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フリーランス法と弁護士相談―行政への申出,無料相談及び和解あっせん(AI作成)

第1 相談先の結論

1 四つの目的を分ける

本記事は,令和8年10月30日現在の法令及び公表資料に基づき,フリーランス法に関する相談先を整理する。

相談先は,①法の解釈を確認する窓口,②法違反について行政の対応を求める申出,③フリーランス・トラブル110番による無料の弁護士相談及び和解あっせん,④請求・交渉・訴訟等を依頼する個別の弁護士に分けて選ぶ必要がある。

法違反か分からない段階では相談窓口を利用でき,行政機関の対応を求める場合は申出を選ぶことができる。

報酬の回収,相手方との交渉又は裁判手続まで代理してもらう必要がある場合は,フリーランス・トラブル110番の相談担当弁護士ではなく,別に弁護士へ委任する必要がある。

2 最初に確認する三点

最初に,①相談者が発注側か受注側か,②受注者がフリーランス法上の特定受託事業者に当たるか,③問題が取引条件・報酬・禁止行為に関するものか,就業環境に関するものかを確認する。

契約名が業務委託でも,働き方の実態がその発注事業者との関係で労働基準法上の労働者に当たる場合は,その関係ではフリーランス法の特定受託事業者に該当せず,労働関係法令の適用を検討する必要がある。

第2 フリーランス法の対象になるか

1 受注側の要件

フリーランス法上の特定受託事業者は,業務委託の相手方である個人であって従業員を使用しないもの,又は代表者一人以外に役員がなく従業員を使用しない法人である。

対象となる業種・業界の限定はなく,弁護士資格だけを理由に当然に対象外となるものではない。
公正取引委員会のQ&Aも,従業員を使用しない弁護士が企業から訴訟代理を受託する場合を対象例として挙げている。

「従業員を使用する」とは,原則として,週の所定労働時間が20時間以上であり,かつ,継続して31日以上雇用されることが見込まれる労働者を雇用することをいう。
ただし,同居親族のみを使用する場合は該当しない(問16)。

派遣先として,週の所定労働時間が20時間以上であり,かつ,継続して31日以上労働者派遣の役務の提供を受けることが見込まれる派遣労働者を受け入れる場合も,「従業員を使用」に当たる。

2 弁護士へ業務委託する場合

企業との契約がフリーランス法上の業務委託に当たり,ほかの要件も満たす場合,従業員を使用しない個人弁護士は,訴訟代理,法律相談又は契約書作成等の受託について特定受託事業者となり得る。

詳しくは「フリーランス法は弁護士にも適用されるか―企業が訴訟代理・法律相談を委託する場合(AI作成)」を参照されたい。

契約当事者が弁護士法人で個人弁護士は担当者にすぎない場合は,その個人弁護士が企業から直接受託したとは限らないため,契約主体を確認する必要がある。

第3 行政の相談と申出

1 法の考え方について相談する場合

公正取引委員会は,フリーランス側か発注事業者側かを問わず,フリーランス法の考え方についての相談窓口を設けている。

取引条件の明示,報酬支払及び禁止行為等の第2章に関する相談は公正取引委員会の窓口へ,就業環境整備に関する第3章の相談は都道府県労働局へ問い合わせる。

相談窓口の回答だけで個別事案の最終的な法的評価が決まるとは限らないため,契約書,発注書及び実際の経過を整理して質問するのが適切である。

2 法違反について行政の対応を求める場合

特定受託事業者は,第2章に違反する事実があるときは公正取引委員会又は中小企業庁長官に,第3章に違反する事実があるときは厚生労働大臣に申し出て,適当な措置を求めることができる。

オンラインでは,公正取引委員会,中小企業庁及び厚生労働省に共通する申出受付フォームが設けられている。

フリーランス・トラブル110番を経由せず,行政機関へ直接申し出ることもできる。

申出の対象となる発注事業者は,フリーランスが行政機関へ申し出たことを理由として,契約解除や今後の取引停止等の不利益な取扱いをしてはならない。

3 申出と私法上の請求を分ける

行政への申出は,行政機関が必要な調査をし,違反が認められる場合に,違反類型と所管に応じて法定の指導,助言,勧告等を行うための制度である。

申出手続自体は,未払報酬,損害賠償,契約解除の効力その他の私法上の請求権を確定し,又は強制執行する手続ではない。

金銭の回収,相手方との合意又は裁判上の請求が必要な場合は,和解あっせん又は個別の弁護士への委任を併せて検討する必要がある。

第4 フリーランス・トラブル110番

1 無料の弁護士相談

フリーランス・トラブル110番は,厚生労働省の委託事業として第二東京弁護士会が運営し,発注事業者から業務委託を受けたフリーランスの契約上・仕事上のトラブルを扱う。

相談は無料であり,電話,メール及び予約制のオンライン相談に対応し,電話又はメールでは匿名で相談することもできる。

対象には,曖昧な契約,報酬の未払いや減額,ハラスメント及び一方的な契約解除等が含まれ,フリーランス法が適用されない取引上のトラブルについても相談できる場合がある。

2 対象外と限界

フリーランス自身が発注側となった取引の相談,契約書又は請求書面の作成及び契約書の網羅的なリーガルチェックは,フリーランス・トラブル110番の対象外である。

相談担当弁護士が相談者の代理人となって相手方と直接交渉することはなく,代理人となる弁護士の紹介も行われない。

このような代理が必要な場合は,弁護士会の法律相談又は個別の法律事務所を利用する必要がある。

3 和解あっせん

相談による助言だけでは解決が難しい場合には,相談者の希望に応じて,無料の和解あっせんを申し立てることができる。

和解あっせんは,弁護士であるあっせん人が当事者の話を聴き,利害を調整し,又は解決案を示して,合意による解決を支援する手続である。

申立てについて相手方との事前合意は不要であるが,相手方に参加を強制できる手続ではなく,あっせん人が示す解決案自体に拘束力はない。
もっとも,当事者間で和解が成立した場合の合意の効力は,あっせん案の拘束力とは別の問題である。

