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電子公告がサイト停止で中断したら―PHP脆弱性対応,救済要件と決算公告の違い(AI作成)

第1 サイト停止は電子公告にどう影響するか

1 短時間の中断でも確認が必要となる

電子公告を掲載しているウェブサイトをPHPの脆弱性対応や保守のために停止すると,会社法上の公告の中断に当たることがある。
もっとも,中断があっただけで公告の効力が当然に失われるわけではない。
会社法940条3項は,一定の要件をすべて満たす中断について,公告の効力に影響を及ぼさないと定めている。

重要なのは,停止の理由だけでなく,中断時間の合計と,中断を知った後の付記公告まで確認することである。
本稿は令和8年10月24日を基準として,国内会社の会社法上の電子公告を対象に説明する。
特定の会社の公告が有効かどうかを認定するものではない。

2 サイト全体の停止と公告情報の閲覧不能を分ける

940条3項は,情報が不特定多数の者へ提供可能な状態から外れた場合だけでなく,掲載後に情報が改変された場合も中断に含めている。
そのため,トップページの表示やサーバーの応答だけでは判断できない。
公告ページ,公告PDF及びそこへ到達する経路を,外部から実際に利用できるか確認する必要がある。

例えば,動的なサービスだけを止め,公告を同じ適切な経路で継続して閲覧できる場合と,公告PDFへのアクセスもできなくなる場合では,検討すべき事実が異なる。
メンテナンス中という案内だけを表示しても,公告内容の提供を続けたことにはならない。

なお,官報の電子化と,会社が公告方法として電子公告を選択することは別の制度である。
官報の仕組みについては,官報とは何か――電子化,法令公布・公告,閲覧方法及び沿革を参照されたい。

第2 公告期間と電子公告調査

1 すべての公告が1か月ではない

会社法939条は,定款で選べる公告方法として,官報,時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙及び電子公告を定めている。
公告方法の定めがない会社は,官報によることになる。
株式会社が電子公告を選択する場合には,911条3項27号・28号等に基づき,公告方法や情報提供に必要な事項等の登記も確認する。

電子公告の継続期間は,940条1項の区分によって異なる。
次の表の期間を,実際の公告の根拠条文と対応させる必要がある。

公告の区分継続して公告する終期
特定の日の一定期間前にしなければならない公告当該特定の日
440条1項の決算公告定時株主総会終結の日後5年を経過する日
公告に定める期間内に異議を述べることができる旨の公告当該期間を経過する日
これら以外の公告公告開始後1か月を経過する日

2 決算公告は調査義務の例外である

941条は,原則として,法務大臣の登録を受けた調査機関に,公告期間中の電子公告調査を求めるよう定めている。
調査を担当するのは登録調査機関であり,法務局へ調査を依頼するという仕組みではない。

ただし,440条1項の決算公告は,同条の調査義務から明文で除外されている。
調査義務がないことと,継続して公告する義務がないことは別である。
また,自社サイトを利用すれば費用がかからないと一律に考えず,公告の種類に応じた調査,登記及び保守の費用も確認する必要がある。

第3 中断が公告の効力に影響しないための要件

1 善意・無重過失又は正当な事由

940条3項1号は,中断が生ずることについて会社が善意で,かつ重大な過失がないこと,又は会社に正当な事由があることを求める。
善意・無重過失と,正当な事由は,別の経路である。

会社が停止を認識して自ら実行した場面では,実態を検討せずに,善意かつ重大な過失がなかったという定型文を付けるべきではない。
その場合には,停止について正当な事由があるかを具体的に検討する必要がある。

2 中断時間の合計が公告期間の10分の1以下

同項2号は,中断が生じた時間の合計が公告期間の10分の1を超えないことを求める。
今回の緊急停止だけでなく,同じ公告期間中の他の障害や保守停止も含めて集計する。
複数年度の決算公告を掲載している場合には,各公告の期間に対応させて管理する必要がある。

例えば,公告期間が正確に30日・720時間となる設例では,中断時間の合計の上限は72時間となる。
ただし,実際の1か月を常に30日として計算してよいという意味ではない。
開始・終了日時と法定期間を先に確定する必要がある。

3 知った後速やかに当該公告へ付記する

同項3号は,会社が中断を知った後速やかに,①中断が生じた旨,②中断が生じた時間,③中断の内容を,当該公告に付して公告することを求める。
サイトを復旧しただけで終わらせず,付記の内容,掲載場所及び掲載時刻を記録する必要がある。

第1号の二つの経路は選択関係にあるが,第1号から第3号までは,すべて満たさなければならない。
短時間だったことや,緊急対応だったことだけで救済が決まるわけではない。

第4 PHPの脆弱性対応は正当な事由となるか

1 立法時にはメンテナンスが想定されていた

平成16年5月28日の衆議院法務委員会で,房村精一政府参考人は,正当な事由の典型例として「定期的なメンテナンス」を挙げている。
一方,侵入に対する防御措置が全くないような管理については,場合によって重過失となり得る旨も説明している(第159回国会・衆議院法務委員会第31号,発言148)。

この答弁から,自ら停止したという理由だけで,中断救済の可能性を一律に否定することは適切でないと考えられる。
もっとも,旧商法の立法時の説明であり,現代の個別のPHP対応の適法性を認定したものではない。

