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こども性暴力防止法の就業規則・誓約書の見直し―公式参考例と施行前の準備作業(AI作成)

第1 就業規則と採用書式を一緒に見直す

1 施行前の準備作業は書類の整合まで含む

こども性暴力防止法の施行前には,対象業務従事者,不適切な行為,犯罪事実確認への対応及び人事措置に関する規程を整え,募集要項,求人票,誓約書及び内定通知書の記載を照合する必要がある。
書類を一つ追加するだけでは,募集時の説明と採用後の運用が食い違うことがある。
就業規則は職員の服務と処分の根拠を,募集要項は応募時の条件を,誓約書は本人の申告を,内定通知書は内定後の取扱いを,それぞれ担当する。

本記事は,令和8年10月14日に確認したこども家庭庁の公式参考例と,令和8年9月29日改訂Q&Aを基に,令和8年12月25日の施行に向けた書類の見直しを説明する。
公式参考例は各事業者の事情に応じて調整する資料であり,そのまま使えば内定取消しや解雇が有効になるという保証ではない。

2 制度全体と情報管理は関連記事で確認する

対象事業者,対象従事者,研修,相談窓口及び情報管理を含む準備全体は,こども性暴力防止法とは―日本版DBSの対象・義務・令和8年12月25日の施行準備で整理している。
犯罪事実確認書と本人の誓約書は,取得の経緯も情報の種類も同じではない。
記録の利用・共有・保存の判断は,日本版DBSの犯罪事実確認記録をどう扱うかと併せて確認されたい。

第2 見直す書類と事業者の区分を確認する

1 書類ごとに役割を決める

次の表は,公式参考例の内容を,実際の見直し作業に対応させたものである。
右欄は,事業者が自ら確認するための実務上の点検事項であり,法令が一律に指定したチェック様式ではない。

書類主な役割照合する事項
就業規則・別規程対象職種,禁止行為,確認手続への対応,処分事由を定める実際の業務,パート等の規程,周知,施行日
募集要項・求人票対象業務と採用条件を応募者へ説明する義務対象か認定対象か,認定済みか申請予定か
誓約書・履歴書採用選考時の申告内容を明示して記録する質問の対象,定義の説明,提出時点
内定通知書内定取消事由等をあらかじめ示す誓約書・求人票との整合,必要な手続への対応
報告・対応ルール疑いを把握した場合の報告と組織対応を定める就業規則の禁止行為,報告先,相談窓口

2 義務対象・認定後・認定前を分ける

公式の募集要項・求人票参考例は,学校設置者等,認定を受けた民間教育保育等事業者,認定申請を予定する民間教育保育等事業者を分けている。
認定前の事業者は,認定申請を予定している旨と,認定を受けた場合に対象業務について犯罪事実確認が必要になる旨を対応させる。
認定を受ける予定という段階で,既に認定済みであるかのように求人票へ記載してはならない。

同一法人に複数の施設や事業があるときは,募集する業務がどの事業に属するかを先に確かめる。
将来こどもと接する可能性があるというだけで,全職種へ同じ確認を広げない。
Q&A基礎編7-4-2は,将来の対象業務への配属可能性にとどまる場合の採用時確認について,公正な採用選考の観点から合理性・必要性を慎重に判断するよう説明している。

第3 就業規則で確認する事項

1 対象者は職名だけで決めない

公式の就業規則参考例では,対象業務従事者の範囲を規定することが示されている。
例に載った職名をそのまま写すのではなく,事業の実態と,法令上の職種区分及び支配性・継続性・閉鎖性を照合する。
同じ事務員でも対象業務に就く者と就かない者がいる場合には,対象となる業務を限定して書くことが考えられる。

パート,アルバイト,契約社員又は定年後再雇用者の規程を別に設けている場合は,その規程も点検する。
正規職員用の本則を直しても,対象業務に就く他の従事者へ同じ説明が届かなければ運用に穴が生じる。
規程の適用範囲と対象者台帳を照合し,異動や業務変更時の更新担当者を決めておくことが有用である。

2 禁止行為と業務上必要な行為を区別する

児童対象性暴力等と,それにつながり得る不適切な行為を,服務規律に対応させる。
SNSでの私的な連絡,施設外での私的な面会,撮影,身体接触などについては,児童の年齢・発達段階と施設の業務を踏まえて具体化する。
介助や保育に必要な行為まで一律に禁止するのではなく,必要な行為の方法,承認及び複数人での対応等を現場と検討する。

禁止内容は職員だけに説明すれば足りるとは限らない。
児童や保護者に知らせる行動基準,相談窓口及び報告・対応ルールとの整合も確認する。
疑いを把握した際の対応は,こども性暴力防止法の施行と弁護士の役割で扱っている。

3 手続への対応と懲戒の判断を分ける

公式参考例には,犯罪事実確認に必要な手続へ対応する義務,試用期間の解約事由及び懲戒事由が示されている。
手続に必要な本人の対応を,制度の説明,案内方法,提出期限及び相談先と併せて周知する。
必要書類がそろわない理由や手続上の問題を調べずに,直ちに確認拒否と決め付けない。

犯罪事実確認の結果に応じて対象業務へ従事させない防止措置が必要になることと,特定の懲戒処分・解雇が有効になることは別の判断である。
労働契約法16条は,解雇について「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」に無効とする規定を置いている。
規程の根拠だけでなく,具体的な事実,配置可能性,相当性及び手続を確認する必要がある。

