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共犯者の供述だけで有罪にできるか―補強法則・検面調書・信用性の区別(AI作成)

第1 本人が否認していても,共犯者の供述が証拠となる場合がある

1 補強法則が適用されないことと,供述を信用できることは別問題である

共犯者が「一緒に犯行をした」と述べ,本人は「関与していない」と争う場合,共犯者の供述しかないという理由だけで,当然に有罪認定が禁止されるわけではない。
最大判昭和33年5月28日の多数意見は,共犯者・共同被告人の供述について,他の被告人との関係では本人の自白に対する補強法則は適用されないとした。
もっとも,証拠として使えること,法律上別の証拠による補強を要すること,内容を信用できることは,それぞれ別の問題である。
補強法則が適用されないことから,供述の信用性まで認められるわけではない。

本記事は令和8年10月22日を確認基準日とし,この区別と弁護活動で確認すべき事項を整理する。
共犯者の供述をめぐる結論は,供述の形式,立証しようとする事実及び個別事件の証拠関係によって異なる。

2 同じ供述でも,誰に対して使うかによって整理が変わる

例えば,Aが「Bと相談して盗んだ」と述べた場合,A自身の犯罪を認める部分をAの有罪認定に用いる問題と,Bの関与を認定するために用いる問題を分ける必要がある。
前者では本人の自白に対する補強法則が問題となり,後者では共犯者の供述としての証拠能力・信用性が問題となる。
同じ事件の供述であっても,その証明対象を明示せずに「自白だから補強が必要」「共犯者の供述だから信用できる」と処理することはできない。

第2 補強法則と昭和33年大法廷判決

1 本人の自白だけで有罪とすることはできない

憲法38条3項は,本人の自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合の有罪認定等を禁じ,刑訴法319条2項は公判廷の内外を問わず本人の自白について補強法則を定めている。
自白が任意になされたかという同条1項の問題とも区別を要する。
任意性が認められた本人の自白であっても,それだけで有罪とすることはできない。

2 多数意見は,共犯者の供述を他の被告人の「本人の自白」とは扱わなかった

最大判昭和33年5月28日・昭和29年(あ)第1056号・刑集12巻8号1718頁の多数意見は,共犯者・共同被告人の供述について,他の被告人との関係で独立の証明力を認め,憲法38条3項の本人の自白には当たらないとした。
したがって,共犯者の供述について,刑訴法319条2項による補強を欠くという主張だけで証明力を否定できるわけではない。

ただし,同判決の具体的事件には,他の証言,鑑定,押収物等も現れている。
同判決を「裏付けのない一つの言い分を無条件に信用した判決」と要約するのは適切でない。
判例の規範と,当該事件にどのような証拠があったかは分けて読む必要がある。

3 少数意見が指摘した責任転嫁等の危険

同判決の6裁判官の少数意見は,共犯者の供述にも,自分の責任を軽くするため他人へ責任を転嫁する危険等があることを重視した。
自白した者自身については補強を要する一方,その供述によって否認する者を処罰できるという扱いへの批判も示している。
これは多数意見の結論とは区別して紹介すべき意見であり,少数意見を判例の結論として引用することはできない。
他方で,そこで示された危険を,具体的な供述の信用性を点検する視点として用いることはできる。

第3 供述を証拠として使えるかは別に審査する

1 検面調書では刑訴法321条と322条を分ける

A本人の検面調書をAに対して用いる場合と,Aの検面調書をBに対して用いる場合とでは,適用条文の整理が異なる。
最三小判昭和36年12月12日は,他の被告人との関係での共同被告人の検面調書について刑訴法321条1項2号による審査を要する旨を判示している。
共犯者の調書だから,B自身の調書と同じく同法322条で当然に使えるということにはならない。
また,取調べ段階の調書と法廷での供述も区別する必要がある。

供述不能,相反・実質的相違,特信情況,任意性及び質問の機会については,供述の形式と具体的経過に応じて検討する。
このうち検面調書を争う手順は,共同被告人の検面調書をどう争うか―冒頭否認・質問機会・弁論分離・証言拒絶と証拠意見(AI作成)で整理している。

2 黙秘・証言拒絶と弁論分離

共同被告人としての黙秘権と,弁論分離後に証人となった者の証言拒絶権は,区別を要する。
刑訴法311条1項は被告人の供述拒否を認め,同法146条は自己の刑事訴追等のおそれがある証言を拒むことを認めている。
最一小決昭和54年11月12日も,弁論を分離して証人として尋問する場合の証言拒絶権を認めている。
分離さえすれば必ず証言を得られるわけではない。

