債務額を上回らない旨の通知をした時,又は債権者において目的不動産を第三者に売却等をした時を基準として確定されるべきであるとまとめている。
3 受戻し
最高裁平成6年2月22日第三小法廷判決(平成元年(オ)第23号,民集48巻2号414頁)の裁判要旨は,譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には,設定者は,譲受人が背信的悪意者に当たるかどうかにかかわらず,債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができないとまとめている。
最高裁平成8年11月22日第二小法廷判決(平成6年(オ)第1532号,民集50巻10号2702頁)の裁判要旨は,設定者は,譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず,清算金がない旨の通知もしない間に受戻権を放棄しても,譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできないとまとめている。
同判決の目的物は土地である。
4 設定者の留置権
最高裁平成9年4月11日第二小法廷判決(平成5年(オ)第358号,集民183号241頁)の裁判要旨は,設定者は,譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者からの明渡請求に対し,譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができるとまとめている。
5 動産の重複した譲渡担保と後順位の担保権者
最高裁平成18年7月20日第一小法廷判決(平成17年(受)第948号,民集60巻6号2499頁)は,動産(養殖魚)の事案で,同一の目的物に譲渡担保が重複して設定されている場合,後順位の譲渡担保権者は私的実行をすることができないとした。
以上のとおり,現行法の私的実行のルールは判例の積み重ねによっており,その多くは不動産の事案である。
動産の実行では,通知の方法や時期,清算金の算定,目的物の引揚げの手段が条文上明らかでなく,法務省のパンフレットは,私的実行が短期間で完了することが多いため,設定者が倒産法上の制度を利用して事業の継続に必要な財産を失うことを防ぐための時間的な猶予が乏しいという指摘があったと説明している。
第3 帰属清算(60条)
1 通知の記載事項
譲渡担保法60条1項は,被担保債権の不履行があった後に動産譲渡担保権者が設定者に対してする「帰属清算の通知」の記載事項として,次の3つを定める。
①「譲渡担保動産をもって被担保債権の弁済に充てること。」
②「帰属清算時における譲渡担保動産の見積価額及びその算定根拠」
③「帰属清算時における被担保債権の額」
同条2項は,「前項第二号の見積価額は、合理的な方法により算出したものでなければならない。」と定める。
見積価額は,後に述べる同時履行の範囲(同条5項)や実行後の引渡命令(78条)の基準にもなる。
算定根拠(評価書,市場価格の資料,業者の査定等)を残しておく必要がある。
目的物についての権利が当初の設定者から第三者に譲渡されていても,担保権者がその譲渡を承諾していない限り,当初の設定者に対してした通知は,現在の設定者に対してしたものとみなされる(同条3項)。
2 帰属清算時(2週間又は現実の引渡し)
被担保債権は,「帰属清算の通知の日から二週間を経過した時又は当該動産譲渡担保権者が譲渡担保動産の引渡し(占有改定による場合を除く。…)を受けた時のいずれか早い時」に,その時の目的物の価額の限度で消滅する(60条1項)。
この時を「帰属清算時」という。
①通知をしてから2週間を待たずに,担保権者が目的物の現実の引渡しを受ければ,その時が帰属清算時になる。
②担保権者が通知の前から目的物の引渡しを受けて占有を続けている場合には,通知の時が帰属清算時になる。
③通知の後,帰属清算時までの間に,実行手続の一時の停止を命ずる裁判や実行を一時禁止する裁判があった場合には,その時又は裁判が効力を失った時のいずれか遅い時になる。
③の裁判としては,民事再生法31条等の中止命令がこれに当たると考えられる。
譲渡担保法は,再生手続等で譲渡担保権の実行を中止・禁止する命令が使えるようにしている(97条3項・4項)。
設定者から見れば,通知を受けてから2週間の間に,担保権者が目的物を引き揚げる前に,中止命令等を申し立てるかを判断することになる。
3 清算金と同時履行・留置
