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国会答弁作成支援AIとは―源内の試験提供と人が担う確認・判断(AI作成)

第1 令和8年10月30日に試験提供されたもの

デジタル庁は令和8年10月30日,源内で国会答弁作成支援AIのプロトタイプを試験提供することを公表した。
公表資料では,令和9年1月の本格提供を予定している。
10月30日の時点で,本格運用が完了したという発表ではない。
本記事は,公表ページと概要資料を基に,支援する作業と,人が確認・判断する部分を整理する。

第2 どの作業を支援するのか

1 質問の分析と関係情報の探索

概要資料は,質問の分析,関連する情報の探索,答弁案の作成,整合性の確認など,答弁作成の過程を支援する機能を説明している。
過去の答弁等を参考にしながら案を作る流れが示されており,職員が何も確認せずに最終回答を得る仕組みとして読むべきものではない。

2 案の作成と確認

資料には,作成した案や参照情報を確認し,必要な修正を加え,文書に出力する流れが示されている。
掲載された画面は機能・操作の説明のためのものであり,そこで示された文言を,政府が現実の政策判断として採用した答弁と扱うことはできない。

第3 評価に参加した人数から分かること

概要資料によれば,16府省庁の102人が評価に参加している。
これはプロトタイプの評価体制を示す数字であり,国会答弁全体の正確性が保証されたことや,すべての府省庁で同じ時間削減が実現したことを示す数字ではない。
評価参加の規模と,個々の答弁案の品質・根拠確認は分けて考える必要がある。

第4 最終的な判断を人が担う意味

公表資料では,AIは職員の作業を支援するものと位置付けられ,政策の最終判断は人が行うという考え方が示されている。
人が画面を見るという形式だけでなく,参照元が質問に対応するか,引用が正確か,現在の制度・政策と一致するか,例外や前提が落ちていないかを確認することが重要である。
後半は,公表された役割分担を踏まえた本記事の確認上の提案である。

過去の答弁を参照できても,その答弁が現在も妥当であるとは限らない。
制度改正や事情の変化がある場合には,過去の文言を再利用できるかを改めて検討する必要がある。
出典の候補を見つけること,原典を読むこと,今回の問いに当てはめて判断することは,別の作業である。

第5 何を記録に残すと検証しやすいか

後から答弁案の作成過程を検証するためには,参照した原資料,生成された案,職員が加えた修正,採用の判断を,必要に応じて対応付けて残す方法が考えられる。
AIの案を採用しなかった場合も,争点や判断理由が重要であれば,その経緯を記録と結び付けることに意味がある。
これは本記事の運用上の提案であり,公表資料によって,これらの記録が全件・同じ期間保存されることまで確認されたという意味ではない。

記録が行政文書に当たるか,開示の対象となるかは,組織的な利用・保有の状態や不開示情報の有無などを別に判断する問題である。
詳しくは,源内の回答と行政文書・情報公開の記事を参照されたい。

第6 利用状況アンケートとの関係

10月30日には,源内の第1回利用状況アンケートも公表されている。
しかし,その調査期間は8月21日から9月18日までである。
アンケートに示された満足度や時間削減の推計を,10月30日に試験提供された国会答弁作成支援AIの効果として用いることはできない。

第7 主な一次資料

源内での国会答弁作成支援AIプロトタイプの試験提供に関する公表ページ・概要資料(令和8年10月30日。概要資料全16頁)
源内の第1回利用状況アンケート(調査期間を確認する資料)