全国から申立てができ,ウェブ会議による話合いにも対応している。

第5 個別に弁護士へ依頼する場合

1 代理が必要な場面

内容証明等による請求,相手方との直接交渉,仮差押え,民事調停,訴訟又は強制執行まで代理を求める場合は,個別に弁護士へ委任する必要がある。

相手方が支払能力を失うおそれがある場合,証拠が消えるおそれがある場合又は期間制限が問題となる場合は,無料相談だけを待たず,早期に個別相談を検討するのが適切である。

費用,受任範囲,見通し及び回収可能性は事案ごとに異なるため,相談予約時に契約書,請求額,相手方の情報及び希望する解決を伝える必要がある。

2 発注事業者が相談する場合

発注事業者も,公正取引委員会の法解釈相談窓口を利用できる。

他方,フリーランス・トラブル110番は受注側フリーランスのための窓口であり,発注事業者が契約書の作成,運用改善又は紛争対応を依頼する場合は,企業法務を扱う弁護士へ相談する必要がある。

適用要件に応じて,発注条件の明示,報酬支払日,禁止行為,募集情報,育児介護等への配慮,ハラスメント相談体制及び解除予告を,契約書だけでなく実際の発注・支払・相談対応の運用まで点検すべきである。

第6 相談前に整理する資料

1 事実の時系列

相談者,発注者,契約日,個別発注日,作業日,納品日,検収日,請求日,支払期日,実際の支払日及び問題となる言動を,日付順に一枚の表へ整理すると相談が進みやすい。

誰が何を述べたかについて,事実,推測及び希望する解決を分けて記載するのが望ましい。

2 契約と支払の資料

基本契約書,個別契約書,発注書,仕様書,見積書,請求書,納品記録,検収記録,入出金記録及び報酬計算資料を準備する。

メール,チャット,発注システムの表示及びハラスメント相談の記録は,日時,送受信者及び前後の文脈が分かる形で保存する。

行政への申出又は和解あっせんでは,提出先が原本を求めるかを確認し,原本提出の指定がない限り原本を手元に保管した上で,提出先の案内に従って写し又は電子データを提出するのが安全である。

第7 よくある質問

1 フリーランス法は弁護士にも適用されるか

はい。
企業との契約が法上の業務委託に当たり,ほかの要件も満たす場合,従業員を使用しない個人弁護士は,訴訟代理等の受託について特定受託事業者となり得る。

弁護士資格があることだけで適用外にはならない。

2 フリーランス法の相談はどこにすればよいか

取引条件・報酬・禁止行為等の法解釈は公正取引委員会,就業環境整備の法解釈は都道府県労働局,行政対応を求める場合は申出(オンラインの共通フォーム,郵送等),受注側フリーランスの契約トラブルはフリーランス・トラブル110番,代理交渉や訴訟は個別に委任する弁護士が基本となる。

3 110番へ相談せずに行政へ申し出られるか

はい。
申し出ることができる。

フリーランス・トラブル110番の利用は,行政への申出の前提ではない。

4 行政へ申し出れば未払報酬を必ず回収できるか

いいえ。
行政への申出は,未払報酬の回収を保証する手続ではない。
行政機関の調査及び是正措置と,個別の金銭請求の解決は目的と手続が異なる。

具体的な回収手続を進める場合は,和解あっせん又は個別の弁護士による請求・訴訟等を検討する必要がある。

5 フリーランス・トラブル110番の弁護士が代理人になるか

いいえ。
相談担当弁護士が代理人となって相手方と直接交渉することはなく,代理人となる弁護士の紹介も行われない。

代理が必要な場合は,別に弁護士を探して委任する必要がある。

6 発注事業者も相談できるか

はい。
発注事業者も公正取引委員会の法解釈相談窓口を利用できる。
他方,フリーランス・トラブル110番は受注側フリーランスのための窓口であり,発注事業者の契約・紛争相談は対象外である。

発注事業者の契約書作成及び紛争対応は,個別の弁護士相談を利用する必要がある。

第8 関連記事

①「税務・労働法・社会保険・フリーランス法における労働者性の判定(AI作成)」は,契約名にかかわらず,税務,労働法,社会保険及びフリーランス法の判断を分けて扱う。

②「取適法・フリーランス法で知財の譲渡・許諾を発注するとき―令和8年10月1日改正,明示及び対価(AI作成)」は,知的財産権の譲渡又は許諾を含む発注条件を扱う。

第9 出典・参考資料

①「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」2条,6条及び17条その他本文記載の関係条文(e-Gov法令検索)。

②公正取引委員会「Q&A」(フリーランス・事業者間取引適正化等法に関するQ&A)問2から問5,問15及び問16その他本文記載の関係項目。

③公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法の考え方についての相談窓口」。

④公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法の違反被疑事実についての申出窓口」。

⑤公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)説明資料」(令和8年4月版)18頁「フリーランスからの相談(フリーランス・トラブル110番)」。

⑥厚生労働省委託事業・第二東京弁護士会運営「フリーランス・トラブル110番」及び「和解あっせん」。

本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり,特定の個別事案に対する法的助言ではない。