帰属清算時の目的物の価額が被担保債権の額を超えるときは,担保権者はその差額(帰属清算金)を設定者に支払わなければならない(60条4項)。
同条5項は,民法533条(同時履行の抗弁)を,帰属清算金の支払債務と目的物の引渡債務の履行について準用する。
ただし,見積価額が被担保債権の額を超える場合のその差額が帰属清算金の額に満たないときは,同時履行の対象は「当該差額に相当する部分に限る」とされている。
つまり,担保権者が通知した見積価額を基準にした差額を支払えば,目的物の引渡しを求めることができ,それを超える清算金の争いは,引渡しを止める理由にならない。
設定者は,帰属清算金の支払を受けるまで,目的物を留置することができる(同条6項)。
この留置の対象となる帰属清算金も,5項と同じく見積価額に基づく差額の部分に限られている(同項の括弧書きの「次項において同じ。」)。
第4 処分清算(61条)
動産譲渡担保権者が不履行の後に目的物を第三者に譲渡すること(処分清算譲渡)によっても,実行ができる(61条1項)。
担保権者は,処分清算譲渡をしたときは,遅滞なく,設定者に対し,①処分清算譲渡をしたこと,②処分清算時における見積価額及びその算定根拠,③処分清算時における被担保債権の額を通知しなければならない(同条2項)。
見積価額は合理的な方法により算出しなければならない(同条3項)。
被担保債権が消滅する時(処分清算時)は,通知の日から2週間を経過した時,又は担保権者若しくは譲受人が目的物の引渡しを受けた時のいずれか早い時である(同条1項)。
清算金(処分清算金)の支払,同時履行の範囲及び留置権は,帰属清算と同様である(同条5項~7項)。
第5 実行に関するその他の規定
1 後順位の担保権者による実行(62条)
後順位の動産譲渡担保権者がした帰属清算の通知又は処分清算譲渡は,先順位の動産譲渡担保権者の全員の同意を得なければ,効力を生じない(62条1項)。
現行法の最高裁平成18年7月20日判決が後順位の担保権者の私的実行を否定していたのに対し,先順位者全員の同意がある場合に限って認める形になった。
2 設定者の受忍義務(63条)
譲渡担保法63条は,「動産譲渡担保権の被担保債権について不履行があった場合において、動産譲渡担保権者が帰属清算の通知又は処分清算譲渡に必要な行為をしようとするときは、動産譲渡担保権設定者は、これを拒むことができない。」と定める。
見出しは「実行に必要な行為の受忍義務」である。
設定者に積極的な協力を義務付ける規定ではなく,担保権者の行為を拒めないとする規定である。
3 他の担保権者への通知(64条)
動産譲渡登記がされた動産譲渡担保権の担保権者は,不履行の後に目的物の引渡し(占有改定を除く。)を受けたとき(それに先立って帰属清算の通知又は処分清算譲渡をした場合はその時)は,遅滞なく,その動産譲渡登記の競合担保登記目録に記録されている他の動産譲渡登記又は所有権留保登記の担保権者等の全員に,その旨を通知しなければならない(64条1項)。
通知は,動産譲渡登記ファイル上の住所又は事務所に宛てて発すれば足りる(同条2項)。
4 清算金の支払を目的とする債権の処分禁止(65条)
帰属清算金又は処分清算金の支払を目的とする債権は,帰属清算時又は処分清算時までは,譲渡その他の処分をすることができない(65条1項)。
第6 在庫(集合動産)の実行(66条~70条)
1 実行しようとする旨の通知
集合動産譲渡担保権者が帰属清算の通知又は処分清算譲渡をしようとするときは,その旨を設定者に通知しなければならない(66条1項)。
この通知が設定者に到達すると,次の効果が生じる。
①到達の後に在庫(動産特定範囲)に加わった動産には,担保権が及ばない(同条2項)。
②設定者は,在庫に属する動産を処分することができなくなる(同条3項)。
③到達の時の在庫と外形上区別できる状態で分別して管理されていない動産は,到達の時に在庫に属していたものと推定される(同条4項)。
通知で在庫の範囲をさらに限定すれば,通知の効力はその範囲にだけ生ずる(同条5項)。
2項に反する特約は無効である(同条6項)。
通知は,実行(帰属清算の通知・処分清算譲渡)の前であれば,設定者の承諾を得て撤回することができ,撤回は通知が到達した時に遡って効力を生ずる(68条)。
ただし,第三者の権利を害することはできない(同条2項ただし書)。
2 差押え等があった場合
担保権者が集合動産譲渡担保権に基づいて競売による差押えをしたり,後に述べる保全処分や引渡命令を執行したりした場合も,その後に差押えや執行の場所に置かれた動産には担保権が及ばず,設定者はその場所の動産を処分できなくなる(69条)。