2 緊急性,停止範囲,時間及び従前の管理を確認する

PHP公式は,令和8年10月21日,認証を受けていない第三者による遠隔コード実行につながり得る重大な脆弱性2件について,修正版への即時更新を勧告した。
同月23日には,特殊な設定とアプリケーションの組合せに関する追加の注意喚起も公表している。

本稿では,このような脆弱性への緊急対応も,必要性や対応内容によっては正当な事由として評価され得ると考える。
ただし,公式情報に基づく具体的な危険,公告部分を維持できる代替策の有無,停止する機能の範囲,停止・復旧までの時間及び従前の管理状況を確認する必要がある。
正当な事由が認められる場合でも,累積時間と速やかな付記の要件は残る。

脆弱性の概要はPHP2Shellの公式発表と国内のサイト停止を,更新・復旧の手順はPHPの緊急セキュリティ更新とWordPress保守を参照されたい。

3 会社の付記は適法性の公的認定ではない

大和アセットマネジメントの公式決算公告ページには,940条3項に基づくお知らせとして,令和8年10月21日22時30分から同月22日16時45分まで,PHPの深刻な脆弱性を受けた緊急点検のため中断した旨が掲載されている。
同社は,善意かつ重大な過失がなかった旨も付記している。
表示された期間の長さは,算術上18時間15分である。

確認できるのは,会社自身がこの内容を表示したことである。
各公告の中断時間の累計,会社の認識経緯,付記の掲載時刻及びすべての法的要件の充足まで,この表示だけから認定することはできない。
同社が具体的な各脆弱性の影響を受けていたかどうかも,この告知だけでは分からない。

第5 決算公告と440条3項の電磁的開示を分ける

1 同じウェブ掲載でも法的な構成が異なる

決算書をウェブサイトに掲載している場合でも,①電子公告を公告方法とする会社が440条1項の決算公告を行う場合と,②官報又は新聞を公告方法とする会社が,同条3項の電磁的開示によって公告を代替する場合は異なる。
どちらも5年間の継続が問題となるが,制度を同一視してはならない。

440条3項の措置をとる場合には,911条3項26号の登記事項も確認する。
なお,440条4項は,有価証券報告書の提出義務がある株式会社について,同条1項から3項までを適用しない旨の規定である。

2 中断救済の当然適用を前提にしない

940条1項2号が対象とするのは440条1項の公告であり,440条3項には940条3項の準用規定がない。
したがって,440条3項の電磁的開示の中断にも同じ救済が当然に直接適用又は準用される,と説明することはできない。

この場面の類推適用の可否は別の解釈問題として残る。
実務では,登記と公告・開示の根拠を先に確かめ,電子公告の付記文例をそのまま流用しないことが重要である。

第6 合併・減資と保守運用で注意すること

1 電子公告を選んでも官報が不要になるとは限らない

会社法449条,789条及び799条の該当する債権者保護手続では,官報公告と個別催告を原則とし,官報に加えて定款所定の新聞公告又は電子公告を行うことにより,個別催告を省略できる場合がある。
789条3項には,吸収分割における一定の不法行為債権者への催告について例外がある。

個別催告の省略を電子公告に依存している場合には,中断が救済されるかを,手続の完了期限と併せて確認する必要がある。
救済要件を満たさない可能性があるときは,再公告,個別催告又は日程変更等の要否を個別に検討する。
中断があれば合併等が直ちに当然無効となる,という関係でもない。

合併の通知・公告の日程は,吸収合併の承認日程と事前開示書類と併せて確認されたい。

2 公告ごとの記録と保守担当者の役割を決める

停止前後には,①公告の根拠・期間・URL,②調査機関と個別催告省略の有無,③脆弱性情報と停止判断の理由,④停止・認識・復旧・付記の各時刻,⑤他の中断を含む累計を記録するとよい。
公告を動的なサイト機能から分けて配信する設計も考えられるが,情報の正確性と到達経路を含めて確認する必要がある。

保守会社に委託するときは,更新作業だけでなく,公告への影響の確認,中断時の連絡,証拠の保存及び復旧後の確認を誰が担当するかを具体的に決める。
契約上の責任は,Web制作・保守会社にPHPを更新する責任はあるかで扱っている。

976条には,公告の懈怠・不正公告及び電子公告調査の不請求等について,100万円以下の過料の規定がある。
過料,公告の効力及び保守契約上の責任は,それぞれ分けて検討する必要がある。

第7 出典

①会社法440条,449条,789条,799条,911条,939条~941条及び976条(e-Gov法令検索。令和8年10月24日時点,令和8年8月12日施行版)
https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086?occasion_date=20261024

②第159回国会・衆議院法務委員会第31号(平成16年5月28日),発言147~149,特に房村政府参考人の発言148
https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=115905206X03120040528

③PHP「News Archive – 2026」(令和8年10月21日及び23日の告知)
https://www.php.net/archive/2026.php

④大和アセットマネジメント「会社の決算公告」の「電子公告の中断に関するお知らせ」(令和8年10月24日確認。会社自身の表示内容として参照)
https://www.daiwa-am.co.jp/company/public/financial/