第4 募集・誓約・内定の説明をつなぐ

1 採用条件を募集段階から説明する

公式参考例は,対象業務であること,法に基づく犯罪事実確認を行うこと,特定性犯罪前科がないことを採用条件とする場合の説明,及び採用選考過程での確認を対応させている。
本人へ何を質問したか,どの定義を示したか,いつ回答を得たかを分かる形で残す。
対象と期間を限定した特定性犯罪事実の制度を,過去のあらゆる犯罪や申告を一括して調べる制度へ広げない。

誓約書の参考例には,特定性犯罪事実該当者に当たらないことの申告と,採用選考で提出する書類・申告内容が事実である旨が示されている。
参照する定義を裏面等で示し,応募者が何について答えるのか理解できるようにする。
誓約書による本人の申告は,施行後の法に基づく犯罪事実確認の代わりにはならない。

2 内定取消事由を後から付け足さない

Q&A基礎編7-4は,募集時の条件明示,内定前の確認,内定通知書等の取消事由を結び付けて説明している。
公式の誓約書・内定通知書参考例には,重要な経歴の詐称と,犯罪事実確認に必要な手続等に対応しない場合の記載例がある。
内定後に問題が分かった時点で初めて条件を加えるのではなく,募集から内定までの各書類に矛盾がないかを先に確かめる。

内定取消しの有効性は,参考例の文言があるというだけで決まらない。
求人票,面接時の説明,回答,内定通知書及び就業規則を一つの採用経過として検討する。
採用実務全般は,中途採用における使用者側の留意点も参照されたい。

3 現職者への事後的な誓約は採用時の申告と違う

Q&A応用編7-3は,既に業務に従事する者から事後的に誓約書を取った場合,虚偽があっても,採用時の重要な経歴を詐称して雇用された場合には該当しないとの考え方を示している。
現職者への制度周知や法定確認の準備と,応募時の申告を別々に扱う必要がある。
この行政資料の説明を,虚偽回答をめぐるあらゆる服務上の問題や人事措置を一律に否定する意味へ広げない。

現職者について確認結果が判明したときは,対象業務に従事させない防止措置と,人事上の措置の要件を分けて検討する。
事後的な誓約書で過去の採用条件を作り直そうとする運用は避ける。
詳しくは,採用後・解雇後に経歴詐称が判明した場合を参照されたい。

第5 規程の施行日・変更手続・周知を確かめる

1 法律と就業規則の施行日を区別する

公式就業規則参考例の「6.附則」は,法律の施行前から規程を適用することを想定している。
就業規則自体の施行日を定め,法律の施行前でも適用することを明確にする規定例も示されている。
規程を整備できることと,施行前に法に基づく犯罪事実確認の手続を行えることを混同してはならない。

2 届出・意見聴取・周知と不利益変更を点検する

労働基準法89条は「常時十人以上の労働者を使用する使用者」を対象に就業規則の作成・届出を定め,変更時も同様としている。
同法90条は作成・変更について労働組合又は過半数代表者の意見を聴く手続を,同法106条1項は就業規則の周知を定める。
参考例を保存しただけで作業完了とせず,適用する事業場と変更内容に応じた手続を確認する。

労働契約法10条は,変更後の就業規則の周知に加え,労働者の受ける不利益,変更の必要性,内容の相当性,交渉状況等に照らした合理性を判断要素としている。
安全確保のための制度対応であることだけで,どのような労働条件変更も当然に有効になるわけではない。
小規模事業者でも,契約上の根拠と従事者への説明を省略してよいという意味にはならない。

第6 よくある質問と完了確認

1 就業規則・誓約書の公式参考例はあるか

こども家庭庁のひな型・参考例リンク集に,募集要項・求人票,誓約書・内定通知書及び就業規則のWord参考例がある。
自事業の区分に合うものを選び,対象業務,禁止行為,職員への説明及び採用条件との整合を確認する。
変更の要否を個別に判断せず,すべての例文を一括して取り込む方法は適切ではない。

2 誓約書を出してもらえば法定確認を省けるか

誓約書は本人の申告を確認する書類であり,法に基づく犯罪事実確認を省略する根拠にはならない。
誰がいつ確認手続を行うかと,募集・選考時にどの説明をするかを分けて管理する。

3 見直しの完了は何で確かめるか

①対象事業,募集業務及び適用する規程を特定したか。
②応募者用と現職者用の案内を区別したか。
③募集要項,誓約書,内定通知書及び就業規則を照合したか。
④制定・改定手続,施行日及び周知方法を確認したか。
⑤実際の質問・回答・説明の記録を残す担当者を決めたか。
⑥確認結果の取扱いと人事判断を担当する者を分けて定めたか。

第7 出典

1 公式参考例・Q&A

こども家庭庁「こども性暴力防止法に基づく措置を行うに当たって活用できる各種ひな型・参考例」リンク集。
募集要項・求人票参考例の学校設置者等向け・認定後・認定前,誓約書・内定通知書参考例,就業規則参考例の1~6を参照した。
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou/hinagata

こども家庭庁「こども性暴力防止法に関するQ&A」令和8年9月29日改訂。
基礎編7-3~7-7及び応用編7-1~7-4を参照した。
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou

2 労働関係法令

労働基準法89条,90条,106条1項。
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049

労働契約法10条,15条,16条。
https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128