他の担保権者等による差押え等があった場合も同様である(70条)。
3 設定者側の対応
実行の通知を受けると,設定者は在庫を売ることができなくなり,新たに仕入れた在庫を分別管理しなければ,それも担保の対象と推定される。
事業を続けるには,担保権者との協議,民事再生等の申立てと中止命令等の申立てを速やかに検討する必要がある。
倒産手続での扱いは,在庫・売掛金を担保にした借入れ(ABL)と民事再生―集合債権譲渡担保の実行を止める中止命令,担保権消滅及び譲渡担保法の施行後の変化で扱っている。
第7 占有を取るための裁判手続(72条・75条~79条)
1 動産競売
動産譲渡担保権者は,動産譲渡担保権を質権とみなして,民事執行法190条の動産競売を申し立てることができる(72条2項)。
2 実行のための保全処分(75条)
裁判所は,被担保債権の不履行があった場合に,債務者,設定者又は目的物の占有者が,目的物の価格を減少させ,又は引渡しを困難にする行為(価格減少行為等)をし,又はそのおそれがあるときは,担保権者等の申立てにより,担保権者等が引渡しを受けるまでの間,その行為の禁止や,執行官に目的物を引き渡させて保管させることなどを内容とする保全処分を命ずることができる(75条1項)。
申立人は,決定の告知を受けた日から1月以内に,帰属清算の通知をしたこと,処分清算譲渡をしたこと,引渡命令の申立てをしたこと又は動産競売の申立てをしたことのいずれかを証する文書等を提出しなければ,相手方等の申立てにより決定が取り消される(同条3項)。
執行官保管等の保全処分を命ずる決定は,申立人に告知された日から2週間を経過すると執行できない(同条11項)。
3 実行のための引渡命令(76条)
裁判所は,被担保債権の不履行があった場合に,担保権者が帰属清算の通知又は処分清算譲渡をするために必要があるときは,それをするまでの間,担保権者の申立てにより,担保を立てさせて,設定者又は目的物の占有者に対し,目的物を担保権者に引き渡すべき旨を命ずることができる(76条1項本文)。
担保権者に対抗できる権原により占有していると認められる者(債務者を除く。)に対しては命ずることができない(同項ただし書)。
①清算金が生ずることが見込まれるときは,その担保も立てさせなければならない(同条2項本文)。
②裁判所は相手方を審尋しなければならない(同条5項)。
③決定の告知を受けた日から1月以内に,帰属清算の通知,処分清算譲渡又は動産競売の申立てをしたことを証する文書等を提出しないと,相手方等の申立てにより決定が取り消される(同条3項)。
④決定は確定しなければ効力を生じない(同条7項)。
4 実行後の引渡命令(78条)
帰属清算時又は処分清算時の後は,担保権者又は処分清算譲渡を受けた第三者の申立てにより,設定者又は目的物の占有者に対し,目的物を引き渡すべき旨を命ずることができる(78条1項)。
見積価額が被担保債権の額を超える場合は,その差額に相当する金銭の支払と引換えに引き渡すべき旨を命ずる(同項)。
この申立ては,帰属清算時又は処分清算時から1月を経過するとすることができない(同条2項)。
5 後順位の担保権者と管轄
後順位の担保権者は,先順位の担保権者全員の同意を得なければ,保全処分や実行のための引渡命令を申し立てることができない(77条)。
これらの手続に係る事件は,目的物の所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄である(79条)。
第8 組入義務(71条)
集合動産譲渡担保権の実行等で被担保債権が消滅し,その消滅した額が次のいずれか大きい方の額を超える場合に,設定者について破産手続開始の決定(同時廃止の場合を除く。),再生手続開始の決定,更生手続開始の決定又は特別清算開始の命令があったときは,担保権者は,その超える額に相当する金銭を破産財団等に組み入れなければならない(71条1項本文)。
①目的である動産の価額に10分の9を乗じた額
②実行の費用と,最も優先する集合動産譲渡担保権の被担保債権の元本との合計額
ただし,被担保債権が消滅した日から1年を経過した日以後に倒産手続の申立てがあったときは,組入義務は生じない(同項ただし書)。
担保権者は,組み入れるべき金銭の支払について,相殺をもって対抗することができない(同条3項)。
設定者又はその債権者は,組入義務の履行を確保するため必要があるときは,担保権者に相当の担保を請求できる(同条5項)。