弁論の併合・分離は刑訴法313条により判断され,同条2項及び刑訴規則210条による権利保護のための必要的分離も問題となる。
質問機会を確保するための措置と,対立する防御を同じ手続で続けられるかという問題は,それぞれ具体的に検討する必要がある。

第4 信用性を争う際の確認事項

1 供述者自身の利害と供述の変遷

供述者が何を直接見聞きしたかと,他人から聞いたことや推測したことを分ける。
その上で,役割分担,犯行への関与及び事前の相談に関する供述が,いつ,どの質問をきっかけに具体化したかを確認する。
供述時点の自己の嫌疑,責任を軽く見せる利益,相手との関係,取調べの経過も点検する。
供述の訂正や変遷がある場合は,結論だけでなく,先行供述,質問内容及び訂正理由を時系列で比較する。
利害があるという一般論だけで虚偽と決めず,具体的な誘因と供述内容を結び付けて検討することが重要である。

2 複数人の供述の一致と情報源の独立性

複数の供述が一致する場合も,各人が独立に体験・記憶した結果なのか,同じ情報を与えられた結果なのかを区別する。
取調官からの示唆,供述者間の接触,先行調書の読み聞かせ,報道,家族・付添人との会話等による情報の共有があれば,その影響の範囲を確認する。
独立性が乏しいことは一致の証明力を評価する上で重要であるが,それだけで各供述の証拠価値が一律にゼロになるという法律上の規則ではない。
ここでいう供述相互の「裏付け」は信用性の評価の問題であり,刑訴法319条2項の補強法則と同じ意味で用いない方が明確である。

3 客観的記録との対応を確かめる

供述と客観的記録との照合では,通信・位置・映像・金銭の移動等について,供述のどの部分を,どの程度まで支えるのかを示す。
単に現場付近にいたことと,事前に共謀していたことを同一視しない。
記録自体の取得方法,時刻の精度,人物の同一性及び欠落の有無も確認する。
不一致があれば,周辺部分の記憶違いか,中心的事実を揺るがす矛盾かを分けて説明する。
一般的な供述分析のチェックリストは,自白・供述の信用性をどう争うか―草加事件から作る検証チェックリスト(AI作成)を参照されたい。

第5 裁判の併合や担当検察官の一本化とは区別する

共犯事件を同じ裁判部で扱うか,弁論を併合するか,検察庁内で担当検察官を一本化するかは,供述の証拠能力や信用性とは別の判断である。

大阪地検刑事部長の平成21年6月9日付指示からは,起訴時に併合請求した旨を公判部担当者へ引き継ぐ方法を確認できる。
具体的には,検察票に編綴する起訴状の写しへの記載,又は付箋を貼った起訴状コピーの検察票への編綴によって,併合請求をしたことが分かるようにする取扱いである。
2頁目には,平成21年6月4日付の公判部の「共犯事件・関連事件の併合請求のお願い」も含まれる。

大阪地検公判部長の令和3年6月23日付文書からは,同年7月1日から公判担当検察官一本化の取組みを試行することを確認できる。
これらの文書から,供述の信用性や有罪認定の基準を読み取ることはできない。
黒塗り部分の理由や基準を推測して補うこともできず,令和8年現在も同じ運用が続くかは別途確認を要する。

文書の内容と裁判所側の配点・併合との関係は,大阪地裁,京都地裁及び神戸地裁の事務分配規程から見る共犯事件の配点(AI作成)を参照されたい。

第6 参照資料と確認範囲

1 法令及び裁判例

憲法38条3項及び刑事訴訟法311条,313条,318条,319条,321条,322条,325条等を参照した。
刑訴法は令和8年10月22日現在の施行版を確認した。
刑事訴訟規則は210条を参照した。

最大判昭和33年5月28日は,裁判所公開PDF全10頁と判例秘書の判決本文(L01310172)で,多数意見・少数意見を確認した。
最三小判昭和36年12月12日は裁判所公開PDF全3頁,最一小決昭和54年11月12日は同全2頁を確認したが,後二者は今回判例秘書では照合していない。
後続裁判例を網羅的に調査したものではなく,個別事件の供述の信用性を判定するものでもない。

2 大阪地検の開示文書

共犯事件・関連事件の併合請求について(指示)(平成21年6月9日付の大阪地検刑事部長の指示)全2頁を確認した。
2頁目の平成21年6月4日付「共犯事件・関連事件の併合請求のお願い」も,この開示PDFに含まれる原文である。
共犯被告事件等の公判担当検察官一本化について(令和3年6月23日付の大阪地検公判部長の文書)全1頁を確認した。
いずれも開示された範囲に限って参照し,不開示部分の具体的内容や現在の運用を確認した資料としては扱っていない。