債権を目的とする集合債権譲渡担保にも準用される(95条)。
法務省のパンフレットは,この制度を,集合動産・集合債権譲渡担保の範囲の定め方次第では労働債権者等の一般の債権者の弁済原資が枯渇するおそれがあることから,一般債権者との公平を図るために設けたと説明している。
なお,同パンフレットは「実行から1年以内に設定者に倒産手続が開始したとき」と説明しているが,条文上の基準は,被担保債権が消滅した日から1年以内に申立てがあったかどうかである。
第9 債権を目的とする譲渡担保の実行
債権譲渡担保権者は,被担保債権について不履行があったときは,担保の目的の債権を直接に取り立てることができ,受けた利益の価額が被担保債権の額を超えるときは,その差額を設定者に支払わなければならない(92条1項)。
債権譲渡担保についても帰属清算・処分清算の規定が準用されるが(93条),被担保債権が消滅するのは通知の日から2週間を経過した時であり,動産のような「引渡しを受けた時」との選択はない。
売掛金等をまとめて担保に取る集合債権譲渡担保では,被担保債権の不履行の後に,担保権者が取立て等をしようとする旨を設定者に通知すると,設定者は取り立てることができなくなる(94条本文)。
ただし,第三債務者にもその旨を通知しなければ,第三債務者に対抗することができない(同条ただし書)。
第10 経過措置と実務の確認事項
1 経過措置
譲渡担保法の規定は,附則に特別の定めがある場合を除き,施行日前に締結された譲渡担保契約についても適用される(附則2条本文)。
したがって,施行後に実行する場合は,施行前の契約であっても,原則として本記事の手順(通知,見積価額,2週間)に従うことになる。
ただし,施行日前に生じた効力は妨げられない(同条ただし書)。
個別の経過措置として,次のものがある。
①組入義務(71条)は,施行日前に締結された集合動産譲渡担保契約等には適用されない(附則8条)。
②66条6項及び69条5項(特約の無効)は,施行日前にされた特約には適用されない(附則7条)。
2 担保権者の側
①契約書の実行条項が,通知の記載事項(60条1項・61条2項)と整合しているか
②目的物の評価の方法(算定根拠を示せる見積りの手順)をあらかじめ決めているか
③目的物を現実に引き渡させる必要がある場合に,引渡命令(76条)の担保の準備ができるか
④同じ目的物に他の担保権者がいるか(後順位なら先順位者全員の同意が必要。62条・77条)
⑤動産譲渡登記がある場合に,競合担保登記目録に記録された他の担保権者への通知(64条)
⑥集合動産の実行後1年以内に設定者が倒産した場合の組入義務(71条)
3 設定者の側
①通知の見積価額と算定根拠が合理的か(不合理であれば争う材料になる)
②通知から2週間の間に,担保権者との協議,民事再生等の申立てと中止命令等の申立てを検討するか
③清算金が見込まれる場合に,同時履行(60条5項)と留置(同条6項)を主張するか
④集合動産の通知を受けた後は,在庫を処分せず,新しく仕入れた在庫を分別して管理する(66条3項・4項)
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第12 出典
1 法令
①譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律2条・60条~79条・92条~95条・97条,附則1条・2条・7条・8条(e-Gov法令検索。未施行)
②民法533条(e-Gov法令検索)
③民事執行法190条(e-Gov法令検索)
2 裁判例
①最高裁昭和46年3月25日第一小法廷判決(昭和42年(オ)第1279号,民集25巻2号208頁)
②最高裁昭和62年2月12日第一小法廷判決(昭和60年(オ)第568号,民集41巻1号67頁)
③最高裁平成6年2月22日第三小法廷判決(平成元年(オ)第23号,民集48巻2号414頁)
④最高裁平成8年11月22日第二小法廷判決(平成6年(オ)第1532号,民集50巻10号2702頁)
⑤最高裁平成9年4月11日第二小法廷判決(平成5年(オ)第358号,集民183号241頁)
⑥最高裁平成18年7月20日第一小法廷判決(平成17年(受)第948号,民集60巻6号2499頁)
3 公的資料
①法務省「「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」(譲渡担保法)について」(令和8年3月17日更新)
②法務省「新しい譲渡担保法」(パンフレット)
③法務省「譲渡担保法の概要」